2001年12月25日(火)【岡山県動物愛護センター】

 「こころ・その472」で畜犬処分場について書きましたが、個人的には、なにかすっきりしない施設が、この「岡山県動物愛護センター」です。

 昨年12月の事業評価委員会意見では、現施設の老朽化に鑑み、事業実施の緊急性は高く必要性はあるが、基本計画の施設の規模と内容については、見直しを図るべきで、地元と十分に協議しながら進めることが重要であるとし、県も、その通りの方針を示しました。
 新基本設計が、平成14年度。15年度から、建設工事。17年度から、業務開始という流れです。

 そういえば、委員会意見発表、即日の方針発表に、議会軽視と激怒していた(当時の「こころ」に詳しい)のが、丁度1年前で、そのあたりから、私は、行政に不信を覚えるようになったのでした。
 そして、この12月には、大規模事業評価委員会の評価が出たというわけで、縮小で、ゴーサインです。


 当初(整備基本構想は、平成4年作成)は、動物行政の推進のため、保護管理、収容所分、人畜共通感染症の調査などの機能を集約化するとともに、動物愛護思想の普及啓発、適正な飼育の相談指導の外、各種情報の収集や提供などを総合的に実施する拠点施設を整備するということで、御津町内に、計画されていました。
 概算事業費は、33.7億円。うち、既に8.1億円を支出。平成6年度には、約8haにも及ぶ広大な土地を取得しています。
 ちなみに、見直し後の概算工事費は、約17億円で、約9億円が節減されます。


 ところで、この施設は、周辺環境の保全等に配慮しながら、「人と動物が共存できる豊かな地域社会」の実現を目的としていますが、事業評価委員会のいう老朽化した施設とは、言うまでもなく「小動物研究所」すなわち畜犬処分場のことです。

(「こころ」その472より)

 小動物研究所、正式には、県畜犬処分場は、昭和43年に作られました。従来は、民間の化製業者や岡山市長に委託処理していたところ、運営・施設面で、環境汚染の問題が生じ、地域住民ともトラブル発生、県で処理場を建設することになったのです。
 管理運営、処分犬の輸送、処理は、岡山県獣医畜産事業局組合に全面委託されています。
 山間の本当に小さな施設で、横を通過してもまずそれとわからないでしょう。そこで、全県の保健所から輸送された犬・猫が早朝に、年間約1万頭処分されています。
 安楽死とされる炭酸ガスを送られ、大量処分されます。特に、犬は、輸送自動車ごと 入れる処分施設の中で、処分されます。
 後は、一頭一頭焼却炉に入れられ、焼却処分されます。午前10時過ぎ現在まだ焼却炉は暖かく、麻袋の中に灰は入れられていました。
 委託費は、年間3800万円。私は、本当に、このお仕事をされる方の尊さを思います。本当にありがたいことです。
 同時に、憤懣やるかたない、怒りの気持ちに襲われます。・・・略・・・


 この畜犬処分場の機能を効率的にする一方で、動物愛護関係事業、例えば、小犬等の譲渡事業、動物とのふれあい教室、動物なんでも相談事業、犬・ねこの里親情報仲介、動物愛護のネットワークづくり、動物愛護フェスティバルの開催、などが予定されています。
 これらと収容棟(処分施設)、納骨堂・火葬炉、動物霊園が、地域の憩いの場と共存する、実に、精神的には、辛い施設です。
 悪いのは、明らかに我々人間です。


 なお、この施設は、整備を交付税措置のある地方単独事業(地域総合整備事業)として実施しており、国の財政支援措置が、総事業費の2割を越えると見込まれています。
 そして、PFI手法を導入しても、支援は、3%程度と見込まれるということで、まさにPFIによる管理運営に、施設の性格からして、私は、最も馴染むと思うのですが、県直営で行い、業務に応じて個別委託方式(お馴染み外郭団体へ)を採用する方向のようです。

 結局、PFI手法の導入というのは、施設の性格ではなく、国の財政支援措置が、あるかないかで、決めている節がある、と言われても仕方ないのはないでしょうか。


 いずれにせよ、最も重要なのは、設備の特殊性から、地元との協力関係です。絶対的な信頼関係が必要です。
 そして願わくば、収容棟部分が開店休業になるように、我々は、最大限度努力しないといけません。

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