過去の岡山県議会一般質問集 <観光施策>篇

<平成26年9月定例会>(2014年9月25日)

(佐藤)  失礼します。今回は大変に質問が多いので,流々行かさせていただきたいと思よんですが,さて本当はこの質問,したくない質問なんですが,こうした中,今回あえて言うと,勝手に決められた岡山県のキャッチフレーズ,誇り高き文化の薫りが余りしない「もんげー岡山!」でございますが,はっきり申し上げてその内容も,あるいは決め方も完全な私は岡山県のイメージダウンで,岡山県の歴史や文化,県民の皆様に対する冒涜ではないかなというふうに感じることすらございます。国体にも使用した晴れの国おかやまという誇るべきフレーズがあるのに,あるいは教育再生,産業振興で成果も出ていない状況で,私自身どれだけ多くの方々から,やっちもねえことに税金使うなとお叱りをいただいたか。ESDに関する国際会議にしても,イオンモールにしても,マラソンにしても,頑張る学校応援事業にしても,岡山市との連携が最も必要な時期に,目先のこうしたにぎやかしで何を考えているのかという声もあったり,また今まだロケが行われておりますが,「でーれーガールズ」にまさにでーれーでございますから,水を差すようなタイミングだった。ましてや首都圏在住の知人の評価が極めて低く,都会で瞬間,これは笑われて終わりじゃろうというふうな評価がございます。何よりもうったてから違っとるんじゃないか,最初からある種のマーケティング調査をして,もんげーが1位になることを前提に広告戦略を組んだとしか考えられません。もんげーに決めて準備をしながらアンケートの形をとったこと自体,民主主義のルールや県民の皆様に対する行政手法として問題があると思います。先々週の火曜日にアンケートを開始して,先週火曜日にもうポスターや音楽が発表される,こんなやり方なら都合のよいように民意を聞いたふりだけをして,行政の思惑でやりたい放題じゃないか。まさに確信犯とも言えるようなかなり危険な行政手法で,私は大問題だと思います。逆に言うと,これによって県がこれから行うアンケート調査やパブリックコメント自体の信用性を失わせとるんじゃないかという気がします。恐らく話題性など費用対効果があったとデータは公表されることでしょうが,しかし,愛情や誇りはそうした数字ではかることはできません。むしろ今回は我々は失うもののほうがはるかに大きいと思います。もんげーがはやってる妖怪ウォッチや,あるいは大河ドラマに便乗したと,少なからず岡山県民は全国から笑われることになる。笑われているわけでありますが,それで話題になったと喜べるほど私は岡山県に対する愛情や誇りがないわけではありません。本当に情けない気持ちがいたしております。改めて伺います。この「もんげー岡山!」のためにどれだけの公費が投入されたか,撮影開始時期を含めてもんげーと誰が何人でいつ決めたのか,今後もこうして民意をつくっていくためにアンケート調査やパブリックコメントを活用するのか。
 加えて,単純にこのキャッチフレーズを選ぶこと自体,笑われようが,これが岡山が有名になればよいんだと思うこと自体が,あるいは御自身が何かこれで演じられること自体が恥ずかしく思われないですか。それを恥ずかしいと思う県民の皆様に,もんげーやポスターについて,例えば他県の方々に説明する責任を課す覚悟について,またこういったある種軽い岡山県の全国アピールを県民の皆様が本当に知事に望んでいると思っておられるか,その御認識についてあわせてお聞かせください。
 また,もんげー部という部活動をされるのは御自由でございますが,岡山が誇る晴れの国おかやま,これは我々に定着している誇り高い言葉だと思います。そして,美しい言葉でもある。あるいはこうした晴れの国おかやまという言葉をフリーに使えるようにする,あるいはロゴ自体も活用できるというほうがはるかに多くの県民の皆様に誇りを持って岡山県をアピールする気持ちを強く持っていただき,あるいはビジネス的にもメリットもあると思いますが,御認識をお知らせください。

(知事)  お答えいたします。
 県のキャッチフレーズについての御質問であります。
 まず,費用等についてでありますが,動画の制作や新PRサイトの構築費用など約1,400万円であり,7月に組織として企画を決定し,8月初旬から撮影を開始いたしました。また,今回のアンケートは新たなキャンペーンに関心を集め,本編動画への期待を盛り上げるため,その予告の意味を込めて実施したものであり,本来の行政手法としてのアンケート調査やパブリックコメントについては,今後も適切に実施してまいります。
 次に,認識についてでありますが,もんげーという言葉はインパクトのある愛すべき岡山弁の一つであり,岡山の言葉で岡山を売り込むことは決して恥ずかしいことではないと考えております。
 また,本県の魅力をしっかりと全国に発信することが県民の期待に沿うことであると認識しております。
 次に,晴れの国おかやまのフレーズ使用等についてでありますが,晴れの国という言葉は平成元年の使用開始以来,多くの方々に親しまれており,特にロゴを定めることなく,自由にアレンジしながら,行政,民間を問わず御使用いただいており,今後とも,岡山のよいイメージを伝える言葉として広く御活用いただきたいと考えております。
 以上でございます。

(佐藤)  この「もんげー岡山!」という言葉,これはもう感覚の違いもあるかもしれませんが,私自身も小学校6年生まで岡山市の野田屋町という岡ビルの遊園地の前で住んでおりました。もんげー,でーれー,ぼっけー,でーれー使うた言葉でございますけれども,ただ私は岡山県人として,もちろん岡山弁に対する誇りも愛情も持っている。ただ,やっぱりこれはPRするときのAIDMAの法則というのがあると思いますけれども,まずアテンションということで注目を集める,これは大切なことだと思います。ただ,今PR戦略として,例えばネット上であえて言うと自虐だとか自滅とか言えば,もうこれがネットで炎上してもええんだと,一か八かで盛り上げるというやり方はあると思います。ただ,最終最後,これは最後にやらにゃいけんことは,アクション,アテンションからアクションということで,最後は岡山県に他県の方にお越しいただかなくっちゃいけない。そして,例えば物産を手にしたら,岡山県の物産はいいなというふうな感じでアクションを起こしていただかにゃいけんということで,アテンションとすれば,自虐的にはこれ成功してると思いませんが,仮にしたとしても,そのことが岡山県の本当にPR戦略に結びつくかどうか,そして何よりも広島県,あるいは香川県,うどん県や,あるいは「おしい!広島県」,これは知事みずからがポスターに出るようなことは余りされておりません。その中で本当に今1月からアニメ放送が始まったもんげーという言葉を使う妖怪ウォッチのそれに便乗してと知事ははっきりおっしゃられておりますけれども,これは本当に来年まで続く言葉なのかどうか,そして決して宇梶さんを批判するわけではありませんが,PRポスターに使われてる方が清水宗治公を演じられた方,しかしもう大河ドラマの中では亡くなっとるぞということで,今後出てこられることはないと思いますが,こうした方が岡山の代表だとしてPRに出ておられる。それを岡山県民が東京に行って,皆さんもんげーって言うんですかと,説明をせにゃいけん。何で宇梶さんなんですか,説明をせにゃいけん。そして,それに対してこれは岡山県民として誇りを持っていて,ぜひ,じゃから岡山県に来てください,岡山の物産を買ってください,そのように言える,そうしたPRになってますか。AIDMAの法則から見てどうでしょうか。その感覚をちょっとお伺いしたいんですが。アテンションはいい。アクションまで行きますか,これで。

(知事)  AIDMAの法則に照らして,これが賢いやり方なのかという質問に対してお答えをいたします。
 AIDMA,私もマーケティングを勉強しましたので,少しずつ皆さんに関心を持ってもらって,最後,行動につなげるということは非常に大切であろうと思っております。どういうPRを展開していくのか,何が正解なのかなかなかわからない中でいろいろ試しているわけでありますけれども,岡山県,これまで予算もなかなか厳しかったということもあったと思いますけれども,愛着度ですとか,認知度が40位台で低迷をしている。今現状がよくないということは,これまでどおりのやり方をさらに数年間続けてもなかなかうまくいかないであろうということが容易に予測されますので,これまでと違うことをしなければいけないと考えております。それが必ず当たるかどうかはわかりません。いろいろなやり方を試すべきであろうと考えております。いろいろ試す中で改善を加えながら,認知度,愛着度を高めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  もちろんいろいろ試されるのは結構なんですが,それは公費でない形で,税金でなければやっていただければいいと思います。あくまでこのPR,特に今回「もんげー岡山!」という言葉が本当に県民の皆様に愛される言葉になるか,そしてこの週末にアンテナショップがオープンしますけれども,そのときに胸を張って,岡山県の出身の首都圏の在住者の方が,これがおれたちの岡山県なんだと胸を張って言えるかどうか,それに対して私は大変に疑問に感じるところがございます。そこまでの積み上げがないままで,挑戦されるのは御自由でありますが,やられるのなら,御自身でやってくださいということで,やはり公費を使ってやる,そして民意を受けて県の代表のことを決めるのでありますから,ぜひこれはもう少し民主的な手続をきっちり踏んでくださいということで,最初から決めて,それはアンケートのやり方も今回やり方が違うんだと,はなからこれ決めましたと,そして後我々が何を言っても,後は知らんぞというやり方は非常によろしくない。少なくとも,この「もんげー岡山!」ということについて,私の周りでは非常に評価が低いということは申し上げたいし,岡山県人として岡山弁に愛情も誇りも持っておりますけれども,そして「もんげー岡山!」にも愛情を持ってます。持ってますけれども,これを全国に打って出るアピールとして使うことについては,甚だ疑問がある。どこかの場面で考え直していただく,少なくとも来年の今ごろに「もんげー岡山!」と誰も言うてねんじゃねえかなという気がしますが,そこのあたり今後は熟考していただきたいと思います。要望です。



<平成26年2月定例会>(2014年3月6日)

(佐藤)  話はがらっと変わりますが,いわゆるゆるキャラブームが言われて久しゅうございますが,最近では熊本県の「くまモン」や船橋市の非公認の「ふなっしー」など,もうこれはやりたい放題でございまして,日本中を席巻しておりますが,ふと我がももっち,ももっち(パネルを示す)でございますが,ふと我がももっちを見ると,やはり,この人,学生時代はそこそこ成績がよかったし性格もよい人なんですけれども,ちょっと社会の荒波の中では意外にこれは伸びんタイプかなと,今後もちょっと大化けは期待できそうにないなというふうなことをちょっと感じておりまして,思えば平成17年2月定例会ではこのももっちを国体から県のキャラクターに,平成18年2月定例会ではももっちにお供,さるっち,いぬっち,きじっちですね,それから平成18年2月定例会ではお供をつけてはどうか,平成21年11月定例会では鬼の彼女をつくってはどうか,それがこのうらっちさんでありますけれども,そのように私も何かとこのももっちには目をかけてきたつもりなんですけど,何かちょっと物足りんな,この人はと思っておりまして,ただ最近,このももっちに不穏が動きがあるということで私は感じておりまして,考えてみれば,これは割と子供のころの写真でありますが,かれこれ10年,もはやももっちももう青年期に入っておりまして,恋のうわさの一つや二つあっても当然おかしくない,そんなお年ごろじゃないかなと。というか,岡山県民の皆様も薄々お気づきかと思いますが,桃太郎の流れをくむこのももっちと鬼の温羅の流れをくむうらっちでありますが,この2人,あるいは2匹,何か怪しくないですか。知事もさまざまな行事等でももっちとうらっちと御一緒されると思いますが,そのあたり何か知事感じておられませんか,知事にお尋ねします。

(知事)  ももっちとうらっちの関係についての御質問でありますが,「くまモン」たちが大活躍する中,2人はけなげにも岡山県マスコットとしてもっとアピールしたいとの決意を胸に,忙しい合間を縫って印象度を高める方法などについて話し合いをしているようであります。そのためか夜遅くまで2人で話し合っている姿を職員が何度か目撃しているようですが,恋のうわさについては私は聞いておりません。
 以上でございます。

(佐藤)  しかし,若い男女が2人で夜遅くまでおりますといろんなことが起きるということで,実は公聴広報課さんのほうにいわゆるキャラクターですね,こういうゆるキャラが全国で結婚した事例があるのかというのを調べていただきました。その結果として,ゆるキャラ同士の結婚事例結構全国に例があるということで,中にはできちゃった婚もおると,今は授かり婚と言うらしいんですが,岡山県のキャラクターができちゃった婚はまずいだろうと,あるいは駆け落ちをするようなことがあってもいけないということで,私どもとしましてはこの2人ぜひ結婚させてやりたいなと,それで知事にできれば吉備津神社等で本当にこれは真面目に三々九度で杯を交わして仲人になっていただきたいなということを考えておるんですけれども,全くない話でしょうか。これは恋のことでありますから2人のことなんですが,全くない話かどうかお伺いしたいと思います。

(知事)  ももっちとうらっちを結婚させることについてどう思うかという御質問に対してお答えをいたします。
 まず,そもそも県の都合で結婚させるというのは政略結婚のようなことでございまして,私の理解する限り,婚姻は両性の合意のみによって成立するものでございます。私自身きちんと調べたわけではございませんが,うらっちはももっちのことをお兄さんみたいな存在だということを言っておりまして,ちょっと恋愛ですとか結婚ということにはならないのかなと考えております。
 以上でございます。

(佐藤)  あくまで要望でございますけれども,恋というのは2人の中のことでございますから,お兄ちゃんと思っていた人が恋愛対象になるということは,これは間々あることでございますから,2人の行く末を温かく県民の皆様にも見守っていただきたいと思います。今のところがきょうの質問で唯一笑えるところでございまして,ここからは真剣にやらさせていただきます。



<平成21年2月定例会>(2009年3月3日)

(佐藤)  ここからはあえて,個別具体的に,岡山市が政令指定都市に移行する前に,その記念として,岡山市のいわゆる地元ネタについてお伺いさせていただきます。
 まずは,旭川及び後楽園かいわいについて伺います。
 昨年5月の地方分権改革推進委員会の1次勧告では,権限の移譲が柱でございましたが,国道や一級河川の管理,農地を転用する権限の移譲なども打ち出しています。まさに,一級河川旭川については,特に下流域は国の管理になっておりますが,県内で完結しており,将来的には都道府県で管理すべきだという話でございます。まずもって,こうした一級河川の管理については都道府県が行うべきだと考えますが,御所見をお伺いいたします。
 ところで,旭川京橋・桜橋地区の港湾施設は,もともとは戦前河川改修に伴い,内務省が設けたものでございますが,その後も県が国から河川法に基づいて占用許可を受けて,ほぼ,この県庁前から二日市の岡山市立中央図書館手前の旭川右岸の河川敷を港湾施設として占用しておりました。しかし,新岡山港も整備されて,港湾施設として利用されないことから,平成12年度末で港湾施設を廃止しましたが,諸般の事情で原状回復ができず,占用廃止が行えないまま現在に至っております。現在は,港湾というよりも,芝生園地の緑地が公園的に整備されて,京橋朝市も開催されておりますが,特に後楽園前などは遊歩道の整備が進んでおり,親水性の高い憩いの場として,さらなる活用が望まれております。一方,中環状と外環状をつなぐ幹線でもある都市計画道路の津島飛行場線については,番町以北については,都市計画の変更を行って,拡幅をしないというのが市の方針でもあり,しかし京橋以南の判断も政令指定都市移行後は市にゆだねることになりますが,なかなか見込みが立っておりません。そういうこともあって,この道路のバイパス機能を河川敷の区域内道路が果たしているということで,なかなかこれは重要な道路になっております。今必要なことは,旭川京橋・桜橋地区の港湾施設について,それが港湾施設でないのなら,今後の活用をはっきりさせることであります。そのためには,国,県,市が同じ土俵に上がる必要があります。いわんや,一級河川は地方が管理すべきだという気概があるのならば,県こそがリーダーシップをとるべきだと考えますが,いかがでしょうか。
 もっとも,旭川京橋・桜橋地区が港湾施設ではないというのは,一つの考え方にすぎないと思います。私は岡山市と組んで,新たなる港湾施設に変えていけるのではないかと考えております。例えば,世界的なアートの聖地として,瀬戸内海の島めぐりに出る船が,公園緑地として美しく整備された新しい京橋から出航する。そんな世界的な観光拠点になる。そこに京橋朝市がある。そういう夢も描いております。旭川京橋・桜橋地区の新たな港湾施設としての活用について,あわせて土木部長の御認識をお聞かせください。
 さて,この旭川でございますが,少し上流に行きまして,新鶴見橋という大きな橋がございますが,古い鶴見橋のほうは,まさに後楽園の玄関口になります。しかし,鶴見橋かいわいの堤防については,一段低くなっている地域があって,防災上,危険ですし,知事が初当選された以降も,後楽園周辺整備事業,いわゆる出石町の再開発について,白紙撤回されたまま,つまりは観光文化拠点の整備を撤回した状態が延々と続いております。いわゆる,この近所の農政局跡地は,現在ある岡山後楽館中高が旧南方小学校へ移転することが決まっていて,出石町再開発と相まって,兼六園周辺に絶対に負けない観光文化ゾーンにするために,例えば観光バスの集積地にするような種地にもなっております。来年の国民文化祭を見越して,この機に後楽園かいわいやカルチャーゾーンについても,県,市,国で一体に考えるチャンスであり,岡山市が政令指定都市になるとする今,県,市,国一体で旭川まで加味して,グランドデザインを描かなくてはいけないときであります。その認識をお知らせください。
 あわせて,兼六園周辺と後楽園の周辺の違いについての御認識と,その中で県が果たすべき役割についてもお伺いいたします。
 また,こうした重要な時期に,一方的に岡山シンフォニー1階の観光物産センターの廃止方針を決めました。観光物産拠点も廃止するところに,観光・文化行政の戦略性を全く感じませんが,観光物産センターの跡地の活用策とあわせて,御所見をお聞かせください。
 最後に,吉備路かいわいについてお伺いいたします。
 特に,JR吉備路沿線には,吉備津彦神社,吉備津神社,高松稲荷や備中高松城,鬼ノ城など,まさに日本のまほろばとも言える史跡が並んでおり,決して大和路に劣るところはなく,一説には年間観光客50万人を超えるとされているのですが,県内の広域観光の中でも,後楽園や倉敷美観地区と必ずしもうまく連携できておりません。
 先日,吉備路自転車道を久しぶりに自転車で走りましたけれども,この吉備路自転車道は,正式名称は,一般県道岡山総社自転車道線であり,その起点は総合グラウンドにあった旧いずみ町交番前なのですが,ここにある看板からして,津島遺跡を津高遺跡と書いておりまして,こうした案内看板や休憩所,特にトイレの表示はかなり工夫が必要だと思います。そもそも岡山市の政令指定都市移行に伴って,吉備路観光の幹線とも言える総社までつながる,この吉備路自転車道については,総合的にどこが所管することになるのか,吉備路観光における位置づけの御認識と今後の整備の方向も含めて,土木部長にお伺いいたします。
 ところで,第4回岡山市都市交通戦略検討会議では,都心と地域拠点との連携軸の強化,都市内の回遊性の向上を目標とし,吉備線のLRT(次世代型路面電車)化など,交通戦略の事業プログラムを示しました。まさに,LRTと吉備路自転車道がリンクすれば,非常に魅力的な観光拠点になるはずでございますが,国道180号の交通緩和策という観点からも,JR総社駅まで続くJR吉備線LRT化の話は,県も積極的にかかわるべきだと私は思いますが,御所見をお聞かせください。
 また,この吉備路において,畿内に次ぐ規模を誇る岡山県内の大型前方後円墳の発掘調査が,いよいよ動き始めました。二重周濠が確認された両宮山古墳に続いて,昨年は湊茶臼山古墳,さらに今春から全国第4位の規模を誇る造山の造山古墳の周辺部の調査が始まります。もしも周濠が見つかれば,畿内の大王墓と肩を並べて,吉備の王の巨大な勢力が明らかになると注目されております。ところが,この造山古墳に加えて,全国9位の規模の作山のほうの作山古墳,こうもり塚古墳,備中国分寺跡などが含まれている吉備路風土記の丘県立自然公園の中核施設,県立吉備路郷土館の廃止が決まっております。全国17カ所の風土記の丘で資料館廃止は初めてということで,しかしその一方で,国体の際に,桃太郎スタジアムを改修するための約束とはいえ,津島遺跡史跡整備事業が完了して4月から供用開始するのは,どこか私はちぐはぐな感じがしてなりません。世界遺産登録を目指す百舌鳥・古市古墳群にも劣らないとの評価があるにもかかわらず,吉備の巨大古墳については,石室まで発掘されたものも限られて,史跡指定さえもされていないものもございます。本格整備された古墳もなく,保護や活用が立ちおくれております。古墳の管理主体は市町村とはいえ,遺跡の保全・活用を見据えた計画,体制づくりを進めるべきではないかと考えますが,教育長の御所見をお聞かせください。
 また,最後でございますが,文化観光の拠点として,財政危機を脱した暁には,古墳時代から近世に至るすばらしい遺跡,史跡が多い吉備平野のJR吉備線近くにこそ,老朽化した博物館を建てかえて,文化財を集積した総合博物館を建てる,しかも大和朝廷に拮抗した古代吉備王国の規模からして,太宰府や奈良や京都と同様の国立博物館を誘致する,そんな夢を描きたいものですが,教育長の御所見をお聞かせください。

(知事)  次に,旭川及び後楽園かいわいに関しまして,まず一級河川の移管でありますが,都道府県内で完結する一級河川の移管に当たりましては,現在の整備管理水準を確保するために必要な財源等に関しまして,適切な措置が講じられることが何よりも重要であると考えておりまして,そうした前提条件が整うならば,都道府県が責任を持って受けることができると考えているものであります。
 後楽園かいわいのグランドデザインについてでありますが,後楽園周辺整備事業が白紙撤回された経緯や,来年度からの岡山市の政令市移行を踏まえますと,岡山市が主体的に検討する必要があるものと考えております。
 兼六園との違いでありますが,兼六園周辺では,多くの歴史的町並みが保存されます一方,後楽園周辺では,オリエント美術館や林原美術館など,特色ある文化施設が集積しているという違いがあるものと認識いたしております。今後,後楽園周辺のまちづくりにつきましては,これは政令市となる岡山市が主体的に進めるべきものであると考えておりまして,県といたしましても,県有施設の管理者の立場から,国とも連携し,積極的にこれに協力してまいりたいと存じます。
 観光物産センターの廃止等でありますが,本センターが現在地に移転する際には,交通の利便性や駐車場の存在,カルチャーゾーンの入り口に位置すること等を考慮し,当時としてはすぐれた立地条件を持つ場所に設置を決定したところでありますけれども,その後,人の流れが駅周辺にシフトするなどの変化が見られたこともありまして,このたび観光物産センターの廃止方針を決めたところであります。今後は事業の費用対効果や民間との役割分担を踏まえながら,より多くの観光客が集う場所において,伝統的工芸品の展示や実演イベント等による県産品のPRや,観光案内を行えるよう,そのあり方等を現在検討しているところであります。
 なお,本センターの跡地につきましては,県が引き続き活用することは困難でありまして,御理解を賜りたいと存じます。
 最後に,吉備線のLRT化についてでありますが,お話のように,岡山市が年度内を目途に策定を進めておられます都市交通戦略素案によりますと,都心と地域拠点との連携軸の強化に向けた交通施策の一つとして,吉備線のLRT化が示されておりまして,来年度,LRTの推進等に向けた事業調査が行われると聞いております。LRTは,駅間距離を短くして利便性を高めることができる,また,低床式でだれもが利用しやすい,さらには,大気汚染の心配が少ないなど,人にも環境にも優しい公共交通であるというように考えているところでありまして,県といたしましては,岡山市の検討状況等を見きわめながら,適切に対応してまいる所存であります。

(土木部長)  旭川京橋・桜橋地区の港湾施設についてでございますが,船舶による物流や人流の利用がなくなりまして,同地区の港湾施設の廃止をしたものでございます。現在,占用許可取り消しに向けて,国と協議をしているところでございます。
 お話の新たな港湾施設としての活用につきましては,地域の活性化を図るための一つの方策でございますが,京橋付近では治水上,十分な河川断面が確保されておりませんで,今後,治水対策と一体的に検討されるべきと考えております。
 次に,吉備路自転車道についてでございますが,岡山市の政令市移行に伴いまして,岡山市内の区間は岡山市が,それ以外の区間は県が,それぞれ管理や整備を行うこととなります。このため,御指摘の案内看板等の不備につきましては,早急に点検を実施いたしまして,3月末までに適切に対応いたします。
 また,吉備路観光における位置づけの認識と今後の整備の方向につきましては,自転車を利用した観光スタイルの提案は,今後の吉備路観光におけます重要なツールとなり得るものでございまして,岡山市や総社市とも連携いたしまして,案内看板ですとか,あるいは休憩施設等の整備を推進してまいりたいと考えております。

(教育長)  まず,遺跡の保全等についてでありますが,造山古墳を初めとする巨大古墳につきましては,吉備の国を代表する文化遺産であり,県民共有の財産として適切な保護,保存に努めているところでありますが,それらを整備,活用していくことも大切であると考えております。これらの古墳を整備,活用するに当たりましては,所管する市町村が主体となって,保存管理や整備に関する計画を策定することが求められるところであります。県教育委員会としましては,計画策定や遺跡活用へ向けた取り組みが一層推進されるよう働きかけるとともに,文化庁との連絡調整や専門職員の派遣等を通じて,関係市町村を支援してまいりたいと考えております。
 次に,博物館の建てかえ等についてでありますが,現在の極めて厳しい財政状況下での具体化は困難でありますが,吉備の国を全国に発信する機能を持ち,新しい時代にふさわしい博物館のあり方について,十分時間をかけて取り組む必要があると認識しておりまして,近年開館した主要博物館の実態調査などをもとに,研究を進めているところであります。
 また,国立博物館の誘致につきましては,国の整備方針が明確でないことや,さきの九州国立博物館の例を見れば,地元自治体が用地を確保したり,多額の建設費を負担しているなどの課題があると考えておりまして,今後の国の動向を見守ってまいりたいと考えているところでございます。



<平成19年12月定例会>(2007年12月12日)

(佐藤)  次に,岡南飛行場についてお伺いいたします。
 私は,岡南飛行場について,この議場で提言させていただいたのは平成13年の2月定例会ですが,実は会議録を読み返しますと,驚くべきことに,平成13年以来この議場で岡南飛行場という言葉すら発せられておりません。昭和63年,岡山空港が開港し,そちらの方は20周年のお祝いが言われますが,実は岡南飛行場も同じ20周年で,これからの施策次第では,岡山の誇りになり得るんだということを本日は申し上げたいと思います。
 岡南飛行場は,平成4年に国から小型航空機の拠点飛行場の第1号として認定され,エプロンの拡張整備もなされ,定期旅客便はございませんけれども,小型航空機の基地として,貨物輸送,遊覧飛行,撮影宣伝飛行などが行われており,近年は小型ビジネスジェット機の運航整備基地として注目を集めております。ある意味,全国でもこれだけの潜在能力があって自由度が高い飛行場はそうそうなく,他県の航空関係者からすれば,まさに岡山は宝の持ち腐れになるのではないかといった状況に見えるようです。
 また,この地で操業されて株式公開を目指すまで成長された整備会社の社長さんの思いで,少しでも飛行機やヘリコプターを身近に感じてほしいと,随時整備場の見学もできるため,土曜,日曜には家族連れやカップルの人気スポットにもなっています。私も,地域の方とここで青空市をやりたいもんだなという構想を持っておりますけれども,多くの野鳥が飛来する阿部池や,先日,森先生からありましたように,DOWAホールディングスさんを中心にした児島湖花回廊プロジェクトもあって,今後,桜や自然観賞の拠点になっていくかもしれません。もともとはスカイパーク岡山構想という夢があって,日応寺の岡山空港ができた後も,あえて浦安の旧岡山空港を残して岡南飛行場としたわけでございますが,笠岡ふれあい空港も加えて,こうした空港が3つもある岡山県の優位性をいかに生かしていくかは,岡山の夢そのものだと私は思います。もちろん,来年のサミットを控えて,テロ対策の強化も必要ですし,岡南飛行場は住宅街が広がる地域との兼ね合いで,午後6時30分までしか使えない,そういった制限もあり,ヘリコプターの低空飛行やタッチ・アンド・ゴーの過度の繰り返し,これは避けなくてはいけませんけれども,一方で,旧広島空港である広島西飛行場もコミューター定期便に動きがあって,小型機専用飛行場にシフトしていくとすれば,わずか十数分の距離など,直接のライバルとこれをみなすべきで,うかうかしておれません。あえて言えば,岡山空港は広島空港を,岡南飛行場は広島西飛行場をライバルとみなして競争していく必要がありますが,まずもって知事の現在の岡南飛行場への認識をお知らせください。
 私は,岡山空港よりもはるか近くに飛行機やヘリコプターに接することができる岡南飛行場は,子供たちに大空への夢を描くきっかけになるには抜群の環境と言えると思います。高校生や大学生が航空機の整備について体験ができて,例えば小学校1年生の私の息子が──鉄ちゃんでございますが──鉄道マニアとして新幹線の運転手になりたい,そのように言うように,世界をまたにかけるパイロットや整備士になりたいと願う子供がたくさん出てくればよいと思います。加えて,岡山に集積する航空産業の拠点にもなり得ます。こうした航空産業学習,航空産業拠点としての岡南飛行場の可能性について,御所見をお聞かせください。
 また,地域との連携による青空市の開催や飛行場でのレストラン経営など,活性化に向けたさまざまな可能性について,今総合的に考える協議会,研究会の設置も必要だと考えますが,いかがでしょうか。
 加えて,今後導入が予定される消防防災ヘリコプターについては,県警ヘリコプターの「わしゅう」や岡山市消防ヘリコプター「ももたろう」──現在岡南飛行場におりますが──この兼ね合いから,リスク分散という考えもあるのかもしれませんが,山の中で霧が発生しやすい岡山空港よりも,平地から直ちに飛び立てる岡南飛行場の方がこうした航空防災拠点に向くと私は思いますが,今後の方向も含めてお知らせください。
 これに関連しまして,今後整備される警察署等の公共施設や,また県民局や支局,さらには民間ビルの屋上等には,防災・救援拠点として消防防災ヘリコプターの離着陸が可能なようにするのが,私はこれはもう時代の趨勢だと考えますが,離着陸場の整備状況と今後の方向について,総務部長にお尋ねいたします。
 ところで,先般,この質問のためもありまして,岡南飛行場から私は自家用のヘリコプターに乗せていただきまして,瀬戸内海の島々の上を旋回いたしました。とりわけ,アートプロジェクトが進む直島や犬島の上空を旋回するにつけて,これが世界標準なんだというものを思い知らされた気がします。私たちのふるさとの景色,ふるさとの海が,日本初の国立公園に指定されたのもむべなるかなという,世界有数の景色であることを実感いたしました。
 一方で,この岡南飛行場も,この海にも通じているはずなのに,いわゆる海洋レジャー等と連携できる潜在能力があるのに,それを十分に生かし切れてもいないなあというふうにも感じました。例えば,一流のプロ野球選手やサッカー選手が物事を真横に見ながら,脳の中でそれを置きかえて,鳥のように俯瞰する能力があるからこそ,的確に動けるのではないかと私は考えるのですが,それはこうした俯瞰する目というのは,一流の経営者や政治家にも絶対に必要な能力なのかもしれません。
 知事は,瀬戸内海をクルージングされたり,空からゆっくりと瀬戸内の景色を眺められたことがおありでしょうか。そのとき何を感じられたでしょうか,お伺いいたします。
 特に,知事の提唱される中四国州を考えながら,今は中国と四国の境になっている瀬戸内海を見たとき,この海を,空をどう考えるのか思いをめぐらせると,交通の結節点という中に,岡山をいかに中四国州における海と空の結節点にするかということが重要であると私は思います。陸だけではなくて,海,空についても中四国州の拠点となるよう,県内の港湾,空港の機能強化や,中四国地域との連携のあり方についてお伺いいたします。
 あわせて,中四国海・空の連絡会議のようなものの設置を考えたらいかがでしょうか,お考えをお知らせください。
 加えて,かような可能性がある岡南飛行場について,我々はこれを「こうなん」と読めるわけですけれども,残念ながら県外の方には「こうなん」となかなか読むことができません。この飛行場という言い方は,空港と運用形態が異なるので,これはもう理解できるにしても,いかにもこれでは自己完結のスケールの飛行場になってしまいます。コウノトリ但馬空港,たんちょう釧路空港,高知龍馬空港といった愛称もございますし,ここで思い切って20周年で公募をかけて,例えばスカイパーク瀬戸内といったような夢のある愛称をつくるか,あるいはネーミングライツによる名称変更を考えたらいかがでしょうか,御所見をお聞かせください。

 関連して,岡山空港についてもお伺いいたします。
 このたびの将来の定期路線化の夢につながる香港への定期チャーター便の就航を心から歓迎するものでありますが,岡山空港では,平成16年からビジネスジェット基地化構想が推進されており,格納庫の民間企業への貸し付けがことしの5月からもう既に始まっております。ビジネスジェット機の飛来は,着陸料,停留料,収入の増大のみならず,地元企業への経済波及効果を及ぼすことになり,私は,先ほどの岡南飛行場のあり方とも相まって,岡山空港の活用策として,また地場航空産業の振興のためにも,まことに時宜を得た施策であるというふうに思います。
 しかし,格納庫が小さくて,2機目の大型ビジネス機が岡山空港に飛来した場合,格納庫には1機しか入らないため,1機は必ずスポットに駐機しなくてはならない,そういった状況になっております。しかしながら,現状のこのスポットの運用では十分に対応し切れず,先ほど申し上げた岡山県の施策の信用問題にもなりかねない状況になっております。抜本的な対応策が必要になっておりますが,知事の御所見をお聞かせください。

(知事)  次に,岡南飛行場についてであります。
 まず,現在の認識でありますが,岡山空港の開港にあわせまして,岡山空港は大型機を中心とした定期便等に,岡南飛行場は小型機による不定期の航空輸送や訓練等に使用するという機能分担を行ったところであります。現在,岡南飛行場には,小型機エプロンを67スポット整備をしておりまして,県警察本部や岡山市消防局を含め,航空事業者など9者が立地いたしますとともに,年間着陸回数も6,000回を超えるなど,西日本では有数の小型機専用飛行場になっているところであります。今後とも,格納庫用地への航空事業者の誘致などに積極的に取り組み,岡南飛行場の一層の活性化に努めてまいりたいと思います。
 航空産業の拠点等の可能性でありますが,小型機の専用飛行場として利用促進に努めてまいりました結果,現在39機が常駐しておりまして,これに伴い,航空機の整備等の事業も拡大してきているところであります。また,県内では,航空機部品を製造する企業も育ってきております。こうしたことから,航空学習や航空産業の拠点としての岡南飛行場の可能性につきましては,これは一つの御提案と考えておりますので,今後,研究をさせていただきたいと存じます。
 また,活性化に向けたさまざまな可能性の検討でありますが,現在,岡南飛行場の運営に関しまして,航空事業者を初めとした関係の皆様との連絡会議を定期的に開催しているところでありまして,こうした場も活用しながら検討してまいりたいと思います。
 航空防災拠点についてでありますが,現在,消防防災ヘリを早期に導入する方向で,鋭意検討しているところであります。消防防災ヘリの運航基地となる航空防災拠点につきましては,既存施設の活用や航空法上の手続等から,岡山空港と岡南飛行場が考えられるところでありますが,全県的な防災力の強化を図るという基本的な視点に立って,災害時のリスク管理や経済性並びに気象条件や地理的条件など,さまざまな観点から,最も適切な場所の検討を現在進めているところであります。
 瀬戸内の景色でありますが,私も飛行機あるいはヘリコプターで上空から見たことがございますが,眼下に広がる大パノラマの両側に横たわる本州と四国,そして,その間できらめく瀬戸内海の中に,瀬戸大橋と多数の島々が見え,その美しい環境を維持していくということの必要性を感じますとともに,一衣帯水の関係とも言えます中四国の連携の意義につきましても思いをいたしたところでございます。
 いずれにいたしましても,全体像を俯瞰し状況を把握するということは,的確な判断のために必要であり,また視点を変えて考えるということは,新たな発想を得るためには大切なことであると考えております。
 海と空の結節点等でありますが,中四国州を見据えたとき,世界に誇り得る共有の財産である瀬戸内海を活用するということは大きなテーマであり,その中で本県といたしましては,陸上交通の優位性を生かしながら,瀬戸内海から中四国,さらには海外に広がる陸・海・空の総合的な結節点となるということを目指し,県内の港湾,空港の拠点性を高めていくということが重要と考えております。
 このため,水島港を初めとする港湾施設の基盤整備や岡山空港の利便性の向上を進めるなど,広域的な人・物の流れやニーズに対応いたしました施設面での機能強化と,航路・空路の拡充,近県からの利用促進に努めますとともに,関係県と連携いたしました海外からの観光客の誘致等にも取り組んでいるところであります。
 御提案いただきました中四国海・空連絡会議の設置ということにつきましては,先ほど申し上げました観光客の誘致等の取り組みの強化,あるいは中四国サミットの場の活用等によって対応してまいりたいと存じます。
 愛称等についてでありますが,お話のように,愛称を持つ地方空港があることは承知いたしておりますが,岡南飛行場の名称は,昭和63年の岡山空港開港に伴い変更して以来,利用者に定着してきているとともに,飛行場周辺の通称である岡南というこの名は,橋や公民館などの公共施設や民間商業施設等の名称に幅広く使われているなど,地域になじんだものとなっていると思います。このため,ネーミングライツを含めまして,岡南飛行場の名称を変更することは考えておりません。
 岡山空港についてでありますが,遊休施設でありました格納庫を活用するため,ビジネスジェットを誘致し,本年5月から利用が始まっております。岡山空港のスポットにつきましては,北京−大連線や香港へのチャーター便など,利用航空機が増加する中で,定期便を優先した運用を行っているところでありまして,お話のビジネスジェットの格納庫外での駐機に関しましては,空港の管理運営上一定の制限があるのはやむを得ないものと考えております。
 いずれにいたしましても,岡山空港の利用は,このビジネスジェットを含めまして,引き続き増大すると見込まれているということから,今後の空港施設整備につきまして,現在,関係者で委員会を設けて協議中でありまして,スポットの増設等につきましても,この委員会の中で検討してまいりたいと存じます。

(総務部長)  ヘリコプターの離発着場についてでありますが,大規模災害時等において,空からの救出・救助活動は大変有効と考えており,ヘリの離発着場の確保は重要と認識いたしております。現在,県内で大規模災害時等に離発着できる常設及び緊急離着陸場は,建物の屋上8カ所も含め,433カ所となっておりますが,今後とも,県内消防本部等と連携し,屋上施設を含めて,できる限り多くの離着陸場の確保に努めてまいりたいと存じます。



<平成18年2月定例会>(2006年3月9日)

(佐藤)  思い起こせば,平成14年2月定例会で,当時の久保田国体推進局長が,この場でパネルを出されまして,「こんにちは,ももっちです」とおっしゃられたのがきのうのことのようでございますが,昨年の国体,障害者スポーツ大会で大活躍した我らがマスコット「ももっち」は,今はちゃっかりと来年の第19回全国生涯学習フェスティバルの第1回からのマスコット「マナビィ」と並んで出てきております。願わくば,この調子で岡山県のキャラクターとして定着してほしいのですが,ところで聞くところによりますと,「ももっち」は男でも女でもないそうであります。もはやそういうところを超越した存在なのでしょうが,「ももっち」のモチーフが桃太郎であることは間違いないところでございます。ところで,桃太郎というお話は,裏伝説もさることながら,大変に奥の深い話でございます。「山へ芝刈りに,川に洗濯に」は,それとなく父の恩は山よりも高く,母の恩は海よりも深し。海で洗濯できないので川でございますけれども,それを教えております。お供には犬,猿,キジでございますが,これは,犬は忠義,猿は猿知恵と言うぐらいですから知恵,キジは勇気,すなわち知・仁・勇をあらわしているわけであります。そして,「渡る世間は鬼ばかり」何てことを申しますけれども,知・仁・勇をもって世間,社会という荒波を乗り越えて大成功して財をなし,孝行しましたよという,大変にありがたいお話でございます。
 何を申し上げたいかと申しますと,ぜひ「ももっち」にお供を,仲間をつくっていただきたいということであります。犬,猿,キジ,そして恩讐のかなたに,今は鬼とも和解して,その子供とは連れなんじゃというふうな,そういった楽しいキャラクターで岡山県をアピールしてはいかがでございましょうか。国民文化祭では,国体のときよりも仲間も結局グッズも多くなるわけでございますが,それでこそ桃太郎の国岡山がアピールできると思います。岡山では,OHKの「OH!くん」やTSCの「ななちゃん」など,これはいわゆるキャラが立っておりますけれども,願わくば,「ももっち」はサンリオの「キティちゃん」,あるいは「ミッフィー」をライバルに,世界に羽ばたいていただきたいと心からお祈り申し上げる次第でございます。
 次に,後楽園についてお伺いいたします。
 今議会では,倉敷チボリ公園の基本的方向性についての議論がなされておりますけれども,後楽園も問題ではないでしょうかということを申し上げたく思います。平成11年9月,12年9月,16年2月の定例会で質問させていただきましたが,改めて伺いますのは,平成22年の国民文化祭に向けて,江戸時代を代表する大名庭園であり,郷土岡山が世界に誇る貴重な歴史的文化遺産である日本三名園の一つであります後楽園に関しては,主会場とも言える文化ゾーンの中核として,築庭300年祭以上の力を入れる必要があると考えるからであります。日本三名園の一つながら,平成17年度の入園者は,国体があったにもかかわらず66万人程度と予想されております。新幹線岡山開通時の昭和47年度には入園者が210万人,瀬戸大橋開通時の昭和63年度には150万人,築庭300年祭のときには大変にみんなが努力した結果入園者92万4,000人,幻想庭園など定着したイベントも多いのですが,ここ5年間は60万人から70万人台で推移しております。チボリ公園以上に,後楽園にとっては100万人というのが非常に高いハードルになっております。同じ三名園の兼六園の平成16年度の入園者は,後楽園の2.6倍の164万人,水戸の偕楽園でも124万人であります。入園者が減れば一般会計からの持ち出しもふえ,しかも今10%削減が続いているという極めて限られた予算の中で,むしろ多くのボランティアの方に支えられ,後楽塾開設等,本当に涙ぐましい努力で管理運営されていると思います。それでも,今や後楽園は観光バスは朝一か夕刻前に,つまり食事を外した時間に1時間だけ立ち寄る観光スポットで,旅行業界の観光地としての内部ランクも非常に低くなっております。いつも申し上げることでございますが,私は,後楽園は周辺施設との回遊性に決定的に問題がある,そのように考えています。後楽園は絶対に兼六園には負けていないのでありますけれども,周辺の総合力で大きな差がついてしまっている。そのことはだれもがもうわかっておるわけでありますけれども,明治に入り池田家より御寄贈いただき,現在県が管理をし,昭和27年に後楽園が文化財保護法で国の特別名勝に指定されて,そうそう自由にいじれない,しかしそのことも重々理解した上で,今抜本的に後楽園に対する対策を講じなければ,後楽園は,遠くインドの方にはその魅力がわかっていただけても,貴重な文化財として守られながらも,入園者はじり貧になる忘れられた観光地になってしまいます。まずは,平成12年度末の事業評価委員会で後楽園周辺整備事業としての出石町の整備計画,これが白紙撤回されたわけでございますが,これが鶴見橋の歩道整備以外何もできなくなっている,そんな錦の御旗になっております。このままでは,後楽園の入園者は減少の一途をたどるばかりであり,何らかの対策が今必要であると思います。そこで,後楽園の入園者をふやし,にぎわいを創出するためには,周辺地域を含めた新たなグランドデザインが今必要であると考えますが,いかがお考えでしょうか,知事にお尋ねいたします。
 具体的には,岡山城かいわいは岡山市の管轄で,お城の殿様のお庭である後楽園の方は県の管轄ですなどというのは,市民県民のどなたも御存じありませんし,何より観光客にとっては,これはもうどうでもよいことでございます。月見橋を境として,岡山城・後楽園ゾーンが一体的に整備されてイベント等が今連携されている,そういった状況にあるとは言えないかもしれません。例えば,岡山市立のオリエント美術館や県立美術館,さらに民間の林原美術館や夢二郷土美術館を含めたカルチャーゾーン共通パスなども含めて,岡山市等との連携を図って,周辺施設との回遊性を高める施策はいかように進められているのでしょうか。また関連して,全県下の美術館,博物館のコンソーシアムとして岡山県博物館協議会がございますが,国民文化祭に向けて活動を充実させるべきだと思います。いかがお考えでしょうか。
 さらに,周辺整備ということで言えば,全国の観光地と比べると,恥ずかしいことにバス駐車場のそばに運転手さんや乗務員さんが休憩される場所すらございません。県外から来られて,バス内で皆さん待機されておられるわけですが,こういった配慮のなさが,結果的に観光業界の内部での評判を下げて観光客を遠ざけてしまいます。ぜひ善処をお願い申し上げます。
 また,県立博物館は本当に涙ぐましい努力ですばらしい企画展示をされていますが,大変に老朽化しておりまして,将来において建てかえるなら現在のあの場所にある必要があるのかしらというふうに思うわけでございますが,むしろ普通ならば後楽園資料館や観光休憩所があるような場所でありまして,こういった県ができる周辺整備について,ハードになりますけれども,いかようにお考えでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 ところで,知事は今議会で,直営施設についても指定管理者制度導入による民間管理の可能性を示されましたが,管理運営業務の内容や法律上の制約から私は後楽園が民間管理になじむものとは理解いたしておりませんけれども,この点いかようにお考えでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 また,都市公園という性格上,都市局都市計画課の所管ではありますが,文化財なら教育庁に,デスティネーションキャンペーン等を展開する観光施設ならば産業労働部に,よりなじむものと思いますが,後楽園は文化財か観光施設か都市公園かと考えたときに,観光施設によりウエートを置くと考えた方がよりさまざまな施策が展開できるように思いますが,いかがお考えでしょうか,お伺いいたします。
 さらに,平成21年の緑化フェアにおいては,主会場の西大寺カネボウ跡地を後楽園が既存の都市公園としてサポートする必要があると考えますが,御認識をお知らせください。

(知事)  まず,「ももっち」についてでありますが,御指摘のとおり,「ももっち」は桃太郎をモチーフとしておりまして,全国に向けたアピール度を高める意味でも,犬,猿,キジといった仲間たちに脇役として加わってもらうという展開が必要ではないかと考えておりまして,今現在,その犬,猿,キジの脇役のデザイン化を急いでいるところでございます。「ももっち」には,そうした仲間ともども,子供さんからお年寄りに至るまで幅広く愛される岡山県のキャラクターとして全国に向けた本県のPRに大いに活躍してもらいたいと,このように願っております。
 次に,後楽園についてであります。
 周辺整備のグランドデザインについてでありますが,お話のとおり,後楽園の入園者はここ数年60万人台で推移いたしておりまして,伸び悩んでいるというのが現状であります。このため,新たなグランドデザインが必要ではないかとの御質問をいただきましたが,後楽園周辺整備事業が白紙撤回されました経緯等を考えますと,現時点では,同じコンセプトでの計画につきましてはなお慎重な対応が必要と考えております。
 御質問のソフト対策といたしまして,にぎわいの創出や回遊性を高める対策につきましては,さまざまな工夫を加えながら進めてまいりたいと存じます。現在,入園者増加策といたしまして,300年祭を契機に毎年実施しております幻想庭園や初春祭など,さまざまなイベントを行いますとともに,来年度からは夜間開園の期間を延長するなど,新たな取り組みを行うこととしております。
 周辺施設等との回遊性でありますが,後楽園を初め,岡山城や美術館など歴史文化施設が集中しておりますカルチャーゾーンは,全国にも誇れる岡山を代表する文化・観光の拠点であると考えております。これまでも,これらの施設で構成する岡山カルチャーゾーン連絡協議会を中心といたしまして,相互の連携を図りながら,施設間での共通割引券や周遊マップの作成などの取り組みを行っているところであります。さらに,来年度から,本県ではNPOや岡山市等と連携いたしまして,ゾーンの拠点性や回遊性をより高めるため,町並みの文化的雰囲気や統一感を創出するなど,歩いて楽しいまちづくりに新たに取り組むこととしております。
 岡山県博物館協議会についてでありますが,県立美術館が中心となり平成3年に設立されまして,現在県下74の美術館,博物館が加盟し,文化施設とまちづくりをテーマとした講演会や各種研修会の開催,共通パンフレットの作成など,積極的に活動しております。これら美術館等は地域における文化的拠点でありまして,協議会の活動を活発化させることは,国民文化祭に向けた文化力の向上と機運醸成に大いに資するということになることから,県立美術館がさらにリーダーシップを発揮いたしまして,美術館相互の出前講座等の新たな連携事業にも取り組むなど,さらに活動を充実させてまいりたいと考えております。
 観光施設としての施策の展開でありますが,後楽園は日本三名園の一つでありまして,300年以上の歴史を現在に伝える世界に誇れる文化遺産でありますとともに,都市生活にゆとりと潤いをもたらす緑豊かな空間といたしまして,今日まで多くの県民の皆様に親しまれてきたところであります。また,同時に,県を代表する観光施設であるということも十分認識いたしているところでありまして,今後とも,文化遺産としての価値を生かしながら,より一層観光資源としての後楽園の新たな魅力を発見できるイベントを展開いたしますとともに,観光キャンペーン等によりまして,国内外から多くの観光客の皆様に訪れていただけるように最大限の努力を払ってまいりたいと存じます。
 全国都市緑化フェアのサポートでありますが,フェアの開催は,緑豊かな潤いのあるまちづくりを推進し,歴史文化あふれる岡山を全国へ情報発信することができる有意義な機会であると,このように考えておりまして,御提案の後楽園の活用につきましては,現在策定中の基本構想の中で,既存の都市公園とあわせまして検討を進めているところであります。

(土木部長)  まず,後楽園につきまして,県ができる周辺整備についてでございますが,これまでに,駐車場近くの多目的トイレの改築や鶴見橋の歩道橋の整備にあわせまして,正面入り口から新たな歩道の整備を行うなど,来園者の利便性の向上に努めているところでございます。また,県立博物館につきましては,後楽園,岡山城とともに,岡山の文化と歴史を今に伝える貴重な施設であると考えておりますが,現在,教育委員会では新県立博物館構想もございまして,その推移を見ながら後楽園正門周辺の整備について検討してまいりたいと考えております。
 次に,指定管理者制度の導入についてでございますが,来年度には直営施設の指定管理者制度の導入を含めました管理運営のあり方について再検証することとしておりまして,この再検証におきましては,各施設の管理運営業務の内容や法律上の制約など,さまざまな観点から細部にわたり検討を行うことといたしております。後楽園は,文化財保護法による特別名勝で,郷土岡山が世界に誇る貴重な文化遺産でありますことから,指定管理者制度の導入につきましては,慎重に検討する必要があると考えております。



<平成17年2月定例会>(2005年3月8日)

(佐藤)  さて,気の早い話ですが,既に国体後については,方々で語られるようになりました。私が気になるのは,平成19年に生涯学習フェスティバル,21年に全国緑化フェア,22年に国民文化祭と,大型の行事が続く中で,これだけ全県に顔を売り,これからさらに一汗も二汗もかく国体のキャラクター「ももっち」を差しおいて,新たなキャラクターが岡山県の顔として登場するのだろうかということであります。来年になって,「ももっちはどうしたの」と子供に聞かれたときに,「あれはもう用がないんじゃ」と言うのは,教育上も大変よろしくありません。私は,国体局のスタッフの方が,「ももっち」のぬいぐるみの貸し出しの際に,「行ってらっしゃい」といつまでも手を振っておられたという話を聞き,涙が出ましたけれども,ともに天皇杯,皇后杯を目指す我々の仲間「ももっち」への御礼は,岡山県のキャラクターとして末永く愛していくというお約束だと思いますが,慈悲深い知事のお考えをお知らせください。

(知事)  まず最初に,「ももっち」でありますけれども,「晴れの国おかやま国体」と「輝いて!おかやま大会」を盛り上げるマスコットといたしまして,約7万件の応募の中から,この愛称とデザインというものを決定したものでありまして,各地のイベントなどで大変好評を博しているところでございます。先日の倉敷の青年会議所50周年大会でも,理事長みずからがこのマスコットであります「ももっち」に扮して登場し,主催者あいさつをされるといったようなことで,非常に会場も国体ムード一色で盛り上がったところでございます。
 両大会終了後におきましては,そのデザインがスポーツ色の濃いというものではございますけれども,大変多くの方々に愛されているということから,今後これを活用するという方向で,国体関係者,県民の方々との意見なども参考にしながら,その活用分野,活用方法などにつきまして検討することといたしたいと存じます。



<平成13年12月定例会>(2001年12月12日)

(佐藤)  次に,文化芸術についてお伺いいたします。
 また,ビジョンの中では文化施設の利用促進と整備を掲げられていますが,岡山県が誇る文化ゾーンである後楽園,城下周辺につきお伺いいたします。
 出石町再開発,また旧日銀岡山支店の跡地も含めて今後の整備方針について,企画振興部長にお伺いいたします。
 特に,商店街のみならず,文化ゾーンの玄関口である表町地下駐車場の見直しがされるということでありますが,まさにこの地は国の予算の重点7分野の一つである都市再生そのものに関する地域のことでありまして,2万人の居住可能性のある中心市街地において,駐車場をこのように縮小する以外に方策がないのか,土木部長にお伺いいたします。
 さらに,ビジョンの中で文化振興の推進体制の充実を掲げられていますが,文化施策は,まさにさまざまな機会を活用した県民ニーズの把握が必要であり,NPOも深く絡んでくるというまちづくりそのものの話であり,知事のもとにあるのが適切だと私は考えますが,いかがでしょうか。

(企画振興部長)  後楽園,城下周辺の整備方針等のうち出石町再開発についてでありますが,後楽園の玄関口である出石町で計画されておりました後楽園周辺整備事業は,昨年12月,大規模事業の見直しの中で,事業評価委員会の意見を踏まえて白紙とし,先行取得済みの用地につきましては,当該地域の特性が生かされるよう,民間活用を含めた処理方策を検討することといたしたところでございます。
 次に,旧日銀岡山支店の整備についてでございますが,本年3月に,旧日銀岡山支店を活かす会から,歴史的建造物である本館の再生保存や芸術文化の拠点としての活用等について最終報告をいただいたところでございます。これを踏まえ,本年度は建物の耐震診断を実施しているところでありまして,この結果をもとに今後事業化に向けた県としての計画策定に努めてまいりたいと考えております。

(土木部長)  表町の地下駐車場の見直しについてでございますが,この駐車場の利用実績は計画を大きく下回っておりまして,事業終了年度の平成32年度におきましては,累積欠損額が80億円以上になる見通しでございます。県財政に大きな負担となるということでございまして,このため,問題を先送りすることなく,抜本的な対応策といたしまして,道路公社の事業を廃止しまして,県に移管する方向で見直しを進めておるところでございます。
 現在の機械式駐車場は,維持管理する上で多額の経費を要するとともに,入出庫が非常に不便な構造でございまして,低コストで利用しやすい平面自走式駐車場に改良いたしまして管理運営をいたしたいと考えているところでございます。
 なお,市街地の中心部の駐車場対策につきましては,今後,岡山市やそして地元関係者と十分に協議をいたしてまいりたいというふうに考えております。



<平成12年9月定例会>(2000年9月20日)

(佐藤)  まず,私ごとで恐縮ですが,この夏,世界青少年交流協会の役員として,スカンジナビア派遣団の一員として北欧3国を回ってきました。ホームステイもしながら,バスと船で旅をする中で,幾つか感じたことなどを織りまぜながら質問させていただきます。
 デンマークのコペンハーゲンでは,本場のチボリ公園を訪ねました。そこで考えたのは,本場のチボリ公園に近いのは,倉敷チボリ公園よりもむしろ後楽園ではないかということです。本場のチボリ公園を訪ねて,後楽園のすばらしさを再認識したのです。老若男女を問わず,訪れるすべての人々に心からの安らぎと潤いを与える場として,思い出の場として後楽園はあり続けました。世界名園シンポジウムも予定されているようですが,我が後楽園は築庭300年,世界にも通用します。築庭300年記念事業の数々が,後楽園のすばらしさを再認識させてくれたのです。後楽園で,芸術鑑賞からラジオ体操までできてしまう可能性を示してくださいました。夜の後楽園の美しさを世間に知らしめました。行きさえすれば,後楽園はやっぱり岡山県民の誇りなんだ,だれもがそう感じたはずです。
 限られた予算の中で,知恵を出し,汗をかき,しかもあくまで後楽園の品位を保ちつつ見事なイベントを続けられ,ことごとく成功させ,岡山県民に「これが岡山の文化なんだ」と自信と誇りを取り戻させてくださった岡山後楽園300年祭実行委員会を初め関係御各位の御努力に,本当に頭が下がる思いです。岡山県民の一人として,本当に本当にありがとうございますと心から拍手を送らせていただきたい,お礼を申し上げたい。そして,1つだけわがままを言わせていただけるなら,どうか,どうか,どうか,来年もこれを続けてください。
 今,我々岡山県民自身が,後楽園のおもしろさに改めてやっと気づいたところです。少なくとも,平成17年,岡山国体の年にもう一度観光キャンペーンを展開するのなら,ここで切ってはいけないと思います。300年目だけではなく,301年目も後楽園はあるのです。おもてなしを言われるのなら,大阪との連携を言われるのなら,天下の名園後楽園では,ことしぐらいいつも何かやっている,夜にはジャズやミニオーケストラが聞ける,それが普通だと県民が感じられるようにしていただきたいのです。毎年,石井正弘知事には新作狂言で仏様になっていただき,岡山県政の明るい未来を指し示していただきたいのです。
 そこで,知事に質問いたします。
 築庭300年記念の年もあと4分の1,ここまでどういう御感想をお持ちでしょうか。

 これまで県民みんなが楽しめる多彩な行事を実施されてきましたおかやま後楽園300年祭実行委員会は本年をもって解散すると聞いておりますが,300年の年の象徴として何が残るのでしょうか。
 また,今回,岡山青年会議所を初め,多くの県民から後楽園に対する提言や応援があったでしょうが,例えば,私は,通年でなくとも,せめて夏場だけでも午後9時までは開園することとしたらと思いますが,これらの提言を踏まえて,ポスト300年に何を予定されているのでしょうか。
 関係御各位におかれましては,もう一息頑張っていただき,来年もどうかよろしくお願い申し上げます。

(知事)  おかやま後楽園300年祭につきまして,ただいま実行委員会の諸君が,1年間さまざまな行事で大変一生懸命やってるわけでございますが,激励のお言葉をちょうだいいたしまして,私からも,議員に対しまして厚く御礼申し上げる次第でございます。
 さて,この300年祭でございますが,1月から8月までの入園者数は,前年比較との数字で1.6倍というふうになっております。特に,夜間の開園でございますが,7万7,000人もの多くの方々が来園をいただきまして,まさに後楽園の新たな魅力というものを発見をしてもらうなど,この300年祭は,県民の皆様はもとよりでございます県外の方々にも深い感動を与えたものと,このように私は考えております。
 300年祭によって残るものは何であるかというお尋ねでございますが,私も,さまざまな行事に出席をしたわけでございますが,若者からそして高齢者に至るまで,幅広い方々に御参加をいただいたところでございます。後楽園が持っておりますすばらしさ,そして伝統,こういったものが心に深く刻み込まれたものと,このように私は確信をいたしております。
 また,「庭園のこころ,新世紀へ」と,これがメーンテーマとなっておりますけれども,まさに後楽園の魅力というものを21世紀へ継承できると,このように考えているところでございます。
 来年以降の継続行事でありますが,これまでの年中行事に加えまして,御指摘をいただきましたような,好評をいただいた夏の夜間開園を含めまして,今回の300年祭で新たに行った四季折々の行事の中から,御支援をいただきました各種の団体とかあるいは実行委員会の御意見を踏まえまして,現在,継続可能なものというものを検討しているとこでございますが,その際,夏の夜間開園,こういったものは前向きに検討できればと,私はそのように願っているところでございます。



<平成12年6月定例会>(2000年6月20日)

(佐藤)  最後に,築庭300年を迎えた後楽園は,園内で数々のイベントが行われても,問題は1.5倍に入場者がふえたことによる波及効果であり,昨年9月議会で申し上げたように,特に経済波及効果がなくてはいけません。そのためにも,観光客の方に,歩いていただく,周遊していただく,そこで気持ちよくお金を落としていただくことが重要です。しかし,特に鶴見橋の状況は,やはり天下の三名園への導線として観光客に歩いていただくには余りにも危険と言わざるを得ません。いつ地元の自転車の高校生と観光客と自動車が接触事故を起こしてもおかしくない,普通の観光地では考えられない状況です。もっとも,生活道として自動車をとめてしまうわけにもいきません。
 そこで警察本部長にお伺いいたします。
 鶴見橋については,歩行者と自転車用の橋が横にかかるにこしたことはありませんが,財政厳しき折,それがたちまち無理でも,せめて交通規制をかけて片道一方通行にできないでしょうか。
 願わくば,1車線分をそのまま遊歩道に利用して,車道との境を花ポットで区切り,それを桃太郎大通りから城下,出石町,鶴見橋までの花回廊で結んではどうでしょうか。夏休み,秋の観光シーズンに,岡山駅から後楽園まで花で結べば観光客も喜んでくださると思いますがいかがでしょうか,土木部長にお尋ねします。
 また,桃太郎大通りというのならば,本当に桃の並木をつくり,春には岡山駅におり立つと一面の桃の花が迎えてくれる,そんな夢が描けないでしょうか,土木部長にお尋ねします。

(出納長)  県庁での使用状況についてでありますが,授産施設等からの昨年度の実績は,看板や記念品用の丸盆のほか,米消費拡大のキャンペーンで配付する米菓子や街路整備で植栽する葉ボタンの購入等でありますが,今後とも,各種行事における記念品等としての利用促進を図ってまいりたいと存じます。
 次に,庁用物品につきましては,安定的な供給が必要なことから業者登録を行っているところでありますので,登録に向けての指導を含め関係部と連携を図りながら取り組んでまいりたいと存じます。
 なお,お尋ねのおかやま後楽園300年祭では,岡山駅から後楽園までのガーデニング回廊の草花を購入しているところであり,平成17年の岡山国体の記念品等につきましては,今後開催準備を進める中で研究してまいりたいと存じます。

(土木部長)  花回廊についてでございますが,おかやま後楽園300年祭の一環として,本年1月から12月末までの間,岡山駅前から後楽園を結ぶ桃太郎大通りと後楽園線の歩道に四季折々の花壇を設置し,ガーデニング回廊としているところでございます。
 御指摘の鶴見橋につきましては,橋梁の幅員の関係や現在の交通量などからフラワーポットの設置は難しいと考えております。
 桃太郎大通りについてでございますが,街路樹として桃の木の可能性を調査するため,昭和60年に駅前から城下交差点までの区間で4カ所を選び,試験的に植栽し,生育状況等の調査を行ったところでございます。調査結果によりますと,開花は順調でありましたが,果実に車の排ガスによる汚れが目立ち,枝の伸びも悪く,病害虫の被害も多く十分に育たないということから,街路樹としては適さないという結論でありましたので,御理解を賜りたいと思います。
 なお,平成10年度に建設省が柳川交差点に花桃を植えておりますので,その生育状況等を見守り今後の参考にしたいと考えております。

(警察本部長)  鶴見橋を通行する歩行者等の交通安全対策についてでございますが,御案内のように,鶴見橋は昼間の12時間交通量が約6,700台と大変多いわけでありまして,また,市内中心部へのアクセス道路として重要な機能を有しております。しかしながら,議員御指摘のとおり,この橋が幅員7.4メートルと極めて狭く,しかも,歩道が設置されていないために,自動車,自転車及び歩行者がふくそうし,安心して通行できる状況にはございません。
 そこで,御提言のありました歩行者等が安心して通行できるための一方通行規制についてでございますが,この道路,あるいは橋の機能等を考えますと,規制を実施した場合の周辺道路への影響や地域住民の方々の御意向等を総合的かつ慎重に検討し,よりよい交通環境の確保に努めてまいりたいと考えておりますので,御理解を賜りたいと存じます。



<平成11年12月定例会>(1999年12月10日)

(佐藤)  次に,平成17年に記念すべき第60回目の国体が行われるわけでありますが,来年公募される国体の愛称が何であるにせよ,総合成績が何位であろうが,岡山に日本の注目が集まるわけでありますから,ここは岡山のすばらしさ,岡山らしさを存分にアピールしなくてはいけません。また逆に,岡山県民が一体になって全国の方々をお迎えする際のシンボル,岡山のアイデンティティーが必要であると思います。
 ところで,お国自慢としてあるいは短絡的に浮かぶイメージといったものがあるかと思いますが,はて,岡山は何なのかと考えると,あえて後楽園とは申しません。桃太郎以外にないのではないか。日本の歴史上,桃太郎ほど老若男女に愛され,日本全国津々浦々まで知れ渡った有名人はおりません。彼の偉大なる功績,相手が動物とはいえ,命がけの戦いにだんご1つで有無を言わせずついてこさせるカリスマ性といったものは,日本国民が皆認めているところであります。
 ところがしかし,桃太郎は単なるおとぎ話ではなく,壮大な歴史スペクタクルであるという方もおられます。一説には,海を渡ってきた百済の王子である温羅は,はるか昔,大和朝廷に匹敵する文化,技術を誇る古代吉備王国をつくり上げ,この岡山の地もまた日本の中心地として天下に名を響かせました。がしかし,我が吉備王国は大和朝廷に征服され,勝てば官軍よろしく,何と温羅は鬼扱いされ,大和の側が桃太郎と呼ばれるようになったというのです。おとぎ話に託された我が郷土のこんな悲しい戦いの歴史も岡山県民は知らなくてはいけません。そして,私たちは侵略者である桃太郎を許し,愛してまいりました。しかし同時に,はるか昔,真金吹く吉備の大空のもと跳びはねていた鬼にされた温羅もまた復権させなくてはいけません。大和に匹敵する古代吉備王国が栄えたそんなすごい歴史を持つこの岡山のすばらしさを我々県民自身が認識し,全国に誇りを持って訴えなくてはいけません。
 築庭300年,平成17年岡山国体はまさに桃太郎岡山をアピールする絶好の機会であります。そして,我々岡山県はこの桃太郎と温羅で食っていってもよい日本唯一の県であります。最大限文化,芸術,観光,教育に桃太郎や温羅を使わさせていただくこと,それが岡山の誇りになり,個性になると思います。そういった熱い思いを持ってこの桃太郎と温羅を考えるとき,岡山のお祭りは全国にもっともっとアピールすることができる潜在的可能性があるのではないでしょうか。恵まれた地理的条件,気候風土,桃太郎や温羅といった素材,岡山のお祭りには,やりようによっては日本のみならず,世界に発信できるものになり得るはずです。都市間競争が激化している時代に,岡山県にこの祭りありと全国から観光客が押し寄せる,どんどんお金を落としていく,そんな祭りがあればすばらしいと思います。
 具体的にお祭りの効用について考えますに,お祭り成功の一つの基準が言われていますが,第1に,地域のコミュニケーションづくりに寄与しているか。例えば,踊りに参加するためにチームで練習すること自体が地域コミュニティーの活性化になります。第2に,経済交流,物的開拓に寄与しているか。第3に,全県民,市民的交流に寄与しているか。第4に,重要な歴史・文化遺産を守るものか。桃太郎や温羅はまさに格好の素材です。そして,それは一過性のイベントではなく,地域の個性としてお祭りそのものが文化になります。第5に,現代人の不信感や疎外感を解消し,あしたの生活に活力を与えるものか。全国的に著名な成功した祭りは,多くの場合こういった基準に合致したものだと思います。
 また,逆にお祭りを成功させるためには,意識してこういった基準に沿わせる必要があると思います。そして,現代のお祭りの特徴を挙げるならば,基本的に道具はないが,おそろいの衣装の老若男女が,決められていない型でアップビートに合わせて集団で踊りまくるという,全員総参加型のものが受けているようです。
 別に悪く言うわけではありませんが,「踊るあほうに」云々の「阿波踊り」に高尚な思想性があるでしょうか,にもかかわらず「徳島阿波踊り」は,26万5,000人の人口の徳島市に4日間で137万人もの観光客を集め,うち半分は県外からのお客であるとのことです。宿泊施設の少ない徳島ですので,京阪神からの観光客は淡路島や高松に流れ,結果として広域観光圏がつくられています。この「阿波踊り」も,もともとは勝手連的に踊られていたものを観光協会が一本化させ,現在の形に至っているようです。「阿波踊り」は成功のすべての基準を満たしています。
 また,高知の「よさこい」も,実は昭和29年不況対策の景気づけとして始まったものが,7,600万円の事業費で,4日間で100万人を動員,人口32万5,000人の高知の町が県外からの観光客でごった返します。そして,この「よさこい」が北海道に渡り「よさこいソーラン」となり,第8回を数え,学生ボランティアの手で夏の一大風物詩に成長したのは記憶に新しいところであります。「よさこい」も「よさこいソーラン」も特に若い女性が集団で踊りに参加するという新しい現象を生み出し,一言で若者にとってかっこいい祭りになっています。加えて,「よさこい」が8月9日から12日,「阿波踊り」が8月12日から15日に固定化され,3大とも,4大とも言われる東北の夏祭り同様,回遊性を持たせているところは注目に値します。最初に点として観光客を呼び込み,周遊させ広域観光圏をつくるということです。
 さらに,松山では,その昔,伊予鉄道野球部員が高松遠征の宴会で踊ったのが発祥とされる「野球拳」を「ニュー野球拳踊り」としてこの夏よりパワーアップさせ,夏の観光客の落ち込む時期に「よさこい」,「阿波踊り」に連携づけながら,それに匹敵するものをつくり上げたい意向のようです。要するに,夏の四国はあちこちで踊りまくっているわけです。
 翻って,岡山のお祭りはどうでしょうか。残念ながら,岡山のお祭りや踊りで全国ブランドになっているものはないように思います。桃太郎や温羅という格好の素材がありながら,また交通の結節点として最高の立地環境にありながら,岡山のお祭りに全国から観光客が誘致できないのは宝の持ちぐされとしか言いようがありません。築庭300年もしかりですが,この不景気に県外からどれだけ観光客を呼び込み,どれだけお金を落としてもらうかが勝負になります。
 そこで,知事にお伺いいたします。
 お祭りの効用についてどのようにお考えでしょうか。また,中四国の夏祭りと広域に連携しながら,また岡山県内で連動しながら,経済波及効果をねらい,岡山の文化,伝統創造のためお祭りを展開していく戦略的プランをお持ちでしょうか。築庭300年が大きな夏祭りと連動していたら,平成17年国体が夏祭りとどこかで連動するならば,岡山県選手団の入場が「阿波踊り」や「よさこい」に匹敵する踊りに勇気づけられるなら,こんなにすばらしいことはないと思います。年に一度の夏祭り期間に命をかける,このお祭りで命を落としても本望である,そんな熱いお祭りをぜひつくることを手助けいただきたいと思います。
 以前,「燃えろ岡山県民運動」がありましたが,燃えにくい岡山県人を燃やすのはお祭りしかないと思います。そして,そのお祭りのキーワードは,桃太郎であり,鬼となった温羅であり,ともかく踊りまくることだと思います。どうか歌って踊れる知事,踊る岡山県庁が不景気を払ってくださることを心よりお祈りし,私の質問を終わらさせていただきます。まことにありがとうございました。

(知事)  お祭りについてのお話でございます。具体的なさまざまな事例を取り上げられ,また非常に全国の有名なお祭りについても大変深く勉強されまして,その成果を今お話をいただいたわけでございます。大変参考になるお話でございました。お話がございました桃太郎にちなんだお祭りということでございますと,皆様御存じのとおり,岡山県におきましては,「岡山桃太郎まつり」とかあるいは「おかやまショッキングフェスタうらじゃおどり」というもの等が行われております。こういったことで人的あるいは経済的なさまざまな交流あるいは各地域における地域の活性化,こういったことを考えますと,祭りが果たす効用,効果というものは大変大きいと,私も議員の御指摘,同感に思います。
 具体的に見ておりますと,お話がございました札幌市にあります「よさこいソーラン祭り」,これがどのようないきさつであのような形になったのか,私も若干パンフレットを見させていただきましたが,やはり大学生,若い学生さんがみずから発想して,若い方々がみずからそれを広げていって,自分たちの力でこの祭りを起こしたという経緯があるようでございまして,そういった面では学生さんの若さとか,その感性,こういったものが非常に熱意ある取り組みという形において実現をしてきたのではないか,今は観客動員数が193万人ということでございまして大変大きな祭りに成長しております。こういった祭りの経済的な波及効果というのは本当に大きなものがございまして,私といたしましても,本県におきまして多くの方々が集まって,そしてにぎわっていく,こういった全国ブランドに成長するようなそういう祭りの実現というものを,私も心から実現を願っているわけでございます。
 実は中国知事会等におきましても祭りについて話が出たことがございまして,こういった大きな大規模イベントをお互いに,先ほどお話がございましたとおり日にちを少しずらせてつなげていくというような,関連を持たせるといったような工夫をしてはどうかと,このようなお話もございまして,また同時に,一緒になってそれを全国に情報発信をしようじゃないかと,このようなお話もございまして今協議を進めているわけでございます。いずれにいたしましても,こういった祭りというものを継続させていく,あるいは大きくこれを発展させていくというためにも,何と申しましても,民間の主体的な取り組み,そして県民総参加ということが何よりも不可欠であると,私はそのように思っております。とりわけ佐藤議員のように若い方々のすばらしい感性,こういったものが私は何よりも大切ではないかと思っておりまして,皆様方のそういう大きなうねり,盛り上がりというものを心から期待し,そのような立派な祭りがこれからも大きく成長していくように,私自身もこれから先頭に立って,歌って,踊っていきたいと,このように思っておりますので,どうかよろしく御支援のほどお願い申し上げたいと思います。



<平成11年9月定例会>(1999年9月28日)

(佐藤)  いよいよ来年築庭300年を迎える後楽園についてお伺いいたします。
 まず第1に,300年祭実施計画の広報宣伝事業計画によりますと,本年度4月までが周知期間,4月から8月までが関心期間,9月からはいよいよ参加期間であるとのことですが,日本三名園の一つである天下の名園が300年を迎える喜びや期待感といったものがまだまだ伝わってきません。恐らく,岡山県民の多くがもう何年も何十年も後楽園に行っておらず,例えば県外からのお客さんにはチボリ公園と美観地区と瀬戸大橋を案内するのが普通で,吉備路や後楽園という本来なら観光の目玉になるところも,単につまらないという理由でお連れすることは少ないのではないでしょうか。今や後楽園は,残念ながらみやびや風流を楽しむ場であり,日本の伝統行事に和服を着て参加するのが正式な利用方法であり,月や蛍が出たときは,行く人は行きますという感すらあります。ちなみに,観光バス的には後楽園は典型的な1時間コースで,さっとおりて,ちょっと見て,さっと乗って,ほなさようならの観光地になっています。後楽園の観光客はピーク時から3分の1にじり貧となった今,県都岡山市の再生のため,岡山市にある後楽園の築庭300年を起爆剤にしていただきたいと切に切にお願いする次第であります。
 ところで,数年前の岡山城築城400年記念事業として岡山市がイベントを連発した結果,祭りの後の寂しさを若干感じさせるものの,これに便乗して文化団体,市民団体がかなり動きましたし,それなりの経済効果を上げたと言われています。当時の安宅岡山市長は,企画の段階から市民参加を基本に取り組み,約15億円のソフト事業費で20の記念イベントが行われ,その経済波及効果は投資額の19倍,290億円に及んだと豪語されておられます。
 そこで,知事にお伺いいたします。そもそも後楽園に対してどのような認識をお持ちでありましょうか,なぜこれほどまで観光客が減るとお考えでしょうか,そして築庭300年の記念すべき年に何を後世に残そうと考えておられますか,また,そもそも後楽園を文化財でなくチボリ公園に負けない観光資源として,これで県外から外貨獲得をしてやろう,ちょっともうけてやろうというような意気込みはお持ちなのでしょうか,おかやま後楽園300年祭がどのような効果を上げられるとお考えですか,すべて知事にお伺いいたします。
 第2に,岡山城かいわいは岡山市の管轄で,後楽園は県の管轄ですなどということは,市民県民のだれもが知りませんし,市民県民にとってはどうでもいいことです。要は,だれでもいい,岡山城・後楽園ゾーンを一体的に整備してほしい,それだけであります。一言で言えば,観光客に失礼な状況です。例えば,回遊ルートの設置等をとっても,どれだけ岡山市と連携されておられますか,萩原岡山新市政が発足して9カ月たった今,観光面で岡山市との連携がどれだけ進んだのでしょうか。また,後楽園の玄関口となる出石町の面整備がたなざらし状態となっていますが,どう取り組んでいかれるのでしょうか,知事にお伺いいたします。
 第3に,岡山県民の皆さんの多くが,岡山駅前で県外の観光客に「後楽園にはどう行ったらよいですか」と聞かれ,桃太郎大通りまではうまく説明できても,そこから後楽園の入り口までがうまく説明できなかった経験があるのではないでしょうか。本年1月からのプレイベントに引き続き,来年の築庭300年の本番に向けさまざまな誘客イベントを計画されておられますが,案内標識すら十分に整備されていなければ,県の温かいもてなしの第一歩が欠けていることになります。JR岡山駅をおりた観光客が,小学生でも,外国の方でも,だれも迷うことなく出石町と後楽園と岡山城までは行けるように案内標識の整備が必要なのではないでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 第4に,昭和27年以来,後楽園が文化財保護法で国の特別名勝に指定され,そうそう自由にいじられないことも重々理解した上で,今後の後楽園についての全般的な考え方について,やはり市民県民の皆さんにどれだけ開放していくのか,市民の憩いの場として,チボリ公園同様夜間に開放したり,ロックやジャズのナイトコンサートや周辺でのフリーマーケットなどを開催したりできないか,全国どこでもある土産物売り場が参道に軒を連ねるような形で土産物屋さんが後楽園を中心に広がっていかないか,検討すべきことは幾らもあると思います。要するに,市民県民にとって誇りに思えないもの,楽しく思えないものが観光客に受け入れられるはずもない,そういった認識から後楽園の今後について検討していただきたいと思います。これは要望です。

(知事)  後楽園についてであります。
 この認識でございますけれども,言うまでもなく日本三名園の一つでございまして,300年の歴史を現在に伝える世界に誇れる文化遺産である,また県を代表する観光資源であると,このように認識をいたしております。岡山県の後楽園は,御承知のとおり,明治に入りまして池田家より御寄贈をいただいたということで,現在県が管理をしているものでございます。
 観光客の減少についての原因でございますけれども,長引く不況というものも一つございますし,また余暇の過ごし方に対します価値観の多様化と申し上げましょうか,またさまざまな観光の名所スポットも次々に生まれているわけでございまして,そういったところへ観光客の方が行かれる等々,さまざまなそういう変化を受けて減少しているものと考えております。
 次に,300年の記念すべき年につきましては,多くの方々に後楽園の歴史的な,そして文化的な価値というものをまず再認識をしていただきたいと考えておりまして,後楽園が持っておりますその魅力というものを末長く継承していただきたい,このように考えております。
 後楽園を観光資源としてどう活用するのかということでございますけれども,ただいま申し上げました文化遺産としての価値というものを生かしながら,後楽園の新たな魅力を発見できるイベント,これを展開していきたいと,このように考えております。同時に,私も観光連盟の会長でございますが,観光キャンペーン等幅広く展開をすることによって,国内外から多くの観光客の皆様方に訪れていただけるように今後も努めてまいりたいと存じます。
 いずれにいたしましても,おかやま後楽園300年祭におきましては,全国へ後楽園の知名度を高めるとともに,文化の振興あるいは観光の振興など県内の隅々まで効果が及んでいきますように,私自身が先頭に立って取り組んでまいりたいと考えております。
 岡山市との連携についてでございますが,おかやま後楽園300年祭を契機といたしまして,岡山城と後楽園の連携を図るために連絡会議を県と市の間で設置をいたしております。その中で,文化遺産としての情報発信とか,あるいは観光地としての魅力づくり,こういった問題点につきまして一体的に取り組んできております。
 お尋ねがございました回遊ルートについてでありますが,おかやま後楽園300年祭にあわせまして,岡山駅から後楽園・岡山城ゾーンを季節感あふれる花で飾るガーデニング回廊というものを岡山市と連携を図りながら進めることといたしております。
 また,観光面での岡山市との連携についてでありますけれども,観光施設の割引制度の設定を行う等,これまでも岡山市と十分協議をいたして,また連携をしてきているところでございます。今後とも,後楽園・岡山城周辺の整備,あるいは観光振興策につきまして,市と十分連携,協議を深めてまいりたいと考えております。
 最後に,出石町の面的整備でありますけれども,平成5年に後楽園周辺整備基本計画という形で取りまとめまして,構想の具体化に向けて地元の方々との意見調整,あるいは岡山市との調整などを行ってきていたところでございますが,御承知のとおり,平成9年の秋の行革大綱の中におきまして,事業計画を見直すこととし,凍結というふうになっているところでございます。今後は,県の財政状況を初め岡山市あるいは地元の取り組み等も勘案をしながら,県としての対応というものを検討してまいりたいと考えております。

(土木部長)  後楽園までの案内標識についてでございますが,観光客の案内等をするために国,県,市が連携を図りながら,平成9年度に岡山市歩行者案内標識整備計画を策定し,JR岡山駅前,桃太郎大通り,中心市街地の交差点などを中心に,ローマ字を併記した案内標識を33基設置しており,今年度についても主に後楽園周辺で17基を整備する予定にしてございます。
 また,車で訪れる方々のためには,岡山市に向かう主要な幹線道路から後楽園や岡山城へスムーズに行けるよう,各道路管理者が協力して観光地への案内標識の整備を進めているところでございます。来年の築庭300年を迎えるに当たり,観光客の利便性を図るため,案内標識の整備充実に努めてまいりたいと考えてございます。

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