過去の岡山県議会一般質問集 <中小企業支援>篇

<平成26年9月定例会>(2014年9月25日)

(佐藤)次に,コスト削減について,またいわゆる企業の進出による雇用創出ということは誰しも願うことでございますが,むしろ実際は工場の流出を防ぐ必要もあり,何よりも行政の一般予算で雇用対策を促すことは限界があると思います。そうした意味で,ある意味で公的な雇用をふやすことが必要ではないか。もちろんNPOの活躍にも期待しますが,若者の生計が成り立つ安定的雇用の確保という意味では,いかに公費を入れていくかも課題になります。今回の農業普及センターの一連の議論でもそうですが,コストと言われるものに幾つもの意味を持たせることも知恵を使うべきだと思いますが,公的雇用の拡充を含めて御所見をお聞かせください。

(知事)  お答えいたします。
 公的雇用の拡充等についての御質問でありますが,県を初め行政機関は最小の経費で最大の効果を上げることが強く求められており,行政需要を的確に捉え,より簡素で効率的な執行体制の整備に常に取り組む必要があると考えております。また,若者の安定的雇用の確保については,労働局とも連携し,おかやま若者就職支援センターによるサポートや就職面接会の開催など,公的支援に努めているところであり,今後とも,その取り組みの充実を図ってまいりたいと存じます。

(佐藤)  それでは次に,スピード感についてお伺いします。
 地方創生本部の議論は議論として,地方分権を叫びたい今,国策の動きの推移を見ながら見ている状況には我々はないというふうに思います。特にプロジェクトチームは立ち上げたものの,本当に人口減に立ち向かっていくんだという気迫が具体的な施策の中に,まだこれからだと思いますけれども,見出すことができない。しかし,まず今やらなくてはいけないこと,はっきりしてることが,景気回復が十分とは言えない状況の中で,少なくとも資材高騰と人手不足はしばらくこれは続くだろうと,今までの予定価格をオーバーするような状況にどう激変緩和措置を図るのか,これは例えば面積を見直すか,構造計画を見直すか,明らかに補正予算措置が今後必要になる状況であると思いますけれども,現状の認識と対策についてお知らせください。

(知事)  お答えいたします。
 公共工事の現状認識等についての御質問でありますが,近年資材や労務単価の上昇が見られるため,例年4月に行う労務単価の見直しを2月に前倒しするなど,適正な予定価格の算定に努めているところです。このため,入札の不調・不落は昨年度よりは若干増加しておりますが,その率は2%程度と,他県と比較し,低い状況となっております。こうした中で,コスト縮減を図りながら,事業執行を行っており,当初の予算の範囲内で計画していた事業を着実に実施しているところであります。
 今後とも,建設業の人材確保に努めるとともに,資材等の市場価格を注視しながら適切に対応してまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  この人件費高騰等は,これは人材流出に結びつくということで,これから東京オリンピックもあったり,東日本の復興支援であったり,いわゆる賃金が東京のほうもバイト代も随分高くなってるということで,若い世代がこれからどんどん東京に出ていきます。その中で本当に地方としてやらなくてはいけないことは,補正予算を打ってでも,やはり地元に若者を引きとめることだ,そのための補正予算が必要じゃないかという趣旨でありますけれども,できるだけ早急な対応を,スピード感を持ってお願いしたいと思います。



<平成25年2月定例会>(2013年3月6日)

(佐藤)  それでは次に,縦割り行政の弊害は感じないという知事の御答弁があったんですけれども,縦割り行政を排し,国や市との連携がいかに必要であるかという意味で以下お伺いをいたします。
 まず,平成21年,22年度に国が買い取って当初平成24年度に岡山リサーチパーク北隣へ移転が予定されていた岡山市中区藤原にある中国運輸局岡山運輸支局について,ここで政権交代があってやっとその予算がつきまして,平成27年の移転に向け具体的に動き始めました。しかし,この間まちづくり三法が成立して岡山市の政令指定都市移行後,権限が移譲されたことに加えて,また一方で岡山市北区久米にある軽自動車検査協会が手狭になって,願わくばこの運輸支局移転と同時期に隣接する場所に移転すべきだという要請も高まってまいりました。また,行政書士事務所を初め運輸支局周辺の自動車関連業者の移転も同時に考えられるのが自然の流れでありましたが,国がこうして購入してくれた土地以外について,例えば保安林解除等の応援については,施策は冷たい反応を県はされてまいりました。そして,このたび岡山県の土地を国が購入したものの,周辺の開発については,これは市の管轄であって,言やあ,三すくみの状態になっておりまして,このままでは運輸支局だけがひとり移転するという話になりかねません。本来であれば,運輸支局,軽自動!
車検査協会あるいは周辺自動車関連業者が同時期に隣接する場所に移転して,自動車産業や地域活性化をすべき前向きな話なんだと思うんですけれども,これが実は縦割り行政でとまってしまうことになりかねないということであります。運輸支局に対して移転用地を売却したのは県でありますけれども,売却した後はもうこれは関知せんのんじゃというと,私は無責任な気がいたします。そして,業界にとっては,これ業界の方も皆さんそちらに移るべきだと言ってるわけではなくて,やはりリスクを負うわけでありますから,その中では移転することに伴う出費や労力も増す部分も当然あるんですけれども,ただ本当に民間の資本投資がやりやすいようにしていただくのも私は行政の役割であると,このことについては民間出身の知事であれば御理解いただけると思います。こうした岡山運輸支局の移転に対する今後の県の方針,特に応援ということになりますが,方針をお知らせください。

(知事)  お答えいたします。
 岡山運輸支局の移転に対する県の方針についての御質問でありますが,運輸支局の移転用地は16年に国から岡山リサーチパーク北側の県有地を運輸支局と自動車整備振興会等関連4団体の移転のため用地確保の要請を受け造成したものであります。お話の軽自動車検査協会については,その当時移転の希望はなく国から用地確保の要請はなかったものの,最近になって同協会から当該用地へ移転したいとの意向が示され,今後関連団体と国が協議されると聞いています。移転用地周辺は市街化調整区域であり,岡山市の都市計画法上の手続が必要なため,関係者の協議を経て国において方針が示され,県へ協力要請があれば,その内容等を検討し岡山市とも協議するなど適切に対応してまいりたいと考えております。また,国からの要請のない個々の自動車関連業者の用地確保については,県としての対応は困難であると考えております。
 以上でございます。

(佐藤)  この先ほどの運輸支局の移転につきましても,これは本当に県として応援をぜひしていただきたいというふうに思います。民間の会社も決して今,楽な経済状況でない中で,こうした移転話がある,言やあ,会社の命運を背負ってという話でありますから,できる限りの協力,先ほど中小企業の支援というお話もありましたけれども,これがまさに私は縦割り行政の中で国がやるか,県がやるか,市がやるか,どこがやるかようわからんよという話の中で,どこが音頭をとるかというのはあるんですけれども,ぜひ協力をいただければと思います。


<平成24年11月定例会>(2012年12月7日)

(佐藤)  どうしても今回の議論というか,これは抽象的な話にならざるを得ないわけでございますが,逆にこれから議会が重ねられて具体的な施策が出てくるうちに,あのときこの議会でおっしゃっていただいたことの理念というのが,あれはどうだったんだろうという原点の部分ということを確認させていただきたくて,今この質問をさせていただいております。
 そしてその中で,次は具体的な話として,特に知事が力を入れられたい施策,産業の振興,教育県岡山の復活,県民が安全・安心に暮らせる地域づくり,県民全てが誇りを持てる岡山県づくりのうち,この中で特に知事が挑戦されたいという,本県の発展の礎となる経済の活性化と教育の再生についてお伺いいたします。
 まずは,産業の振興についてでございますが,ある意味FA宣言した選手を連れてきたり,ドラフト会議で有望選手を指名するような優良企業の誘致を進めて,人・物・金の誘致を図ったり,あるいはオンリーワン企業の転換を支援するということは,これまでもやってきたわけでありますが,これはなかなか成果が出ておらんという現状がある一方で,やはりまずは地域住民であられる地場の中小あるいは零細とも言える,そうした,時には個人の企業に元気になっていただくこと,いわば既存企業の底上げを図っていくことが,私はより現実的なことだというふうに思います。
 そこで,商工会,商工会議所,中小企業団体中央会などとの連携,さらにはこうしたところで地域をリードする人材育成支援についてのお考えをお伺いいたします。
 また,一方で,国内外の地域と競い合いながら積極的な交流を行っていくためには,岡山県の顔となり,発展への原動力となる都市機能の高度化を図る必要があると考えられますが,市街地の再開発,中心市街地活性化,商店街の活性化についての御認識をお伺いいたします。
 加えて,岡山県がその資源を十分に生かし切っていないのが観光産業ではないかというふうに,私は思うんですが,特に後楽園周辺整備事業としての出石町の整備計画を白紙撤回して以来,なかなかこれは兼六園等と比べても後楽園はうまく生かし切れてないんじゃないか,市の所管の岡山城と県の土木部所管の後楽園が,必ずしもうまく連携する形で観光客を呼び込めていないというふうに思いますけれども,この点について今後の方策も含めて御認識をお知らせください。

(知事)  お答えいたします。
 産業の振興についての御質問であります。
 まず,商工会等との連携強化等についてでありますが,厳しい経営環境の中,地域の雇用を支えている中小零細企業の経営改善や新分野にチャレンジする取り組みを積極的に支援するためには,事業者が持つさまざまな課題にきめ細かい経営指導を行う商工会等との連携は欠かせないものと考えております。資金繰りや販路開拓など,さまざまなニーズに的確にお応えするためには,各団体の指導員のさらなる資質の向上を図る必要があることから,現在,県では,若手職員を対象にした専門的な研修や実践的なセミナーなどを行っており,今後とも,商工会等が地域の中小企業から信頼され,地域経済の振興の重要な担い手となるよう,人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
 次に,市街地の再開発等についてでありますが,中心市街地や商店街の活性化,都市機能の高度化などのまちづくりは,地元自治体がみずからの責任において行っていただくことが基本であり,現在,中心市街地活性化法に基づき,県内4カ所で主体的なまちづくりが進められており,県では協議会に参加し,アドバイスを行っております。一方,商店街の多くは,経営者の高齢化や人口減少等により活力を失っていることから,県としては国の支援制度や全国の成功事例等を積極的に紹介するとともに,全県を対象にした個性豊かで頑張る小売店を表彰する制度の創設,高校生や大学生の斬新な発想を生かし,若者が参画した商店街活性化やまちおこしのアイデア募集などを行っており,これらの取り組みを通じて,各地域の元気づくりや魅力の向上を応援してまいりたいと考えております。
 次に,後楽園と岡山城との連携についてでありますが,後楽園の夏の幻想庭園や秋の誘い庭園とあわせて,岡山城においてもイベントの開催や開館時間の延長を行うとともに,年間を通した共通入園券の販売など,岡山市と連携して入園者の増加に努めてきたところでありますが,共通入園券の利用者が後楽園入園者数の約8%程度にとどまるなど,十分とは言えない状況であると認識いたしております。本年度は,市や関係機関との連絡会議を設置し,両施設のホームページを相互に閲覧できるよう改善したところであり,今後は,共通の観光パンフレット,ポスターの作成や観光プロモーションの実施も検討するなど,岡山市との連携をさらに密にし,誘客につなげてまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(佐藤)今までちょっと抽象的な議論が続いているので,この部分についてはもう少し具体的な答弁が欲しいなあというのが,まことに申しわけないですけど,今の御答弁,今までの御答弁と何も変わらない,特に中心市街地の活性化等については,これは基本的には市町村,基礎自治体がやることですよと,商店街についても言ってみれば県のやられる施策はそうないんだと,それから先ほどの後楽園の問題にしても,もう少し踏み込んだ,特にこれは選挙戦のときにも知事御本人がおっしゃっておられたことでありますから,やはりここはもう超えていっていただかなくちゃいけない。特に,農林水産業の振興,これは岡山県の産業の中枢として,もちろんこれは育てていかなくちゃいけない,ブランド化も進めていかなくちゃいけない,一方でやっぱり農村部が元気になる,中心市街地が元気になる,私はこれはリンクしている問題だと思います。中心市街地,商店街を元気にさせようとしようとすれば,郊外が元気にならなくちゃいけない。郊外が元気になって,農村部が元気になって,公共交通をどのように考えるのか,そうしたことも考えていかなくちゃいけない。だから,全部私は!
つながっている話だと思います。特に,中心市街地で生まれ育ち,周辺を見てこられた知事の思いを,やはり中心市街地に対する思い,商店街に対する思いというのを,やはりこの場で私は何か熱くなるようなものをおっしゃっていただきたいなという気持ちがあります。ただ,あくまで県という組織でありますから,これは中心部だけがようなりゃあええんじゃという話じゃなくて,そのためにも郊外が,農村部がようならにゃあいけんという話だと思いますが,ちょっと今までと余り答弁変わらんぞということで,ちょっとがっくりしております。
 プラス後楽園の問題につきましても,たちまちすぐに問題なのは,やはり岡山城がこれが市の所管である,そして後楽園についても,これは土木部の方には申しわけないけれども,一方でこれは文化財として守るという,一方の役割がある。しかし一方で,観光施策としては,本当にこれは十分にお客さんを呼び込めとるかな,と考えたときに,やはり県のほうから一歩踏み込んで市のほうに働きかけていかないと,これは兼六園にはとても勝てないよと。ましてや,出石町の再開発,これを白紙撤回した後がこの状態ということで,私は県の責任が多いというふうに思っております。いずれにしても,商店街,中心市街地に対する知事の熱い思い,そして後楽園について,市と組んでどうするのか,それについて再答弁お願いいたします。

 (知事)  佐藤議員のまちづくりに対してもっと熱い思いをという質問もしくは要望に関してでございますが,熱い思いは夜になってお酒を飲んでからのほうが適切なのではないかと考えております。一言この厳粛な場で申し上げさせていただくとするならば,後楽園が観光を管轄する場ではなくて,土木を管轄する部署が監督しているということを教えていただいたときには,改善の余地があるのではないかと思った次第でございます。後楽園は,皆様御案内のとおり,日本三名園の一つでございまして,大変な財産でございます。この財産をいかに有効活用して,他県から来ていただくか,県内の方にも楽しんでいただくか,これはもっともっと工夫できる余地が残っていると,私は確信いたしております。

 (佐藤) なるべく議論というのは会議録に残したいというように思っておりまして,私それほどお酒が強うございませんので,できれば本会議場とか委員会で議論を闘わせたいなあというふうな気持ちがあるということは,申し上げたいと思います。

<平成22年2月定例会>(2010年3月2日)

(佐藤)次に,労働災害について伺います。
 労働災害とは,業務遂行中,あるいは業務に起因するけがや病気,さらには障害,死亡に至る災害のことを言いますけれども,労働災害として労働基準監督署に認定されれば,国が管掌する労働者災害補償保険による補償が受けられるという仕組みになっています。就業時間中に限らず,通勤途上の災害が労災とされる場合もありますし,現在はパワハラによるストレスで,うつ病などの精神疾患になった人も労災と認められる可能性がふえております。労働基準法も,労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべき最低限の基準を定めて,労働契約,賃金,労働時間,休憩,休日及び年次有給休暇,安全及び衛生,災害補償等についての規定を置いております。ただ,就職後の労災となると,国の所管になって,その実態が県行政からは必ずしも見えなくなっているのではないか,昨今の経済状況,厳しい雇用環境の中で,業界によっては過酷なサービス残業が横行している,そうしたこともニュースでよく聞くわけでございますが,脳,心臓疾患と精神障害による県内の労災認定状況をどのように把握されておられるのか,産業労働部長にお伺いいたします。
 ところで,厚生労働省のマニュアルによれば,過労死とは,過度な労働負担が誘引となって,高血圧や動脈硬化などの基礎疾患が悪化し,脳血管疾患や虚血性心疾患,急性心不全などを発病し,永久的労働不能,または死に至った状態をいう,このように定義されております。しかも,過労死は,過度な労働を課す日本企業の特異な現象として,外国でもそのままkarosiと呼んでいるそうであります。過労死の多くは,勤務中に死に至るのではなくて,激務の仕事をやめて1カ月から数カ月後に死に至るケースが多く,また脳や心臓疾患は,日常生活の習慣が過労により悪化することにより引き起こされることも多く,企業側は因果関係がないと主張するため,長期化することが多いというふうに言われております。このように,仕事との因果関係の立証が難しいため,脳,心臓疾患の労災認定申請のうち,過労死と認められるのは1割程度ではないかとのことですが,過労死の実態をどのように把握されているのでしょうか,産業労働部長にお伺いいたします。
 また,過労死と並んで過労自殺も大きな社会問題,労働問題になっており,過労による自殺,未遂も含んで,労働災害として認定される人も年々増加しております。また,長時間労働による,うつ病や燃え尽き症候群に陥り,自殺する方も多いとのことですが,過労死と比べ,企業側の責任を問いづらいことが対策のとりづらさにつながっております。来年度,自殺予防対策事業として,自殺予防情報センター(仮称)を設置し,県内初の自殺対策専門の相談窓口を置いて,医師会や弁護士会,労働局,民生委員等のネットワークを強化されるとのことですが,こうした過労自殺を防ぐ体制となるのか,お知らせください。
 ところで,過労死や過労自殺の労災認定は,労働行政の中で最も難しい部分でありますが,一つの基準として,時間外労働を含む長時間労働があったかどうかというのがあります。これについては,客観的な時間というよりも,むしろ職場の人間関係が機能不全を起こして,一番しょい込んだ人が過労死になり,過労自殺に追い込まれる,すなわち,仕事格差が生じているのだという説があります。こうした状況については,どこまで行政が介入できるかというのは非常に微妙な部分もあると思いますけれども,指導等対策について,お知らせください。
 これに関係して,知事部局においては,現在,病気休職32人,うち精神疾患24人で,精神疾患の休職者が増加傾向にあり,長時間労働の影響があるのかどうかわかりませんけれども,その原因と対策について,いかようにお考えでしょうか。
 ところで,零細な事業者や弱い立場にある労働者等の労災が起きた際,特に労働災害発生の可能性が高いとされる業種の保険料が非常に高くなっておるため,保険料負担の増加や,元請へ御迷惑をかけたり,逆に元請が押しつけている場合もあるかもしれませんが,イメージ低下や入札の指名停止処分などを恐れて,事業者が所轄官庁へ報告届けをせず隠匿する,いわゆる労災隠しが行われている場合があります。給付が行われない分は,使用者が補償したり,より悪質な場合は,そのまま自費で治療させたりする場合もあると聞きます。こうした労災隠しの実態について,どのように把握されているでしょうか。また,県として,とり得るべき対策があるでしょうか。

(知事)次に,労働災害についてであります。
 まず,過労による自殺予防対策でありますが,県ではこれまで,自殺対策連絡協議会におきまして,労働局や医師会,弁護士会等の関係機関と,自殺対策に関する協議等を行ってきたところでありますが,県民からの個別の相談に適切に対応していくためには,専門の相談窓口を設けまして,県民にわかりやすい体制にする必要があると,このように考えております。このため,来年度,県精神保健福祉センター内に,自殺予防情報センター(仮称)を設置いたしまして,新たに配置する専門の自殺対策調整員が関係機関との緊密な調整のもとで,県民からの相談に対し,適切な情報提供を行いますとともに,普及啓発等に対しましても,積極的に取り組んでいくことといたしております。こうした取り組みを通じまして,過労による自殺も含めまして,総合的に自殺予防対策を推進してまいりたいと存じます。
 長時間労働対策についてでありますが,県ではこれまで,健康で豊かな生活のための時間が確保される社会の実現を目指しました各種セミナーの開催とか,広報誌「おかやま労働」などを通じまして,労働時間の適正化や労働安全の徹底,快適な職場環境づくり,メンタルヘルスケアなどにつきまして,啓発に取り組んできたところであります。今後とも,岡山労働局等と連携しながら,過重労働による健康障害の防止,あるいは職場環境の改善のための啓発に努めてまいりたいと存じます。
 職員の病気休暇の原因等についてでありますが,精神疾患につきましては,家族の病気や介護などの家庭の問題や,職場の人間関係など,その要因はさまざまであります。こうしたことから,メンタルヘルス研修会や悩みを抱える職員への専門家による相談を実施いたしておりますほか,休職した職員につきましては,円滑に職場に復帰できるよう,職場での受け入れ体制の整備や,復帰訓練を実施するなどの支援にも努めてきているところであります。
 労災隠しの実態等についてでありますが,国の集計によりますと,20年の送検件数は全国で148件,県内では1件であると,このように聞いております。労災隠しは,労働災害の被災者を犠牲にし,自己の利益を優先する行為でありまして,国においては,労働安全衛生法令に基づきまして,厳正に対処されているところであります。労災隠しはあってはならない犯罪行為でありまして,今後ともその撲滅に向け,岡山労働局と連携いたしまして,法令遵守を呼びかけてまいりたいと存じます。

(産業労働部長)
 労働災害に関しまして,まず県内の労災認定状況についてでございますが,20年度の国の集計によりますと,脳血管疾患及び虚血性心疾患等に関するものが5件,精神障害等に関するものが2件となっております。
 次に,過労死の実態についてでありますが,国の集計によりますと,20年度における全国の脳血管疾患及び虚血性心疾患等による労災補償の請求件数は889件で,うち死亡に関するものは304件でございます。また,支給決定件数は377件で,うち死亡に関するものは158件となっております。県内の状況は,請求件数は7件で,うち死亡に関するものは2件,支給決定件数は5件で,うち死亡に関するものは1件となってございます。



<平成20年12月定例会>(2008年12月9日)

(佐藤)  何といっても今一番の問題は,現下の金融経済情勢の中,地方経済の安定化,地域活性化,要は景気対策のためにいかように効果的な経済対策を打っていくかということだと思います。
 国の現在の緊急経済対策の議論を見るにつけても,問題は当面の行財政構造改革を推進していくか,あるいは場合によっては赤字国債を発行してでも積極的な経済対策に打って出るべきかがまさに今争点であるというふうに思いますが,知事の率直な感想として,今国は国民に,場合によっては将来ある程度の負担を回したにしても,地方の経済活性化のためには財政出動をしてでも積極施策に打って出るべきであるとお考えかどうか。
 また,国がかじを切ろうとする今,県は少なからず影響を受けると思われますが,行財政構造改革のいわば例えれば全治4年間の岡山県において,景気対策か,財政再建か,改革による経済成長なのか,この3つに知事はどういう優先順位をつけられるのか,あわせてお知らせください。
 そうした状況の中,国や日銀は次々と具体的な経済施策を示していますが,それをもってしても,地方の中小,さらには零細企業にとっては必ずしも効果的な支援にならないのではないか,あるいは中小企業の業績悪化はこれから本番を迎えるという声があります。我々のもとにも,年末を果たして乗り越えることができるだろうかという切実な声が聞こえてまいります。それゆえに,我が党も中小零細企業金融対策本部を立ち上げたところでございます。しかし,個人的には,残念ながらおくれて納入される消防防災ヘリコプターが災害に出動するのであれば,金融災害とでも称すべき現在の状況は緊急救援活動を行うべきスクランブルの状態であるというふうに思います。現在の県内の中小零細企業がどういう状況にあるか,また国や日銀の施策が功を奏すとお考えか,知事の率直な所見をお聞かせください。
 加えて,市井の銀行にいわゆる貸し渋りや貸しはがしがないものと信じますが,一方で信用保証協会の機動的な保証には大きな期待が寄せられます。昨年10月から金融機関と信用保証協会とが責任を共有する責任共有制度が導入されましたけれども,そのことによって融資額や融資利率の設定を含めて金融機関の融資に大きな変化や格差がなかったか,そして今ある緊急保証制度の恩恵が十分に末端にまで行き届いているか,加えて今回の県の行財政構造改革に伴う融資支援制度のあり方が中小零細企業に対していかような影響があると考えるか,その御認識と県が独自になし得る対応について知事にお伺いいたします。
 また,今全国的に,非正規労働者のうち,いわゆる期間工の雇いどめや派遣社員の派遣切りの問題が深刻な状況になっており,輸出不振による減産などを背景にした製造業の現場から,さらに事務系にも波及拡大することが懸念されています。加えて,新卒者の内定取り消しなど,こうした雇用不安はまさに社会不安そのものになっておりますが,政府としてもさまざまな緊急対応策を示しておりますが,事態は深刻度を増していくように思われます。企業の側に善処を求めるだけでは解決できる問題ではなく,いわゆるネットカフェ難民と言われる方々も増加するかもしれず,問題は本当に多岐にわたって広がってまいります。こうした雇用悪化の県内の状況,さらにその対応についてお知らせください。

(知事)  次に,景気対策についてであります。
 まず,優先順位等でありますが,現下の景気後退は米国の金融危機に端を発した世界的な現象であるということから,これに対する対策は国が中心となって全国的に対応していく必要があると考えております。こうしたことから,国におきまして現在検討が進められております追加経済対策の実施に当たりましては,地方経済の安定化対策,地域活性化対策を強力かつ迅速に実施されるよう,先日国に対しまして提案をしたところであります。なお,地方負担を伴う経済対策を実施する場合におきましては,現下の地方財政の危機的な状況や国と地方との財政制度上の相違も踏まえ,必要な地方の財源につきましては国の責任において確保すべきものと考えております。
 本県における優先順位についてでありますけれども,お話の景気対策と財政再建はいずれも県政の推進に当たりましての重要課題であると認識をしておりまして,財政再建に留意しながら当面の景気対策には全力で対応していかなければならないと考えております。したがって,今後も,経済対策に関する国の動向を注視しつつ,本県も国と協調をしながら,県内の経済活動や県民の皆さんの生活などにできるだけ影響が生じないよう,改革を進める中にありましても全力で対応してまいる所存であります。
 また,本県の一層の発展に向けまして,競争力のある物づくり産業の育成や企業誘致などにも積極的に取り組んでまいる所存であります。
 中小零細企業の状況等についてでありますが,県産業振興財団の調査によりますと,原材料価格の高騰に加え,最近の急激な景気後退によりまして売り上げや利益の悪化など,約9割の企業が今年度の収益に影響があると回答しておられまして,厳しい状況にあるものと認識をいたしております。また,日銀による金融機関への資金供給の拡大や国の緊急保証制度の創設等は中小企業の資金繰りに一定の効果がありますものの,現在検討されております追加経済対策等の迅速かつ着実な実施が必要であると考えております。
 責任共有制度の状況等でありますが,制度が導入されました昨年10月以降の信用保証協会の承諾額は,導入前の駆け込み需要の反動で低調となっておりましたが,今年度に入りましてからは平年並みの実績となっておりまして,1件当たりの保証額や融資利率にも大きな変動はないことから,各金融機関の融資姿勢に特段の変化はなかったものと考えております。
 また,本年10月に創設されました国の緊急保証制度につきましては,先週末現在で約180億円の実績となっておりまして,中小零細企業に徐々に浸透しているものと考えております。県といたしましては,財政構造改革において見直しを検討しておりました中小企業支援団体や融資制度の補助につきまして,現在の厳しい経済情勢や中小企業への影響を考慮いたしまして一部緩和や実施時期の見直しを行ったところでありまして,今後とも,産業振興財団や商工団体と連携をいたしまして,中小企業の資金繰りの円滑化や経営の安定に向けまして適切に対応してまいる所存であります。
 雇用状況等でありますが,岡山労働局の調査によりますと,岡山県内の新規学卒者の内定取り消しは11月末現在で6件発生しております。また,今年10月から来年3月までの派遣社員や期間工などの非正規労働者の離職者数の見込みは,県内で7社,592人でありまして,今後さらにふえることが懸念されているところであります。県では,先月,労働局等と連携をいたしまして,県内の経済団体に対しまして来年卒業予定の新規学卒者の採用内定の取り消し回避等を緊急要請いたしますとともに,来春卒業予定の就職未内定者を対象に就職面接会を開催いたしまして,雇用の確保に努めたところであります。
 さらに,先般労働局が設置いたしました雇用対策本部と緊密な連携を図りながら,地域経済・雇用動向に関する情報収集に努めますとともに,若者就職支援センターでの就職面談などを通じまして離職者などの再就職支援等に積極的に取り組むことといたしております。



<平成17年11月定例会>(2005年12月8日)

(佐藤)  次に,大型小売店の撤退やシャッター通りの拡大など,商店街の衰退が進む中心市街地の活性化についてお伺いいたします。
 1998年5月に大規模小売店舗法(大店法)の廃止が決まって,これらの法にかわるものとして成立したのが2000年6月に施行された現行の大規模小売店舗立地法,いわゆる大店立地法及び改正都市計画法,中心市街地活性化法のいわゆるまちづくり三法であります。従来の大店法は,営業規制を主にしてきたもので,既存の商業に大きな影響を与える大型店舗の出店については,中小小売店の保護の観点から,商業上の調整が可能とされていましたが,後にできたこの大店立地法は,交通渋滞,騒音,廃棄物問題等,社会環境的な視点で規制していこうとするもので,先ほどの商業調整は禁止して,出店地周辺の生活環境の維持に絞って基準の遵守を自治体が勧告できるとしています。また,中心市街地を活性化するための中心市街地活性化法,そして市町村が独自の判断で土地の用途規制を行える改正都市計画法,このまちづくり三法を活用すれば,大店法が廃止された後でも大型店の立地調整を含むまちづくりには一切支障がないのではないか,そのように考えられていました。ところが,法制定後7年が経過してどうでしょうか。期待された効果が上がらないどころか,むしろ大規模な農地転用や無秩序な郊外開発によって大型店などの大規模集客施設の郊外立地が進んで,その影響でとりわけ中心市街地が破壊されてしまっているのが現状であります。このことは,地域の商店街を直撃するだけではなくて,経済の健全な発展にとっても大きな阻害要因となり,また,コミュニティーの衰退,伝統文化の継承の困難,青少年問題の深刻化,高齢者の生活の不便増大など,社会問題をもたらしています。特に病院や学校などの公共施設も郊外に流出する一方で,高層マンションの再開発ラッシュは,私は新たな課題を生み出しそうな予感もいたします。
 こうした状況の中,国の方でも,国土交通省がまちづくり三法の見直しに入っていますが,国のこうした法整備を待てる状況にはなく,自治体にも大きな動きがございます。福島県では,人口減による中心市街地の空洞化を防ぐため,大型商業施設の郊外進出に対して全国初の規制条例「福島県商業まちづくりの推進に関する条例」を可決,そして熊本県も条例制定には時間がかかってしまうために,法的な拘束力が弱くても即効性のあるガイドラインによる郊外出店の規制に乗り出したと聞いております。ただ,雇用創出の場にもなるこうした郊外型店舗には,マイカー利用者の支持も強く,また,規制緩和の波に乗って郊外の出店をふやしてきた流通業界からの反発も考えられ,さらには独自の規制強化で,それならばと出店を近隣都道府県に切りかえる動きにもなりかねず,規制についてはその効果を疑問視する声があるのも事実であります。
 まず,空洞化する中心市街地と大型商業施設の郊外進出の状況について,また,その相関関係に対する認識,そのために県として何をなすべきなのかを知事にお伺いいたします。
 また,改正都市計画法について,用途の指定に取り組んでいる市町村はごくわずかなのが実態ですが,まちづくり機関にNPO法人が追加されました。中心市街地の活性化に取り組むTMOなどに対して十分な支援が行えているのでしょうか,産業労働部長にお伺いいたします。
 ところで,大店立地法の最大の欠陥は,これは国にゆだねなくてはいけないことではありますけれども,地元商業者の意見を聞く仕組みを緩めたことにあると思います。また,事業者に対しては,地元商店会や地元町内会への加入,また,地元でつくっているまちづくり協議会などへの負担金,消防警備費の負担など,地域と一体となった企業姿勢を求める必要があります。また,開店及び施設変更後の店舗周辺の生活環境の変化というものについては,出店前にはなかなか把握できない点も多いことから,設置者による出店後の生活環境調査の実施や都道府県,市町村に対する報告,住民等に対する説明会の開催を求めるべきでもあると考えます。こうした点についていかようにお考えでしょうか。
 ところで私は,中心市街地の活性化は農村の活性化と裏腹であると思います。かって歳末の商店街は,秋の実りで収益を得た農村部からのお客様でにぎわいました。都市を支えていたのは農村であり,農村を支えていたのは都市であります。いわゆる食料自給率がわずか40%,しかもこれから人口が半減していこうという我が国において,いたずらに農地や山林をなくしてそれを住居や商業施設にかえていけば,いずれ都市部,農村部両方が持続不可能な時代が来てしまう,私はそのように考えています。一方で私は近い将来,仮に人口がふえなくても,平日は都市部に暮らして,土,日は農村部に,そういった形でコミュニティーを二重に暮らそうという方が出てくるのではないかと考えております。とりわけ交通網が発達した岡山県ならばそれが可能になります。あるいは都市部では賃貸マンションで,農村部では一戸建てを持つ,例えば,都市部も農村部も活性化させる,持続可能な町にする,そういった層にインセンティブを与えて誘導していくということも考えてよいのではないでしょうか。
 一昨年度,「岡山県中山間地域活性化基本方針」が示され,昨年度には「岡山県過疎地域自立促進計画」が示されましたが,むしろこれは都市と農村を一体に考えて,都市農村交流基本計画のようなものをつくる時代に来たと思いますが,これからの都市と農村部の関係がいかにあるべきか。また,そのためにどんな計画にし,どのような施策をとるべきか,知事のお考えをお知らせください。
 これに関連いたしまして,中心市街地はもとより中小小売店を初めとする中小零細企業の支援には,地域の経済団体が当たってくださっています。経済団体を取り巻く状況も大きく変わろうといたしておりますが,中小零細企業の方々が安心して的確な相談や指導を受けられる,このことのできる体制を維持するとともに,その指導力の高度化を図ることが肝要であると考えますが,その経営支援機能の強化についてどのように考えておられるでしょうか。
 また,経営基盤が脆弱な中小零細企業にとっては,さまざまな融資が資金調達に果たす役割が極めて大きいわけですが,要するに望まれるのは,赤字でも無担保・無保証人で利用できる,そんな制度があれば一番いいわけですけど,そういった融資制度であります。政府系金融機関統合の流れの中で,今後の県制度融資の方向性として,どのような内容でどのような対象に対して行われるのか。また,県の役割,さらにその中での県信用保証協会の役割といったものについてお知らせください。
 また,こうしたいわゆる資金ぐりに悩む中小零細企業につけ込んで融資保証金詐欺,いわゆる貸します詐欺でございますが,増加傾向にあります。保証金などの名目で金銭を振り込ませてだまし取るという犯罪で,振り込め詐欺の一形態ではありますが,実に巧妙につくられた金融機関などを装うにせのダイレクトメールを信じてしまい,全国で被害が続出しております。県内における実態と対策について警察本部長にお伺いいたします。
 さらに,よく言われることでございますが,有効求人倍率が上がってもその実態は派遣,パートの求人であると言われております。しかし,優秀な人材を正規社員として確保したいという要請が中小零細企業にないわけではありません。ただ,本当に欲しい人材とミスマッチを起こしている点は否めず,いわゆるトライアル雇用の活用やさらにはアンケート等を実施して,本当に中小零細企業が欲しい人材を把握するなど,ミスマッチ解消策をさらに推し進める必要があると考えますが,いかがお考えでしょうか。

(知事)  次に,中心市街地の活性化等についてでございます。
 空洞化する中心市街地の状況等でありますが,本県でも,平成12年6月の大規模小売店舗立地法の施行以来,店舗面積1,000平方メートル以上の立地は中心地でわずか1件でありまして,郊外が51件でございます。これが中心市街地の大型店の閉店や商店街の空き店舗が見られる一つの要因であると認識しております。現在国において,都市計画法等のまちづくり三法に関しまして,経済産業省や国土交通省の審議会において,郊外への大型店舗の立地規制について検討されておりまして,県といたしましては,その動向を注視しながら,市町村が行う計画的なまちづくりや中心市街地の活性化の取り組みについて積極的に支援してまいりたいと思います。
 生活環境調査等でありますが,大規模小売店舗立地法において出店後の変更の届け出が義務づけられておりまして,さらに本年10月には国の運用指針で,届け出後,例えば,騒音等の生活環境に予測と実態との間に著しい乖離が生じた場合におきましては,設置者が再調査を行って,事後の対策を講じるよう努めるということが必要であるとされたところであります。県では,この指針をもとに,設置者に対しまして報告を求めますとともに,事後の対策を講じるよう指導いたしまして,店舗周辺の住民の生活環境が維持されますように取り組んでまいりたいと存じます。
 都市農村交流でありますが,都市と農村は補完し合い共生する関係でございまして,都市と農村の住民がそれぞれの地域が持つ魅力を享受できますように,「人・物・情報」が双方向で行き交うライフスタイルの実現を促進するための施策が必要であると考えております。このため国におきましては,平成14年から継続して,都市と農山漁村の共生・対流の推進について法整備も視野に入れた検討を進めておられまして,お話の「都市農村交流基本計画」の策定等につきましては,これらの動向を見守りながら研究してまいりたいと思います。
 経営支援機能の強化でありますが,県では,商工会等の広域化による専門的指導体制の確立や経営指導員等の資質向上を図るため,平成14年7月に「岡山県商工会議所・商工会広域化マスタープラン」を策定したものであります。その趣旨に沿って,商工会が82から来年度には20に,また,岡山と西大寺商工会議所が19年4月の合併を予定されるなど,合併が積極的に進められているところであります。合併によって今まで以上に創業や経営革新などの経営指導の充実が図られまして,地域の中小零細事業者に対しきめ細かな指導が行われるものと考えております。今後とも,県といたしましては,中小零細事業者のニーズに対応した指導ができますように積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 制度融資でありますが,今後の方向性などは地域経済の実態に応じた対応が必要であると考えておりまして,他県よりも低い開業率をアップするための創業資金や新たな事業展開のための経営革新資金に加えまして,県が推進しております重点6分野の産業クラスター形成に対応する資金などを新たに設置いたしたいと考えております。県は,これらの制度の創設とともに,利子補助やリスク軽減のための損失補償などによって,中小企業者の資金調達をしやすくし,中小企業の振興を図るということが役割と考えております。また,信用保証協会につきましては,県と連携いたしまして,大企業より信用力が低く条件が不利な中小企業者で民間金融機関から融資を受けにくい企業に対しまして,円滑な資金調達ができるようにすることが重要な役割であると考えております。
 雇用のミスマッチ解消でありますが,岡山労働局の統計によりますと,警備業や建設関係の職種等で求人倍率が高く,事務的職業では倍率が低くなるなど,こうした職種において求人と求職のミスマッチが起きておりまして,また,お話ございましたように,企業にとって欲しい人材が必ずしも採用できないという状況もあると認識しております。このため県では,インターンシップや職場見学会の実施,若者就職支援センターでのきめ細かなカウンセリング等を実施いたしまして,本人の適性に応じた就職を勧めているところであります。また,求職者が少ない業種においては,各企業において職場環境の改善や人材育成に取り組むことを期待しているところでありまして,今後これらの啓発を進めますとともに,岡山労働局や経済団体等とも連携を密にいたしまして,中小零細企業が求める人材を把握しながらミスマッチの解消に努めてまいりたいと存じます。

(産業労働部長)  中心市街地の活性化に関しまして,TMO支援についてでございますが,県内では現在,中心市街地活性化基本計画を策定しております3市1町のうち,倉敷市,津山市,和気町にまちづくり機関であるTMOが設立されております。TMOに対して,事業計画の策定や専門家派遣,にぎわい創出のためのイベント等に国が支援し,県では商店街の空き店舗へ進出するための改装費等へ支援をしております。このことが中心市街地の活性化に直接結びつかず,効果的に活用されていない状況が多く見受けられているところでございます。しかし,倉敷市のTMOにおきましては,平成14年度から屏風祭りに,本年からは日曜朝市に取り組み,にぎわいを創出している例もあり,県といたしましては,今後,県内のTMOの取り組みが積極的に行われますよう支援してまいりたいと考えております。

(警察本部長)  まず,融資保証金詐欺の実態と対策についてであります。
 初めに,実態についてでありますが,本年11月末現在の県内の融資保証金詐欺認知件数は288件,被害総額は約2億600万円で,前年同期に比べ件数で2件,被害総額で約1,600万円増加しております。この種事案は広域的で,また,振込先が他人名義の預貯金口座であり,だまし役と金の引き出し役を役割分担するなど,犯人の特定が非常に難しいものとなっておりますが,警察庁や関係都道府県警察と連携した上,金融機関等にも協力を求めるなどして鋭意捜査を推進しているところであります。本年に入り,融資保証金詐欺本犯を16件7名検挙するとともに,融資保証金詐欺に関連した通帳等詐欺事件について10件3名を検挙しているところであります。
 次に,被害防止対策についてであります。
 昨年の上半期に振り込め詐欺の認知件数が急増したことから,同年7月振り込め詐欺警戒警報を発令し,金融機関・自治体等と連携してポスターの掲出,チラシの配布などを実施するとともに,新聞,テレビなどあらゆる広報媒体を活用しての広報啓発に取り組んでいるところであります。また,県警察ホームページに,融資保証金詐欺を含む振り込め詐欺の疑似体験コーナーを開設するとともに,防犯一口メモとして,最新情報やその対抗要領を掲載するなどして,被害防止対策に取り組んでいるところであります。



<平成14年6月定例会>(2002年6月18日)

(佐藤)  次に,中小企業総合指導センターの廃止について商工労働部長にお伺いいたします。
 今回の行革で,中小企業総合指導センターが廃止され,これで外郭団体を含めた県関係組織から中小企業という言葉が消滅いたしました。県内の産業の多くが中小企業である,言葉のあやであるといえばそうなのですが,中小企業経営者の中には,県の中小企業対策が一歩後退したのではないか,そういった印象を持っておられる方が少なくありません。この点についての御説明をお願いいたします。

(商工労働部長)  最後に,中小企業総合指導センターの廃止についてでありますが,中小企業者のニーズが多様化,高度化する中で,行政が実施する経営診断・指導よりも,幅広い知識を有した民間の専門家を活用することがより有効で効果的であるとの観点から,県中小企業支援センターと5カ所の地域中小企業支援センターを整備したところでございます。それに伴いまして,中小企業総合指導センターを廃止し,中小企業施策に総合的に対応する経営支援課を本庁に新設いたしまして中小企業対策の充実強化を図ったものでございます。県の組織という点では名前はなくなりましたが,中小企業対策に全力を挙げて取り組む姿勢に何ら変わりはございませんので,御理解を賜りたいと存じます。

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