2000年5月7日 【その報道の陰で】

 豊川市、佐賀市、大津市で立て続けに起こった青少年の常軌を逸した犯罪に対して、いろいろその目的やら、反抗の動機やらが、憶測も交えて報道されています。とりわけ、犯人の異常性が、その幼少期から「そういえば・・・」と語られます。

 そして、必ず「通院暦」が、でてきます。あげく、未成年者や精神障害者が、極刑を免れたり、無罪になるのはおかしい、などと憲法改正の論点の一つである犯罪被害者の権利救済と相俟って、語られます。「通院」したから危険なんだ、と言わんばかりに。

 そういった風潮の中で、こういった事件がある度におどおどとして暮らさなくてはいけない精神障害者の方々を思います。
 もう何年も、ある精神障害者施設の卒園者とそれに関わるボランティアの方々と親しくさせて頂いております。
 障害をお持ちの多くの方々が、本来はとても繊細で、優しく、決して他人を傷付けられない人達です。だから、自分の心を責め、傷ついているのです。私達よりも、もっともっと純粋な人達なのです。

 いわば、社会の片隅に追いやられるように暮らしている人達にとって、「通院暦」があるから凶悪事件を起こすような報道、あるいは世間の納得は、どんな苦しみになっているだろう。

 皆の笑顔を思い出しながら、少し悔しい気がします。

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