平成22年9月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 行財政構造改革等について
 (1)認識等               (総務)[ 知  事 ]
 (2)おかやま発展戦略会議        (総務)[ 知  事 ]
 (3)総合特区等
   ア 提案の決定過程等         (総務)[ 知  事 ]
   イ 免税店設置            (産労)[ 知  事 ]
   ウ 瀬戸内国際芸術祭         (産労)[ 知  事 ]
   エ データセンター          (県生)[県民生活部長]
 (4)地域経済の下支え
   ア 県内製品の調達          (出納)[ 出納局長 ]
   イ 公共事業の最低制限価格      (土木)[ 知  事 ]
 (5)県立児童会館等
   ア 耐震診断の結果等         (保福)[ 知  事 ]
   イ 映画はやぶさ           (保福)[ 知  事 ]
   ウ はやぶさカプセルの招致      (産労)[ 知  事 ]
 (6)基幹型地域生活支援センター「ゆう」 (保福)[ 知  事 ]
 (7)未来のトップアスリートを育てる支援
                 土木協力 (環文)[ 知  事 ]

2 歳入確保について
 (1)県税収入率の向上          (総務)[ 総務部長 ]
   ア 差押えの状況等
   イ 滞納者等への配慮
 (2)新たな財源             (総務)[ 知  事 ]

3 特別支援教育について
 (1)適正就学              (教育)[ 教 育 長 ]
 (2)発達障害児者支援体制
   ア 夏休み等の支援     教育協力 (保福)[保健福祉部長]
   イ 生活支援シート     教育協力 (保福)[保健福祉部長]
   ウ 指導者の派遣等          (教育)[ 教 育 長 ]
   エ フリースクール     保福協力 (教育)[ 教 育 長 ]
   オ 特別支援学校高等部の5年制化等  (教育)[ 教 育 長 ]




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。
 通告に従いまして一般質問させていただきます。
 本日,民主党の代表選挙が行われますが,結果はどうあれ,現下の経済状況の中で,参議院選挙以降,時間を浪費しながら,結局は税金を使ったコップの中の争いに空白の2カ月の政治状況をつくった責任は,私は極めて重いというふうに思います。民間がきょうの生き死にで日々戦っている中,景気回復の足を政治が引っ張っているようにすら見えます。まずは,いかなる結果であれ,国民の皆様の信を問う解散総選挙を行うのが,私は筋だと思います。ともあれ,年末に向けて,さらにとんでもない事態になるのではないかという恐怖感が襲いますが,もはや政治をあてにせず,先憂後楽どころか,おのれの選挙のためにきゅうきゅうとする政治家,議員が侮蔑の対象になっていること自体,だれにとってもこれは不幸な状況だと思います。だからこそ,地方は,多数党として我々自民党地方議員が何としても守り抜いていく,そんな思いを込めて,提言及び質問をさせていただきます。昨今流行の「注視する」,「推移を見守る」といった,事実上何もしないで放置するような,そんな答弁をいただかないことを切にお願いいたします。
 さて,行財政構造改革も2年目に入りましたが,基本的には,全国どの都道府県も歳出カットを中心とした行財政改革を行っておりますけれども,経費削減だけで財政再建が実現できるのか,地域経済の衰退によって税収減が予想される中で,財政の持続可能性はあるのか,超高齢化社会の社会保障関連支出にたえ得るのかという命題を抱えております。一方で,岡山県はお金がないと,金科玉条のように,それをもって結局は,もとから努力もしない言いわけにしたり,一方的に施策や施設をいじることに伴う大損害について,実際に金銭的な被害が生じても,理解と協力を強制的に求めてこられる,そうしたことへの怒りもしばしば耳にいたします。必ずしも,交付税の仕組みで丸々はプラスにはならない,そうしたことは理解しつつも,本来であれば,県民の皆様の所得が上がって,黒字の地場企業が元気に収益を上げて,そこから税収を上げていくことが行政のとるべき本筋であり,民に負担を強いる行革は,あくまで私は緊急事態だというふうに思います。だからこそ,地方経済の活性化のためには,地方自治体みずからがリーダーとなって,戦略的,組織的に攻めの行政を行っていく必要があるわけでございますが,私も昨年11月定例会で,成長戦略会議を創設すべきだと申し上げ,今月下旬に産学官の各分野で活躍されている県内外の有識者で構成する,おかやま発展戦略会議を発足させて,そこから柔軟で斬新な視点からの活発な議論を通じて,岡山の力強い発展に向けた施策の方向等について提言をいただくということには,期待させていただきたいというふうに思います。
 まずは,行革が民に負担を強いているという,そうした御認識があられるか,経費削減だけで財政再建が実現できるのか,地域経済の衰退によって税収減が予想される中で,財政の持続可能性はあるのか,超高齢化社会の社会保障関連支出にたえ得るのかという命題について,知事の御所見をお伺いいたします。また,今回提言される,おかやま発展戦略会議について,知事の思いをお知らせください。
 こうした中,国の新成長戦略に掲げられた総合特区の制度設計のための提案募集が注目されます。記憶をたどれば,平成14年12月議会でお伺いしているんですけれども,小泉構造改革の根幹をなすものの一つとして,当時,鳴り物入りで構造改革特区というものがありました。当時,本県からの提案は,IT特区や水島港国際物流・産業特区など,地域特性や,あるいは企業参入の動向等を踏まえて提案した4件にとどまって,岡山市,倉敷市がそれぞれ1件,おまけに,こうした規制緩和を求める声に対して,必ずしも各省庁の回答はいいものではなかった,興ざめした感がございました。
 知事は,今回の総合特区の制度設計のための提案募集に当たり,早々に本県の有する強みや特性を踏まえた幾つかの提案を掲げられ,関係団体等の調整を図った上で,国に提案されるとのことでございます。一方で,岡山の発展戦略については,こうしたおかやま発展戦略会議を創設して,開かれた場で,外部有識者の意見を反映していこうとされています。そこで,伺いますが,今回の提案は,どこでどのような決定過程を経て,何を根拠に選ばれたのか,非常に私には不透明に思えます。どういった議論が行われたのか,お知らせください。
 ところで,これは構造改革特区の議論の当時のことでございますが,香川経済同友会が国立公園の指定が外れている橋台の島,橋の島の与島あたりに,米国ラスベガスのような娯楽施設が集合したエンターテインメント型カジノを想定し,カジノホテル棟の宿泊客を年間500万人,関連産業も含めた経済波及効果は約1兆円と見込んだ瀬戸内海カジノ構想を提言されました。今回の議論の俎上には,いわゆるこうしたカジノ構想は上がらなかったのか,あわせてお伺いいたします。
 加えて,免税店について伺います。
 いわゆるインバウンド,外国人観光客,とりわけ中国や台湾の富裕層を呼び込むための仕組みとして,岡山に免税店をつくることが大きな武器になると思います。我々はアジアの国々で,ツアーとなれば,いや応なく連れていかれてしまう免税店でございますけれども,例えば,与島にカジノがあって,世界のエンターテインメントが楽しめたり,瀬戸内海を広島までナイトクルージングできたり,そして免税店で買い物をするというのは,これ私は世界標準ではないかと思います。そして,免税店も実はさまざまなタイプがあるんですけれども,免税店設置についてはどのようにお考えでしょうか。
 そして,この瀬戸内海に関連してでございますけれども,私は現在開催されている瀬戸内国際芸術祭2010について,岡山県の対応が全く理解できません。退任された真鍋香川県知事が実行委員会委員長として,海の復権は人間性の回復と次世代につなぐ最後の仕事として頑張られ,御案内のとおり,会期は7月19日から10月31日まででございますが,既に来場者は予想を大きく超えて約30万人,既に3年後の次期開催も報道されております。連日,海外から高松空港,高松港に観光客がおり立っておりますが,岡山サイドは余り岡山県の協力があるように見えません。今回,提案説明で,あっ晴れ!おかやま国文祭に言及されても,現在開会中の世界的な文化の祭典である瀬戸内国際芸術祭に全く言及されないのはどういうことでありましょうか。知事は,観光振興につきましては,秋の本格的な観光シーズン,あっ晴れ!おかやま国文祭の開催に向け,市町村や県観光連盟等と一体となって,本県の見どころなどを積極的に情報発信しているところであり,そして,インバウンドの振興に取り組むとおっしゃっておられますが,少なくとも,中四国州を言い,そして牛窓や笠岡に島嶼部がある岡山県においては,私はこれは希有なチャンスであり,手をこまねいている場合では全くないと思うんですけれども,今後の対応も含めて,瀬戸内国際芸術祭に対する知事の御認識をお知らせください。
 加えて,これは自公連立政権の時代のころのことなんですけれども,自公連立政権の時代に進められていたもの,この4月に総務省は,ネットワーク経由でソフトや情報サービスを利用するクラウドコンピューティングの普及に向け,特区を創設する方向を示しました。シンガポールなどでは,もう既に国策としてあるんですけれども,情報を集中管理する国内最大級のデータセンターを構築しようということで,実は日本では,コンテナ型サーバーが建築基準法や消防法の対象になって,建築運営費がアメリカの2倍に上がると言われ,こうした規制を緩和しようというものでございます。現在,日本のネット経由の通信量の半分近くが海外のデータセンターを使って,実は7,000億円以上の利用額が海外に流出したと推察されております。これで,クラウド特区でコストを下げて構築されたデータセンターができれば,日本の企業や国や地方の官公庁の機密データは,情報漏れのリスクを減らして,国内に,しかも低価格で格納することができます。問題は,税制に絡む問題や著作権法など,これをクリアするということですが,情報先進県を目指し,かつ交通の結節点でもあり,災害等の少なさで言えば,私は岡山県にも十分に芽があるというふうに思います。東京には,総床面積14万平方メートルの世界最大級のデータセンター,アット東京がありますが,国は2011年春にも,北海道か東北に特区を創設して,国内最大級のデータセンターの構築を目指しており,その投資額は最大でも500億円程度だそうであります。データセンターは情報関連投資,人材育成などの広がりも極めて大きく,岡山県の活性化の目玉になり得ると思います。イメージは,特定のエリアというよりも,岡山県全土で,吉備高原都市やリサーチパークの有効活用のイメージに合うと思いますが,岡山情報ハイウェイの次の目玉施策としてデータセンターについて,どのようにお考えでしょうか,県民生活部長にお伺いいたします。
 次に,提案説明の中で,知事は,「地域経済を下支えするため,県内製品の優先調達を初め,公共事業等における前倒し発注,県内業者への優先発注,県内資材の優先使用の徹底に取り組むなどの対策を全力で進めてまいります」とされました。まずは,県内製品の優先調達というのは,これは当然行うべきだと思いますが,まず何をもって県内製品というのか,また,物品調達に当たっては,最低制限価格を設けず,底抜けの入札を行うことが,結果として,いわゆるたたき合いを強要して,製造業あるいはディーラーの誇りを奪っているように私には見えるんですけれども,それで地場産業を守ることになるのか。さらには,民間の適正な価格形成に資して,地域経済の下支えとなるとお考えなのか,あわせて,これは出納局長にお伺いいたします。
 さらに,気になるのは,前倒し発注,県内業者への優先発注は当然として,どんな入札制度をとっても必ず批判というのは出るんですけれども,いわゆる公共事業における入札の最低制限価格について,これも結果として,積算価格により近いものが落札するのならばともかく,かえって積算から割引を強要することになると思いますが,それは,はなから民間にとっては適正価格ではないんじゃないでしょうか。しかも,民が泣いて官製不安定雇用を生むことになっているのではないか。そもそも,積算することの意味,最低制限価格を設定することの意味,その決定の根拠,さらには不安定雇用との関係,一般工事価格に与える影響,加えて,緊急経済・雇用対策でも同様の方法をとる理由について教えていただきたいと思います。
 一方で,知事は,我が党の代表質問に答えられて,歳入確保対策について,「1,県有資産の有効活用等,2,使用料等の適正化,3,県税の収入率の向上及び,4,新たな財源の創設の4つの対策を柱に据えており,全国トップクラスの98.0%以上の収入率を目指し,納税を呼びかけるコールセンターの設置や県民局の徴収体制の強化など,新たな対策を順次導入し,徴税の強化に取り組んでいる」とされました。中でも,この歳入確保対策のうち,1番の県有資産の有効活用と公の施設の見直しとの関係は,私は本来これは矛盾するものではないというふうに思います。
 特に,金銭的に換算できない,県民の皆様の共通の思い出,私はこれも県の財産であるというふうに思いますし,岡山県として,これから生まれ来る子供たちのためにも,後世に引き継いでいくものだと思います。少なくとも,岡山県の子供たちが将来幼いころを思い出したときに,例えば私の小4の子供は,倉敷チボリ公園を失っておりますけれども,財政コスト削減をもって,子供たちの共通の思い出になるような場所を奪い去ることは,私は大人の罪であるというふうに思っております。
 くどいようですが,岡山県立児童会館でありますが,6月定例会で,「今年度末に児童会館としては閉じるという財政構造改革プランの方針に変更はない」,これは明言されておられますが,「閉館後の取り扱いについては,耐震診断の結果を踏まえ,岡山市や民間に呼びかけ,県民からの要望の中で提案のあった新たな行政ニーズへの対応の可能性を探り,隣接する生涯学習センターも含め,全体としてどのような方向性が考えられるか慎重に検討する」,こうした答弁がございましたが,あれから3カ月以上たっております。改めて,岡山県立児童会館の耐震診断の結果と建物の活用策を含めた今後の方向性について,知事にお伺いいたします。
 折しも,現在,岡山県立児童会館プラネタリウムでは,連日,「はやぶさ」の上映でにぎわっております。長い孤独な宇宙での航海の後に,故郷に届けるカプセルを残して大気圏で燃え尽きた小惑星探査機「はやぶさ」,この姿を最新のコンピューターグラフィックスで見せる作品は本当にすばらしく,何よりもこれはプラネタリウムでないと味わえないものでございます。知事も鑑賞券を御購入いただいたというふうに聞いておりますけれども,岡山県立児童会館プラネタリウムで「はやぶさ」をごらんいただいたでしょうか。もし,ごらんになっていれば,御感想をお聞かせください。
 ところで,この9月1日付で,宇宙航空研究開発機構,いわゆるJAXAでございますが,JAXAが小惑星探査機「はやぶさ」の成果を広く国民と共有し,宇宙への理解増進と宇宙活動の普及啓発に資することを目的に,「はやぶさ」カプセル等の展示を公募によって各地で実施することになりました。既に,相模原市立博物館や筑波宇宙センター,丸ノ内オアゾなどで「はやぶさ」のカプセルの一部が展示されてきましたが,今回の展示は,展示が可能な国内の公益団体,法人で公益目的の展示が対象ということでありまして,再来年の3月まででございます。子供たちがもしも「はやぶさ」のカプセルを見ることができたら,ここから本当に宇宙に向けてのみずからの夢を広げていく子供たちが,岡山からも出てくるに違いありません。日ごろから宇宙に関連する活動をしている科学館,博物館,地方公共団体の応募が見込まれており,もちろん,この招致自体は無料ではないんですけれども,安定的な温度のもと,24時間体制の警備確保等々,条件がありますが,「はやぶさ」のカプセル招致は,岡山県としても,ぜひとも手を挙げるべきだと思います。御所見をお聞かせください。
 また,精神障害者社会復帰施設岡山県立内尾センター廃止後も,特定非営利活動法人岡山県精神障害者家族会連合会(NPO岡山けんかれん)に委託され,運営されている基幹型地域生活支援センター「ゆう」では,日中の相談支援や24時間電話相談,ホステル事業が行われていますが,実際に利用するかどうかではなくて,そういう施設が存在するということ自体が,精神障害者当事者や家族の支えになっております。県からは運営費の削減の方向が示されていますが,家族会だからこそできる事業でも運営でもあり,平成23年度末までに,障害者自立支援法に基づくサービス提供事業者へ円滑に移行できるようにという方向も示されておりますが,障害者自立支援法の事業では,膨大な賃料も発生し,新規委託事業等で何とか財源を捻出できないのか,その知恵を出していかなくてはいけない状況でございます。現在の「ゆう」の協議状況について,改めてお伺いいたします。
 次に,歳入確保対策のうち,2,使用料等の適正化について,総合グラウンド内は所管の違う施設があり,駐車場有料化に当たっては,関係当局も大変な努力をされています。しかしながら,例えば,Kanスタのナイター使用料や指導者の謝礼を含めた駐車代等を,トップアスリートを育てる親が払っていかなくてはいけない,これが家族にとって大変大きな荷になれば,それだけで子供たちの可能性を閉ざしていくことになります。当座のコスト削減や歳入確保の観点からだけ論じては,子供たちの未来の夢や希望を断ってしまうことになる。特に,駐車場の減免やスポーツの指導者,トレーナーに係る必要経費について,これはスポーツ振興の観点から,一定の基準を設けて支援ができないでしょうか,御所見をお聞かせください。
 次に,歳入確保対策のうち,3の県税の収入率の向上について,納税はもちろん憲法上の義務でありますし,徴税の強化に取り組むのも当然だと思います。ただ,税金滞納に伴う,いわゆる差し押さえの話というのも大変よく伺うんですけれども,死に物狂いで働いて,納めたくても納められない状況で,しかも逃げも隠れもしないのに,尊厳を傷つけられたような印象を持たれる,そんな方も多くおられます。それどころか,そうして納めた血税を債権放棄だと何十億円も無駄にして,しかも,だれも責任をとらんじゃないか,こんな人をばかにした話があるのかという,いわゆる逆ぎれの怒りの声も大変に多く伺います。恐らく,担当職員の方にとっても,大変に厳しい業務だと思いますが,いわゆる滞納者への差し押さえの状況と,そこに至る原因,また滞納者と,さらに徴税業務に当たる職員の方々への配慮について,総務部長にお伺いします。
 この項最後に,歳入確保対策のうち,4,新たな財源の創設について,他県の先行事例を検証しつつ,さまざまな観点から,新たな財源の創設について検討を進めるとされましたが,新たな財源について,具体的にはどのような財源をイメージされているのか,お知らせください。
 最後に,特別支援教育について伺います。
 多くの県立特別支援学校は,生徒数が激増しておりますけれども,給食室や教室にも限界があって,多目的教室の利用や複式学級的指導で,少なからず支障も出ている状況で,これ以上の受け入れは厳しく,加えて,交通アクセスにやや難があり,狭いバスでの長時間通学など,課題も多くあります。特に,政令指定都市でありながら,自前の特別支援学校は持たない岡山市との関連においては,私は県市の連携が極めて重要であると感じておりますが,たちまち施設の増設,これが難しいにしても,障害のある児童生徒数の激増に対して,いかに適正就学を図っていくのか,その考え方について,教育長からお聞かせください。
 特に,発達障害児者の支援体制の強化がうたわれ,ライフステージに対応した一貫した支援体制の整備を図るとともに,身近な地域での支援が行われるよう,市町村の取り組みを促進するという方向は首肯できるものですが,問題はその具体策であります。特に,夏休みあるいは放課後に,県立特別支援学校に通う子供たち,あるいは保護者にどのような支援がなされているのか,あるいは,なされるべきか,これは保健福祉部長にお伺いいたします。
 私は,将来的には,新生児,乳幼児の段階で,あるいは遅くとも就学前に,発達障害に関して生活支援シートがつくられ,だれにでも該当するマニュアルというのはなかなかできないにしても,個別具体的に配慮すべき点が成長に応じた機関に引き継ぎがなされて,支援がなされる必要があると思いますが,どのようにお感じでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,スクールサポーターのような形で,幼稚園,保育園も含めて,小中高等学校に発達障害への対応が指導できる人材の派遣,あるいは養成が必要だと思いますが,教育長のお考えをお聞かせください。
 さらには,財政的には公的な支援がないフリースクールについても,実態や役割分担が把握された上で,十分な連携を図っていく必要があると思いますけれども,行政が具体的に認識し,動く必要があると思いますが,教育長の御所見をお聞かせください。
 そして,これはなかなか難しい提言になると思いますけれども,特に,特別支援学校の高等部について,現実問題,年金が支給される20歳まで待って,これは5年制であってはいけないんでしょうか。また,職業教育に重点を置く学校であるならば,高等支援学校の年齢制限,これにはどういう意味があるのかについて,教育長にお伺いいたします。
 以上,さまざまお伺いいたしましたが,答弁のほう,どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 まず,認識等についてでありますが,県では,県民の皆様方にも御負担をいただきながら行財政構造改革に取り組む一方,地域経済対策につきましても,昨年度の補正予算,あるいは今年度当初予算における800億円規模の経済・雇用対策予算などによりまして積極的に取り組んできたところでありまして,さらに,今後は,地域経済の発展に向けた提言をいただきまして,これを県政に生かすこととしているところであります。また,国には,一昨年以来の世界的な景気後退,あるいは,急激な円高に対する全国的な経済対策,及び景気変動に伴う税収不足への対応,少子・高齢化などの社会情勢の変化に対する的確な制度改正など,積極的な取り組みを期待しているところであります。県といたしましては,今後とも,行財政構造改革に取り組むとともに,国に対しましては,効果的な経済対策や,地方税財政制度の充実を求め,地域経済の発展と持続可能な財政構造の確立を目指してまいりたいと,このように考えております。
 次に,おかやま発展戦略会議についてであります。
 経済のグローバル化や少子・高齢化の進展等によりまして,地域間競争が激化する中で,本県が力強く発展し続けていくための中長期的な戦略を検討するということを目的に,今月22日に発足させることとしております。会議は,アジア経済の専門家や,本県の実情に詳しい方など,県内外の有識者8名の委員で構成することとしておりまして,目覚ましく拡大しているアジア経済の活力を呼び込む方策,中四国の交通結節点といたしましての優位性や,ものづくり先進県としての産業集積などのすぐれた地域資源を生かした地域振興策等につきまして,柔軟な発想に基づき,活発に意見交換を行い,本県の発展につながる提言をいただきたいと考えております。
 次に,総合特区等に関しまして,まず,提案の決定過程等についてでありますが,国の募集期間が約2カ月間と限られていたことから,まずは庁内でアイデア出しを行いまして,国の要件であります「地域独自の取組があるかどうか」,「実施主体,運営主体が見込まれるかどうか」等の観点から,水島コンビナートの国際競争力強化などの3つの特区案を取りまとめたところであります。現在,3つの特区案につきまして,具体的な規制緩和や支援措置等に関しまして,関係団体や企業,市町村等と調整を進めておりまして,締め切り期限となっております9月21日には,国にアイデア提案をしてまいりたいと存じます。
 また,いわゆるカジノ構想につきましては,瀬戸内海を舞台にした船内カジノのアイデアが検討の過程で出されたところでありますが,実現可能性が見込めないことなどから,案としての取りまとめは見送ったものでございます。
 免税店設置についてでありますが,県内には,岡山空港内免税店のほかに,消費税を免税する百貨店や家電量販店,貴金属店等がありまして,その数も次第に増加しているところであります。ショッピングは外国人観光客の訪日動機の上位にランクされることから,今後とも,外国人観光客受入協議会とも連携しながら,免税店舗のさらなる拡大に取り組み,積極的な外国人観光客の誘致を推進してまいりたいと存じます。
 瀬戸内国際芸術祭についてでありますが,これまでも,香川県等と連携いたしまして,広域的な観光ルート等を紹介する多言語パンフレットの作成のほか,外国メディア等の招請ツアーを実施したところであります。また,宇野港等に設置しております観光案内所や岡山側の交通アクセスの向上,こういった取り組みにつきましては,今後も継続することといたしております。芸術祭開幕以来,犬島への来訪者や県南の主要ホテルの宿泊者数は,前年同期を大きく上回るなど,芸術祭は本県観光に大きく寄与するイベントであると,このように考えておりまして,今後は,香川県等との連携をさらに強化し,本県への誘客につながるよう,瀬戸内海や,あるいは県内観光地の魅力,これを国内外に発信してまいりたいと存じます。
 次に,公共事業の最低制限価格についてでありますが,積算は,適正な予定価格を把握するため,全国的な取引実態の調査に基づく単価等を用いまして,工事に必要な経費を積み上げて算出するものであります。最低制限価格は,ダンピング防止と工事の品質確保を図るため,直近の工事コスト調査結果等を踏まえまして,工事原価を下回らないよう設定しておりまして,雇用の不安定化につながることはないものと,このように考えておりますが,積算や最低制限価格の設定が民間の工事価格に与える影響につきましては,その実態把握には限界があると考えております。緊急経済・雇用対策につきましても,個別工事のコスト構造が変わらないということから同様に,積算と最低制限価格の設定を行っているところであります。
 次に,県立児童会館であります。
 まず,耐震診断の結果等についてでありますが,耐震診断の診断結果は,児童会館は,補強工事を行えば耐震基準に適合するとのことでありました。今年度末に児童会館としては閉じるという,財政構造改革プランの方針に変更はありませんが,お話の県有財産の有効活用という観点からは,岡山市への呼びかけや,新しいニーズに対応した活用が考えられると存じます。その場合の意義は何なのか,耐震補強,その他の経費はどうなのか,隣接する生涯学習センターとの関連はどうなのかなど,さまざまな検討課題を勘案しながら,引き続き,慎重に検討してまいりたいと存じます。
 映画「はやぶさ」についてでありますが,この上映会を民間の有志の方々が招致されたと聞きまして,鑑賞券を購入させていただきましたが,いまだ,その時間がとれないため,鑑賞はできていないところでございます。
 「はやぶさ」カプセルの招致でありますが,カプセルの展示は,多くの人に感動を与え,子供たちが宇宙や科学技術に関心を持つ契機となることから,大変これは有意義であると考えております。県といたしましては,県内の科学展示施設の意向を確認いたしますとともに,開催可能な場所等の調査を行い,応募の可否等につきまして,関係者とともに検討してまいりたいと存じます。
 次に,基幹型地域生活支援センター「ゆう」についてでありますが,23年度末までに,障害者自立支援法に基づくサービス提供事業者に移行することを目指しております。現在,家族会等の意見も聞きつつ,入院患者の地域移行を促進する拠点的な施設としての役割も含め,必要なサービスの内容や人員,設備等の具体的な事項について検討しているところでありまして,お話の移行後の収支見通し等も含めまして,今後さらに検討を進めてまいりたいと存じます。
 次に,未来のトップアスリートを育てる支援についてでありますが,県ではこれまで,競技レベルや発育発達段階に応じた最適な指導を行うジュニア選手・育成強化事業,スポーツ少年団等へトップ選手や指導者などを派遣する晴れの国トップアスリート派遣事業などを実施してきております。さらに,今年度からは,子供たちの運動やスポーツを実践する能力や資質等を高めるとともに,多角的な支援体制を充実するため,つくろう・のばそう・育てよう!スポーツプロジェクトに取り組んでいるところでありますが,これらの事業においては,指導者等にかかわる謝礼や交通費等を支給しておりまして,今後とも,このような事業を通じて,ジュニア層の競技力の向上に努めてまいりたいと存じます。また,総合グラウンドでは,長時間の駐車が想定される大会関係者につきましては,普通車1台当たり1日200円と低廉な料金設定をし,負担の軽減を図っているところであります。
 最後に,新たな財源についてでありますが,これまで森づくり県民税及び産業廃棄物処理税にかかわる充当事業の拡大や,銀行のATMを活用した数字選択式宝くじの販売に取り組んできたところであります。今後とも,県税の収入率の向上を初めとした他の取り組みの効果を見ながら,他県における事例も検証しつつ,あらゆる観点から検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(総務部長)  お答えいたします。
 歳入確保に関して,差し押さえの状況等についてでありますが,行財政構造改革大綱2008を実現するため,昨年度,滞納整理推進機構を設立するなど,税収確保に積極的に取り組んだ結果,21年度の差し押さえは6,626件と,20年度に比べ,約2.8倍に増加しておるところでございます。また,この差し押さえは,督促状発付後もなお納税催告に応じなかったり,あるいは分納の約束を守らない,こういった者などに対しまして,この差し押さえを行っているところでございます。
 次に,滞納者や税務職員に関してのお尋ねでありますが,税金は納期限内に納付いただくということが原則でございますけれども,真にやむを得ない事情で納税できない滞納者につきましては,分納を認めるなど,徴収の緩和措置を適切に講じておるところでございます。なお,職員に対しましては,研修を強化し,税務職員としての知識や誇りを持たせるとともに,徴収体制を整備するなど,組織的な対応を図っておるところでございます。
 以上でございます。


(県民生活部長)  お答えいたします。
 総合特区等についてのうち,データセンターについてでありますが,ネットワークを経由して,ソフトや情報サービスを利用するクラウドコンピューティングの普及等により,データセンターへの需要が高まっており,その投資等を通じた地元経済への波及効果が期待されているところであります。このため,県では,県内市町村と連携して,クラウド利用による業務の効率化に関する検討を開始したところであり,その議論の進捗や今後,国が打ち出す支援策の動向等を踏まえながら,県内のクラウド利用の拡大やデータセンターの構築等について,研究を進めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(保健福祉部長)  お答えいたします。
 発達障害児者支援体制のうち,夏休み等の支援についてでありますが,発達障害を含め,障害のある子供等に対して,学校行事以外では市町村が実施主体となって,児童デイサービスや日中一時支援などの福祉サービスを提供しております。障害のある子供等に対しては,教育機関を含む関係機関が連携し,成長過程に応じて,一貫した支援を行う必要があると考えており,県としては,市町村を核とした連携体制づくりを今後とも進めてまいりたいと存じます。
 次に,生活支援シートについてでありますが,20年度に,就学後の子供の成長の様子を書き込むことができる健康の記録を作成し,全市町村に配布したところであります。これを契機として,地域では,教育,保健,福祉が連携して,発達障害児に係る乳幼児期からの情報の共有を進めるなど取り組みが広がっており,今後とも,成長過程に応じ一貫した支援が行えるよう,助言等に努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(出納局長)  お答えいたします。
 地域経済の下支えのうち,県内製品の調達についてでありますが,お話の最低制限価格の設定は,地方自治法の規定により,工事または製造その他の請負に係る入札に限られており,物品調達に関しましては,必要な効用を満たす物品をより安価に購入することを基本に実施しているところであります。また,何をもって県内製品と言うかについて,入札参加資格要件におきましては,県税納付や県民雇用の観点から,県内に本店,支店,営業所がある事業者をひとしく県内事業者とし,それら事業者からの製品調達を原則としておりますが,さらに進んで,素材使用や製造過程等で,県内経済に付加価値を生み出すことも重要なことと考えております。このため,県産材を活用した製品や電気自動車など,特定の政策に基づく調達はもとより,今後,それ以外の物品につきましても,案件に応じて可能な限り,事業部局の意向を踏まえるとともに,公平性や競争性も確保した上で,地域経済の下支えに資するよう,効果的な製品調達に努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(教育長)  お答えいたします。
 まず,特別支援学校の適正就学についてでありますが,県立特別支援学校の小中学部への就学は,国で定められている障害の程度を就学基準として,就学指導委員会の専門的見地からの意見等を参考として,県教育委員会で決定しているところであります。また,高等部につきましては,入学者選抜を行い,各学校長が入学者を決定しているところであります。なお,お話のように,特別支援学校では,知的障害のある児童生徒が急増しておりまして,岡山瀬戸,倉敷琴浦高等支援学校などの設置に続き,このたび,倉敷市真備町箭田地内に,特別支援学校を新設することとしたところであります。この新設を機会に,県南部における特別支援学校の通学区域につきましても見直しを図ることにしておりまして,今後,市町村教育委員会と一層連携しながら,適正就学に努めてまいりたいと考えております。
 次に,発達障害への対応ができる指導者の派遣等についてでありますが,県教育委員会では,県巡回相談事業により,幼稚園や保育所を含め,各学校等の要請に応じて,特別支援学校教員等から任命した巡回相談員や,医師,大学教員などの専門家を派遣しているところであります。今後,こうした支援体制の一層の充実を図るとともに,特別な支援の必要な幼児,児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導,支援ができるよう,教員のさらなる専門性向上はもとより,幼稚園や小中学校に配置されている特別支援教育支援員の資質を高めるための研修等にも取り組んでまいりたいと考えております。
 次に,フリースクールについてでありますが,いわゆるフリースクールの規模や活動内容等はさまざまでありますが,不登校の児童生徒等の居場所づくりなどの一翼を担っていると認識しております。不登校の児童生徒の中には,発達障害が背景にある場合もあると言われておりまして,フリースクールにおいて,発達障害についての理解が進むよう,啓発リーフレットや各種の情報提供などに努めてまいりたいと考えております。
 最後に,特別支援学校高等部の5年制化等についてでありますが,法律で,全日制の高等学校の修業年限は3年とされ,特別支援学校高等部はこの規程を準用すると定められているところでありまして,御理解を賜りたいと思います。なお,高等支援学校の入学に際しての年齢制限につきましては,出願の条件としていないところであります。
 以上でございます。

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