2002年12月23日(月)
【支援費制度と障害児(者)地域療育等支援事業】

 毎年X’mas頃には、ある精神障害者を支援するボランティアサークルのパーティーにお招き頂くのですが、本日もお邪魔させて頂きました。

 山陽新聞社の創刊120周年には、障害者交流の場確保に力ということで、「がんばろう! まちづくり&ボランティア 山陽ふるさとパワー大賞」を受賞した団体で、精神障害者を地域で支え合おうと平成8年6月に発足し、アパートを借り活動拠点されています。
 福祉関係の学生の中では、知る人ぞ知る女性のパワーに、いつも圧倒されながら、メンバーの方と顔見知りになって、かれこれ7年ほどではないかと思います。


 ところで、障害者の方の関して、介護保険の導入時に比べて、意外なほど非常に静かな感じがするのが、来年4月から実施の「支援費制度」です。
 特に、岡山県にとっては、今年度は、障害者計画の見直しを含めて、障害者施策の重要な年であるのですが・・・・。

 平成12年6月に「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」が成立し、社会福祉事業や措置制度等の社会福祉の共通基盤制度について、今後増大・多様化が見込まれる国民の福祉ニーズに対応するための見直しが行われ、この社会福祉基礎構造改革の一つとして、障害者福祉サービスについては、利用者の立場に立った制度を構築するため、これまでの行政が、「行政処分」として、サービスの受け手を特定し、サービス内容を決定する「措置制度」から、新たな利用の仕組み(「支援費制度」)に、来年度より移行することになったのです。
 とは言うものの、この時期に、財政問題と裏腹の話でないわけがありません。


 支援費制度においては、障害者の自己決定を尊重し、利用者本位のサービスの提供を基本として、事業者との直接かつ対等な関係に基づいて、障害者自らがサービスを選択し、契約によりサービスを利用する仕組みとし、これにより、事業者は、行政からの受託者としてサービスを提供していたものから、サービス提供の主体として、利用者の選択に十分応えることができるようサービスの質の向上を図ることが求められることになったのです。

 まず、障害者は、自ら希望するサービスについて、指定事業者・施設の中から利用したい施設・事業者を選択して、直接に利用の申し込みを行うとともに、市町村に対して、利用するサービスの種類ごとに支援費支給の申請を行います。

 市町村による支援費支給の決定がなされると、当該障害者に、受給者証が交付され、当該障害者は、施設・事業者と直接に契約により、サービスを利用するとともに利用者負担を支払います。なお、利用者負担は、支援費支給決定時に決定されます。そして、施設・事業者は、サービスを提供したときは、利用者に代わって、市町村に対し支援費の支払いを請求し、審査の後、支援費を代理受領することになります。

 もっとも、重度の障害者などの施設からの忌避、支援費制度実施に向けてサービス提供体制の整備、利用者に対する情報提供、対象となるサービス如何、支援費支給決定の手続、方法客観的な基準、支援費支給決定におけるケースワーカーの役割、障害程度区分、支援費の額の基準 、利用者負担の基準、障害者のケアマネジメントの実施主体如何、障害者ケアマネジメント推進事業で養成したケアマネジャーの位置づけ如何、事業者指定基準、契約の当事者能力(成年後見制度)・・・・課題は、非常に多いです。

 にもかかわらず、介護保険もそうですが、事の重大さに比して、細かく、専門的かつ難解でもあるため、議論が足りていないような気がします。
 いわば、グループのメンバーを直撃するような喫緊の課題であるにもかかわらず。


 ところで、さらに、そういった「支援費制度」導入の動きの中で、本日、特に、「障害児(者)地域療育等支援事業」について、国でかなり大きな動きがあるということを伺いました。
 この事業は、平成7年12月の「障害者プラン」の「ノーマライゼーション」と「リハビリテーション」の理念に基き、平成8年4月より全国で整備が進められている障害をお持ちの方の「地域での生活を支援する」事業です。

 ちなみに、岡山県でも、人口30万人あたり2ヶ所の施設を指定し、事業を推進しています。 この事業は、入所3割在宅7割ですが、予算は、入所7割在宅3割という中で、地域移行の橋渡しになる重要な事業です。
 支援費制度との連関も出てくるはずのものです。

 障害者の自立と社会参加を進めるためには、生活全般にわたる相談や保健・医療・福祉サービスの利用援助・情報提供などを総合的に提供できる体制の整備が重要です。
 また、障害の重度化、重複化及び高齢化の傾向と、障害者の多様なニーズに対応するため、保健福祉サービスに必要な専門的な知識・技術や権利擁護等に関する高い知識を持ち、豊かな感性を備えた各種の専門従事者の養成・確保も必要です。

 そういった意味では、障害児(者)地域療育等支援事業の果たしてきた役割は、非常に大きいということです。
 国の動向によっては、地方でかなりの善後策が必要と思われます。


 どうしても、込み入った制度論になると、時として言葉が踊り、誰のどういう話なのか、見えなくなる時がありますが、要は、具体的に顔が思い浮かぶ時、そういうことなんか、こうなるんか、ということになります。
 そういう意味では、議員の責任の重さを本当に痛感します。

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