2004年2月1日(日)
【観光としての文化ゾーンについて】

 いよいよ2月ということで、プロ野球各球団も一斉にキャンプイン。朝起き会から京橋朝市を経て、早くも、ある地域のスポ少のソフトボール招待大会。昨年から延期されていたものですが、気合いの入り方が違います。スポ少、元気ええなぁ・・・・!!


 そこから「文化ゾーン」めぐり。これは、2月定例会の一般質問の調査と称して、家族を巻きんだ不評のツアー。私は楽しかったのですが、さすがに、3歳の我が子には、無理でした。
 結局、彼は、人生で既に30回を越えていると思われる後楽園遊び(餡入りきびだんごの試食他)に、興じていたわけです。

 私といえば、
 この4月以降閉館する県立総合文化センターで、岡山市水墨画連盟の水墨画展を観て、お隣の県立美術館で、今日までの『もうひとつの明治美術』を覗き、後楽園に回って、県立博物館で、30日からの特別展『動乱と変革の中で〜岡山の幕末維新〜』。

 毎度のことながら、低予算の中、県立博物館の汗をかいた特別展は、地味ながら良い出来です。NHK『新選組!』でもありませんが、幕末から維新にかけて、岡山はどうだったのか、たいへんに勉強になります。
 博物館の雰囲気と相俟って、これはこれで、味わいがあります。

 岡山は、もともと尊王攘夷派か?佐幕開国派か?長州征伐や会津戦争の時、どういう態度だったのか?「ええじゃないか」の時、岡山ではどうだったのか?等々ご関心のあられる方は、是非、ご覧になることをお勧めいたします。



 それにしても、
 こうしてみると、JR岡山駅から1kmも行けば、素晴らしい文化ゾーンが広がることを実感します。同時に、点と点を結ぶ導線が、なんとも分かり難く、さらに、おもしろくなく、また、公共交通機関に、頼り難い感じもしました。これでは、オリエンテーリングです。
 地域住民ですらこうなのですから、観光客なら、なお更でしょう。

 先日の松江の「ぐるっと松江レイクライン」という市内循環バスで、宍道湖畔を走ると、少し浸りながら「一人旅」という風情が、何とも心地よかったのですが、岡山が、松江に、本来負けるわけがないと思います。
 それぞれは、本当に素晴らしいのですから・・・。

 我が街の文化を我が街の者が、誇りと自信を持って、もっと体感できなければ、この街の素晴らしさ、それが、観光客に伝わるわけがないのです。

 しかし、なぜ、こうなんだろう?

 その解決のキーワードは、「回遊性」だと思います。「ネットワーク」と言っても良いものですが、我々の「ネットワーク」の結び方が下手な県民性そのものが、街に反映されているというのは、言い過ぎでしょうか?
 点は素晴らしいけれど、それが、線に、面に、うねりにならない。己の枠を超えようとしない。・・・・自戒を込めて。

 様々な場面で、そこが問われているのだと思います。


 文化ゾーンの中心と思われる後楽園周辺には、岡山城、県立美術館、県立総合文化センター、市立オリエント美術館、シンフォニーホール、市民会館、林原美術館、県立博物館、夢二郷土美術館等々があり、さらに、今秋からは、県立図書館、さ来年度からは旧日銀跡地・・・直径1キロ以内に、10を越える核になる文化施設が集まっていて、さらに、ミニシアターや、民間のギャラリーを加えれば、全国的にも、間違いなくこれだけの文化ゾーンはない、と思います。

 これをいかに繋ぐのか。文化立県は、観光立県とイコールだと思います。


 まずは、後楽園。日本三名園の一つながら、入園者は、同じ三名園の兼六園は、後楽園の2倍以上。何が問題なのか?

 後楽園を訪れる県内外の観光客は、新鶴見橋から蓬莱橋を渡って、あるいは鶴見橋を渡って駐車場で下車し、園内を見物した後、バスまたはマイカーで次の目的地に向かっています。

 しかし、後楽園に通じる鶴見橋のたもとにある出石地区は、観光客相手に栄えた時期もありましたが、空き家が目立ち、昔の面影はありません。
 普通は、周辺地域は、観光で食べていても、おかしくはないでしょう。後楽園と兼六園は、誰がどう見ても、後楽園の勝ち!ただ、お城等との回遊性で、完敗です。


 平成3年9月定例会で、当時の長野知事は、
 『後楽園周辺が寂れた原因の一つというのは、私に言わせますと、はっきり申し上げると、後楽園のわきに駐車場をつくったことにあると思っております。
 あれは、私ども幼いころは、弓之町の停留所で電車をおりまして、あそこから歩いて行ったんですね、みんな、坂を上がって歩いて行った。そうすると、その両側にいろいろ店が並んでて、今は観光バスでしゅっとやってきまして、後楽園くるっと回って、しゅっと帰ってしまう、そうするともう周辺の町とは関係がなくなってしまった。
 これがあの出石町かいわいを後楽園のあれは門前町のようなものであったわけでございますから、そういうものを寂れさした最大の原因だろうと思っております。』
と、述べられています。

 私は、まず、看板建築の古い家並みを生かした門前町を復活させるという白紙撤回された整備計画の復活が、必要であると思います。

 具体的には、「現在の駐車場は、あのままでいいのか」ということです。実は、現在、後楽館中高一貫校がある元の中国四国農政局跡地に、本格的な岡山県観光物産館と観光バス離発着場として整備すべきだという意見もありました。

 しかし、教育財産として向こう10年は使われますから、他の場所ということになると、土地開発公社が土地を手に入れた土地も、県が買い取り、今では、駐車場として使っているものですが、NPO支援施設移転後の17年以降どう使うのか?

 関連して、現在の石関町の総合福祉会館から県社協以下ごそっと、国立病院跡地の新総合福祉ボランティアNPO会館に、抜けられるわけですが、その後をどうするのか、NPO支援施設と加えて、問題になります。

 ともあれ、観光バスの集積する場を別に設け、新設なる鶴見橋歩道橋を観光客の皆様には、歩いて頂く戦略が必要です。



 さらに、問題は、岡山シンフォニービル内の観光物産館「晴れの国岡山館」。平成3年開設ですが、場所自体が非常に分かり難く、観光客が岡山の物産を買って帰られるかという意味でも、観光客のニーズに適切に対応できているように、私には思えません。

 むしろ、あの場が、せめて午後11時まで開いている、いわゆるレストランであれば、市民会館やシンフォニーのコンサートの後、暗い桃太郎大通りを腹を減らせて帰ることもないでしょう。

 いずれにせよ、我々青春18きっぷ愛好家、かつ、「スタンパー」(私の造語で、各観光地やJR駅に行っては、観光スタンプを押して喜ぶ趣味を持つ者を指す。)には、岡山の観光物産館は、駅や観光地から離れすぎです。


 ただ、個人的には、上之町の民間取得の銀行跡地等を全部抜いたビルにして、1Fに、観光バス・ステーションを設置。上は、郷土料理が賞味できるレストランや岡山県の特産品の展示、即売コーナーを設けてはどうか、つまり、後楽園入り口で降ろしますが、集合は、3時間後に、上之町バスセンターですよ。食事も自由にして下さいね、といったイメージです。が、そういう案を持っています。

 ともあれ、再開発が、マンションでなくても良いではないか、さらに、商店街の窓口で、中心市街地の活性化にもなるではないか、ということですが、民間が取得されてもおり、非常に厳しいとは思います。



 さらに、県立総合文化センターの17年までの閉館は、どう考えても、文化団体には不便が生じます。
 そこで、民間の施設、ないしは、公共の遊休施設、例えば、もとは、土地開発公社のビルである上之町ビル内に、暫時展示機能を移転し、文化ゾーン内における文化団体の展示場は、残すべきではないでしょうか。



 そして、なによりも、街中に、パークアンド循環バスライド機能を持たせる施策は重要だと思います。極端な話、マイカーの観光客は、文化ゾーンに入れず、循環バスに乗り換えさせるように誘導するのです。

 これは、金沢市でも、松江市でもやっていることで、100円バス、ないしは、200円のレトロバスが、文化ゾーンと観光客駐車場を循環し、いちいち駐車場に停める手間がかからないというものです。例えば、路面電車や他の公共バス乗り降り自由で、1日500円といったイメージです。



 また、一番重要なのは、分かりやすい標識、あるいは、ランドマークです。
 城下で、後楽園はどこですか?岡山城はどこですか?と、観光客に聞かれたことがない方の方が少ないと思いますが、それぐらい、文化ゾーンへの導線は、不親切です。

 桃太郎大通りの一連の桃太郎がらみの銅像には、感心しませんが、城下交差点や柳川交差点に、ここは、桃太郎の街であることを印象づけるランドマークがあり、さらに、舗装や看板やマンホールの蓋等で、黙って後楽園や烏城に行くことができる工夫が必要であると思います。



 いずれにせよ、文化ゾーンについては、まだまだ課題があります。たちまちNHK移転後の跡地をどうするのか、さらには、文化財としての城壁があるため基本的には、施設の立替え不能な内山下小学校跡地をどうしていくのか、特に、後楽館中高一貫校の17年度以降の現中央北小学校への移転が噂される中で、ここが、駐車場や観光バスステーションというのでは、歴史と伝統ある文化ゾーンとしての知恵がない、ということになると思います。


 もっと言えば、県が、後楽園所管ということで、岡山城との連携がうまく行かないのなら、市に管理委託するか、文化ゾーン特区でも作るか〜。


 私は、こういう夢を見ます。
 岡山駅に降り立った一人の観光客が、あるいは、パークアンドバスライドの駐車場に降り立った家族連れが、循環バスで、後楽園や烏城は、もちろん、林原美術館や市立オリエント美術館や夢二郷土美術館等を観て、水辺のももちゃんまで見た挙げ句、岡山の郷土料理(さわら、ままかり、野村のカツ丼等)を食べまくり、宿泊。

 明日は、京橋朝市で、美味いうどんを食べて、それから吉備路と倉敷で・・・あぁ、本当に岡山は、観光だけで何日もかかって、金が幾らあっても足りないなぁ・・・きびだんごと大手饅頭を土産に、そう言って貰いたいものです。

 実に岡山は、それだけのところだと思います。

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