2005年12月23日(金・祝・天皇誕生日)
【人口減少時代と中心市街地活性化】

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 本日は、恒例のボランティアサークルよっしゃのX’masパーティーに、久方ぶりの友人の結婚式。異業種交流会での新婦側の友人というのも珍しいのですが、なにか健康な体育会系のアスリートのようなイメージもある女性も、美しい花嫁さんでした。めでたい!
 さて、昨日厚生労働省が発表した人口動態統計によると予測より2年早まって、初の1万人の人口減。日本国の歴史において、まさにたいへんな事態と言わざるを得ません。
 少子化対策をと、掛け声は勇ましくとも、成果が出ない中、子育て世代の声がまともに届かない政治に問題ありと考えています。そのためのやや無理めな私策(選挙制度改革に関して)は、年内に公表します。
 ところで、ここのところ書き続けている中心市街地活性化は、この人口減時代に、持続可能な社会を作るための最重要施策と言っても過言ではありません。
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     ↓ 詳しくは

 昨日に引き続きまして、中小企業団体中央会や商工会議所連合会が作られた実行委員会主催の昨日のセミナーから、「まちづくり三法」の部分について。


 下記のような形で、動向が気になっていた「大規模小売店舗立地法(大店立地法)」、「改正都市計画法」、「中心市街地活性化法」の「まちづくり三法」ですが、この20日の与党合意は、予想以上にインパクトのあるもので、納得できるものです。

 基本方針は、中心市街地に、『様々な都市機能を集約(「まちのコンパクト化」)するとともに、にぎわいの回復を図る』というものです。その中で、「大規模小売店舗立地法(大店立地法)」は運用を変え、「改正都市計画法」と「中心市街地活性化法」は改正されます。
 特に、「まちのコンパクト化」に向けた立地規制を図る「都市計画法」の規制強化は、180度の政策転換とも言えるほどのものです。

 具体的には、都道府県等が広域的観点からゾーニング規制を調整する仕組みを導入する広域調整の強化は、県は何もできませんよとでも言いたげなしけた答弁が許されなくなるということで、大歓迎です。
 また、それは、県議会議員は、広域的に発言すべきである、あるいは、発言できるという根拠にもなります。


 この転換の根本には、郊外型大型店と既存の駅前の商店街(岡山なら表町商店街も含めて)との対立の構図から導かれるものではなく、人口減少社会に入る中でいかに対応していくかという、まちづくりの発想の転換があります。

 ほとんどの地域で、人口が減り、しかも激減する中で、自分達の地域だけが、一人勝ちで人口増しても、総和が減少することをどう考えるかということです。

 その中で、拠点になる生活圏をたくさん作ると20〜30年後に、それを維持する事が困難になるのは明らかで、郊外型大型店の撤退はもちろん、住宅、学校、図書館等どれを潰すかという話が出てきます。
 生活拠点をたくさん作れば作るほどそのリスクは増します。

 少なくとも、郊外の新興住宅地が、数十年後は、一挙に高齢化するという事態になることは覚悟しなくてはいけませんし、その際、高齢者が、中心市街地に回帰しようとしても、中心部が壊れているなら、戻りようがなくなるということです。



 こういう観点からすると、平野が広く続く岡山市は、地形的に非常に危険で、さらに、大規模合併することのリスクは、今から、十分に意識しないと維持ができなくなります。
 中心市街地で起きている問題が、順を追って、郊外の様々な地域でこれから多発します。

 しかし、この方向に行くと決めたからには、絶対に、政令指定都市になり、願わくば、州都にし、一人勝ちになろうとも、街として拡大路線を行くしかないし、少なくとも、ここで止めるわけには行かない事態であると認識する必要があります。

 正直、常に私は、まずは、いわゆる旧合併地区(たとえば高松や足守)の活性化にこそ力点を置くべきであり、さらなる大規模合併は懸案に思ってきましたが、しかし、行ったからには、もはや中途半端に止められない、推進する以外なく、ただ政令市で、「区」割りができることで、再度核が分散し、それをネットワークする方向を模索したいということです。
 この責任が果たせないと、新合併地区の岡山市民があまりに気の毒です。期待を裏切るわけにはいきません。



 ただしかし、今後必要なのは、開発も良いですが、20〜30年後、地域住民は撤退はできないことを前提に、本当にそこが維持できるかという観点から物を考えることです。

 同時に、ではいわゆる田舎は田舎のままで良いのか?という議論もあります。私は、むしろそこは、公共交通機関や道路整備と重ねて考えないといけないと思います。

 基本的には、コンパクトな中心市街地から周辺の郊外は田園風景が広がり、さらに先には豊かな緑があり、そうしたいくつかの中心市街地を公共交通がしっかりと結ぶのが理想形です。
 例えば、全国チェーンのロードサイドビジネスが、田園を破壊しながら、沿道にずらっと並び街を結んでいくこと自体に、様々な点で無理があるということです。少なくとも、地域の歴史や文化や伝統は、金太郎飴的に破壊されるかもしれません。

 いずれにせよ、まちづくり三法の見直しは、歓迎したいところです。本当に大きな動きです。


 一方で、11月定例会では、下記のような提案もしました。非常にしけた答弁でした。
 「都市と農村について」ですが、実は、イメージは、新庄村や、なぜか牧山地区でした。いわば、都市農村同時活性化策でしたが・・・。

(佐藤)
 ところで、私は、中心市街地の活性化は、農地の活性化と裏腹であると思います。
 かって、歳末の商店街は、秋の実りで収益を得た農村部からのお客で賑わいました。都市を支えていたのは農村であり、農村を支えていたのは都市です。食料自給率わずか40%。しかも、人口が、半減していこうという我が国において、いたずらに農地や山林を無くし、住居や商業施設に変えていけば、都市部、農村部両方が、必ず持続不可能な時代が来ます。後継者不足や農家の高齢化による遊休地・荒廃地の増加は、ほ場の持つ作物生産機能を低下させ、周辺ほ場や環境、景観に悪影響を及ぼします。

 しかし、一方で、アウトドア志向が高まり、団塊の世代の方々の生き方としてスローライフが言われ、グリーンツーリズムという言葉ももてはやされ、子育て世代も、子ども達に豊かな自然に触れさせたい、都市住民は、新しい心のふるさとを求めています。
 ここに、都市と農村の交流という発想が出てきます。

 しかし、従来は、都市と農村の関係は、人口の80%が集まる都市の経済と生活論理で構成され、国土の80%を占める農村漁村地域の地域作りというものが、言われてこなかったように思います。
 例えば、「改正都市計画法」も、都市域のための計画であり、都市計画区域に飲み込まれる農村地域のあり方を考慮していません。線引きの見直し、都市と農村の交流、食料の安定供給、多面的機能の十分な発揮も、都市部の問題の補完という観点からの構成で、都市と農村の一体的な計画制度になっていないということです。

 私は近い将来、人口が増えずとも、平日は、都市部に、土日は、農村部に、コミュニティーを二重に暮らす層というのが必ず出てくると考えています。とりわけ、交通網が発達した岡山県ならそれが可能になります。あるいは、都市部では、賃貸マンションで、農村部では、一軒家を持つ、例えば、都市部も農村部も持続可能な街にする、そういう層にインセンティブを与えて、誘導するということも考えて良いのではないでしょうか。

 昨年度、「中山間地支援基本計画」「岡山県過疎自立促進計画」が示されましましたが、むしろ、「都市農村活性化基本計画」のようなものを作る時代に来たと思いますが、これからの都市と農村部の関係がいかにあるべきか、またそのためにどんな施策をとるべきか、知事のお考えをお知らせ下さい。

 ・・・・・・・・・答弁は、しょぼいので、略。


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 11月定例会の中心市街地活性化についての私の質問と知事、産業労働部長答弁は下記の通り。

《佐藤》

 次に、大型小売店の撤退や、シャッター通りの拡大など商店街の衰退が進む中心市街地の活性化について伺います。
 1998年5月に、「大規模小売店舗法(大店法)」の廃止が決まり、これらの法に代わるものとして成立したのが、2000年6月に施行された現行の「大規模小売店舗立地法(大店立地法)」および、1998年11月に施行の「改正都市計画法」、1998年7月施行の「中心市街地活性化法」のいわゆる「まちづくり三法」です。

 従来の「大店法」は、営業規制を主にしてきたもので、既存の商業に大きな影響を与える大型店舗の出店について、商業上の調整が可能とされていましたが、「大店立地法」は、交通渋滞、騒音、廃棄物問題等社会環境的な視点で規制していこうとするもので、中小小売店の保護の観点からの商業調整を禁止して、出店地周辺の生活環境の維持に絞って基準の遵守を自治体が勧告できるとしています。
 また、「中心市街地活性化法」は、地盤沈下をしている中心市街地を活性化させるため、関係13省庁が「市街地の整備改善」「商業等の活性化」を柱とする総合的、一体的な施策を実施するもので、「改正都市計画法」は、市町村が地域の実績に即して、独自の判断で土地の用途規制を行える特別用途地域を追加したものです。そして、これらの「まちづくり三法」を活用すれば、「大店法」が廃止されても、大型店の立地調整を含むまちづくりには、支障がないと考えられていました。

 ところが、法制定後7年が経過して、期待された効果が上がらないどころか、むしろ、大規模な農地転用や無秩序な郊外開発によって、大型店などの大規模集客施設の郊外立地が進み、その影響で、とりわけ中心市街地が破壊されているのが現状です。大型店の出店ラッシュや撤退といった無秩序な競争激化は、地域商店街を直撃するだけでなく、経済の健全な発展にとっても大きな阻害要因となっていますが、このことは、コミュニテイの衰退、伝統・文化の継承の困難、青少年問題の深刻化、高齢者の生活の不便増大など、社会問題をもたらしています。特に、病院や学校などの公共施設も郊外に流出しています。一方で、高層マンションの再開発ラッシュは、新たな課題を生みそうな予感もします。

 こうした状況の中、国の方でも、国土交通省等が、まちづくり3法の見直しに入っていますが、国の法整備を待てる状況になく、自治体でも、動きがあります。福島県では、人口減による中心市街地の空洞化を防ぐため、大型商業施設の郊外進出に対して、全国初の規制条例、「福島県商業まちづくりの推進に関する条例」を可決。熊本県も、条例制定には時間がかかるため、法的な拘束力が弱くても即効性のあるガイドラインによる郊外出店の規制に乗り出したと聞きます

 ただ、雇用創出の場にもなる郊外型店舗には、マイカー利用者の支持も強く、規制緩和の波に乗って郊外出店を増やしてきた流通業界から反発も考えられ、さらには、規制強化で出店を近隣都道府県に切り替える動きになりかねず、規制については、その効果を疑問視する声があるのも事実です。

 まず、空洞化する中心市街地と大型商業施設の郊外進出の状況について、またその相関関係に対する認識、そのために、県として何をなすべきかを知事にお伺いいたします。

 また、改正都市計画法について、都市計画で出店の適否を調整できる用途の指定も、「まちづくり」の基本として進められるべきだと思いますが、ゾ−ニングに取り組んでいる市町村は、ごくわずかなのが実態です。さらに、まちづくり機関に、NPO法人が追加されましたが、中心市街地の活性化に取り組むTMOなどに対して十分な支援が行えているでしょうか。産業労働部長にお伺いします。

 ところで、「大店立地法」の最大の欠陥は、地元商業者の意見を聞く仕組みを緩めたことにあると思います、また、事業者に対しては、地元商店会や地元町内会への加入、また地元でつくっているまちづくり協議会などの負担金、消防警備費の負担など、地域と一体となった企業姿勢を求める必要があります。開店および施設変更後の店舗周辺の生活環境の変化については、出店前には把握できない点も多いことから、設置者による出店後の生活環境調査の実施や、都道府県・市町村に対する報告、住民等に対する説明会の開催を求めるべきであるとも考えます。こうした点について、いかようにお考えでしょうか。


《知事、産業労働部長》

『 空洞化する中心市街地の状況等についてであるが、本県でも平成12年6月の大規模小売店舗立地法の施行以来、店舗面積1000u以上の立地は、中心地でわずか1件で郊外が51件であり、これが中心市街地の大型店の閉店や商店街の空き店舗が見られる一つの要因であると認識している。
 現在、国において都市計画法等の「まちづくり三法」に関して、経済産業省や国土交通省の審議会において、郊外への大型店舗の立地規制について検討されており、県としては、その動向を注視しながら、市町村が行う計画的なまちづくりや中心市街地の活性化の取組みについて、積極的に支援してまいりたい。
 TMO支援についてであるが、県内では、現在、中心市街地活性化基本計画を策定している3市1町のうち、倉敷市、津山市、和気町にまちづくり機関であるTMOが設立されている。
 TMOに対して、事業計画の策定や専門家派遣、にぎわい創出のイベント等に国が支援し、県では、商店街の空き店舗へ進出するための改装費等への支援をしているが、このことが、中心市街地の活性化に直接結びつかず、効果的に活用されていない状況が多く見受けられる。
 しかし、倉敷市のTMOにおいては、平成14年度から屏風祭りに、今年からは、日曜朝市に取り組み、にぎわいを創出している例もあり、県としては、今後、県内のTMOの取組が積極的に行われるよう支援してまいりたい。』

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