平成22年6月定例会 代表質問 自由民主党 佐藤真治

  代表質問        自 民 党        佐藤議員

1 県政の諸課題について
 (1)地方分権               (総務)[ 知 事 ]
   ア 地域主権改革の評価
   イ 今後の取組
 (2)財政構造改革プラン
   ア 取組の総括等            (総務)[ 知 事 ]
イ 児童会館                 (保福)[ 知 事 ]
ウ 岡山テルサ                (産労)[ 知 事 ]
エ 再考                   (総務)[ 知 事 ]
 (3)高速道路等              (土木)[ 知 事 ]
 (4)米軍訓練の移転先           (総務)[ 知 事 ]

2 「教育と人づくりの岡山」の創造について
 (1)国民文化祭              (環文)[ 知 事 ]
   ア 広報活動等
   イ 特色
 (2)DV加害者対策            (県生)[ 知 事 ]
 (3)子ども虐待防止対策          (保福)[ 知 事 ]
 (4)第3次岡山県生涯学習推進基本計画   (教育)[ 知 事 ]
 (5)特別支援教育             (教育)[ 教育長 ]
 (6)プロ野球のゲーム誘致         (土木)[ 知 事 ]

3 「安全・安心の岡山」の創造について
 (1)医療提供体制             (保福)[ 知 事 ]
   ア 医師確保対策等
   イ 乳がん・子宮がん検診の受診促進
   ウ がん患者の緩和ケア
 (2)口蹄疫への対応            (農水)[ 知 事 ]
 (3)警察行政の基本方針          (警察)[警察本部長]

4 「産業と交流の岡山」の創造について
 (1)雇用対策               (産労)[ 知 事 ]
   ア 基金事業の効果等
   イ 新規学卒者等への支援
 (2)中小企業支援             (産労)[ 知 事 ]
   ア 経営安定対策
   イ 新技術開発等
 (3)中山間地域の活性化          (県生)[ 知 事 ]
   ア 今後の取組
   イ 買い物難民
   ウ 過疎対策
 (4)戸別所得補償制度           (農水)[ 知 事 ]
ア モデル対策の現状等
イ 課題
 (5)21おかやま森林・林業ビジョン    (農水)[ 知 事 ]
 (6)水島港の機能強化           (土木)[ 知 事 ]




(佐藤)  皆様,おはようございます。
 自由民主党岡山県議団の佐藤真治でございます。
 今までちょうど40回一般質問をさせていただいておりますんですが,本日は自由民主党岡山県議団を代表いたしまして,今議会に知事から提案されております諸議案並びに県政の当面する重要課題を取り上げ,いつもよりもなるべくゆっくりと質問と提案をさせていただきます。
 さて,昨年の総選挙で,私ども自由民主党は歴史的な大敗北を喫しました。昭和30年の結党以来途中10カ月ほどを除き,54年もの間,担い続けてきた政権与党の座をおりることになりました。しかし,確かに我々は野党に転じてはいますが,地方においてはあくまで多数党であります。どんなことがあっても我々がこの地方を守り抜いていくのだという強い責任と誇りを,我々自民党地方議員一人一人がしっかりと持っております。自民党は,絶対に死にません。我々地方議員が先頭に立って,この地方を,日本を守るために,この岡山から国民政党自民党の復活ののろしを高々と掲げてまいります。
 新政権には,事業仕分け等確かに評価できる部分もあります。真の地方主権を実現できるのであればと,我々も期待していた部分もあるのも事実であります。しかし,その期待は裏切られました。例えば,10年後,この新政権の8カ月を振り返ったときに,沖縄県の米軍普天間基地移転・移設問題等,むしろ国際的に我が国が極めて不安定な地位に置かれ,そして財源の裏づけのないばらまき施策は,子供たちにさらに借金のツケを回すことになった,しかも有効な経済対策はなかなか打たれない,日本が,地方が,むしろずたずたになってしまった,そんな8カ月と評価されることでしょう。何よりも朝令暮改,場当たり主義の発言,宮崎県の口蹄疫の感染拡大を初め政権担当能力の不足に,もはや地方は完全に振り回されております。我々は,これ以上この政権に,日本の,地方の未来を託すわけにはいきません。
 今こそ私たち自由民主党は,反省から学び,新しい保守政党として確かな将来に向け取り組んでまいる所存でございます。必ず我々は不死鳥のごとく生まれ変わり,立ち上がります。この夏の参議院選挙は,反転攻勢のスタートであります。そのために,岡山県連では,新たな試みである公募によって候補者を選定,擁立したところであります。総力を結集してこの参議院議員選挙に何としても勝ち抜き,再び日本を,地方を,我々が守り抜いていく決意であります。県民の皆様方には,今後とも,絶大なる御支援,御協力を賜りますよう心からお願いを申し上げ,具体的な質問に入らせていただきます。
 まず,県政の諸課題についてお尋ねします。
 初めは,地方分権の推進についてです。
 自公連立政権のもとの地方分権改革推進委員会からの4次にわたる勧告を踏まえ,現在,政府の地域主権戦略会議において,今夏の策定を目途に地域主権戦略大綱の取りまとめが急がれています。この大綱には,地域主権改革の基本的な考え方や取り組みの道筋が盛り込まれると聞いており,先ごろその骨子案が示されました。具体的には,法令による義務づけ,枠づけの見直しと基礎自治体への権限移譲計画のほか,ひもつき補助金の一括交付金化や国の出先機関の抜本的改革に関する基本的な考え方が,今後大綱によって明らかにされるとのことでございます。
 政府・与党が用いる地域主権という言葉自体には大きく異論がございますが,地方分権の推進という大きな政策課題に対して,我が党が政権を担っていた時代からの方向性をおおむね保ちながら検討を進められていることは,政治主導にこだわる余りある意味空回りしているほかの施策に比べれば,幾らか期待は持てます。地方主権戦略会議の設置,国と地方の協議の場の法制化,国の出先機関改革に向けた公開討議,そして今月中に原案の取りまとめを目指している地域主権戦略大綱の策定と進められている現政権による地域主権改革の一連の取り組みを,知事はどのように評価されているのか,御所見をお伺いいたします。
 現政権は,マニフェストには大変に耳ざわりのよい政策を掲げてはおられますけれども,いざさあ制度設計の段階になると,政策形成の調整機能が働いておらず,何より我々地方の声に耳を傾けることがございません。この結果,今年度支給する子ども手当の財源負担や高速道路の新料金問題に絡み,本四高速道路の追加出資を一方的に地方に押しつけてきたことは,記憶に新しいところでございます。法に基づく国と地方の協議の場の設置は,長らく地方の悲願でございましたが,実際の運用において国と利害対立するような場面で,地方が対等な立場で議論ができるのか,また,政策の企画立案段階で,地方側の意見が本当に聞き入れられるのか,しっかりと注視していく必要があると考えます。また,出先機関の抜本的改革や補助金の一括交付金化など,今後より具体的な検討段階になれば,権限が縮小されることを恐れる省庁側の抵抗はさらに激しくなるものと予想されます。長年の地方分権改革の取り組みが真に地方のための改革として結実するよう,知事は今後どのように取り組んでいかれるのか,御所見をお伺いいたします。
 続いて,行財政構造改革の推進についてです。
 2年前の一昨年6月,知事から県財政の危機が宣言されました。続いて示された財政構造改革プランの素案では,それまでの3次にわたる行財政改革の枠を超え,県行政のあり方そのものを見直す,そうした意気込みで官と民,県と市町村の役割分担の観点から,徹底して事務事業が見直されるとともに,公の施設の閉鎖,譲渡,縮小,さらに全国都道府県の中でも最も厳しい水準の職員の給与カットや定数削減など,歳出削減と歳入確保に向けた徹底した見直しが盛り込まれていました。県民の皆様から寄せられた多くの意見を踏まえ,議会での審議も活発かつ慎重に行われましたが,持続可能な財政構造を確立するため,平成24年度までに一般財源ベースで年間約400億円と見込まれる収支不足を解消するという目標に向け,我々議会もともに身を削る覚悟を持って決断をいたしました。しかし,財政構造改革プランを審議しているさなか,いわゆるリーマン・ショックに端を発した世界的な金融危機が起こり,その後,我が国も予想以上に長引く経済不況を,今,経験しているところであります。財政構造改革の初年度であった昨年度は,低迷する景気,雇用への緊急的な対応を迫られましたが,プランによる取り組みは計画どおり進んだのか,また,財政運営上,どれほどの効果があったのか,これらを含め昨年度の財政構造改革プランによる取り組みの総括と今後の見通しについての御所見をお聞かせください。
 財政構造改革プランに伴い,今年度中に4つの施設を廃止,もしくは譲渡するとしている公の施設についてお伺いいたします。
 プランでは,県立児童会館は県の施設としては閉じるとされていますが,先日,地域住民,利用者等から2万人を超える署名とともに存続の要望がありました。知事は,閉館した後の取り扱いについて検討されるため,施設の耐震診断を行うと回答されましたが,例えば,近隣の京山ロープウエー遊園が世界最高効率の太陽光発電システムの実証実験の場としてよみがえるように,私は児童会館にもぜひ新しい命を吹き込みたい,そのように願っておりますが,今後の方針について御所見をお伺いいたします。
 また,4つの施設のうち公募により民間に譲渡するなどとしている岡山テルサは,平成10年に開設された比較的新しい施設でございますが,今後どのように進めていくのか,御所見をお聞かせください。
 次に,財政構造改革プラン及びその方針に基づく取り組みの現状についてお聞きいたします。
 県では,歳入確保対策の新しい取り組みとして,県庁を初めとする県有施設に置く自動販売機の設置業者を決める際に,売り上げに対する県への納付率を競わせる,そんな方法を採用いたしました。その結果,7月から県庁内に置かれる清涼飲料水の自販機の場合,契約先に決まった事業者からは売り上げの55%を県に納付する,そうした条件が提示されていました。結果論になりますけれども,このような過当競争が続けば,事業者は疲弊をしてしまいます。財産活用は大いに結構でございますが,事業者や周辺に与える影響を考慮すべきではないかと考えます。また,県庁では,曇りや雨の日でも昼休みの休憩中は執務室内を消灯しております。中には薄暗い部屋の中で急ぎの仕事をしている者もおられ,経費節減や省エネの効果よりも職員の士気の低下が心配されます。これはそろそろ取りやめてもよいのではないか,そのことを申し上げたいと思います。このように,プランの推進期間は平成24年までの4年間でございますが,今後景気の回復による税収アップや地方交付税カットの復元など,外的な要因で収支不足が改善し,推進期間の前倒しが,あるいは可能になるかもしれません。このように,前提としている条件が変わってみたり,やってはみたが効果に疑問が生じたような場合,既定の方針に固執するのではなくて,さらに発展的な展開が期待できる場合には,再考してみることも必要ではないかと考えますが,御所見をお伺いいたします。
 次に,高速道路等の新たな料金制度についてでございます。
 平成21年3月から実施されている高速道路等の料金の大幅な引き下げにより,宇高航路が大きな影響を受けており,先月開催された宇野高松間地域交通連絡協議会において,旅客や貨物の利用実態,利用促進策等について,早期に調査検討を行うことになりました。こうした中,去る4月9日,国土交通省から高速道路の新たな料金制度が発表されましたが,この新料金制度では,現行の通行料金と比較し,利用者の大半にとって実質的な値上げとなります。また,瀬戸大橋を初めとする本四高速道路では,小型車料金がほかの高速道路より1,000円も高く設定され,特に休日に瀬戸大橋を通行する場合は大幅な値上げとなるため,見直しを強く望む声が地方自治体やトラック業界等関係団体から噴出しております。同時に,本四高速道路については,平成24年度以降の追加出資につき,事前に何ら説明がないまま一方的に地方からの出資を前提とした平成34年度までの措置としたことから,本県を初め関係自治体は一斉に反発の声を上げております。そうした中,新料金制度に対しては,政権の内部からも異論が続出し,さらなる混乱に拍車がかかり,国土交通大臣は上限料金制度を柱とする新たな料金制度の6月実施を断念すると表明し,高速道路無料化の社会実験のみのスタートに至りました。このように,高速道路料金体系に関して国の方針が二転三転しているところでありますが,県として高速道路の望ましい料金体系,これをどのように考えるのか,御所見をお伺いします。
 また,それと関連して,瀬戸大橋の通行料金及び追加出資についてどう対応していくのか,御所見をお伺いいたします。
 次は,米軍訓練の一部移転についてであります。
 衆院選を前にした昨年7月,当時野党民主党の代表であられた鳩山由紀夫氏は,普天間飛行場の移設先を「できれば国外,最低でも県外」と,沖縄県民の皆様に向かって宣言されました。政権交代し,総理となられた後は,みずから移設先決定の期限をことし5月末と設定し,職を賭す覚悟で臨むと,国会でも決意表明されました。結局先月28日,日米政府は移転先をキャンプ・シュワブのある名護市辺野古地区などとする共同声明を発表し,我が党の政権時代に,政府,地元,米国の間で奇跡的とも言える合意にこぎつけていた案を,甘言を弄して壊し,みずから八方ふさがりの状況をつくったあげく,もとの姿に修復しようとしたまま退陣されました。しかし,一度壊れてしまった沖縄県民の皆さんとの信頼関係を回復することは容易ではございません。期限を間近に控えた先月27日,総理からの要請にこたえて,全国知事会議が開催されました。会議では,総理からの全国の知事に向け,沖縄の基地負担を分散し,米軍訓練の一部を受け入れてほしい旨の協力要請がございました。これに対し,大阪府知事からは前向きにとらえた発言がございましたが,大方の知事の反応は冷ややかであったようであります。全国知事会は,政府から具体的な提案があれば市町村や住民の理解を前提とし,真摯に対応する旨の見解を示しておりますけれども,本県にも陸上自衛隊の日本原演習場があります。米軍の訓練の移転先として,政府からの受け入れの要請があった場合,どのように対応されますか,御所見をお伺いします。
 次に,「教育と人づくりの岡山」の創造についてお尋ねします。
 まず,岡山国民文化祭についてであります。
 いよいよ開催まで残りわずかとなり,5月27日には県実行委員会の第4回総会が開催され,総合フェスティバルの出演者,団体への委嘱が行われるとともに,6月2日には150日前イベントが実施されるなど,国文祭の開催機運の一層の盛り上がりが図られています。県実行委員会ではこれまでに,愛称の「あっ晴れ!おかやま国文祭」のロゴマークや数々の啓発資材を作成し,県民から募集した国文祭盛り上げ隊等による広報宣伝活動を初めテレビCMなどのメディア広告等,開催機運の醸成に努めてきましたけれども,同委員会が本年2月に実施した県民認知度調査では52.5%と,半数以上の方が国民文化祭の県内での開催を全く知らない,そうした結果も出ており,開催までにより効果的なPRを実施していく必要があると感じています。国文祭を成功に導くためにも,県内外への一層の周知や瀬戸内国際芸術祭との連携,新しい岡山県のマスコット「うらっち」の活用など,さまざまなPRが重要と考えます。今後どのような広報活動を展開し,開催機運を盛り上げていくのか,御所見をお伺いいたします。
 また,本県の豊かで多彩な文化を全国,世界に向けて発信していくとともに,国文祭の成果を県内の文化振興に結びつけていくためには,創意工夫による魅力的な事業展開が必要と考えます。岡山ならではの特色のある国民文化祭となるよう,どのような工夫を凝らしているのか,御所見をお伺いいたします。
 次は,ドメスティック・バイオレンスなど,家庭内での暴力についてでございます。
 家庭内で起こる暴力には,DVと呼ばれる配偶者間の暴力,子供や高齢者に対して行われる虐待等がございますが,これらの暴力には外部からの発見が困難であるため潜在化しやすく,加害者に罪の意識が薄いという特徴があり,特に殺人や傷害致死など,重大な事件に発展することもございます。中でも,配偶者間の暴力(DV)は,体力的経済的に優位に立つ側が一方的に支配し,身体的暴力精神的暴力などが繰り返されます。その影響は,当事者間だけにとどまらず,子供が間近で目撃することでさまざまな心身の症状を引き起こす原因となり,将来にわたって暴力の世代間連鎖を生む,そうした要因になっているとも言われています。しかし,家庭内の暴力に対して行政が行っている対策は,施設への一時保護や被害相談の実施,自立支援など,被害者側の保護,支援が中心であり,幾ら被害者をこうして救済しても,加害者が繰り返し暴力を振るう限りは,家庭内の暴力が根絶されることはありません。DV防止法では,国と地方公共団体は加害者の更生のための指導方法について調査研究に努めることになっています。調査研究に一定の成果が出ているのなら,速やかに加害者対策もあわせて実施すべきと考えますが,加害者対策の現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次は,子供虐待防止対策についてであります。
 報道等により,県内の児童虐待関係の痛ましい事件をよく目や耳にいたしますが,近年児童相談所等に寄せられる子供の虐待に関する相談件数は増加するとともに,その事例も複雑深刻化しており,その対策は喫緊の課題となっております。子供の虐待については,被害者である子供の保護と自立の支援も大切ですが,加害者となる親などの子育てに係る不安や負担感,地域での孤立感等を解消するための支援なども必要と考えます。子供虐待防止対策についてどのように取り組んでいるのか,御所見をお伺いいたします。
 次に,第3次岡山県生涯学習推進基本計画についてでございます。
 本県では,これまで平成12年度から10年間にわたる第1次,第2次の生涯学習推進基本計画に基づく取り組みや,平成19年度に県内全市町村参加で行われた全国生涯学習フェスティバルの成果により,生涯学習への意欲が高まっております。しかし,学習活動が個人の趣味や教養のみにとどまっていることや,生涯学習を支える多様な主体との連携・協働が必ずしも十分でないことなど,生涯学習を推進する上でさまざまな課題が,今,残されております。一方,今日急速な科学技術の高度化や情報化の進展,少子・高齢化の進行,産業就業構造の変化など,社会の状況は急激に変化しております。同時に,また,人の価値観が多様化して地域住民同士の交流やつながりがある意味希薄化している,そうした中で,新たな仲間づくりやネットワークの構築,相互の助け合い,支え合いが求められるようになっています。このため,県民一人一人が地域社会の担い手として主体的に参画しながら,地域の子供は地域全体で育てるという公共意識も持って学習成果を地域社会に生かすことのできる環境づくりが大切であると思います。こうした課題を踏まえて,本年2月,本県では,個人の豊かな学びと地域力が循環する生涯学習社会おかやまの実現を目指すことを基本目標に,第3次岡山県生涯学習推進基本計画を策定しましたが,この基本目標の実現に向けて市町村と連携しながらどう取り組んでいくのか,また,岡山市北区伊島町の岡山県生涯学習センターの充実とあわせて御所見をお伺いいたします。
 次に,特別支援教育の推進についてでございます。
 本県の特別支援教育は,特別な支援を必要とする児童生徒の増加に伴う教育体制の整備や発達障害などさまざまな障害種に対応した適切な教育ができる体制整備が喫緊の課題となっております。県教育委員会は,昨年3月,こうした課題を解決するため,岡山県特別支援教育推進プランを策定しました。この推進プランにのっとり本年2月,県南部の知的障害特別支援学校の過密化を解消するため,小・中・高等部のある新たな特別支援学校を倉敷市真備町箭田地内へ設置することを決定し,本年度は通学区域や学校規模などの基本計画を策定すると聞いております。しかし,特別支援教育を適切に推進するためには,そのほかにも県北部に特別支援学校,分校・分教室を設置するなど,県内全域における学校配置の適正化,そして就学前の発達障害児を支援する専門知識のある幼稚園教諭などの養成,そして特別支援学校へのできれば放課後児童クラブの設置,こうしたものも必要だと考えます。また,特別支援学級については,今年度当初予算の編成において,知事査定で新設20学級分を上乗せしたことにより,地元校に入級できた児童生徒は,昨年度より改善されたと評価はしておりますが,まだまだ十分ではない,そうした声も多くございます。特別支援学級の設置に当たっては,県教委が市町村教委と協議を行い,児童生徒の数にかかわらず総合的に判断すると聞いておりますが,適正就学に向けさらに適切な対応が必要であると考えます。本年2月に策定した岡山県教育振興基本計画では,重点施策の一つに特別支援教育の推進を挙げ,着実な推進を目指すとともに,本年4月には,指導課特別支援教育室を拡充し,特別支援教育課を設置したことは,教育長の強い決意のあらわれと期待しております。拡充した組織体制を生かし,各市町村教委にも積極的に働きかけながら,特別支援教育を今後どう進めていくおつもりか,教育長の御所見をお伺いいたします。
 次に,倉敷マスカットスタジアムへのプロ野球誘致についてでございます。
 倉敷マスカットスタジアムは,県民福祉の向上,地域経済への寄与などを目的に,平成7年に開場し,ことしで15周年を迎えました。平成9年には,プロ野球のオープン戦,公式戦と合わせて年間9試合,10年には10試合が開催されましたが,以降は漸減しておりました。こうした状況に歯どめをかけようと,平成17年に,県内の報道,経済,行政の各機関等の三十数団体で構成する岡山にプロ野球を誘致する会が発足し,誘致活動を展開した結果,翌18年には9試合が行われるという成果をおさめました。しかしながら,平成19年には,前年と比較して半減以下の4試合,20年,21年は各3試合にとどまり,ついにことしは3月の阪神対埼玉西武のオープン戦と,7月に予定されている阪神対東京ヤクルトの公式戦の各1試合のみとなり,開場以来最も少ない状況となっております。今回,阪神球団からは,スタジアムを満員にしてほしいとの強い要望が関係方面にあり,満員に近い入場者がないと来年の岡山でのプロ野球の開催はゼロになる可能性もあると考えられます。プロ野球は,公式戦はもちろんオープン戦にしろ球団のキャンプにしろ,ファンが球場に足を運ぶことでにぎわいが創出されるばかりではなく,地域経済の活性化にも大きな波及効果があると思います。今後,プロ野球のゲーム誘致を行うに当たっては,指定管理者である財団法人倉敷スポーツ公園を中心に県を初め関係機関はもちろんのこと,我が党としても全面的にバックアップし,誘致活動に邁進すれば,おのずと道は開かれるのではないかと考えますが,御所見をお伺いいたします。
 次に,「安全・安心の岡山」の創造についてお尋ねいたします。
 まず,医療提供体制の整備促進についてでございます。
 地域医療を取り巻く環境は,医学の急速な進歩や情報通信技術の発展などにより,医療の専門分化高度化多様化が進んでおります。本県では,岡山県保健医療計画に基づいて県民の生活の質の向上や,安心してより良質な医療を適切に受けることができる環境の整備等に取り組んでおり,平成19年度には,医師確保対策やがん等4疾病,救急医療等5事業に係る医療連携体制の構築など,新たな課題に対応するための追加計画を策定しましたが,まだまだ今後改善を要する多くの課題を抱えていると認識しております。こうした中,本県の人口10万人当たりの医師の数は,平成20年調査によると272.9人と,全国平均224.5人を上回ってはおりますけれども,県北部の医療圏では全国平均を大きく下回るなど,地域や診療科による偏在が多く見受けられます。本県では,岡山大学に寄附講座を創設するなど,本年度から地域医療再生計画に新たに取り組みますが,医師確保対策と医療連携体制の構築について,具体的に今後どのように取り組んでいくのか,御所見をお伺いいたします。
 次に,がん対策の推進についてお尋ねをいたします。
 昭和57年以降,がんは本県の死亡原因の第1位となっており,最近では毎年県内の死亡者の約3割に当たる方ががんを原因として亡くなっておられます。本県では,岡山県がん対策推進計画に基づいて,がんの予防と早期発見のための普及啓発や効果的な検診体制の整備等に取り組んでおります。しかしながら,平成20年度に市町村が実施した検診受診率は,乳がんは15.1%,子宮がんは21.5%と,非常に低調な数字となっており,胃がんなどそのほかの受診率についても,低下傾向にございます。特に,乳がんや子宮がんの検診に関しては,若年層を中心にがん予防に関する知識の普及や受診勧奨を強化することが必要と考えますが,早期発見に向けたがん検診の受診促進についてどのような対策を講じているのか,御所見をお伺いいたします。
 また,がん対策では,患者の緩和ケアも重要です。苦痛の軽減や療養生活の質の維持向上を目指し,がん患者とその家族,医療関係者等が互いに信頼し,連携する環境を構築することが必要と考えますが,県としてはどう取り組んでいかれるのか,御所見をお伺いいたします。
 次に,口蹄疫への対応についてでございます。
 4月に宮崎県で発生が確認された口蹄疫の感染の拡大は極めて深刻な状況であり,宮崎牛ブランドの種牛を飼育し,畜産業の中枢である県関係の施設にも感染の疑いがある牛が見つかるなど,同県の畜産業にとって壊滅的な打撃であると同時に,厳正な防疫措置のもとに管理されていたはずの県関係施設に感染が広がっていたことは,中四国有数の畜産県である本県にとってもまことに憂慮すべき事態であります。これほどまでに感染が拡大した背景として,感染拡大への認識不足や初期対応のおくれが指摘されております。翻って,本県の状況を見たとき,万が一のときの初動体制,迅速な情報集中と的確な情報提供など,市町村や関係団体などと連携した危機管理体制のあり方を問わねばなりません。口蹄疫ウイルスは,人や車両を介して運ばれるだけではなく,空気感染も引き起こすなど,非常に感染力が強いため,まさに時間との闘いとなります。目に見えない危機が忍び寄る中で,畜産関係者は言うに及ばず県民全体に不安が広がっております。このような事態に際しては,組織トップの迅速な判断力と強いリーダーシップを目に見える形で示していくことが重要ではないかと考えます。今年度から,知事直轄の危機管理部門が設置され,各部局を統括調整して緊急事態に機動的に対応する体制が整えられています。本県には,平成19年に高病原性鳥インフルエンザの封じ込めに取り組んだ経験もございます。県民の皆様が安心感,信頼感を具体的に感じられるよう,盤石な対応,安全・安心への明確なメッセージの発信をしていただきたいと考えます。今のところ,県内での感染例はございませんが,厳重な消毒など,関係者への防疫対策の徹底,種牛の分散など,感染発生前の予防的な対策の実施,風評被害の防止など,取り組むべき課題は数多くございます。一方で,畜産農家の方々は,既に消毒などの対策に相当の労力を費やされて,費用の負担も生じているのではないかとも思われ,こうした畜産農家の方々に対する手厚い支援も必要でございます。本県では,口蹄疫に対してこれまでどのように対応し,今後引き続きどのような取り組みを進めるのか,御所見をお伺いいたします。
 次に,警察行政の運営の基本方針についてでございます。
 県内の治安情勢を見ますと,昨年の刑法犯認知件数は7年連続して減少しており,交通事故に関しても死者数は6年連続,負傷者数は4年連続して減少してはおります。こうした状況ではありますが,本年は殺人放火事件やコンビニ強盗といった凶悪事件が相次いで発生したほか,振り込め詐欺等の知能犯罪のニュースを新聞やテレビ等で目や耳にするにつけて,県民の皆様はなかなか安全で安心な社会を実感できないのが現実であります。一方では,昨年5月からの裁判員制度の導入や本年4月からの殺人など死刑に相当する凶悪事件の公訴時効の廃止,また,経験豊富な団塊世代の警察官の大量退職が予想されるなど,警察行政を取り巻く状況も変化してきており,新たな対応も必要となるのではないかと思います。犯罪のない安全で安心な社会は,すべての県民の皆様の願いであり,地域住民の生命や財産を守るため,日夜活動されている県警察に対する県民の皆様の信頼と期待は,非常に大きなものがございます。篠原警察本部長は,3月下旬に着任されたところでございますが,県警察の最高責任者として,「安全・安心の岡山」の創造に向けてどう取り組んでいかれるのか,御決意をお伺いいたします。
 次に,産業と交流の岡山の創造についてお尋ねいたします。
 まず,雇用対策についてでございます。
 本県では,平成20年12月に,有効求人倍率が5年3カ月ぶりに1倍を下回って,昨年8月から10月は過去2番目に低い0.54倍で推移するなど,厳しい状況となりました。本年4月は0.64倍で,引き続き低水準にとどまっています。このような状況の中,本県では,平成20年度1月補正予算以降昨年度までに,総額約1,500億円規模の経済・雇用対策を実施するとともに,今年度当初予算では約800億円規模の対策を講じることとしています。まずは,この緊急経済・雇用対策事業が就業機会の創出,雇用の確保,離職者対策等であるという趣旨を十分に酌んでいただき,県事業の執行に当たっては著しく低額な契約を締結することなく就業機会の創出等が確実に図れるよう,適正価格で事業を進めることを特に強くお願いしておきたいと思います。
 さて,雇用創出関係基金事業については,昨年度末までに約144億円の基金を造成し,その基金を活用して緊急雇用創出事業やふるさと雇用再生特別事業を実施しております。また,今年度からは新たに介護,医療,農林等の今後成長が期待される分野に重点を置いて,雇用の創出や地域のニーズに応じた人材育成に取り組んでいきます。この新規事業も含めて,昨年度からの3カ年計画で約1万人の雇用創出効果を見込んでおりますが,1年目である昨年度の効果はどうであったのか,お伺いいたします。
 また,これらの事業による雇用が継続的な雇用につながっていくよう期待するところでありますが,より効果的に事業を展開していくため,昨年度の実施状況等を検証し,今年度以降の事業にどのように反映し,どう取り組んでいかれるのか,あわせて御所見をお伺いいたします。
 岡山労働局によりますと,今年度の新規学卒者の就職は,現下の厳しい経済・雇用環境の影響によって高卒者の就職決定率は,昨年度から3.3ポイント減の93.6%,大卒者等は4.4ポイント減の88.1%と,大変厳しい結果となりました。来春の新規学卒者についても,採用枠の大幅な拡大等を望める状況にないかもしれません。これは極めて深刻な事態と言わざるを得ません。6月1日,知事は,教育長,岡山労働局長とともに経済団体へ新規学卒者の採用等に関する要請を行ったところではありますけれども,今後,来春の新規学卒予定者や今春の未就職卒業者への就職支援にどう取り組んでいかれるのか,御所見をお伺いいたします。
 次に,中小企業支援と新産業の育成についてであります。
 中小企業白書によれば,中小企業の業況は持ち直しの動きが見られるが,業種,規模によってはその動きに違いがある,特に資金繰りと雇用は依然として厳しく,デフレや円高の進行等,先行きにリスクがあるとされています。県信用保証協会の平成21年度の代位弁済額は約113億円と,初めて100億円を超えた前年度をさらに3.6%も上回りました。これも厳しい経済情勢の影響によるものと思われます。本県では,昨年度,商工会議所や商工会等と連携し,県内中小企業に対し緊急特別巡回指導を実施したところ,売上高,生産高の減少や資金繰り,販路開拓を課題として挙げる企業が多かったと聞いております。売上高等の減少や資金繰り等で苦しんでいる中小企業の経営安定に向けて,効果的かつきめ細かな支援が求められておりますが,県として具体的にどのような支援を行っていくのか,御所見をお伺いいたします。
 こうした中小企業の支援については,経営の安定化と同時に,中長期的な視点から,将来的な競争力を強化するため,イノベーションによる新産業の育成を図ることが不可欠であると考えます。幸いにも,本県では,自動車関連企業を初めさまざまな精密,微細な製品づくりを可能にする技術の集積の層が非常に厚く,世界に通用するレベルに達しております。また,岡山産学官連携推進会議が組織され,そのもとに産学官連携の総合的かつ効果的な推進を図る岡山産学官連携センターも開設されています。さらに,ミクロものづくり岡山推進協議会等,それぞれの産業分野での連携組織が積極的に活動しております。
 一方で,例えば,電気自動車を例に挙げれば,これまで以上に電子,電気,コンピューター制御等の技術が必要となって,例えば,従来の自動車整備工場ではなかなか対応ができない,そうした部分が拡大するとも聞いております。新産業を育成するに当たって,同時に,最先端技術への対応に課題がある中小企業に対する配慮も必要であると考えます。中小企業がこうした課題を克服し,競争力を強化することにより,本県の物づくり産業の育成・集積を推進するためには,本県の産業特性に合った分野や今後の発展が見込める分野における新技術や新製品の開発等が必要であります。中小企業の新技術開発等に対する支援をどのように進めていかれるのか,御所見をお伺いいたします。
 次は,中山間地域の活性化についてであります。
 本県の県土の約75%を占める中山間地域では,平成15年に制定した中山間地域の振興に関する基本条例,16年に策定した中山間地域活性化基本方針に基づいてさまざまな施策が講じられてきましたが,依然として過疎化高齢化は進んでおります。一昨年,県内の中山間地域全域を対象として行った調査では,高齢化率が50%以上で戸数19戸以下の,いわゆる小規模高齢化集落の数は1,000カ所を超え,調査対象となった全集落の約18%を占めるに至っております。もとより,地理的経済的条件に恵まれない中山間地域を活性化させることは容易ではございませんけれども,集落を消滅させないため,ここは何としても地域を守り立てていく,そうした手だてを考えていかなければいけません。本県では,策定から6年が経過した基本方針を今年度見直すこととしておりますが,今後,中山間地域の活性化にどのように取り組んでいかれるのか,御所見をお伺いいたします。
 ところで,最近よく「買い物難民」という言葉を耳にします。身近な商店が地域から消えたり,路線バスなど生活交通の手段が廃止されたりし,車を運転できないお年寄りが食料や日用品の購入に不自由している,そうした様子をあらわしたものであります。これは,実は中山間地域に限ったものではなくて,高度経済成長期につくられた住宅団地等でも,あるいは中心市街地でも見られることでございますが,地域全体が高齢化している中山間地域の集落では,深刻な問題となっております。コミュニティーバスやデマンド型の乗り合いタクシーの運行など,自治体が関与して生活交通手段を提供できればいいんですけれども,採算性が期待できない中山間地域では,自治体の財政負担という課題もございます。この買い物難民の解消のために,移動販売車の運行や簡単な操作で利用できる,お年寄りには難しいかもしれませんが,インターネット通販の開発などに,地域,自治体,事業者が連携して取り組んでいる事例もございます。こうした取り組みは,中山間地域に暮らす高齢者にとって極めて有用であり,ぜひ県としても後押ししてほしいと考えますが,御所見をお伺いいたします。
 また,昨年度末,過疎地域自立促進特別措置法が改正され,間近に迫っていた法の失効期限が平成27年度末まで延長されました。あわせて過疎対策事業債の対象施設の拡充や対象事業に,地域医療の確保,住民の日常的な移動のための交通手段の確保,集落の維持や活性化など,住民が将来にわたり安全・安心に暮らすためのソフト事業が加えられるなどの充実が図られたところであります。今後,市町村とはどのように連携して過疎対策に取り組んでいかれるのか,御所見をお伺いいたします。
 次に,戸別所得補償制度についてでございます。
 国は,今年度から,水田におけるモデル対策を実施していますが,これに必要な財源確保と引きかえに,土地改良事業を初めとする農業農村整備事業の予算を半分以下と,大幅に削減しております。これでは新規事業が不可能なだけではなく,既存の農地や農業用水路などの生産基盤の機能維持や更新すら困難にするものであって,農業現場の実情を無視し,地域経済や雇用への影響も顧みないものではないかと思います。農地は,食料の供給,洪水調節,生物多様性の保持などの多面的機能を有し,農業農村整備事業はこの機能を維持増進させ,より生産性の高い効率的な農業経営を実現するものであります。こうした基盤整備を,生産振興や担い手育成などと車の両輪として一体的に行うことが重要だと考えます。土地改良事業などがおろそかであれば,農業生産基盤そのものが弱体化するのではないかと危惧いたしております。そして,このモデル対策でございますが,これまでの農政では経営の効率化安定化に向けて担い手の方々への農地集積や集落営農の組織化法人化に努め,一定の成果を上げてまいりました。小規模農家を含めたすべての販売農家を一律に対象とする制度が導入されることで,いわゆる農地の貸しはがしや集落営農からの脱退などを招き,生産性の低下や担い手の方々の意欲の減退につながることも懸念されております。また,補償の内容についても,全国一律ではなくて,生産コストや特徴を生かした転作作物の生産振興など,地域の実情への配慮も必要であると思います。農家の方々は,単年度限りの経営をしているのではありません。来年度から本格実施される制度の詳細も明らかでなく,毎年のように制度が変わることやそもそも制度が果たして永続的に維持されるのか,不安を抱かれています。モデル対策の加入申請受け付けは4月から行われておりますが,さきに述べた貸しはがしなど,さまざまな懸念や不安がある中で,本県におけるモデル対策の現状と農家の反応についてどう把握されているのか,お伺いいたします。
 また,本格実施に向けての課題について,県として十分把握の上,国に対して積極的に問題提起し,よりよい制度となるよう働きかける必要があると考えますが,御所見をお伺いいたします。
 次に,21おかやま森林・林業ビジョンについてでございます。
 森林は,木材等の林産物の供給,県土の保全,美しい景観や快適な環境の提供,人々に健康といやしを与えるなど,県民の生活,経済にさまざまな恩恵をもたらしております。また,温室効果ガスの削減には,森林による吸収が不可欠であります。こうした機能を保持増進するための森づくりには,長い年月を要することから,長期的な視点に立って計画的に施策を推進していくことが求められます。一方,森林・林業を取り巻く現状は,木材価格の長期的な下落と景気悪化による需要の減少によって採算性の悪化,林業所得の減少,関係者の方々のあるいは意欲の低下,林業就業者の減少,高齢化の進行,森林の管理水準の低下など,さまざまな悪循環を生じて長期的な停滞の中に今ございます。こうした中,国では,昨年12月に策定した森林・林業再生プランにおいて,10年後の木材自給率を現在の20%台から50%以上とすることを目標に掲げ,今国会では,公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が成立し,国や自治体が整備する建物や民間が建てる学校や老人ホームなどの公共建築物での木材利用を推進することとしております。本県としても,林業や木材産業を活性化し,森林の保全につなげていくためには,公共建築物などにおいて県産材の積極的な利用を推進し,民間の建物などへ波及させていく必要があるのではないかと考えます。景気悪化による深刻な雇用情勢のもとでは,森林・林業分野は雇用創出の場として期待されております。平成22年版の森林・林業白書によれば,林業就業者は減少と高齢化が続いているものの,35歳未満の若年層の割合は,ほかの産業で減少傾向が続く中で増加傾向にあるなど,注目すべき点も多くございます。本県では,本年3月に,21おかやま森林・林業ビジョンを策定し,今後10年間の施策の推進方向を示したところでございますが,こうした森林・林業を取り巻く諸課題や新たな動きに対して,新たなビジョンではどのような施策に重点を置いて取り組むのか,御所見をお伺いいたします。
 質問の最後は,水島港の機能強化についてでございます。
 水島港は,中国などアジアを中心とする交易の拠点的港湾であり,特定重要港湾の指定を受け,平成20年の総取扱貨物量が全国第5位という,政略的にも有望なポテンシャルを持ち得ております。今年度からは,新高梁川橋梁と玉島ハーバーアイランド国際コンテナターミナルの水深12メートル岸壁の現地での工事が始まりました。本県の最重要課題である水島港の機能強化が,こうした事業により一層推進されることは,まことに喜ばしく,一日も早い完成を願ってやみません。こうした中,現在,国において産業及び国民生活に欠かせない資源,穀物等のバルク貨物を大型船によって一括大量に運び込むことのできる拠点港湾を選定する国際バルク戦略港湾の検討が進められております。言うまでもなく,水島港は背後に立地する水島コンビナートの原材料の輸入港となっており,平成19年の港湾統計では,鉄鉱石の取扱量が全国第1位,大豆等豆類の取扱量が全国第4位など,鉄鉱石や穀物等バルク貨物の輸入拠点として非常に重要な役割を果たしております。今後,国から国際バルク戦略港湾の選定を受けることは,水島港の一層の機能強化に加え,背後の水島コンビナートを初めとする県内産業の国際競争力の強化や県内経済の発展のためにも非常に有益と考えますが,御所見をお伺いいたします。
 以上,当面する県政の諸課題を取り上げましたが,時間の制約もあり,そのほかの諸課題につきましては一般質問にゆだねることといたしまして,私の自由民主党岡山県議団の代表質問を終わらさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の代表質問にお答えいたします。
 まず,地方分権についてであります。
 地域主権改革の評価についてでありますが,国と地方の協議の場の法制化は,国と地方の対等な協議を保障するものでありまして,その取り組みにつきましては,評価するものでありますが,政局の混乱によりまして法案の成立が懸念されるところとなっております。また,さきに示されました地域主権戦略大綱の骨子につきましては,その総論において,国と地方の役割分担の見直しや地方自治体の自由度の拡大等,おおむね地方の意見に沿った改革の理念が盛り込まれているところでありますが,ひもつき補助金の一括交付金化,国の出先機関の抜本的改革等に関しまして,具体的な制度設計が示されていないところであります。今後,政府におかれましては,菅新総理の強力なリーダーシップのもと,関連法案の早期成立を図りますとともに,地方の意見を十分に踏まえながら,真の地方分権型社会の実現につながるよう,改革の具体的な制度設計が行われ,工程等が明確に示されること,このことを期待しているものであります。
 今後の取り組みでありますが,真の地方分権改革を実現するためには,国と地方の協議の場の実効性ある運営を確保した上で,地方が地域の実情や意見を政府に伝え,国の出先機関の抜本的改革や地方税財源の充実強化等の重要課題に政府が省庁の利害を超え,省庁の抵抗を排除して取り組むよう促していくことが何よりも肝要であると存じます。このような認識に基づきまして,私といたしましては,県議会を初め市町村との連携のもと,県政の実情や行財政改革の実績等を踏まえながら,県民生活の向上に不可欠な政策や地方税財源の充実強化等に関する意見,提案を直接政府へ伝えるとともに,全国知事会の活動や国と地方の協議の場における議論を通じまして,真の分権型社会の早期実現を政府に強く求めてまいりたいと存じます。
 次に,財政構造改革プランについてであります。
 まず,取り組みの総括等についてでありますが,行財政構造改革の最終目標効果額396億円に対しまして,21年度の最終予算ベースで128億円の効果額を達成したところであります。また,改革2年目となります今年度当初予算まで含めますと,効果額は累計で189億円となりまして,おおむね5割程度達成するものと見込んでおりまして,取り組みは順調に進んでいるものと認識いたしております。これまでの取り組みによりまして,一般施策や運営費等の歳出削減につきましては,おおむね所期の目標を達成してきたことから,今後は歳入確保や定数削減についてもプランに沿って計画的に実施してまいりたいと考えております。
 児童会館についてでありますが,今年度末に児童会館としては閉じるという財政構造改革プランの方針に変更はないところでありますが,これまでの県議会での御議論や多くの県民からの要望等を踏まえまして,このたび耐震診断を行うこととしたところであります。閉館後の取り扱いにつきましては,その結果を踏まえ,岡山市や民間に呼びかけ,県民からの要望の中で提案のあった新たな行政ニーズへの対応の可能性を探り,隣接する生涯学習センターも含め,全体としてどのような方向性が考えられるか,今後慎重に検討してまいりたいと存じます。
 岡山テルサについてでありますが,財政構造改革プランに基づき,今年度末で県施設としての運営を終了し,公募により民間へ譲渡等を行うことといたしております。現在,譲渡に当たって必要な雇用・能力開発機構との協議を進めるとともに,譲渡価格設定の参考とするため,土地,建物の不動産鑑定を行っているところでありまして,その結果を踏まえ,速やかに譲渡先の公募を実施していきたいと考えております。
 プランの再考についてでありますが,行財政構造改革プランは,持続可能な財政構造の確立のため,長期試算をもとに必要な取り組みを体系的に取りまとめたものでありまして,今後の経済見通しや国の動向等には十分に留意しながらも,引き続き着実にこれを実施することが基本であると考えております。
 なお,取り組みの具体化に際しましては,例えば,公の施設の譲渡につきましては,市町村や利用者等と十分に調整しながら実施時期を確定するなどしておりまして,その他の取り組みも含め,今後とも適切に対応してまいりたいと存じます。
 次に,高速道路等についてでありますが,公表された新たな料金制度につきましては,今後の関係法案の国会審議等において見直される可能性があることから,国の対応を注視する必要があると考えておりますが,瀬戸大橋の通行料金が他の高速道路と比較して割高な設定となっているということは,極めて問題であると考えておりまして,他の高速道路と同程度の水準に設定するよう引き続き国に働きかけてまいりたいと存じます。
 また,瀬戸大橋等への追加出資につきまして,本県を含めた出資団体である10府県市に具体的内容が事前に知らされることなく,平成34年度までの継続を前提として一方的に示されたことは,まことに遺憾であります。加えまして,この追加出資は,他の高速道路では地方に求められていない料金割引のための追加出資でありまして,公平性を欠くことから,応じられないと,このように考えておりまして,先般,関係府県市と共同で国等に対しまして意見書を提出したところであります。今後とも,地方からの追加出資が生じないよう,関係団体と緊密に連携を図りながら,国等に対し働きかけしてまいりたいと存じます。
 次に,米軍訓練の移転先についてでありますが,現在,政府から具体的な提案が全くない状況でありますが,訓練の受け入れを求めるに当たっては,政府が責任を持って地方に対し丁寧に説明,協議し,理解を得るべきでありまして,その際には,まずもって関係する市町村や住民の意向が尊重されるべきものであると考えております。今後,仮に政府から米軍訓練の日本原演習場への移転要請があった場合におきましては,このような考え方に立ちまして,適切に対応してまいりたいと存じます。
 次に,国民文化祭についてであります。
 まず,広報活動等についてでありますが,開催機運の盛り上がりを図るためには,開催に向けてさらに重点的効果的な広報が必要であると考えております。引き続き,県内外のさまざまなイベント会場でPR活動を展開いたしますとともに,次期開催地の京都府を初め近隣の府県への広報キャラバン隊の派遣,100日前,また,50日前等の節目の日のPRイベントとこれらにあわせましたマスメディアによります集中的な広報,後楽園幻想庭園での国文祭デーなどを実施いたしますほか,街頭フラッグや懸垂幕の掲出,主要駅へのポスターの掲示などによりまして,秋には県全体が国文祭一色に染まるように努めてまいりたいと存じます。今後ともあらゆる機会をとらえまして,また,多様なメディアの一層の御協力を得ながら,ももっちやうらっちを初めといたしました広報資材を積極的に活用いたしまして,開催機運をさらに高めてまいりたいと存じます。
 特色についてでありますが,68の主催事業それぞれにおいて,本県の豊かな歴史や伝統を踏まえまして,人材や文化的蓄積を生かしながら開催準備が進められております。本県ならではの試みといたしましては,シンポジウム「地域と文化」の開催に先立ちまして,本年2月から3月にかけまして,岡山の先人の足跡をたどる連続講演会を開催いたしましたほか,公募により選ばれました若者26名をナビゲーターといたしまして,総合フェスティバル「愛の雫」の進行,先導役に起用することや,3県民局管内でそれぞれの地域文化,食文化などを複合させて,まち全体を文化のステージにするプロジェクトなどを計画しております。今後とも,幅広い分野,地域,世代の参加が得られるよう工夫を凝らしまして,国文祭の成果を県内の文化振興につなげてまいりたいと存じます。
 次に,DV加害者対策についてでありますが,暴力の連鎖や再発防止を図る観点から,DV被害者と子供のケアに加えまして,加害者への対策も必要であると考えております。国においては,配偶者からの暴力の加害者更生に関する検討委員会を設けまして,調査研究を行っているところでありますが,いまだ十分な成果が得られていない状況にあると聞いております。このような中,ことし4月に全国知事会からは,国に対し,加害者更生プログラムを作成し,その効果を検証するなど,実効性ある加害者対策の検討を進めるよう提言しているところであります。県といたしましては,引き続き国の動向を見守るとともに,他県や民間機関等における取り組み状況などの情報収集に努めてまいりたいと存じます。
 次に,子供虐待防止対策についてでありますが,県では,虐待は子供への著しい人権侵害であるとの認識に立ち,本年3月に策定いたしました「岡山いきいき子どもプラン2010」においても,子供の虐待防止対策の推進を重点目標の一つに掲げまして強力に取り組んでおります。お話の加害者となる親などの子育てにかかわる不安や負担感,地域での孤立感等の解消につきましては,市町村が実施する乳児のいる家庭への全戸訪問や問題を抱える家庭への訪問などを積極的に支援いたしますとともに,助産師等の医療関係者や子育て支援団体などが行う相談事業等のさまざまな活動に対し助成することなどを通じまして,家庭の子育て力の充実に努めているところであります。
 次に,第3次岡山県生涯学習推進基本計画についてでありますが,本計画においては,人がつながり,学びの成果を生かして地域社会に参加,参画する学習活動を促進することや,企業,NPO,学校等多様な主体との連携・協働による取り組みを充実することを重要な方向性といたしております。計画に基づく諸施策の実施に当たりましては,市町村ともこの方向性をしっかりと共有いたしまして,個々の地域課題,ニーズ等を踏まえました学習活動や国民文化祭等を通じました地域社会づくりを促進いたしますとともに,生涯学習推進の拠点であります県生涯学習センターの指導者養成や情報提供等の機能の充実を図ることによりまして,市町村における取り組みを一層支援することといたしております。こうした取り組み等を通じまして,豊かな学びと地域力が循環する「生涯学習社会おかやま」の実現を図ってまいりたいと存じます。
 次に,プロ野球のゲーム誘致についてでありますが,これまでも岡山にプロ野球を誘致する会と連携いたしまして,公式戦等の開催を阪神球団を初め各球団に働きかけてきたところでありますが,各地に新球場がオープンしたことなどによりまして,試合数は減少しているところであります。このように,厳しい状況ではありますが,今後ともプロ野球が1試合でも多く開催されるよう,県議会を初め関係機関の御協力をいただきながら誘致活動に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に,医療提供体制についてであります。
 まず,医師確保対策等についてでありますが,地域医療再生計画に基づき,今年度から医学部地域枠を5名から9名へ拡充いたしますとともに,岡山大学に設置いたしました寄附講座において,医学生等を対象に地域医療の魅力を伝える実習等を行いますほか,NPO法人と連携いたしまして,研修医等の県内医療機関への就職を支援する事業などに取り組みまして,地域に必要な医師の育成や確保を図ることといたしております。また,脳卒中等の疾患ごとに,急性期,回復期等の医療を担う医療機関を公表いたしまして,医療機関相互の役割分担と連携強化に取り組みますとともに,救急医療や周産期医療等の事業ごとに拠点となる病院を指定いたしまして,地域の医療機関と連携した受け入れ体制を整備いたしているところであります。今後とも,医師確保対策や医療連携体制のさらなる充実に取り組み,県民が安心して医療を受けられる体制の構築に努めてまいりたいと存じます。
 乳がん,子宮がん検診の受診促進についてでありますが,市町村においては,無料クーポン券等による受診率の向上に努めているところでありまして,県といたしましては,その円滑な実施に向け,国,市町村,医療機関等との調整を行いますとともに,検診手帳のひな形の作成や休日,夜間検診の実施,複数の検診の同時実施など,受診率向上に向けた市町村への助言を行っているところであります。また,愛育委員,栄養委員等との協働によります従来からの受診勧奨に加えまして,昨年12月から新たにがん対策協賛事業を開始いたしまして,金融機関等の各種団体に幅広く参画を呼びかけるなど,若年層も含めた普及啓発や受診勧奨の充実を図ったところであります。今後とも,こうした取り組みによって受診率の向上に努めてまいりたいと存じます。
 がん患者の緩和ケアについてでありますが,がん患者の方々は身体的な痛みだけではなく精神的な不安や悩みなど多くの問題を抱えておりまして,治療の初期段階から適切な緩和ケアを提供することが重要であります。このため,県では,がん診療に従事する医師等を対象に,緩和ケア研修会を開催いたしますとともに,県内7カ所のがん診療連携拠点病院において,がん患者や家族等からの相談に対応するがん相談支援センターの運営を支援してきたところでありまして,今年度からは新たに患者同士で悩みを語り合い,支え合うために,患者会等が実施しているがんサロンの活動を支援することとしております。今後とも,関係機関や患者会等と連携しながら,緩和ケアの一層の普及を図り,がん患者や家族等の生活の質の維持向上に努めてまいりたいと存じます。
 次に,口蹄疫への対応についてでありますが,まずは県内での発生を防ぐことが重要であると認識し,宮崎県での発生後,直ちに農家等に対し消毒の実施や農場内への立入禁止措置などを指導するとともに,関係団体による防疫対策会議を開催し,発生防止対策の徹底を要請したところであります。また,防疫対策強化のため,先月から行っている消毒薬の配布を継続するとともに,消毒機材を各市町村に配備いたしまして,畜舎内の消毒を実施することといたしましたほか,県有種牛の一部を分散移動させる措置も講じたところであります。さらに,万一の発生に際しましては,直ちに私自身が本部長となって迅速な初動対応ができる体制を整えており,各市町村に対しましても,防疫拠点や消毒ポイントの選定,埋却地の確保などを要請いたしております。今後とも,県民の安全・安心を守るため,状況の変化に的確に対応しながら,防疫対策に万全を期してまいりたいと存じます。
 次に,雇用対策についてであります。
 まず,基金事業の効果等についてでありますが,昨年度,県及び市町村で実施した緊急雇用創出事業及びふるさと雇用再生特別事業で,合わせて3,675人の新規雇用を創出したところでありまして,おおむね計画どおりの進捗となっております。本年度は,介護,医療,農林,観光等の分野に重点を置いて事業を集中的に行うことといたしておりまして,事業実施に当たりましては,昨年度事業の応募状況等を十分に検証し,より多くの雇用につなげるため,事業内容の見直しや拡充などを進めております。また,より効果的に事業を推進することができるよう,基金事業のさらなる要件緩和等について,国に対し提案しておりまして,今後とも労働局や市町村との緊密な連携のもと,地域の実情やニーズに即した事業を迅速かつ的確に推進し,雇用の創出確保に全力を挙げてまいりたいと存じます。
 新規学卒者等への支援についてでありますが,採用枠の拡大に向けた経済団体等への要請を初め,労働局と連携した求人開拓や合同就職面接会の開催等に加えまして,今年度は新たに,おかやま若者就職支援センターによります学校等への出張相談等を実施いたしております。さらに,5月31日には,岡山新規学卒者就職応援協議会を新たに設置したところでありまして,教育機関や経済団体,行政が一体となって面接会などの連携事業に取り組むことといたしております。また,今春の未就職卒業者については,1年間の体験就業後に正規雇用を目指す未就職卒業者就職応援事業や,高等技術専門校等での各種職業訓練を実施いたしておりまして,一人でも多くの新規学卒者等が就職できるよう,引き続き支援してまいりたいと存じます。
 次に,中小企業支援についてであります。
 まず,経営安定対策についてでありますが,お話のように,県内中小企業の多くは厳しい経営環境にあることから,今年度既存融資の借りかえや追加運転資金の需要に対応する小規模企業者向けの融資制度を創設したところであります。また,新たな取り組みといたしまして,資金計画の作成等を支援する資金繰り対策セミナーを県下各地で延べ16回開催いたしますとともに,取引先の拡大を図るため,業績が好調な県外企業を歴訪いたしまして技術を売り込む移動商談会も開催することとしておりまして,これらの施策をきめ細かく実施することにより,県内中小企業の経営の安定を図ってまいりたいと存じます。
 新技術開発等についてでありますが,県では,超精密生産技術分野など,本県の産業特性を踏まえた成長分野を中心に,産学官連携による研究開発を促進いたしますとともに,きらめき岡山創成ファンド支援事業や,工業技術センターによる技術指導等により,中小企業の新技術開発等を支援しているところであります。また,技術革新が著しい車づくりに県内関連企業が対応できるよう,次世代自動車関連技術研究会を立ち上げ,技術開発力の強化等を図っているところであります。さらに,今後の市場拡大が見込まれる太陽電池等の分野について産学官の研究会を設け,研究開発プロジェクトを推進するなどによりまして,県内中小企業の新技術開発等への支援を一層強化してまいりたいと存じます。
 次に,中山間地域の活性化についてであります。
 まず,今後の取り組みについてでありますが,中山間地域の活性化につきましては,16年に策定した基本方針に基づきまして,各種施策を総合的に展開してきたところであります。特に,一昨年度から実施してきました集落機能の再編・強化事業では,住民の意識が高まり,課題の解決に向けた自主的な取り組みが始まるなど,一定の成果が得られたと考えております。基本方針の見直しに当たりましては,県議会を初め県民の皆様方の御意見をお聞きしながら,これまでの取り組みの中で明らかとなりました地域の課題を踏まえ,施策の一層の重点化を図りますとともに,集落機能の再編・強化に取り組む地域を「おかやま元気!集落」として,中山間地域活性化の原動力と位置づけ,その活動を支援し,拡大を図ることといたしております。また,活性化に向けた取り組みのすそ野の拡大を図るため,岡山県中山間地域協働支援センターを中心に,NPOや民間企業,大学等とのネットワークづくりを進めておりまして,今後とも県民協働による中山間地域の活性化に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 いわゆる「買い物難民」の解消についてでありますが,お話のように,中山間地域では商業機能の低下や生活交通網の弱体化によりまして,高齢者などの日常の買い物が困難になるといった状況が見られるところであります。こうした状況の解消に向け,先月,国の研究会からインターネットで注文を受けて食料品などを宅配するネットスーパーや車による移動販売の取り組みなどを内容とする報告書が提出され,国ではこれを受け,官民連携による支援についてのガイドラインを策定すると,このように聞いております。県といたしましても,こういった国の動きを見守るとともに,市町村や関係団体の意見も聞きながら,どのような取り組みが可能か研究してまいりたいと存じます。
 過疎対策についてでありますが,過疎法の改正を受けまして,県の過疎地域自立促進方針を早期に策定し,これを指針として,市町村が過疎地域自立促進計画を円滑に策定できるよう,情報提供や適切な助言など支援を行ってまいりたいと存じます。また,国,県が行う過疎対策事業についても,市町村事業と十分連携をとりながら事業の規模や性質等を踏まえ,適切な役割分担のもと,効率的効果的に実施するなど,過疎対策の推進に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に,戸別所得補償制度についてであります。
 まず,モデル対策の現状等についてでありますが,各地域水田農業推進協議会から加入申請状況の聞き取りをいたしましたところ,本対策への加入は農家の自主的な判断によるため,現時点では最終的な申請件数は見込めないところでありますが,対象農家数約4万7,000戸のうち,5月末時点での申請件数は約1万2,000件となっております。また,農家の反応についてでありますが,大規模農家では,本対策が経営安定に資する効果が大きいとの期待が強く,制度の安定,継続を望む声が多いところでありますが,小規模農家では,所得補償額が少額となるため,加入への関心が低く,さらに小規模な農家の参加が多い集落営農組織では,これまでのところ離脱して加入するといった動きは出ていないと聞いております。課題についてでありますが,モデル対策では全国一律の助成単価とされたことから,生産条件の不利な中山間地域が多い本県では,生産費と販売価格との差額が十分補てんされないということや,本県水田農業の発展のためには,規模拡大による生産性の向上や集落営農の育成を今後とも進める必要があると考えておりますが,こうした取り組みを進める制度となっていないなどの課題があると認識いたしております。さらに,本県が振興してまいりました黒大豆など地域特産作物の助成水準が下がるため,産地の維持発展に影響が出ることなどが懸念されるところであります。県といたしましては,本格実施に移る際には,こうした課題や農家,農業団体の声を十分に踏まえた上で,将来にわたり農家の経営安定と地域農業の持続的発展につながる制度設計となるように,国に対しまして積極的に提案してまいりたいと存じます。
 次に,21おかやま森林・林業ビジョンについてでありますが,森林・林業は木材価格の長期低迷,放置森林の増加,担い手の減少など,さまざまな課題を抱える一方で,近年は地球温暖化への対応など,環境分野での役割に期待が高まっております。このため,新ビジョンでは,路網整備や機械化によります木材生産コストの低減,林業に必要な知識や技能を兼ね備えた若い担い手の確保や二酸化炭素の吸収に寄与する森林整備を進めるなど,林業生産活動の活性化はもとより,森林の公益的機能の確保に努めますとともに,公共施設等への県産材利用や木質バイオマスのエネルギー源や素材としての活用など,木材の多面的利用を推進することといたしているところであります。今後とも,生産から利用に至るサイクルが円滑に循環する森づくりを進めまして,本県森林・林業の持続的な発展を図ってまいりたいと存じます。
 最後に,水島港の機能強化についてでありますが,水島港が国際バルク戦略港湾に選定されれば,国の港湾整備への重点投資によりまして,安価かつ安定的なバルク貨物の輸送が可能となり,新たな設備投資や雇用の創出等により,地元経済の活性化が図られるものと考えております。今月1日に国から選定基準が示されたところでありまして,今後はバルク貨物を取り扱う企業の経営展開の確認など,応募に向けました検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(教育長)  自由民主党佐藤議員の代表質問にお答えいたします。
 特別支援教育についてでありますが,お話のように,さまざまな課題がありまして,県教育委員会では,特別支援教育推進プランに基づいた取り組みを進めますとともに,本年2月に策定した県教育振興基本計画におきましても,重点施策として位置づけているところであります。特別な支援を必要とする児童生徒の増加等への対応につきましては,今後の児童生徒の状況などを踏まえながら,県北の分校・分教室の設置も含め,特別支援学校の適正な配置について検討することとしているところであります。また,特別支援学級の設置につきましては,市町村教育委員会と児童生徒の実態等について十分に協議した上で,総合的に判断し,適切に対応してまいりたいと考えております。さらに,教員が発達障害を含め,特別な支援を必要とする幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに適切に対応できるよう,研修の充実を図るなど,専門性の向上に取り組んでまいります。県教育委員会では,本年度設置した特別支援教育課の機能を十分に発揮させながら,医療,福祉等の関係機関や市町村教育委員会との連携を深め,特別支援教育の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(警察本部長)  自由民主党佐藤議員の代表質問にお答えいたします。
 警察行政運営の基本方針についてであります。
 犯罪が数字の上で減少している中で,県民はなかなか安全で安心な社会を実感できないという御指摘がありましたが,その理由には幾つかあろうかと思います。
 まず第1に,刑法犯の認知件数は確かにピークでありました平成14年の約4万5,000件から,昨年は約2万5,000件にまで減少してきているわけでありますが,我が国が世界で一番治安がいい国と言われた時代,本県での刑法犯の認知件数で申し上げますと,約1万9,000件の時代でありますが。このころと比べますと,まだまだ多い状況にあるということが一つ挙げられます。
 第2に,犯罪の内容面につきましても,子供,女性,高齢者といった社会的弱者をねらった犯罪やひったくり,あるいは動機がよくわからない殺人事件など,県民の皆様がいつ自分が被害に遭うかわからないという不安を強く感じる犯罪が依然として多発していることなどが挙げられようかと思います。
 そこで,県警察といたしましては,県民の皆様の御協力をいただきながら,さらなる犯罪の抑止に努めますとともに,発生した犯罪に対しては,迅速,確実に検挙していくことが重要であると考えております。
 また,交通事故死者数につきましても,減少しているとはいえ,まだ年間100人以上の方が亡くなっているという,この現実を重く受けとめ,死者ゼロに向けて交通事故抑止対策を一層強化していく必要があると考えております。
 一方,こうした対策を進める上で,大量退職,大量採用に伴う急速な世代交代が進む中にあって,警察力を落とさないためには,若い職員に40年勤めて退職していくベテラン職員にかわり得る,その力を早急につけさせるなど,執行力強化のための施策を推進していく必要があると考えております。
 私は,県民が信頼する警察とは,いざというときにきちんと自分たちを守ってくれる,法を犯す者があればきちんと検挙して正義を実現してくれる,そういう強い警察であると考えております。こうした考え方のもと,県民の皆様に安全で安心の岡山を実感していただくために,全職員一丸となって取り組んでまいりますので,県議会の皆様を初め県民の皆様方の一層の御理解,御支援を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

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