平成25年6月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治


1 地方分権について          (総務)[ 知   事 ]
(1)中央集権型システムの限界等          
(2)経済対策
   ア 国に頼らざるを得ない現実          
   イ 成果等                   

2 道州制等について
(1)思い               (総務)[ 知   事 ]
(2)枠組み              (総務)[ 知   事 ]
(3)実現のための地方からの取組    (総務)[ 知   事 ]
(4)基礎自治体の不信感    県生協力(総務)[ 知   事 ]
(5)給油所過疎地への対応       (県生)[ 知   事 ]
(6)隣県との推進方策         (総務)[ 知   事 ]

3 本県の強みを生かした産業振興について
(1)アンテナショップ         (産労)[ 知   事 ]
   ア 思い
   イ 基本的なコンセプト
   ウ 商談拠点としての機能
   エ オール岡山での今後の対応
(2)既存の地域資源の活用
   ア 県施設等の連携        (産労)[ 知   事 ]
   イ 林原自然科学博物館  教育協力(環文)[ 知   事 ]
   ウ 岡山産素材          (産労)[ 知   事 ]
   エ 木造仮設住宅に係る災害協定  (土木)[ 知   事 ]
(3)大型ショッピングセンターへの認識等
                    (産労)[ 知   事 ]




(佐藤)  皆様,おはようございます。
 自由民主党の佐藤真治でございます。
 ありがたいことに,この議会の一般質問のトップバッターということでございますが,実は質問戦に続いて来週の金曜日のトリが同期の蓮岡議員でございます。何か最初から最後まで,ちょっと暑苦しい感じがするかもいたしませんが,ことしの梅雨には本当に困ったもんだということで,どうぞよろしくお願いいたします。そしてまた,私ごとではございますが,今回50回目の一般質問ということでございまして,毎回傍聴に来ております妻,我々夫婦にとっては,この50回はもう夫婦の歴史でございますし,また,40回以上傍聴にお越しいただいている方も大変多くいらっしゃるということで,心から感謝を申し上げたいと思います。
 それでは,キャンプ序盤,シートバッティングが始まったような勢いで,脂っこい質問及び提言をさせていただければと思います。
 まずは,地方分権につきまして,このたび国の要請に沿って職員給与についてその減額支給措置を行うことを提案されておりますが,まさに断腸の思いであり,地方交付税を手段として,国が地方公務員の給与減額を実質的に強制することは,地方自治の観点から重大な問題であり,あらゆる機会を捉え,二度とこうしたことを行わないよう,国に求めてまいりたいという知事のお言葉に,私は共感するものがございます。まずは,行政経営をされる中で,何かあれば国に依存せざるを得ないということ,あるいは国に権限,財源を握られて,地域の特性や住民の多様なニーズに応じた施策の展開ができない,あるいは国の都合で地方が左右されることなど,中央集権型システムの限界や不合理ということを痛感されたのではないでしょうか。率直な御感想と知事の考えられる地方自治体,また,地方分権のあるべき姿についていかようにお考えか,あわせてお知らせをください。
 あわせて,経済対策についてでございますが,世界的な景気後退による税収減と繰り返される大規模な経済対策で急激に財政状況も悪化して,新たに新規国債を発行して,今回の追加経済・雇用対策,いわゆるアベノミクスが展開されております。もちろんこれには我々も期待をしておりますし,責任があるわけでございますが,さまざまな要望を受けて,そして調整をされて,大変な御労苦で予算編成されたと思います。ただ,国から来るこうした臨時交付金や国庫支出金が,地方にとっては必ずしも自由度が高く,貴重な財源である,そのように私は国民としては手放しで喜んでいるわけではありません。こうした地方の生殺与奪権が結局赤字国債を発行できる中央にあって,地方は国に頼らざるを得ない,そうした現実についてどのようにお感じでしょうか。
 しかし,今回のアベノミクス,経済対策が,ありがたいことに,例えば中小企業支援の予算が平年の4倍分もあるのは事実であります。これを生かすことは,まさに地方の裁量とも言えます。一方で,持続可能で突き詰めれば,県民の皆様一人一人の所得が上がる経済対策として,地方サイドでより実効的なものにしていく努力も当然必要であろうと思います。具体的な成果及び今後の生かし方の思いをお知らせください。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 地方分権についての御質問であります。
 まず,中央集権型システムの限界等についてでありますが,国が一方的に政策を決定し,地方は従わざるを得ないという状況は,不適切と言わざるを得ず,こうした状況が続けば,地方の活力が著しく損なわれ,ひいては国全体の活力をそぐことにつながりかねないというのが,今回の経験を通じての率直な感想でございます。価値観の多様化した成熟社会においては,より住民に身近な地方自治体が,住民のニーズや地域の実情を丁寧に把握しながら,みずからの判断と責任において,真に必要な政策を決定,実施し,そして何より住民福祉の向上につなげていくようにしなければなりません。このため,補完性の原則に基づく事務,権限,財源の大胆な移譲により,住民自治,団体自治双方の充実と国全体の行政システムの最適化を図ることが,地方分権のあるべき姿であると考えております。
 次に,経済対策のうち,国に頼らざるを得ない現実についてでありますが,本県においては,国の緊急経済対策に呼応し,老朽化した公共施設の緊急的な補修など,本県として必要不可欠な事業について補正措置を講じたところであります。しかしながら,お話のとおり,財源の選択が国のメニューに左右される現状は問題であり,地方の財政運営に必要な財源を国に頼らず,安定的に確保するための地方財政制度の確立が不可欠であると考えております。
 次に,成果等についてでありますが,国の15カ月予算に対応し,景気の下支えを図るため,今年度当初予算では,緊急雇用創出事業を初めとする基金活用事業や中小企業への金融支援,公共事業等により各種経済・雇用対策を実施することとし,早期に具体的な成果が上がるよう,全力で取り組んでいるところであります。また,国の成長戦略を踏まえ,民間活力が最大限発揮できるビジネス環境を整えることで,企業立地を初めとする県内投資を促進するとともに,企業の新技術,新製品の開発や販路拡大を支援することなどにより,県内の雇用や消費の拡大につなげたいと考えております。いずれにしても,地方の自主財源が十分でない現状においては,国の政策を活用し,県として可能な限りの工夫を凝らしながら実効性のある経済対策を進め,地域経済の活性化を図ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(佐藤)  まことにありがとうございました。
 これは質問というよりも,こうしてアベノミクスという経済対策の中で,本来は一人一人の所得が上がる,そうした実効性のあることを地方でやりたいんだけれども,今回は地方公務員の方々,県庁職員の方々,教職員の方々については,やむなく給与削減ということで,アベノミクスの目指す方向と若干矛盾するところもある,このことは多分知事も大変におつらい思いもされておると思いますし,そうした意味では,我々議会としても議決をせざるを得ないようなことになると思うんですけれども,その中で本来はこうしたことはイレギュラーなことであるということは,私自身強く感じておるところでございます。
 そうした中で,道州制について伺います。
 まずは,こうして国に依存することのない自立可能な税財政制度のもとで,地方はみずからの判断と選択に基づいて必要な行政サービスを,迅速かつ的確に提供できる真の地方分権型行政システムの確立をしようとすれば,私は道州制の実現というのは,地方分権の論理的な帰結であるというふうに考えております。一方で,私が考える道州制は,極めて言葉がこれは不適切だと思いますが,ある意味内戦に近いものがあります。中央集権国家体制に対して,もちろんこれは武装するわけではありませんが,地方からある意味反乱を起こすという,これはあくまで戦いだというふうに思います。我が国の何がおかしいのかということを一言でいえば,要するに国税と地方税の割合が6対4であるにもかかわらず,実際の事業は国と地方で4対6である。要は,一旦国に税金をある意味召し上げられて,地方に再配分される間に,異様な無駄,これは人間,権限,財源においてでありますが,無駄がある。そして,これをただしていく。ある意味で失礼な言い方になりますけれども,霞ヶ関や永田町から,人間,権限,財源を地方に取り戻してくる,それが私は道州制,その手法が道州制だと思います。そうした意味では,道州制の議論というのは,バラ色の未来を描くというよりも,このままだと日本や地方が本当にぶっ壊れるぞという,やむにやまれぬ状況の中での究極の選択であるというふうに思っております。要は,生きるか死ぬかの中で,やらなくてはいけない選択ということで,これをしなければ死んでしまうからそうするんだということであります。道州制は,国と地方の役割分担を見直し,新しい国の形をつくるという,地方分権改革の究極の姿と言えるものです。東京一極集中のもとで,地方に蔓延している閉塞感を打破し,個性豊かで活力に満ちた地域を創造し,我が国全体の発展を図っていくために,地方から国を動かしていく,それが道州制の議論の本質だというふうに思います。そして,あえていえば,こうしたものを我々地方が本当に熱くならなければ,国のほうから本気でやりたがるわけがないというふうに思っております。
 まず,知事の道州制に対する思いをお知らせください。
 ところで,我が県は,道州の枠組みについて,21世紀の分権時代にふさわしい自律力と競争力を備えた圏域として,中四国州を提唱してきたわけでございますが,私はもちろん中四国州自体,夢としては描けますけれども,それは一つの結果であって,目的は道州制そのものである,道州制そのものではないかというふうに思います。したがって,中四国州になろうが,中国州になろうが,岡山市が州都になろうがなるまいが,道州制に進まなくては日本や地方がだめになるという話でございます。だからこそ,国の行財政改革の一環ではなく,地方から喚起する道州制の議論に迫力が出てくるんだというふうに思います。第3次おかやま夢づくりプランには,中四国州構想推進プロジェクトが掲げられていましたが,あえて道州の枠組みについて,現時点でいかようにお考えか,お伺いをいたします。
 また,こうして国の形を変えるような大改革でありますが,これを実現するためには,明治維新に匹敵するような国民全体の大きなエネルギーが必要かもしれません。今後,どのように地方から道州制について取り組んでいかれるか,お考えをお知らせください。
 一方で,岡山県においては,97からさらに78市町村が27市町村になった市町村合併,いわゆる平成の大合併の中で,こうした広域合併を進めてみても,結局は県や国の有効な支援がない現実から,基礎自治体のほうからは,道州制については否定的な見解が根強く,とりわけ町村会は真正面から道州制の推進には反対の立場をとっておられます。特に,道州制がさらなる合併を強要するものではないかという不信感が渦を巻いておるわけであります。やはりここで平成の大合併のある意味功罪,とりわけ県として果たしてきた役割や今後果たすべき責任を明確にしなければ,決して道州制の議論は地方において前には進まないというのも,私は十分に理解のできるところでございます。この点について,県は何をすべきか,御認識をお知らせください。
 そして,例えば,今,起きている問題として,ガソリンの需要減や老朽化したタンクの改修費などで閉鎖が加速化し,給油所過疎地と指摘される自治体が,今,増加しています。その中で,高齢者の方への灯油の配達であったり,農業用機械への給油等への問題も既に出てきております。こういうときに,県は手をこまねいて見ているだけなのか,こうしたときの対応についてお伺いをいたします。
 一方で,道州制に移行するかしないかにかかわらず,真の地方分権の推進のためには,地方全体が一致団結をして取り組んでいくことが重要だと思います。国主導の議論とならないように,地方が連携,結束をして,具体的な姿を積極的に地方の側が提案,提言していく必要があると思います。そうした中,今後,道州制あるいは広域連携を推進するよう,隣県との政策のすり合わせも必要であると思いますが,具体的な方策についてお考えをお知らせください。


(知事)  お答えいたします。
 道州制等についての御質問であります。
 まず,私の思いについてでありますが,私も地域がみずからの判断と責任において政策を決定し,個性豊かで活力に満ちた地域を創造することにより,我が国全体の持続的な発展につなげることができる,真の分権型社会の実現が必要であると考えております。道州制は,将来の行政システムとして有力な選択肢の一つではありますが,まずは国と地方の十分な協議のもとに,地方分権の理念に沿った制度設計を行い,国民的な議論を喚起していくことが不可欠であると存じます。
 次に,道州の枠組みについてでありますが,いまだ制度設計の詳細が明らかでないことから,私自身,道州制導入の適否を判断するに至っていないところでありますが,導入されるとすれば,具体的な制度設計を踏まえ,国民的な議論を経て,道州の区域も決定されるものと考えております。
 なお,第3次夢づくりプランの行動計画に掲げている中四国州構想推進プロジェクトの取り扱いについては,今後のプラン改定作業の中で検討してまいりたいと存じます。
 次に,実現のための地方からの取り組みについてでありますが,お話のとおり,道州制は国の形を変える大改革であり,国民の理解と協力がなければ到底実現できるものではありません。そのため,まずは国と地方が十分に協議して,道州制の詳細な制度設計を行った上で,そのメリット,デメリットや課題等を丁寧に検証,議論し,地方においても地域の経済や生活への影響等を含めて積極的に情報発信することで,国民的な議論を喚起していくことが必要であると考えております。
 次に,基礎自治体の不信感についてでありますが,平成の合併は中心部以外の地域の衰退を招いたとの指摘もある一方で,行財政基盤の強化等により,住民サービスの充実が図られた面もあり,合併市町村に対し,県としても財政支援や人的支援を行ってきたところであります。道州制導入後の道州や基礎自治体のあり方は,国,道州,基礎自治体の役割分担や税財政制度など,制度設計の内容により大きく異なることから,現時点において県が今後果たすべき役割等を想定することは困難であります。
 なお,道州制のもとにおいても,住民に必要な行政サービスが持続的に提供されるよう,基礎自治体間の連携による事務の共同処理や,道州による事務の代行といった多様な手法が柔軟に選択できる制度とすることが望ましいと考えております。
 次に,給油所過疎地への対応についてでありますが,給油所の数が減っていく中,県としては,県内の状況把握を行うとともに,給油所を地域が共同運営する国の実証事業について,該当の市町村に情報提供もしてきたところでありますが,現時点では,事業の導入を希望する市町村がないところです。引き続き,国の実証事業の情報提供に努めるとともに,給油の困難な地域への対応について,市町村等との連携も視野に入れながら対応を検討してまいりたいと存じます。
 次に,隣県との推進方策についてでありますが,先月の中国地方知事会議において,防災や産業振興,観光など,さまざまな分野で広域連携を推進するための体制強化を図ることとし,組織のあり方や進め方等について,秋の知事会議までに内容を詰めていくこととしたところであります。こうした取り組みにより,中四国各県などとの広域連携の実績を積み重ねるとともに,道州制を含む地方分権改革についても,近隣各県と連携して,研究,検討を進め,国に対し必要な働きかけを行ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(佐藤)  まことにありがとうございました。
 道州制の議論については,先般も新聞等にありましたように,まず地方のほうからこれがいいのか悪いのか,ちょっとムードが下がっておるのも事実だというふうに思います。ただ,問題として,これは地方のほうから言っていかなければ,この議論は決して前に進まないだろう。今,知事の御答弁の中に,有力な選択肢の一つであろうということ,あるいは導入されるとすればというふうな言葉もどんどんあったんですが,これは主体が国が決めるのかというお話に,私は聞こえたわけであります。あくまで,これは地方のほうから主体的にやっていく話であろうということ,そのことについての,まず御認識をお伺いしたいと思います。
 そしてまた,特に市町村合併の中で多くの市町村が結果的に広域合併してみても,これはうちの地域,過疎地域になって,そして県や国の支援も少ないじゃないかという,そうした懸念もあるわけでありますから,そこの部分のフォローについては,今も十分にする必要があると思いますけれども,その中で特に今問題になっている国民的な議論という言葉をおっしゃっていただいたんですが,県民的な議論というのはないのか。県民的な議論,これがいいか悪いかも含めて,メリット,デメリット,国のほうで判断されて,その推移を見守るというふうな表現に受け取れたのでありますが,これは県民の皆さんの間で十分に議論できることではないかと思うんですが,県民的な議論ということについてはどのようにお考えか,お知らせください。


(知事)  先ほど道州制について,地方のほうから主体的に動くべきではないかと,その認識についての御質問でございましたが,制度について地方のほうから提言をすることもあれば,国のほうから提言をすることもあろうかと思います。ぜひ私は,もっと国民のためになる,県民のためになる制度というものを模索していきたいわけでございますが,ただその理想のあるべき制度が道州制と決まったわけではないと考えております。その理由の一番大きなものは,道州制と言われているものが同じ名前でありながら全く違う制度を束ねて道州制と名づけているからでございまして,どういう形がいいのか,それについて議論をしなければいけないと思っています。道州制という名前がついていれば,どんな形であっても道州制になってみんなが幸せになるということはないと考えております。
 あと,基礎自治体へのフォローについてということでございますが,基礎自治体は住民へ直接サービスをする大事な組織でございます。もし基礎自治体のほうで何か十分なことができないということがありましたら,補完性の原則に従いまして,県としてもフォローをしていくべきだと,このように考えております。
 また,県民的な議論ということに関しましてですが,私が申しました国民的な議論というのは,当然県民も含んでいるわけでございまして,それぞれの地域,それぞれの県で県民的な議論を起こすことで,それがすなわち国民的な議論にもつながるものと考えております。


(佐藤)  どうもありがとうございました。
 確かに,道州制のお話というのは,制度論,そして人によってこの概念も全然違うということで,ここを整理する必要はあると思いますけれども,逆に言うと,道州制という言葉がそれだけ曖昧な言葉であるのであれば,やはりこれをまず県民の皆様にきっちりとパターン等を含めてお知らせすべきだろうということで,それはまさに国のほうからやるのを待っていただくのではなくて,地方のほうから県民的な議論をまず起こすべくやるべきではないでしょうかということは,思いとしてございます。そして,議論の本質としてあったのは,要は税の配分の仕方について,一度国に入ったお金が地方に戻ってくる間にさまざまな無駄が生じているんじゃないですかという話,そこを取り除くために道州制というのが一つの方策としていいのではないかということで,それにかわり得るような仕組みがあるのであれば,私はそれはそれでいいと思いますが。本質というのは,権限,財源,人間が国から地方に頂戴する,我々は何かお上から頂戴するような形になっているところに,真の地方分権の姿が見れないんじゃないですかということを申し上げているので,論理的な帰結としては道州制という,地方分権の姿が好ましいということで申し上げております。ぜひ,道州制にはいろんな形があるんだよということも含めて県民的な議論をするために,また,県民の皆様にもこうした議論の内容をお知らせいただければというふうに思います。
 それでは,引き続いて,本県の強みを生かした産業の振興についてお伺いいたします。
 まずは,打って出る施策として,アンテナショップについてお伺いいたします。
 平成21年の11月定例県議会で,東京に臨時の岡山屋以外は47都道府県中30以上が持っている常設の観光物産センター,アンテナショップを我が県は持っていない,その旨を申し上げましたが,このときはたまたまのタイミングで,翌年フジテレビが自社番組と連動して地方の産物を販売する銀座めざマルシェをオープンしたので,翌年1月からその一角に出店し,ちょっとお茶を濁したような感じになりました。私も何度か行ったんですけれども,「もう一つじゃったなあ」というのを,このめざマルシェに対しては持っておるわけでありますが。ただ,他の都道府県で黒字のアンテナショップ自体がほとんどないにもかかわらず,そこから採算がとれないと極めて後ろ向きの時期が続いていたように思います。ただ,このたび構想されているアンテナショップについては,岡山県としての統一ブランドを構築し,各地にある岡山県出身者等が展開する店舗の基幹店として位置づけ,全国に対して岡山ブランドを発信していくとともに,アンテナショップを活用して,都心に住む人々が岡山県に対してどのようなイメージを持ち,どのようなニーズがあるかを収集する,情報収集基地として活用されるものと期待が高まっております。
 まずは,このアンテナショップにかける思いをお知らせください。
 ところで,このアンテナショップについて,一方で岡山ブランド力の向上を目指すことは当然と思われますが,そのためにアンテナショップで販売できる商品は,一流百貨店のバイヤーの目にかなうレベルの厳しい審査会を行い,通過した選抜アイテムを前面に押し出すという方向ならば,これは銀座というのもあるんでしょうけれども,これ話題づくりだけなんじゃというのならば,思い切って秋葉原のようなところへの立地も考えられると思います。基本的なコンセプトは,いかなるものでございましょうか。
 また,観光PR,ツアー誘致,首都圏における岡山名産品の販売拠点という意味で,一般の消費者を対象とするのみならず,商品を出品する企業に対していかにメリットがあるか,特に首都圏バイヤーに対する商談拠点としての機能をいかようにお考えでしょうか。特に,常設のアンテナショップの運営と,例えばビッグサイト等で開催される大きな商談会,こうしたものの出展と連動して考えるべきだと思いますが,認識をお知らせください。
 加えて,バイヤーを対象とした商談会への出展,これは大変に多くあるんですけれども,まさにこの場は都道府県間の戦いの場だというふうに思います。農林水産あるいは各商工支援団体,県民局それぞれの予算で出展者を選定しているため,必ずしもオール岡山で一丸となって観光PR,ツアー誘致,販路拡大効果が行われているように思えませんけれども,今後の対応についていかようにお考えでしょうか。
 次に,本県の強みを生かした産業の振興の中から,都市機能を充実させるために,今ある既存の地域の資源をいかように生かすかということも重要だと思います。県施設の後楽園,県立博物館,県立美術館,天神山文化プラザ,県立図書館,ルネスホール,そして市の施設の岡山城,シンフォニーホール,オリエント美術館,岡山市民会館,さらに民間の夢二郷土美術館,林原美術館といったカルチャーゾーン,さらに人と科学の未来館サイピア,生涯学習センター,池田動物園,京山ソーラー・グリーン・パーク,岡山光量子科学研究所,岡山国際交流センター,きらめきプラザ,総合グラウンド,これらは全てセンター機能を持っているものなんですが,例えばこれは循環バスが走っててもいいような施設なんですけど,これもない。十分にリンクしておりませんし,また,必ずしも岡山市と県の連携が十分じゃないというふうに思います。加えて,特に指定管理者制度の導入の中で,コストばっかりが重視されて,本来なぜその箱物が必要であるか,そうした理念にさかのぼって考えられるべき施設が必ずしも十分にセンター機能を果たせていないんじゃないか,そうした疑問がある施設もございます。これらの認識と今後の対応についてお伺いをいたします。
 ところで,これに関連して,生物の歴史から人間を考えることをテーマに,恐竜を中心とした古生物,地質学の研究とその研究に基づいた展示,教育活動を行っている林原自然科学博物館についてお伺いいたします。
 同博物館は,常設展示施設は持っておりませんが,大小さまざまな企画展示や講演,ワークショップなどの普及活動を通じて研究成果を公開されております。ただ,ああいうことになりまして,その後,本当に瀬戸内市さんの大変な御努力があって,今,保管していただいているということで,そのことには本当に感謝と敬意を表させていただきたいと思います。その中で,昨秋,林原類人猿研究センターから京都大学へチンパンジーが移動になったことは,記憶に新しいんですが,個人や民間企業のコレクションという域をはるかに超えた学術的に貴重なものであるにもかかわらず,場合によっては譲渡,一部これはモンゴルに返さないけんもんもありますが,県内から散逸するおそれがございます。時代が違うとはいえ,箱物まで建設した岡山市立オリエント美術館を思うときに,こうした場面でやはり県内にある貴重な文化的資源を守るため,私は行政が積極的にそれを譲り受けてその活用を考えるべきではないかというふうに思います。しかし,これは民と民をつなぐ話になるわけでありますが,例えばでありますが,県として譲り受けて,スペース的には十分保管,展示も可能と思われる池田動物園や京山ソーラー・グリーン・パークに,貴重な恐竜の化石標本を展示すれば,問題になっております池田動物園についてもさらなら集客が望めるかもしれませんし,また,サイピアの横には,岡山っ子のシンボルとも言える恐竜の滑り台がございますけれども。恐竜から今に生きる動物,さらには宇宙まで,全国に希有な自然科学,宇宙科学の社会教育ゾーン,生涯学習エリアを大展開することがあの場所にできるんじゃないかというふうに思います。ましてや,周辺には多くの大学や専門学校や高校,中学校,小学校という限りない地域の資源も集積をしております。全てをウイン・ウインの関係で結ぶことができるんじゃないかというふうに思います。知事が顧客重視,コスト意識,スピード感の3つの視点に立って,限られた資源を最大限に活用するとおっしゃっていただいているのならば,まさにこうした場面で私は腕の見せどころじゃないかというふうに思うんですが,御所見をお聞かせください。
 次に,限られた資源という中で,実は岡山県で産出する石でありますけれども,石には全国で有名な北木石と万成石がございます。岡山県は,花崗岩の実は主要産地でございます。例えば,北木石は北木島から産出して,大阪城の石垣や靖国神社の大鳥居でも使用されております。また,万成地区で採掘される花崗岩である万成石は,イサム・ノグチが愛した素材でもあり,石原裕次郎などの実は著名人のお墓の墓石にも使用されているということで,備中青御影石も高級墓石材として使用されているそうでございます。このような形で,岡山の石には実は大変なブランド力があるんでありますが,例えばコスト削減という観点からか,県内の公共事業で行われる観光地の橋などにも,平気で実は中国の石が使われていたりして,見る人が見ると,これは中国の石じゃねえかというのがわかるという状況になっております。本県の強みを生かした産業の振興という意味では,石材に限らず,必ずしもコストだけでは計算できないすばらしい岡山産の素材を使ってブランド力を上げて,全国発信するということを,私は行政が怠るべきではないと考えますが,御所見をお聞かせください。
 加えて,こうして県産材の活用も含めた産業振興の観点から,特に南海トラフ巨大地震を想定して,木造仮設住宅の供給を確保する動きが進んでおります。木造仮設住宅は,解体をして災害公営住宅などに再利用できるというメリットがございまして,既に11県が業界団体と災害協定を結んでいます。もちろんプレハブが迅速に何かあったときに大量供給ができるのに対して,この木造仮設住宅は,その補完という形になるのかもしれませんが,木造仮設住宅に係る災害協定について御所見をお聞かせください。
 最後に,まさに,旧林原のモータープールに2014年11月,イオンモールの大型ショッピングセンターが開業いたします。私は,本会議で,同跡地には県庁の移転を含めて,官公庁施設を集積すべきだと申し上げたこともございますが,店舗数約350,売り場面積約8万8,000平方メートル,駐車場は立体と地下で約2,500台ということで,いずれも同社の施設では西日本最大規模で,西日本の旗艦店と位置づける施設が誕生いたします。1階中央には,約2,000人収容のイベントスペース,5階に600席規模のホールを設けて,コンベンション機能も設置されております。御案内のとおり,2011年には,倉敷チボリ公園跡地にアウトレットモールと大型ショッピングセンターの複合施設が開業しておりますが,既存の百貨店や専門店などを含めて商業機能が高まる一方,店舗間の競争が激化,既存の商店街等への影響は,これはもう必至であろうというふうに見られております。同施設に対して一方での期待,そして一方での懸念,また,岡山市と一体となって考えるべき岡山県としての課題について御所見をお聞かせください。


(知事)  お答えいたします。
 本県の強みを生かした産業振興についての御質問であります。
 まず,アンテナショップのうち,思いについてでありますが,アンテナショップはいわば首都圏における本県の営業拠点であり,情報の収集と発信の拠点であると考えております。私といたしましては,本県のイメージ向上につながるプロモーション戦略とあわせ,物販だけにとどまらず,観光客誘致や県産品の販路開拓に向けた情報発信,市場ニーズ等の情報収集を行うことにより,全国規模での岡山県の認知度向上と岡山県のブランドイメージの確立を図り,県内の産業振興につなげていきたいと考えております。
 次に,基本的なコンセプトについてでありますが,私といたしましては,アンテナショップは一般消費者を対象とするだけでなく,バイヤーを対象とした県産品のショ−ルーム,商談の場としての性格も合わせ持つものと考えており,立地につきましても,都心部の情報発信力の高い地域など,アンテナショップ設置の目的を達成するに適した場所を検討してまいりたいと存じます。
 次に,商談拠点としての機能についてでありますが,アンテナショップでは,バイヤーとの商談等に積極的に取り組むとともに,テストマーケティングの場として,首都圏の消費者やバイヤーの評価を県内事業者にフィードバックし,売れる商品づくりに生かしてまいりたいと考えております。あわせて,これらの取り組みを通じて磨かれた県産品を国内外に発信するため,首都圏で開催される展示商談会への出展についても,アンテナショップと連動させながら,引き続き積極的に展開してまいりたいと考えております。
 次に,オール岡山での今後の対応についてでありますが,展示商談会への出展等に当たっては,本庁,県民局,関係団体等が相互に情報を交換しながら,地域の実情やニーズに応じて取り組んでいるところでありますが,今後は,企画の段階からも緊密な連携を図り,オール岡山でより効果的,効率的な取り組みとなるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に,既存の地域資源の活用のうち,県施設等の連携についてでありますが,市内中心部に設置された各施設については,それぞれの管理者が施設の設置目的に沿った運営を目指しているものと理解しているところです。また,県や岡山市の施設,さらには民間の施設を加えた連携については,岡山カルチャーゾーンなど一部地域では実現しておりますが,全体としてはさらに連携の余地があると考えております。今後,地域の拠点が有機的にネットワーク化したまちづくりのあり方を,岡山市や関係団体等とともに研究する必要があると考えております。
 次に,林原自然科学博物館についてでありますが,林原グループがメセナ活動の一環として取り組んだ古生物の研究成果や発掘された恐竜の化石は,学術の振興や教育の普及に貢献するものであり,県としても,サイピア等で展示を行うなど活用しておりますが,こうした貴重な標本資料等は学術的な研究機関に集約されて保存されることで,多面的な研究や活用が進むものと考えております。林原自然科学博物館では,今後,県内の大学との連携を進めると聞いており,県としては,そうした動向を見守ってまいりたいと存じます。
 次に,岡山産素材についてでありますが,お話のとおり,本県には北木石や万成石等の有名なブランド石材があり,これまで県立図書館を初め数多くの施設等において使用し,アピールに努めてきたところでございます。県では,こうした取り組みに加えて,石材や繊維,耐火物原料等すぐれた素材を生かした魅力ある製品の開発や販路開拓を目指す県内中小企業に対して,きらめき岡山創成ファンドを活用した支援を行っているところであり,さらに国や関係機関と連携して,岡山産素材のブランド力の向上を図ってまいりたいと存じます。
 次に,木造仮設住宅に係る災害協定についてでありますが,県では,災害が発生した際に被災者の応急仮設住宅を確保する必要があるため,既に関係団体とプレハブ仮設住宅の建設や,民間賃貸住宅の提供に関する協定をそれぞれ締結しているところであります。お話の業界団体との木造仮設住宅を供給する災害協定につきましては,当該団体が全国規模であること,また,県内の登録業者が少ないことから,県産材利用などの産業振興の効果は限定的であると考えておりますが,引き続き検討してまいりたいと存じます。
 次に,大型ショッピングセンターへの認識についてでありますが,西日本有数の大規模な商業施設が本県の玄関口である岡山駅前に誕生することは,広域交通網の結節点としての拠点性を高めるとともに,にぎわいの創出や観光産業への波及,雇用の増加などの面で極めて大きな効果があると期待しているところでございます。一方,御指摘のように,既存商店街等への影響が懸念されているところですが,年間2,000万人を超えるとされる集客力は,地元商店街等においても,ビジネス拡大に向けた絶好のチャンスに成り得ると考えております。県としても市や支援機関等と緊密に連携し,大型ショッピングセンターとの相乗効果が発揮できるよう,学生のアイデアを活用した商店街の魅力アップや小売業者の経営安定対策等に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(佐藤)  これは質問というよりは,私がこういう夢を持っておるので,どのようにお感じになられますかというようなことになるかもしれませんが,先ほど来申し上げている岡山市,政令市になってなかなかこのまちづくり等については岡山県が余り物を言う立場にはない状況にはなっておりますが,しかしながら一方で,岡山市内に本当に岡山県のセンター機能を持つ多くの施設が集積しておるということで,先ほどるる申し上げた施設をぐるっとめぐれば,子供たちが本当にあらゆる可能性に触れることができる,文化であったりスポーツであったり,そしてこのたび我々も宇宙少年団の桃太郎分団というのをつくりますが,宇宙に触れていく,科学に触れていく,そして国際交流もできる,ぐるっとめぐるだけで子供の可能性があふれている,そうした地域だというふうに思っております。その中で,特に今本当にこれは瀬戸内市さんの大変な御努力で,この林原自然科学博物館にあったものを管理していただいておるわけでありますが,これはやっぱりそれぞれ思いがあられると思うのでありますが,やはり数も大変膨大にあるということで,そして最終的には半分ぐらいはモンゴルのほうに,これはお返しせにゃあいけんというのもあるんですが。一方で,この施設にあるものが名古屋の科学館に行ったり,よその地域の科学館に行って,岡山から来た化石だというふうなことで,全国に広がっておる。もちろん学術的なそうした意味合いも強いと思うんですが,その中で学術的な研究機関に,動向,推移を見守りたいということであるんですが,願わくば子供たちに触れる場所に置いてもらいたいというふうに思います。やはり子供たちが化石を見て,一方でプラネタリウムを見て,宇宙飛行士になりたいなと思う子もいるかもしれんし,サイピアの横は昔の古代の地層がありますけれども,どこにでも岡山県の中,可能性があるということで,全部が全部,学術的なところに行く必要もないと思いますので,少しでもそれが,例えば池田動物園や知事も行かれたことあると思いますが,京山ロープウエー,恐らく共通の思い出が岡山っ子としてはあると思うのですけれども,岡山市の中心部をめぐると,子供たちの夢がいろんな方向に広がっていくんだ。その中で,化石については倉庫の中,あるいは学術機関の中にずっとあること,守られるのも大切なんですが,できるだけ人目に触れられる場所,願わくば池田動物園なんかにあれば,ナウマン象と象の違いと,一方は化石ですけれども,こっちは生きとるというふうな,キリンと恐竜どっちが大きいとか,あるいは今の爬虫類と昔の爬虫類の化石を比べるとか,いろんなところで子供たちの関心を引いて,そこから夢に広がっていけるもんがあるんじゃないか。そして,池田動物園の話については,なかなかこれは民間の施設でありますから,それを応援するということは難しいかもしれませんけれども,一方でしかしながら行政のほうの形がどっかで絡んでいければ,少し,また,形も変わってくるんじゃないかなというふうに思います。
 いずれにしても,この岡山市中心部のこのエリアについて,それから先ほどね,学術的な研究機関,推移を見守るだけではちょっと寂しい感じがするんですけれども,子供たちにできるだけ触れるような形になることをお考えいただけないかなということで,これはちょっと御感想を聞かさせていただければと思います。


(知事)  せっかくの岡山の財産である化石等をどのように生かしていくのか,また,岡山市との連携について,権限はないにしても,もっともっとできることはあるのではないかという御質問,御要望についてお答えをいたします。
 確かに,岡山市が政令市になって,岡山県として直接権限を持って何かすることができなくなった部分もございますけれども,岡山市は岡山県にとって大変大切なパートナーでありますので,ぜひいろいろな,岡山市民にとって,岡山県民にとってよさそうなことであれば積極的に提言をするですとか,相談するですとか,連携していきたいと思っております。
 また,化石についてでございますが,それぞれの恐竜の化石,もう一億年以上も地中に眠っていたところをせっかく掘り起こしてもらったわけでございます。このまま,また,倉庫の中で眠るということになると,大変もったいないようなこともございますので,ぜひ場面場面で子供たちや市民の目に触れる場面ができるように,岡山県としても働きかけてまいりたいと思います。
 以上でございます。

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