2002年12月4日(水)【JR岡山駅西駅元町再開発】

 本日もまた、一般質問原稿書きで頭を悩ませております。まるで受験生。
 そうこうもあって、大遅刻したのですが、岡山市駅元町再開発事業施設建築物新築工事(第2工区)の安全祈願祭ならびに起工式が行われました。
 この構想は、都市再開発法の特定建築者制度を活用した、基本的に、岡山市の事業です。

 岡山駅西口は、岡山国体秋季大会の主会場である県総合グラウンドに向けた玄関口として、再整備が進んでいます。
 地域の方のお話では、奉還町の地下通路の誕生と国体道路による商店街分断、新幹線口としての整備の反対が、いまだにこたえているということですが、駅元町地区市街地再開発事業は、岡山市の重点施策。
 まさに、一挙に注目が、岡山駅西口に集まっています。


 もとはといえば、前安宅市長時代からの再開発構想として、既に完成している第1工区の「ママカリフォーラム岡山」に加えて、その真横に、平成17年、国体の年の6月に、高さ80メートル第2工区ビル(地下2階、地上19階)が完成予定です。

 光ファイバを張りめぐらせたリットビルとして、同ビルには、NHK岡山放送局を誘致。また、既に、内容未定のまま、その広大さが指摘されている床面積約6200uのデジタルミュージアムを設置し、さらには、約2100uの商業施設、約600uのコンベンションホール、3階から7階までの計約9100uをオフィススペース、加えて、224室のANA系列ホテルも入り、岡山市の新しいランドマークとなることが期待されています。

 また、第2工区ビルは、構想では、橋上デッキで駅西口までつながり、さらに、駅構内の東西連絡デッキで、駅東口と連絡するということで、JRとの交渉次第では、平成17年までに、という状況です。
 平成16年には、岡山駅東西地区を一体化する下石井跨線橋建設事業が完成予定で、JR岡山駅を中心に、非常に活気が出てくることは、間違いのないところです。

 中心市街地の活性化として、駅西再開発それ自体は、本当に良いことだと思うですが、それにしても、先日のザ・ハヤシバラシティー構想も相俟って、既にインフラが整備されている表町を中心にした既存の中心市街地は、今後どうなるのだろうか、という危機感を私は今、痛切に感じています。


 しかも、問題は、やはり、岡山の鬼門のような操車場跡地。
 駅西再開発のみならず、岡山市は、「西部新拠点地区整備基本計画の策定に向けて」に示されているように、「西部新拠点」を打ち出し、多目的ドームを核にした操車場跡地及びその周辺の整備を進めています。
 ASPOについて、とやかく言う立場にはありませんが、西部新拠点は、岡山駅周辺の中心部の補完機能として捉える、とするものの、地域からは、JRの新駅設置の要望もあり、間違いなく、街が西に動いています。


 街は、西に広がるという陳腐な通説がありますが、それはそれとして、少子高齢化の時代に、それにしても、今後これだけの社会ストックを膨らませて、維持できるのか、当然、この西部新拠点は、雄都岡山市、政令指定都市岡山市を念頭に置いたものであろうかと思いますが、あるいは、政令指定都市になり、国の機関、あるいは、世界の機関でも誘致しない限り、ゼロサムゲームで、旧市街地は、ゴーストタウンになりかねないのではないか、そんな不安が過ぎります。
 どこまで、街が大きくなることを皆様は、望んでおられるのでしょうか?


 今、大切なのは、国・県・市といった行政や財界、市民が一体となって、街のグランドデザインを描くことです。
 そしてなにより大切なのは、伝統や文化、自然をないがしろにし、地域コミュニティーを破壊してまで、街を膨らませても、多分、人間は幸せにはならないだろう、という、根本的なところでのコンセンサスです。

 例えば、子ども達に欲しいのは、そこに行けば必ず誰か知った人がいる、安全で安らげる公園です。そこには、お年取りや学生の笑顔もあるでしょう。ただ、街が賑やかならそれで良いのではないのです。
 むしろ、地域コミュニティーを守りながら、街を少しずつ変えていく、再開発とは、本来そういうものではないかな、と思います。
 なにをもって、活性化と言うのでしょう?大きな街には大きな孤独と言いますが、やはり、人間のつながりが増すことではないでしょうか。人が多いというのは、その蓋然性が増すということです。


 私が、街中に暮らしながら、神様がなんでも作って良いよと言われて、今、子供に一番作ってやりたいのは、賑やかな中心部を囲むようにある穏やかな田園と、今すぐにでも自転車で行くことができる木漏れ日の指す大きな美しい森です。
 しかし、残念ながら、人間は、やはり、自然以外の何かを作ってしまいます。

 ・・・・・・。受験生に戻ります。

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