平成25年2月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治


1 平成25年度当初予算等について    (総務) [ 知  事 ]
 (1)岡山県財政危機宣言等
 (2)赤字予算
 (3)裁量の範囲等

2 岡山の強みを生かした産業振興について
 (1)企業誘致のための規制緩和等    (産労) [ 知  事 ]
 (2)カジノ誘致            (産労) [ 知  事 ]
 (3)独立行政法人宇宙航空研究開発機構との連携
   ア 人と科学の未来館サイピア    (教育) [ 教 育 長 ]
   イ 産業連携等 県生・農水協力   (産労) [ 知  事 ]

3 岡山運輸支局の移転に対する県の方針について
             土木・農水協力 (産労) [ 知  事 ]

4 ESD に関するユネスコ世界会議について
          県生・産労・教育協力 (環文) [ 知  事 ]

5 防災対策について
 (1)岡山港の海岸保全施設の地震等対策における国との連携強化
                     (土木) [ 知  事 ]
 (2)児島湾締切堤防の安全性      (農水) [ 知  事 ]
 (3)避難訓練の在り方         (総務) [ 知  事 ]

6 発達障害に対する支援について
 (1)一貫した支援体制の確立等     (保福) [ 知  事 ]
 (2)高校中退率の高い原因等      (教育) [ 教 育 長 ]
 (3)発達障害者支援センターの機能充実等
                     (保福) [保健福祉部長]
 (4)検討委員会の機能強化等      (保福) [保健福祉部長]

7 心身障害者医療費公費負担制度について (保福) [保健福祉部長]
 (1)65歳以上の新規該当者
 (2)所得制限




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。お昼1人だけでございますけれども,どうぞおつき合いをよろしくお願いいたします。
 それでは,早速通告に従って質問及び提言をさせていただきます。
 11月定例県議会が心のキャッチボールをさせていただいたわけでありますが,今議会は春期キャンプに入ってブルペンでキャッチャーを立たせたまま投げるぐらいの,そうした勢いで臨まさせていただこうと思いますので,よろしくお願いいたします。
 とはいうものの,まず理由はどうあれ3年ぶりに収支不足となった来年度当初予算要求がなされていることは,極めて遺憾だと言わざるを得ません。改めて私は,2008年6月2日午後2時20分に発せられた岡山県財政危機宣言を思い出します。当時は,このままいけば来年度21年度予算が137億円の収支不足で編成に赤信号,平成22年度決算で累積300億円の実質赤字で,軽く財政再生団体に転落が見えていたという状況でございました。そもそも平成9年から3次にわたる行財政改革に取り組んで借金への依存度にかかわる部分,ストックベースでは目に見えた改善となっていた最中の平成16年度に,いわゆる交付税ショックがあって,岡山県でも約300億円規模で一般財源が激減をしました。臨時的な対策である職員の給与カットや行政改革等推進債を除くと,構造的に約300億円から400億円規模の赤字が見込まれるとともに,特定目的基金などからの借り入れなどの,こうした緊急避難的な対策も限界が来ておりました。少子・高齢化の進展によって義務的な経費がふえていく一方で,特に岡山県は財政調整基金などがほとんどゼロという極めて特有の財政構造となっておりました。私は当時総務委員長でございましたが,翌年に岡山市の政令指定都市移行を目指す中で,激論を交わしながら岡山市と調整をする一方で,知事の退職金の問題,消防防災ヘリコプター購入問題の議論をしながら,そしてこの2008年の年末,倉敷チボリ公園閉園など岡山県政史上最も激しい1年間をまさに当事者として泣きながら叫びながら乗り切らさせていただいた,そうした自負もございます。あの年を思うときに,決して岡山県は今も財政危機を乗り切ってはいない,むしろ少子・高齢化に伴う社会保障費の増額など今後ますます財政は厳しくなる,そこに立ち向かっていく,そういう覚悟の気持ち,何よりも倉敷チボリ公園の閉園の日に,実は悔しくて切なくて情けなくて申しわけなくて泣いたことは絶対に忘れません。前議会でも「教育危機宣言をすべきだ」と申し上げましたが,これは財政危機宣言同様我が県の存亡の危機であり,オール岡山で立ち向かう意思を固めようという意味での宣言をすべきだと申し上げました。
 知事に,あえて伺います。
 岡山県の財政状況が厳しいことは,御存じだったと思います。まず,この岡山県財政危機宣言について,現状を含めてどのようにお考えでしょうか。そして,今よりももっと厳しい危機を越えて,さらにまさにこれから越えようとしている本県において,なぜここであえて民間では考えられない赤字の予算,しかも72億円もの収支不足の予算について議会に議決を求められるのか,これをやむを得ないと考えられるのか,お伺いいたします。
 私は,伊原木県政の実質的なスタートとなる平成25年度予算が収支不足でスタートするのが悔しいから申し上げております。また,今回,「知事の裁量が及ぶ範囲が限られる」と言われましたが,県民の皆様の期待を受けて直近の選挙で選ばれた,最も新しい意思で選ばれた岡山県政のトップリーダーの裁量が何の根拠で何によって規定されるのか,また知事のそうした思いを阻むものに対して,具体的にどんな行動をとるべきなのか,そして議会は何ができるか,お知らせください。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 平成25年度当初予算等についての御質問であります。
 まず,岡山県財政危機宣言等についてでありますが,平成20年当時年400億円近い収支不足が見込まれるとともに,臨時的な対策も限界に達したことから宣言を行ったものと理解しております。現状については,先般お示しした収支見通しにおける収支不足額が大幅に縮小しているなど,これまでの改革の取り組みにより県財政は当時と比べ改善していると考えております。しかしながら,新年度予算編成に当たり臨時的な歳入対策を行わざるを得ず,その後も収支不足が見込まれるなど,本県財政は厳しい状況にあると認識しております。
 次に,赤字予算についてでありますが,知事就任が昨年11月であり,既存の事業などについて大きな変更ができる時期ではなかったことから,当初予算編成に当たっては要求上限を設け,事業の選択と集中の徹底を図ることなどにより歳出の抑制を図ったところであります。その上で,地方財政対策を見きわめながら一定の財源不足に対してはこれまでの改革の取り組みにより確保した活用可能基金により対応することとしましたが,地方公務員の給与削減を前提とした地方交付税の減額の影響などから財源不足額が72億円と拡大し,苦しい予算編成となったところであります。新年度においては,効率的な事業執行や税収を初めとした歳入確保に努め,収支改善を図ってまいりたいと存じます。
 次に,裁量の範囲等についてでありますが,社会保障関係費のように法律等の規定により支出が義務づけられる経費が大きな割合を占め,また今回の地方財政対策のように地方交付税が一方的に削減されると収支に直結するなど,国の政策の影響を強く受けざるを得ないということから,知事の裁量が及ぶ範囲は限られているという感想を持ったところであります。これに対しては,地方分権の推進により地方がみずからの判断と責任で地域の諸課題に取り組むことを可能とすべきであり,あわせて国と地方の役割分担に見合った形で地方の安定的な財政運営に必要な財源を確保するための地方財政制度の確立が不可欠であると考えております。こうした改革が早期に実現するよう,全国知事会等と連携しながら国に対して働きかけてまいりたいと考えておりますので,議会におかれましてもお力添えを賜りますようお願いしたいと存じます。
 以上でございます。


(佐藤)  伊原木知事におかれましては,恐らく最初の予算編成ということで,もう大変な思いをされているだろうなということは十分理解させていただいた上で,ただ先ほどのお話もありましたけれども,国の地方交付税の一方的な削減,確かにこれについて問題があるにしても,これ72億円全部しているわけではなくて,削った以上にある意味この地方のも出してきている,経済対策としても出しているということで,72億円丸々これは決して今の政権与党のせいではないということは確認をさせていただきたいということがあります。そしてまた,特例条例の期限が3月31日で切れる,これについても基本的には条例提出権はそちら側にもあるので,条例を出していただければこれはいいわけでありますし,そして何よりもこれは私も知事の立場にならないとわからないですけれども,恐らく当選された後に本当に時間がタイトだったんだろうなと,ただその中でやはり一番新しい民意で一番新しい選挙で我々議員よりももっと新しい民意が伊原木知事にあるわけでありますから,何よりも強い民意があったということでありますから,今までのいきさつがどうあれ知事の思いで私は変えれる部分があったんじゃないかなというふうな気が,少し残念な気がしてなりませんが,そのあたり特に再来年度の予算編成というのもあるわけでありますが,この予算編成で本当に苦しかった部分,改めて本音の部分で少しお伺いしたいと思います。


(知事)  知事に就任してからの短い期間で予算編成をするに当たってどういう感想を持ったか,あと先ほどの民間であれば赤字の予算編成などあり得ないではないかという一連の質問に対してお答えをさせていただきます。
 以前私は経営者でありまして,今県政のトップとして予算案を提出させていただいたばかりでございます。民間企業は,赤字を続けていると倒産をしてしまいます。1年赤字を出すだけでも,大変な状況に陥ります。ただ,企業も1カ月ごとに黒字を出す必要があるわけではございません。実際私が属しておりました業界では,上期に採算が悪く下期で取り返すようなことは大変一般的でありました。それとちょっと似たような部分があるのかもしれませんけれども,行政において1年赤字を出して,それで倒産ですとか県民がひどい目に遭う,極端な話解雇されてしまうですとか,そういうことではございません。企業において1カ月ごとの赤字は12カ月でちゃんと黒字を出せばできたように,私自身この3カ月予算編成過程を通じまして必ずここは黒字にしなければいけない,黒字にするためにどんな犠牲もいとわないということではなく,もう少し長い目で見て県民の幸せを考えたときに,この予算がベストではないかと考えた次第でございます。


(佐藤)  先ほどの感想めいたことを申し上げれば,特に7月に大きな決断を,あるいは我々議会としても6月定例県議会,そうしたところで必要になるかもしれないということで,1年トータル見たときに再来年度予算の編成期になっておれば昨年のこの議論というのが無駄ではなかったなというふうになっていることを強く望みたいというふうに思います。
 それでは続いて,岡山の強みを生かした産業の振興についてお伺いいたします。
 特に知事提案説明の中で,「優良企業の誘致のために規制緩和によるビジネス環境の整備を行う」とおっしゃっておられます。
 まず,具体的に知事の考えられる「規制」というのが何なのか,それをどのように緩和して,そしてそれにより誘致される優良企業の具体的なイメージについてお知らせいただきたいと思います。
 次に,具体的な規制緩和による産業誘致施策について,これはもう最も極端な規制緩和としてカジノについてお伺いいたします。
 もちろん過去の構造改革特区の議論が盛んだったころ,カジノ特区は刑法に関する特区は対象外との規定に基づいて事実上門前払いにされました。ただ,その当時からしてもカジノの議論は実は内々に進んできており,IR法の整備が検討され,例えば大阪の橋下市長は,大阪におけるカジノを含んだ統合型リゾートの導入検討を表明しておりますし,実は現在誘致をしているのが北海道,秋田県,東京都,石川県,静岡県,愛知県,大阪府,徳島県,長崎県,宮崎県,沖縄県など10都道府県を超えております。過去には,香川経済同友会さんなどが国立公園の指定が外れている橋台の島与島あたりに米国ラスベガスのような娯楽施設が集合したエンターテインメント型カジノを想定して提案されたこともございます。もちろん自治体が施設周辺のインフラを整備して良好な環境を維持していかなければならず,その財源確保に税を位置づける必要もございますし,こうした射幸心を助長する「かけごと」を中心とした拠点開発によって本当に健全な形での経済活性化が図れるのか,またカジノを容認することに対しての国民の皆様のコンセンサスが得られるか,何よりも青少年の健全育成の点からもこの議論は避けられないと思います。しかし,先進国の中で100万人以上の大都市にカジノがないのは日本だけと言われる中で,事実上もう都道府県下の誘致合戦が始まっております。その中で,検討すらしないんだということではインバウンドの戦略においても大きく他都道府県におくれをとることになります。カジノについての思いを含め,知事の御所見をお聞かせください。
 次に,産業振興の観点から独立行政法人宇宙航空研究開発機構,いわゆるJAXAでございますが,JAXAとの連携についてお伺いいたします。
 いよいよこの春,「生涯学習センター未来科学棟」改め「人と科学の未来館サイピア」がオープンをいたします。デジタルプラネタリウムを設置されて,宇宙に向かって子供たちの可能性が無限に広がっていくことを本当に楽しみにしておりますが,ここでよもやJAXAとの連携,協定締結を考えておられないことはないというふうに思いますけれども,まずそのことを教育長に確認をさせていただきたいと思います。また,このJAXAと連携して災害監視,防災や農林水産業で人工衛星を利用したり,航空産業から航空宇宙産業に視野を広げて産業連携活動を行う自治体ももう出てまいりました。さらに,一歩踏み込んでJAXAとの連携を目指すお気持ちはないか,お伺いいたします。


(知事)  お答えいたします。
 岡山の強みを生かした産業振興についての御質問であります。
 企業誘致のための規制緩和等についてでありますが,現在水島コンビナートでの事業環境の向上に向け総合特区制度を活用し,道路運送車両法の規制緩和などについて国と協議を進めているところであり,また企業誘致に必要な産業用地を迅速に確保するため,環境アセスメントの規模要件を見直すことなどを検討しているところであります。このような規制緩和や支援制度の拡充などの取り組みを通じて,業種や規模にはこだわらず価格競争に巻き込まれにくい独自の技術を持った企業や食料品関連など地域に多くの雇用を生み出す企業など,一件でも多くの優良企業の誘致や既存立地企業の事業拡大につなげてまいりたいと考えております。
 次に,カジノ誘致についてでありますが,誘致によって外国人など観光客の増加が見込まれ,施設整備も含めた経済波及効果や税収の増加等も期待される一方,風紀,住環境の悪化や青少年への悪影響等の問題も指摘されておりますが,国内ではお話のように東京都,大阪府など幾つかの自治体で構想をまとめ,誘致に向けた動きがなされている状況であります。これまでのところ,本県及び中国地方ではカジノ誘致等に関する議論が具体化しておりませんが,インバウンドの増加や地域経済の活性化に向けた有効な方策の一つでもあり,瀬戸内関係7県が一体となったブランド推進協議会の中で将来検討されるべきテーマでもあると考えられ,国及び他県の動向を注視してまいりたいと存じます。
 次に,産業連携等についてでありますが,お話のとおり他県では衛星の防災利用の実証実験を行ったり,JAXAの太陽電池パネルの軽量化に民間技術を活用するなどの例も生まれており,本県でも現在,衛星を利用した大規模災害時の岡山情報ハイウェイのバックアップ体制構築について検討を進めているところです。また,これまでも航空機関連の研修にJAXAから講師を招いたり,金星探査機あかつきに登載する小型衛星の開発へ県内企業が参加する等の連携も行われているところです。県内企業の強みを生かした宇宙航空関連の新たなビジネスの創出は大変夢があり,大きなチャンスとなることから,県としてもJAXAとの連携を一層進め,航空機産業を初めとする県内企業の競争力強化に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(教育長)  お答えいたします。
 「人と科学の未来館サイピア」についてでありますが,4月中旬にお話のJAXAとの連携協定を結ぶこととしており,サイピアで実施する講座等への宇宙に関するプログラム提供に加え,学校の授業への講師派遣,教員に対する研修等を予定しております。宇宙政策にかかわる方々や最先端の知見に基づく教材に触れることにより,子供たちの学習意欲の喚起や好奇心の醸成に大きな効果が期待できるものと考えております。
 以上でございます。


(佐藤)  どうもありがとうございました。
 カジノの話をしますと,あとこうしてインターネット中継とかごらんになった方が,あんた「かけごと」のこと言うてえんかなということで随分後お叱りを受けることもあるわけでありますが,私自身余り「かけごと」はしないほうなんですが,その中で知事を巻き込むわけではないんですけれども,知事カジノに行かれたことがございますか。イメージとして,私が申し上げてるカジノというのは決して「かけごと」ではなくてエンターテインメントとして世界のエンターテイナーがやってくるということで,例えば以前与島にというと,本会議で言ったことあるんですけども,そのときには与島は岡山県じゃねえということで怒られたわけであります。あれは香川県でございますから。
 ただ,例えば京橋から,あるいは鷲羽山から,あるいは玉野から,あるいは高松のほうから24時間どんどん船が出てというふうなイメージ,そうしたものも想定できるんじゃないかな。その中で,知事御自身カジノのイメージ,どういうイメージをお持ちでしょうか。


(知事)  カジノについて行ったことがあるか,そしてどのようなイメージを持っているかという質問に対して正直にお答えをいたします。
 私自身ラスベガスに,さあ,どうでしょう,5回ほど行ったことがございます。これたまたまアメリカに留学中にラスベガスのすぐ近く,すぐ近くといっても車で4時間ほどかかるわけですが,砂漠の真ん中で,次に大きな町がラスベガスというユタ州の片田舎に住んでいたためでございます。あと社会人になってから,韓国のカジノに2回かぐらい行ったことがございます。私,学生のころに決めたルールを現在でも守っておりまして,カジノに行くときには一晩に使う限度額を100ドルと決めております。日本円で,1万円でございます。ですから,学生のころはそれが妥当だったのかもしれませんが,社会人になって行くと,ほかの人と比べてかなり限度額が小さいのでびっくりされるわけでありますが,私自身企業経営者として数十億円,ある種リスクをとらなければいけなかったことが何度もございまして,そういうところで十分命を削ってリスクをとっているのに何でわざわざこの不利なリスクをとらなければいけないのかという気持ちが強く,入場料として1万円を限度に楽しむことといたしております。あとカジノは例えばラスベガスにおいては非常に清潔で,かつまたよく管理されておりまして,私自身詳しく調べたわけではありませんが,マフィアを一掃する命がけの取り組みが功を奏していまして,やれば非常に管理されたカジノ経営も可能なのだということを体験いたしております。


(佐藤)  カジノにつきましては,やはりこうした民間の方の発想で,何か今まで行政の中ではとても出なかったぞという発想をどんどん出していただければなということを強く感じる次第でございます。
 それでは次に,縦割り行政の弊害は感じないという知事の御答弁があったんですけれども,縦割り行政を排し,国や市との連携がいかに必要であるかという意味で以下お伺いをいたします。
 まず,平成21年,22年度に国が買い取って当初平成24年度に岡山リサーチパーク北隣へ移転が予定されていた岡山市中区藤原にある中国運輸局岡山運輸支局について,ここで政権交代があってやっとその予算がつきまして,平成27年の移転に向け具体的に動き始めました。しかし,この間まちづくり三法が成立して岡山市の政令指定都市移行後,権限が移譲されたことに加えて,また一方で岡山市北区久米にある軽自動車検査協会が手狭になって,願わくばこの運輸支局移転と同時期に隣接する場所に移転すべきだという要請も高まってまいりました。また,行政書士事務所を初め運輸支局周辺の自動車関連業者の移転も同時に考えられるのが自然の流れでありましたが,国がこうして購入してくれた土地以外について,例えば保安林解除等の応援については,施策は冷たい反応を県はされてまいりました。そして,このたび岡山県の土地を国が購入したものの,周辺の開発については,これは市の管轄であって,言やあ,三すくみの状態になっておりまして,このままでは運輸支局だけがひとり移転するという話になりかねません。本来であれば,運輸支局,軽自動車検査協会あるいは周辺自動車関連業者が同時期に隣接する場所に移転して,自動車産業や地域活性化をすべき前向きな話なんだと思うんですけれども,これが実は縦割り行政でとまってしまうことになりかねないということであります。運輸支局に対して移転用地を売却したのは県でありますけれども,売却した後はもうこれは関知せんのんじゃというと,私は無責任な気がいたします。そして,業界にとっては,これ業界の方も皆さんそちらに移るべきだと言ってるわけではなくて,やはりリスクを負うわけでありますから,その中では移転することに伴う出費や労力も増す部分も当然あるんですけれども,ただ本当に民間の資本投資がやりやすいようにしていただくのも私は行政の役割であると,このことについては民間出身の知事であれば御理解いただけると思います。こうした岡山運輸支局の移転に対する今後の県の方針,特に応援ということになりますが,方針をお知らせください。


(知事)  お答えいたします。
 岡山運輸支局の移転に対する県の方針についての御質問でありますが,運輸支局の移転用地は16年に国から岡山リサーチパーク北側の県有地を運輸支局と自動車整備振興会等関連4団体の移転のため用地確保の要請を受け造成したものであります。お話の軽自動車検査協会については,その当時移転の希望はなく国から用地確保の要請はなかったものの,最近になって同協会から当該用地へ移転したいとの意向が示され,今後関連団体と国が協議されると聞いています。移転用地周辺は市街化調整区域であり,岡山市の都市計画法上の手続が必要なため,関係者の協議を経て国において方針が示され,県へ協力要請があれば,その内容等を検討し岡山市とも協議するなど適切に対応してまいりたいと考えております。また,国からの要請のない個々の自動車関連業者の用地確保については,県としての対応は困難であると考えております。
 以上でございます。


(佐藤)  この先ほどの運輸支局の移転につきましても,これは本当に県として応援をぜひしていただきたいというふうに思います。民間の会社も決して今,楽な経済状況でない中で,こうした移転話がある,言やあ,会社の命運を背負ってという話でありますから,できる限りの協力,先ほど中小企業の支援というお話もありましたけれども,これがまさに私は縦割り行政の中で国がやるか,県がやるか,市がやるか,どこがやるかようわからんよという話の中で,どこが音頭をとるかというのはあるんですけれども,ぜひ協力をいただければと思います。
 それでは次に,「ESDに関するユネスコ世界会議」についてお伺いいたします。
 昨年の8月21日,国連教育科学文化機関(ユネスコ)と日本政府は「国連持続可能な開発のための教育の10年」最終年となる2014年に我が国で開催される「持続発展教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」の目的,日程等を決定し,会場地に愛知と我が岡山が選ばれました。愛知県・名古屋市では,閣僚級会合及び全体の取りまとめ会合が開催されますが,岡山市で開催される各種ステークホルダーの主たる会合としては3つ,1つは「ユネスコスクール世界大会」,2つ目「青年フォーラム(ユースカンファレンス)」,3つ目「持続可能な開発のための教育に関する拠点の会議(グローバルRCE会議)」,この3つに加えて「公民館・CLC(コミュニティーランニングセンター)会議」が主にアジアのCLCや日本の公民館関係者などが参加し,社会教育におけるESDに関する議論を岡山では行うことになります。
 ところで,端的に言えばこれは本当に失礼なことなんですが,本当に岡山のESDが「ESDに関するユネスコ世界会議」に向けて現時点で市民レベル,県民レベルで大いに盛り上がっておるかどうか,このあたり正直なところかなり疑問に感じております。もちろん岡山市も,ESDに関して来年度予算ここで大きくつけておるんですけれども,ここから先私は岡山県の協力は不可欠だというふうに思います。特に「愛・地球博」など国際会議の経験が非常に豊かな愛知県と名古屋市では,既に「ESDユネスコ世界会議あいち・なごや支援実行委員会」が活発に動き始めておりますし,愛知県が大きく関与しております。この会議の国際的意義に鑑みて,世界に岡山を発信する絶好のチャンスであり,そしてレセプションやエクスカーションや全体的な盛り上がりについては,これは岡山市のみならず国際交流,観光戦略の観点からも県が積極的に支援していくことが私は必要だと思います。とりわけ過去10年間も続いた「国際貢献NGOサミット」というのがあったのですが,これは県が十分支援していただいたんですが,民間団体へのこうした県の支援の実績,人脈,ノウハウ,これ県は今十分に持っているというふうに私は思います。「ESDに関するユネスコ世界会議」の大成功に向けた支援について,知事の思いをお知らせください。


(知事)  お答えいたします。
 「ESDに関するユネスコ世界会議」についての質問でありますが,お話のとおり岡山での開催は本県を世界に向けて情報発信する上でも絶好の機会であると考えており,県としましてもその成功に向け岡山市の取り組みにしっかり協力していきたいと考えております。「ユネスコスクール世界大会」など各種会合の運営については,既に実行委員会等に県教育委員会も参画して準備を進めており,去る1月には関係機関,団体等とともに本県もメンバーとなった支援実行委員会が立ち上がったところであります。世界会議全体についてのPRや参加者へのおもてなし,エクスカーションの実施等,県民・市民とも協働したさまざまな取り組みを通じて会議を盛り上げていく方策について,今後この実行委員会で策定される実施計画等を踏まえ,県として必要な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(佐藤)  どうもありがとうございました。
 それでは次に,防災対策について,特に岡山市南区においては平成16年台風の高潮被害,そして一昨年の台風被害,今後予測される地震,津波,液状化の問題の全てが直接関係しております。そして一方で,一級河川旭川でございますが,津波が発生した場合は旭川を遡上することが考えられる地域は,実はこれは岡山河川事務所すなわち国の所管でございます。しかし,例えば「人も自然も生き生き暮らす晴れやかな海辺づくり」と題した岡山沿岸海岸保全基本計画の改定を今県が進めておられるんですが,実は設計水位の設定一つとっても,この旭川と岡山港が十分な整合性がとれていないんじゃないかというふうに思えてなりません。実は旭川の堤防のほうに関しては,これはもう液状化が起きるぞということを想定して,その強化が行われているんですが,実は岡山港は高潮対策すら十分にできていない状況であります。特に現在,旭川水系河川整備計画の策定中であり,十分な連携がとれないと旭川のほうは大丈夫だったけれども岡山港は壊滅的な被害が出たぞということにもなりかねないということで,この岡山港の海岸保全施設の地震,津波,液状化対策における国の河川整備担当部局との連携強化について,御所見をお伺いいたします。
 そして,特にこの議場でも本当にもう何度も何度も申し上げてまいりましたが,児島湾締切堤防の安全性の確認強化は,これはもうしつこく何度でも何度でも設置者の国に対して強く求める必要がございます。仮に児島湾に児島湖から強制排水を仮にいずれするようになったとしても,あるいは津波を受けとめるにしても,児島湾締切堤防そのものの液状化を防ぐにしても,粘土層の上に乗っかっている現在の締め切り堤防は安全のかなめであり,またネックでもございます。児島湾締切堤防にもしものことがあれば,その被害は本当に甚大なものになってしまう,知事のこの児島湾締切堤防の安全を守る,その決意についてお伺いいたしたいと思います。
 また,昨年の9月2日,県下で初めて国との合同で大規模津波を想定した防災訓練が,まさにその岡山港をメーン会場に実施されました。地震の後の津波もさることながら,実は地域全域が液状化して全域に浸水被害が想定されているわけですが,最悪の場合でありますけれども,例えば児島湖の堤防が決壊して,しかも液状化によって避難ルートも絶たれている,こうした想定もされるわけでありますし,こうした想定でなければ本当は防災対策も防災訓練もむしろ1時間半から2時間後に津波が来るから逃げれるよというふうな時間的な猶予のある避難訓練になって,これは功を奏さないんじゃないか,今後の国や市町村と共同の避難訓練のあり方についてお伺いをいたします。


(知事)  お答えいたします。
 防災対策についての御質問であります。
 まず,岡山港の海岸保全施設の地震等対策における国との連携強化についてでありますが,県では50年に1,2度発生が予想される地震に対して安全な施設を整備しており,また液状化対策は三蟠九蟠海岸以外は実施しておりません。国が管理している旭川の堤防も同じ水準で整備されていますが,東日本大震災を踏まえ,より安全性の高い対策を実施することとしており,岡山港海岸立川地区の整備水準を上回ることになりますが,同地区は後背地の地盤が高いことから,現在の水準で安全性は確保されるものと考えております。津波対策につきましては,現在県が津波高の想定を行っているところであり,この結果を踏まえ岡山沿岸海岸保全基本計画の改定を行うとともに,国にもこの結果を示し,旭川等の堤防の安全性について検討するよう求めてまいりたいと考えております。地震,津波,液状化対策は隣接する施設間の整合性が重要でありますので,これまで以上に国を初め各施設管理者との連携に努めてまいりたいと存じます。
 次に,児島湾締切堤防の安全性についてであります。
 県では,一昨年の7月から機会あるごとに施設設置者である国に対して大規模地震が発生した場合の地震,津波への安全対策や台風等の洪水時における防災機能を高める方策の検討について要請しており,これを受け国では現在対応策の検討を行っているところであります。締め切り堤防は児島湖周辺の農地,住宅,学校,公共施設など多くの生命,財産を守る重要な施設であり,地震や津波,台風などで被害が発生した場合には,その被害は甚大なものになると考えられることから,今後とも,締め切り堤防の安全性強化のための取り組みを国に対して強く求めてまいりたいと存じます。
 次に,避難訓練のあり方についてでありますが,お話のとおり避難訓練はそれぞれの地域で起こり得るさまざまな被害を想定して実施することが重要であると考えております。まずは,市町村や地域において災害の種類や規模に応じてどういう被害状況が生じるのか具体的に想定し,どのように避難するべきかを検討していただくことが必要であり,お話の児島湖周辺における想定については訓練の実施主体である岡山市にもお伝えしたところであります。国や県の防災訓練に合わせて実施する場合はもとより,市町村単独で避難訓練を実施する場合においても,こうした検討結果を反映させ,地域の実情に即したより実践的な避難訓練とするよう市町村に働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(佐藤)  次に,岡山県の最大の課題である教育再生に対して,昨年の9月定例県議会では経済格差が教育格差を生んでいるのではないか,したがって教育再生のためにはまず子育て支援が重要ではないかと申し上げ,そして11月定例県議会では就学前,就労前の発達障害に対する支援体制が必ずしも十分ではないのではないかと指摘させていただいたわけでありますが,この発達障害の問題について今回の予算要求の中でもスクールソーシャルワーカーの増員以外に真正面から発達障害の問題を捉まえた施策,これが新規として少ないことを残念に思いますので,さらにお伺いいたします。
 これは障害全般について,いつも申し上げることなんですが,就学前支援から就労に至るまで一貫した支援体制,特に縦割り行政を越えて節目,節目で十分な連絡が必要であり,願わくばやはりこれはもう時系列に沿ってどんな支援体制があって,それがどう連絡しているのかという子育ての支援のフローチャートが必要だと思います。それぞれの部署がそれぞれに頑張ってはいただいておるんですが,それが連携していないというのが一番の問題であります。
 まず,就学前支援は充実しつつありますが,現実問題,保護者にとって例えばお子さんが発達障害を持つと認識することは,これはもうなかなかに厳しいことであって,また幼稚園,保育園の先生や保護者の方々への研修の充実が必要なこと,これについては現実問題,加算等の現場への支援も必要になってきます。また,障害全般に言えることでありますが,やはり放課後や休日,休暇などの学童保育あるいはデイサービス等に対する支援も必要です。また,成人して初めてみずからが発達障害を持っているんだという認識を持つ方も多く,さらに成人で実際に相談に来られる方は一部であって,実は発達障害を起因としていわゆるひきこもりの状態の方が実際にどれだけおられるか,これも把握しがたい現状もあります。さらには,成人の方はまずは自己理解から地域活動支援センターでプログラムに沿って就労訓練をするものの,職業センターやハローワークとの連携が極めて重要であること,またむしろ大学に進学される高学歴の方も大変多く,ただ就労の場面で大学のキャリアサポートセンターとの連携,こうしたものも非常に重要になっておるということで,やらにゃいけんことは,ほんまにぎょうさんあるわけなんですが,本来はこれらについて全て質問あるいは提案として問いたいわけでありますが,問題の指摘だけをさせていただいて,発達障害についての就学前支援から就労に至るまでの一貫した支援体制の確立への課題と今後の方針,さらに子育て支援のフローチャート,これの必要性についての御認識をお知らせください。
 一方で,知的障害がある場合には特別支援学校,これが軽度であれば高等支援学校という進路もあるんですが,中学まである特別支援学級のような仕組みが高校になったらなくなってしまう,高校生の相談が増加傾向にあるという実態があります。私は本来,県立中高一貫教育校は進学校を目指すこともさることながら,こうした特別支援学級との連絡をモデル的に行うべきであるということを強く感じております。岡山県でも高校での中退率が高いということがありますが,その理由と公立高校での特別支援学級の設置について,教育長の御所見をお聞かせください。
 さらに,岡山市や倉敷市はおかやま発達障害者支援センターと同様のセンター機能を持ってはおるんですが,市町村の発達障害支援の体制についてはそもそも直接支援できるかどうかすら差があるのですが,コーディネーターが設置されているかどうかからして格差があります。県としては,県北支所も津山教育事務所内に設置されてはおりますが,委託事業とはいえ財政的な支援がそもそも十分でなく,発達障害者支援センター機能の充実,そして何よりも地域間格差の是正は極めて重要な問題であるというふうに思います。保健福祉部長の御所見をお聞かせください。
 さらに,発達障害に関しての保健,福祉,医療,教育,労働の連携した会議である発達障害者支援体制検討委員会については,現場レベルで十分な意思決定まで行えるような機能強化が必要だと思いますし,自立支援協議会等においても,そもそも発達障害は3障害のうち精神福祉手帳を持つことなどからも精神障害の中に含めて考えられるわけなんですが,事実上これはもはや4障害と考えるような時期になっとるんじゃないかというふうに思います。保健福祉部長の御所見をお聞かせください。


(知事)  お答えいたします。
 発達障害に対する支援についての御質問であります。
 一貫した支援体制の確立等についてでありますが,発達障害のある方に対してはライフステージに応じ一貫した支援を行うことが重要であり,特に就学・就労の前後などステージの移行期における関係機関での支援情報のつなぎが課題であると考えています。このため,県発達障害者支援センターを中心に福祉・教育・労働等の各分野が連携しながら切れ目のない支援に取り組んでおり,特にお話の子育て支援チャートは関係機関がその役割等を相互に確認し,障害のある方へのわかりやすい支援情報の提供に資するものと考えており,市町村に対し,その作成を働きかけているところでございます。今後とも,関係機関の連携をより一層強化し,乳幼児期から成人期までの一貫した支援に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(教育長)  お答えいたします。
 高校中退率の高い原因等についてでありますが,本県の中退率は全国平均よりはやや高いものの年々減少傾向にあります。中退の理由としては,高校生活に熱意がないことや人間関係がうまく保てないこと,別の高校への入学や就職を希望することなどが多い状況であります。また,公立高校での特別支援学級の設置については,高校標準法に特別支援学級に関する学級編制基準や教員定数の措置等の定めがないため,現段階では特別支援学級の設置は困難でありますが,他県の先進事例もさらに収集しながら,どのような方策が考えられるのか,研究してまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(保健福祉部長)  お答えいたします。
 発達障害者支援センターの機能充実等についてでありますが,発達障害者支援センターでは各種相談活動や普及啓発など総合的な支援に取り組んでおり,来年度からはペアレントメンター事業の事務局機能を担うなど,本県の発達障害者支援の拠点施設として機能強化に努めているところでございます。
 また,県ではセンターの県北支所を設置するとともに,全市町村での支援体制の整備を目指し,コーディネーターの配置等への財政的支援を行うなど身近な地域で適切な支援が受けることができるよう,全県的な支援体制の整備に努めているところでございます。
 次に,検討委員会の機能強化等についてでありますが,発達障害は法律上精神障害に分類されているものの,その症状は多様であり,それぞれの特性に応じた支援を幅広い観点から検討する必要があると考えております。このため,県では関係機関に加え障害者団体代表や学識経験者で構成する「県発達障害者支援体制検討委員会」を設置し,情報共有や連携方策のあり方等について検討しております。また,委員会では現場の第一線で就労支援に従事する職業カウンセラーからの活動報告なども行っており,今後とも,こうした取り組みを通じて委員会の議論に現場担当者の意見や障害のある方のニーズを反映させ,より実践的,効果的な施策が実施できるよう努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(佐藤)  どうもありがとうございました。
 岡山県の教育再生を言うときに,勉強ができる子,家庭的に恵まれている子,こうした子がどんどん勉強できるのは,これは当たり前でありまして,その支援は十分にやれるだろう。ただ,経済格差が教育格差にならないように,そしていじめ,不登校,ニート,ひきこもり,あるいは校内暴力等々の影に発達障害があるとすれば,これ医療・保健・福祉,労政,雇用,全部かかわってくる問題でありますので,オール岡山でこの教育再生のために経済的な支援と発達障害の支援をお願いしたいと思います。
 それでは最後に,単県医療費公費負担制度のうち岡山県心身障害者医療費公費負担制度についてお伺いをいたします。
 これは重度心身障害者児に対して必要とする医療が容易に受けられるようにするため,その医療費の一部を補助することによって心身障害者の健康保持と福祉の増進を図るものでございます。
 まずもって,来年度当初予算要求において岡山県心身障害者医療費公費負担制度について,公費負担の範囲において低所得者U,Tの自己負担限度額について来年度7月以降も軽減が継続されるという判断をしていただいたことを歓迎いたします。特に受給資格者のうち,低所得者の方が7割という現状の中で軽減の継続に本当に大きな意味があるというふうに思います。
 ただ,第3次行革の一環として,平成18年に持続可能な制度の確立という趣旨で自己負担率を1割にするなど見直しが行われましたが,このとき今議会でも問題になった市町村補助率のあり方など幾つかの課題を残しております。
 まず,65歳以上で新たに要件に該当された方については給付の対象としないという制限を加えているのは全国で8府県しかありません。その判断には65歳までの就労の機会があり,蓄えがあるだろうという予測と後期高齢者医療のほうを選択すれば1割負担で入れるというものなんですが,必ずしも蓄えがあるとは言えませんし,後者では扶養に入っていた人は新たに保険料が必要になるなど,実は新たな負担が生じることになります。この制限があることに,私は合理性があると思えないんですが,保健福祉部長にお伺いをいたします。
 次に,所得制限の規定についてでございますが,対象者の世帯に老齢福祉年金の所得制限の規定をいわば準用しておりますが,こうした例も実は全国に12県しかなく,ほかは特別障害者手当や特別児童扶養手当の規定を準用しております。そもそも心身障害者医療費公費負担制度に全く趣旨の異なる旧国民年金法時代の年金要件を満たさないことを想定した老齢福祉年金の規定を準用すること自体が,私は合理的な理由がないというふうに思います。改善すべきだと思いますが,保健福祉部長の御所見をお聞かせください。


(保健福祉部長)  お答えいたします。
 心身障害者医療費公費負担制度についての御質問であります。
 まず,65歳以上の新規該当者についてでありますが,65歳未満で障害認定を受けた方は就労可能な時期に十分な就労機会が得られず一定の収入やそれに伴う年金など得られる機会が少なかった可能性があることから,その経済的支援として本制度の対象としているところでございます。
 なお,65歳以上で障害認定を受けた方は保険料の負担は必要となりますが,後期高齢者医療制度に入ることが可能であることから,みずからの医療費と保険料負担を考慮し,どの保険制度に加入するか検討いただければと存じます。
 次に,所得制限についてでありますが,所得制限を設けている都道府県ではその財政状況や給付と負担の公平性等を勘案し既存の国制度での基準を準用しており,本県では平成18年の制度見直し以前から老齢福祉年金の基準を準用しているところでございます。現行基準の緩和について要望があることは承知しておりますが,現下の厳しい財政状況等を勘案し持続可能な制度を維持するためにも慎重に検討すべき課題であると考えていますので,御理解いただければと存じます。
 以上でございます。


(佐藤)  これ細かい制度的な仕組みになるので要望だけさせていただきますが,特にこれは国の制度というのも大変に関係してくるということで,国の制度そのものを変えていくような,そうした働きかけもしていただければと思います。そしてまた,この公費負担についても今回も大変議論になりましたけれども,これは手厚くさせてはいただきたいわけでありますが,ただ合理的な理由がとにかく経費が安くなるからという理由でこれが準用されるとすれば,そこには問題があるということで,改善をお願いしたいということを要望させていただきます。まことにありがとうございました。

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