2001年2月7日(水) 【養護学校と医療的ケア】

 今日、思い切り難しい課題を頂戴しました。
 ただ、今日の段階の答は、「国の動向を見守りたい」です。いわば、旧文部省と旧厚生省の間(はざま)の問題で県としては、独自の施策に踏み出せない状況なのです。
 具体的な話は差し障りもあるので、抽象的な制度論を書かさせて頂きます。

 養護学校に在籍する児童・生徒の障害が重度・重複化、多様化したと言われていますが、呼吸障害、摂食機能障害、排泄障害、体温調節障害等、健康管理に極めて配慮を要する児童・生徒も増えているそうです。

 そして、障害のために、「医療的ケア」を日常的に必要としている児童・生徒もいます。
 ここでいう「医療的ケア」とは、在宅医療・療育が普及する中で、医師の指導管理を受けながら保護者が日常的に行っている痰の吸引や経管栄養、導尿などの行為を指し、医師にしか認められていない、「医療行為」と区別しています。

 しかし、医師や医師の指示を受けた看護婦(士)でない学校教職員が、痰の吸引や経管栄養、導尿などを行った場合、「医療行為」として、医師法第17条や保健婦助産婦看護婦法(保助看法)第31条に違反するおそれがあるという点で問題になっているのです。
 要するに、医療的ケアを保護者以外の第三者が行った際に、万が一の事態が生じた場合の責任の所在と学校の管理責任の問題が、不明確なのです。

 勢い、はなから不足の事態に備えて、医療施設の近隣に養護学校を造るか、医療的なケアが必要な児童・生徒には、在宅の訪問教育を勧めるか、という安全対策の方向になります。

 そこで、医療施設に近くない学校には、看護婦(士)を各校に配置するか、訪問看護ステーションの看護婦(士)を派遣してもらえないか、あるいは、校医の訪問を増やせないか、ということになるわけですが、その答が、冒頭の物です。

 現在「医療的ケア」に取り組んでいる学校のほとんどは、「保護者の依頼・委託に基づいて、特定の子どもの特定の医療的ケアについて、特定の教職員が医師(指導医・校医・主治医など)に指導を受けて行う」スタイルになっているそうです。なにか良い知恵はないでしょうか。

 福祉先進県として県独自の施策を打ち出して欲しいところです。早晩問題になってくることと思います。

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