過去の岡山県議会一般質問集 <医療・看護>篇

<平成25年2月定例会>(2013年3月6日)

(佐藤)  どうもありがとうございました。
 岡山県の教育再生を言うときに,勉強ができる子,家庭的に恵まれている子,こうした子がどんどん勉強できるのは,これは当たり前でありまして,その支援は十分にやれるだろう。ただ,経済格差が教育格差にならないように,そしていじめ,不登校,ニート,ひきこもり,あるいは校内暴力等々の影に発達障害があるとすれば,これ医療・保健・福祉,労政,雇用,全部かかわってくる問題でありますので,オール岡山でこの教育再生のために経済的な支援と発達障害の支援をお願いしたいと思います。
 それでは最後に,単県医療費公費負担制度のうち岡山県心身障害者医療費公費負担制度についてお伺いをいたします。
 これは重度心身障害者児に対して必要とする医療が容易に受けられるようにするため,その医療費の一部を補助することによって心身障害者の健康保持と福祉の増進を図るものでございます。
 まずもって,来年度当初予算要求において岡山県心身障害者医療費公費負担制度について,公費負担の範囲において低所得者U,Tの自己負担限度額について来年度7月以降も軽減が継続されるという判断をしていただいたことを歓迎いたします。特に受給資格者のうち,低所得者の方が7割という現状の中で軽減の継続に本当に大きな意味があるというふうに思います。
 ただ,第3次行革の一環として,平成18年に持続可能な制度の確立という趣旨で自己負担率を1割にするなど見直しが行われましたが,このとき今議会でも問題になった市町村補助率のあり方など幾つかの課題を残しております。
 まず,65歳以上で新たに要件に該当された方については給付の対象としないという制限を加えているのは全国で8府県しかありません。その判断には65歳までの就労の機会があり,蓄えがあるだろうという予測と後期高齢者医療のほうを選択すれば1割負担で入れるというものなんですが,必ずしも蓄えがあるとは言えませんし,後者では扶養に入っていた人は新たに保険料が必要になるなど,実は新たな負担が生じることになります。この制限があることに,私は合理性があると思えないんですが,保健福祉部長にお伺いをいたします。
 次に,所得制限の規定についてでございますが,対象者の世帯に老齢福祉年金の所得制限の規定をいわば準用しておりますが,こうした例も実は全国に12県しかなく,ほかは特別障害者手当や特別児童扶養手当の規定を準用しております。そもそも心身障害者医療費公費負担制度に全く趣旨の異なる旧国民年金法時代の年金要件を満たさないことを想定した老齢福祉年金の規定を準用すること自体が,私は合理的な理由がないというふうに思います。改善すべきだと思いますが,保健福祉部長の御所見をお聞かせください。

(保健福祉部長)  お答えいたします。
 心身障害者医療費公費負担制度についての御質問であります。
 まず,65歳以上の新規該当者についてでありますが,65歳未満で障害認定を受けた方は就労可能な時期に十分な就労機会が得られず一定の収入やそれに伴う年金など得られる機会が少なかった可能性があることから,その経済的支援として本制度の対象としているところでございます。
 なお,65歳以上で障害認定を受けた方は保険料の負担は必要となりますが,後期高齢者医療制度に入ることが可能であることから,みずからの医療費と保険料負担を考慮し,どの保険制度に加入するか検討いただければと存じます。
 次に,所得制限についてでありますが,所得制限を設けている都道府県ではその財政状況や給付と負担の公平性等を勘案し既存の国制度での基準を準用しており,本県では平成18年の制度見直し以前から老齢福祉年金の基準を準用しているところでございます。現行基準の緩和について要望があることは承知しておりますが,現下の厳しい財政状況等を勘案し持続可能な制度を維持するためにも慎重に検討すべき課題であると考えていますので,御理解いただければと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  これ細かい制度的な仕組みになるので要望だけさせていただきますが,特にこれは国の制度というのも大変に関係してくるということで,国の制度そのものを変えていくような,そうした働きかけもしていただければと思います。そしてまた,この公費負担についても今回も大変議論になりましたけれども,これは手厚くさせてはいただきたいわけでありますが,ただ合理的な理由がとにかく経費が安くなるからという理由でこれが準用されるとすれば,そこには問題があるということで,改善をお願いしたいということを要望させていただきます。まことにありがとうございました。

(農林水産部長)  藤田地区のかんがい排水につきましては,全体で,1,600ヘクタール弱の受益面積を持っておりまして,全ての供用開始になるのが31年を予定しておりますが,今,佐藤議員からお話しございましたように,既に18年から始まっている藤田都六区,それから来年度から始まります藤田都大曲,また,29年度から藤田錦六区,それと31年度からの藤田錦,そういう全体の計画の中で現在設置しております藤田用排水機場並びに大曲用排水機場の国営施設,それと県がつくっておりますいろいろな施設,そういう施設を活用しながら全体の1,600ヘクタールの用水の供給を十分行えるように,全体計画を見ながら説明会を行ってまいりたいと思います。
 以上でございます。



<平成19年6月定例会>(2007年6月22日)

(佐藤)  私ごとでございますが,私の父が亡くなって早いものであっという間に3年半になります。ことしやっと我が子が小学1年生ですから,父とは何かを明確に語る資格は私にはございませんけれども,父親は生きていようがいまいが教えてくれることがございます。最近つくづく思うに,人工透析患者だった私の父が64歳という年齢で亡くなったのが,ある意味よかったのかなと思えるぐらいに,人工透析患者にとって医療改革はつらく,大きな問題があるなと思えてなりません。岡山県内には多くの患者さんがおられますが,リウマチと同様,発症が就労時に支障を来すほど若く,さらに一生涯治療が必要ということで,しかも内部疾患ではた目にはわかりにくい障害であるという特殊性がございます。医療改革という名のもとに,制度の変更と患者の負担増が進んでいて,透析患者にさまざまな影響が出ています。また,グループホームや特別養護老人ホームなどにおいても,特に人の手が必要な透析患者については,必ずしも十分なケアが行えない,そんな実態がございます。生活が困窮して未来も見えない,いわゆる老老介護の中で本当に悲しい無理心中という事態も発生しております。加えて,75歳以上の方を対象に,後期高齢者医療制度が来年4月発足いたしますが,透析患者のほとんどが1級の障害者に当たるので,障害者手帳を持っている方は,65歳から後期高齢者の制度に入ることができることになりますけれども,さまざまな検討がこれからと,大きな不安がございます。知事は,人工透析というものについてどのように認識をされて,こうした体制の現状をいかように把握され,今後どのような対策を考えておられるのでしょうか,さまざまな障害等ある中で,今回はあえて人工透析のことについてお伺いさせていただきます。

(知事)  最後に,人工透析についてでありますが,透析患者の方々は日常生活に一定の制約があり,生涯にわたって継続的な医療が必要な状態にあると認識しており,現在,県内の69医療機関において透析医療を受けることができることとなっております。県では,単県医療費公費負担制度によって,所得に応じた医療費の負担の軽減を行うなど,透析患者の医療の支援を行いますとともに,人工透析につながる糖尿病の予防と重症化の防止を図っていくため,「健康おかやま21セカンドステージ」を展開していく中で,健康教育の充実や健康診査の受診率向上などに取り組んでいるところであります。今後とも,医師会を初め関係団体等とも連携しながら,こうした取り組みを推進いたしまして,透析医療の確保や糖尿病の予防などに努めてまいりたいと存じます。

(佐藤)  ESDに関しましては,本当に積極的な前向きな御答弁ありがとうございました。
 透析につきましては,これはプロローグということで,これからまたこの場でいろいろ論戦をさせていただきたいなと思いますが,それはそれといたしまして,介護事業者の実態なんでございますけれども,先ほど部長の答弁にございましたように,介護保険の制度設計そのものは国がやっている,介護保険のその報酬などは市町村が決めている,じゃあ県が絡んでくるところがまさにそれが監査だとか指導の部分で,事業者にとってみると,一番目に見える行政は,実は県なんですよね。そういった中で,本当に介護保険の事業者がどういった状態で会社を経営されているのか,その状況の中で,例えば,行政が昼間にいわゆる指導者研修等を開催される,そういうことがあるわけでございますが,その研修会に出ていくためのお金も確保できない,そこのスタッフをどうやって充てるんだ,そのスタッフがいない分のお金はどのように補てんするのか,そういったことも苦しみでありますし,また,監査していただく,それは当然のことです。きっちりそれはコンプライアンス,これは事業者が持ってもらわくちゃいけませんけれども,しかしながら,必ずしも本当に,昨日は高原議員からございましたけれども,そういったシステムがきちんとできていなければ,ある意味で本当に机上の議論,書類の不備がありますよということで,ある意味つつくような話になって,その監査におびえているような実態がございます。本当に1日の労務が終わって書類づくり,しかも県の監査に備えるための書類づくりに忙しい仕事の後,時間を割いている,そして実地指導で非常に小さいことまでいろいろ言われるわけでございます。大概の事業者は,本当にそのお金のためにはやっておりません。この介護保険の中で,自分の親と同じような高齢者の方をしっかり守っていきたいな,それから若い世代で入っていく人たちも,福祉の心を持ってそこで夢を描いてやっている,その状況の中で今経営難があるということはわかっていただきたいと思います。
 そして,先ほど部長の答弁で一番最後に事業者を育成する監査というふうに言っていただきました。まさにそういった形で,ある意味で事業者をいじめるとは言いませんけれども,結果として事業者がつらい思いをするような監査ではなくて,こうしたらもっとこういう部分がよくなるよというふうな,中小企業の支援のような,そういった温かい心のある,育てる監査をしていただきたい,そのことを心からお願いさせていただきます。ありがとうございます。



<平成18年9月定例会>(2006年9月21日)

(佐藤)  関連して,昨今の国の医療制度改革の流れを見るにつけても,都道府県単位の保険料率の導入,僻地・小児科,産科での医師確保対策,医療情報の提供など,むしろ従来以上に県の役割が重要になる面もありますが,こういった医療制度などが,道州制の導入と政令指定都市移行によってどのように影響を受けるのかについてもお知らせください。
 ところで,岡山市の政令指定都市移行に伴う最大のメリットは,やはり町の風格が上がるということだと思います。前回の議会で申し上げた,例えばJR吉備線のLRT化などは,非常に象徴的な町の風格になり得るものだと思います。加えて,やはりスポーツ文化の象徴としてプロスポーツチームは,政令指定都市にはやはりあってしかるべきものだと思います。

(知事)  医療制度等への影響でありますが,今般の医療制度改革には都道府県という地理的区域を単位といたしました保険料率の導入のほか,県医療対策協議会を通じました地域や診療科による医師不足問題への対応や,県による医療情報公表制度の創設などが盛り込まれております。今回の改革は,将来の道州制を考慮したものとはなっておらず,また政令指定都市移行がこうした改革の実施過程において特に影響を与えるものとはなっていないところであります。



<平成13年6月定例会>(2001年6月14日)

(佐藤)  また,2001年度から厚生労働省や地方自治体の助成事業に加え,産科医と小児科医が連携して,出産前の女性に育児指導を行う日本医師会の事業も始まっていると伺っていますが,その取り組みを含めて,母親の育児不安への対応について,保健福祉部長にお伺いいたします。

(保健福祉部長)  児童虐待をめぐる一連の御質問をいただいております。
 まず,母親の育児不安への対応についてでございますが,中央児童相談所に設置いたしました子ども・家庭電話相談室や保健所,福祉事務所の家庭児童相談室など,さまざまな窓口で相談に当たっているところでございます。また,7月からは,まちかど子育て応援ルーム事業の中で,子育て何でも相談を実施し,休日でも気軽に相談できる体制を整えることとしているところでございます。
 なお,お尋ねのありました医師会が行う産科医と小児科医が連携して育児指導を行う事業,これの県内での実施はないと聞いておりますが,国,県の補助を受けたメニュー事業として,倉敷市が産後ケア事業というものを実施しております。



<平成13年2月定例会>(2001年3月8日)

(佐藤)  最後に,このたび示された「新たな岡山県看護職員需給見通し」について伺います。
 看護婦等の人材確保の促進に関する法律は,看護婦等の人材確保,処遇改善を促進するための財政上の措置等を講ずるよう努めることを国及び地方公共団体の責務として定めています。近年,急速な少子・高齢化の進行,高度医療の進展,介護保険制度の実施,安心,信頼できる医療への強い県民ニーズなど,看護職員を取り巻く環境は大きく変化しています。
 そこで,看護職員の計画的,安定的な確保を図るため,平成13年から平成17年までの5年間の需給見通しが今回示されたわけです。その中で,平成13年の約2万3,800人から平成17年には約2万5,500人の看護職員が必要となり,平成17年で約600人の不足が見込まれています。今後,看護職員を安定的に確保するためにどのような対応がなされていくのでしょうか。
 以下,保健福祉部長にお尋ねいたします。
 私は,看護職員の確保のためには,養成力を強化することに加えて,現在働かれている優秀な技能を持った看護職員の方々にいかに現場に定着していただくか,換言すれば,いかに離職を防ぐかが極めて重要であると思います。さらに,看護婦等の資格を持ちながら就業していない方々が県内には相当数いらっしゃると言われています。そうした未就業の看護職員の掘り起こしも重要であると思います。
 そこで,今回は,看護職員の方々の離職防止と再就職の促進というテーマに絞って質問させていただきます。
 まず第1に,離職防止のためには職場環境の整備が必要です。とりわけ,看護職員の多くが女性であるため,妊娠,出産,育児,あるいは介護といったことが離職の原因になることが考えられます。そのためには,病院内に保育施設を設置し,充実させることが重要です。現在,院内保育所に対しては運営費の補助がありますが,設置についても何らかの支援があるでしょうか。
 また,やはり夜勤の多い看護職員にとっては24時間保育であることが望ましいのですが,その実態,またそれに対する支援はどうなっているのでしょうか。
 さらに,働きやすい職場環境の整備も大切だと思いますが,どのような支援をなさっているのでしょうか。
 次に,高度医療が進展する中で,一たん離職された方が安心して再就職できることが重要だと思います。そのためにも,職場復帰のための十分な研修が必要なわけですが,ナースセンターの研修設備等の充実も含め,どのような取り組みがなされているのでしょうか。
 また,介護保険制度の実施に伴い,老人保健施設や福祉施設等に勤務する看護職員も増加してきており,そういった職員の研修も大変重要と考えますが,今後どのように行われていくのでしょうか。
 最後に,再就職された後のフォローも極めて重要だと考えますが,就業調査等どのように行っていくのでしょうか。未就業の看護職員の把握とあわせて,その方策をお尋ねいたします。

(保健福祉部長)  次に,「新たな岡山県看護職員需給見通し」に関連いたしまして幾つかお尋ねをいただいております。
 まず,院内保育所の設置補助についてでございますが,子育て家庭の支援等を目的として設立された財団法人こども未来財団などによりまして,建物の整備や保育遊具等の購入に要する経費の助成がなされているところでございます。県といたしましては,機会あるごとに事業者に対し,こうした助成制度の活用を働きかけているところでございます。
 次に,24時間保育についてでございますが,今年度,運営費を補助する院内保育所は県下に32カ所ございまして,そのうち24時間保育を実施しているのは12施設でございます。県では,これらの施設に対しまして,通常の運営費補助に加え,24時間保育の実施日数に応じて加算を行っているところでございます。
 次に,職場環境の整備についてでございます。県では,看護職員の働きやすいナースステーションの整備など,職場環境改善のための助成や看護婦宿舎の個室化などに対する助成を行っているところでございます。また,今後ともさまざまな機会をとらえて,病院管理者に対しても職場環境の整備を働きかけてまいりたいと考えております。
 次に,職場復帰のための研修についてでございますが,県では,岡山県看護協会を県のナースセンターとして指定いたしまして,看護職員への就業相談ですとか,あるいは長期間にわたって看護の現場から離れていた方々が自信を持って職場復帰できるよう,最新の知識や技術を習得できる研修を実施しているところでございます。今後とも,一層研修効果が上がるよう研修内容の見直しを行うとともに,研修機材等の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に,福祉施設等の看護職員研修についてでございますが,御指摘のように看護職員の就業の場は福祉施設等にも拡大してきておりまして,求められる知識,技術も多様化しているところでございます。このため,平成13年度から新たに社会福祉施設等の看護職員を対象として,例えば痴呆を持つ入所者の看護ですとか,あるいは施設内で起こりやすい風邪や皮膚病などの予防,こういったことに関しまして研修を実施することとしているところでございます。
 最後に,就業調査等についてのお尋ねでございますが,県のナースセンターを通じて再就職した看護職員に対しましては,就業3カ月後に就業状況の把握を行うとともに,その時点で離職している方々に対しましては,さらに再就職のあっせんを行っているところでございます。
 また,未就業の看護職員につきましては,県内の病院を対象に毎年離職者調査を行って状況把握に努めているところでございますが,今後はこれに加えまして,医師会,病院協会などの関係団体を通じてナースセンターのPRをさらに行うといったことによりまして,未就業の看護職員の掘り起こしに努めてまいりたいと考えております。

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