平成22年2月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 行財政について
 (1)安定的な財源            (総務)[ 知 事 ]
   ア 消費税の引き上げ
   イ 酒税の地方移譲
 (2)行財政構造改革           (総務)[ 知 事 ]
   ア 行政の効率化
   イ 総合政策局の役割
   ウ 職員のマインド
 (3)公の施設の見直し
   ア 県教委の努力           (教育)[ 教育長 ]
   イ 廃止施設の備品等         (総務)[ 総務部長 ]
 (4)夢づくりプランに沿った部局再編   (総務)[ 知 事 ]
2 歳入確保について
 (1)知事公舎
   ア 売却等              (総務)[ 知 事 ]
   イ 家賃等
 (2)対策の影響             (総務)[ 知 事 ]
 (3)学校現場の考え方          (教育)[ 教育長 ]
3 公益法人制度改革について
 (1)公益認定              (総務)[総務部長]
   ア 新公益法人を目指す法人数等
   イ 運用の考え方
 (2)個別相談体制の整備         (総務)[総務部長]
 (3)NPO法人との差異         (総務)[総務部長]
 (4)NPO法人の実態等         (生環)[生活環境部長]
4 労働災害について
 (1)県内の労災認定状況         (産労)[産業労働部長]
 (2)過労死の実態            (産労)[産業労働部長]
 (3)過労による自殺予防対策       (保福)[ 知 事 ]
 (4)長時間労働対策           (産労)[ 知 事 ]
 (5)県職員の病気休職等の原因等     (総務)[ 知 事 ]
 (6)労災隠しの実態等          (産労)[ 知 事 ]
5 自転車について
 (1)サイクリングツアーの基盤強化    (産労)[ 知 事 ]
 (2)タンデム自転車の公道解禁      (警察)[警察本部長]
 (3)就学前の交通教室          (警察)[警察本部長]
6 オリンピックの広島招致について     (総務)[ 知 事 ]




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。
 本日,最後でございます。いましばらくのおつき合いをよろしくお願いいたします。
 通告に従いまして,早速一般質問をさせていただきます。
 まずもって,財政危機宣言下で,来年度の「明日の暮らし・未来の発展戦略予算」編成に当たり,大変な御労苦があったことに,心から敬意を表したいと思います。新政権になり,地方交付税は約1兆円増額され,本県においても臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税は,約14%増となりました。しかし,そのうち地方交付税で返済される臨時財政対策債は,突き詰めれば,やっぱり国民の借金であり,臨時財政対策債を除く県債残高が減少しても,全体の県債残高は一向に減らないことに,国民としては非常に残念に思います。しかも,歳出削減で行革推進債を発行せずに予算編成を行われ,収支不足を2009年度の約86億円から7億円に抑えられたことは高く評価できますけれども,職員の給与カット前の収支不足は124億円であり,特定目的基金から15億円,企業会計から40億円の借り入れという臨時的な対策に,やっぱり依存せざるを得ない状況は続いております。特に,介護や生活保護などの扶助費は前年比7%増で,今後もやっぱり国の財政運営,経済状況を見た補正予算に依存して,独自の経済対策が打てない状況です。まずは,臨時財政対策債の一刻も早い解消を,まずは国に強く主張していかなければなりません。ところで,知事は,今後も増大を続ける社会保障関係経費などの財政需要に対応するための安定的な財源として,地方消費税の引き上げの必要性も積極的に訴えてまいりたいとおっしゃられますが,これはイメージとして,端的に地方から消費税そのものの引き上げを,具体的に何%程度要望されたいということでございましょうか。
 また,個人的には,消費税と同様に間接税,流通税に分類される酒税については,超安定財源とは言えないかもしれませんけれども,地方によってはメリットも大きく,財源の規模からしても,むしろ私は地方税になじむのではないか,そのように思いますが,酒税を地方に移譲するような国からの税源移譲の話はできないのか,お尋ねいたします。
 ところで,こうした行財政構造改革を進める中で,むしろ我々が望んでいるのは,行政の中にある非効率的な部分,縦割りや特別会計の見直しであって,例えば事業を満遍なく削減することで,一応の数値目標の達成ができたとしても,それは決して行政の効率化とはイコールではないんじゃないかと私は考えますが,いかようにお考えでしょうか。
 例えば,建設業の農業参入や6次産業化や,農商工業連携を言うときに,行政の土木,農林水産,産業労働のくくりには余り意味がありませんし,いつになったら複数年度による予算の効率化が図れるのか,ここで筆頭局になる総合政策局に,そうした部局の壁を突破する役割が望めるのでしょうか。具体的に,事業の予算が動かせるのでしょうか,お知らせください。
 特に,財政当局から削減が要望されたときに,例えばでございますが,各課で削減対象が挙げられる中で,我が課のことでなければ,我が部のことでなければ何も感じないようでは困ります。要は,常に顧客満足度が高まることを求めて,行政という名のサービス業に従事しているんだ,そういう意識があるかどうか,そのマインドの問題だと思います。削減,削減の中で,危ない橋はたたきもしないし,絶対に渡らない,そういう打って出るマインドが今落ちているんじゃないか,そのように感じております。金がないんなら知恵を出せ,知恵がないんなら汗をかけというのが普通でございますが,ともかく,まずは削減しますでは,余りにも元気が出ないのではないでしょうか。知事はこうした元気のなさというのをどのようにお感じでしょうか。
 また,公の施設の見直しで,私こだわっておるんですけども,岡山県立児童会館の廃止を決められていますが,伊島の同じ敷地内で生涯学習センター,烏城高校と並ぶ三学ぱるの一翼を失うことを考えれば,これはひとり子育て支援の範疇の問題ではなくて,なぜ生涯学習の中で,社会教育の中で,教育の問題として考えるという努力をなさらないのか,なぜ子供が科学に対する興味と関心を高め,多様な才能をはぐくむ場を奪われるのか,その課では仮に不要と感じられても,ほかの部では有効に使えるかもしれない,しかし,手を出さない。各担当課だけではなく,県教育委員会も最後までの努力,食らいついていく気迫を見せていただきたいんですけれども,それを惜しんでいるようにも感じられます。これはまさにとばっちりかもしれませんが,教育長の御所見をお聞かせください。
 加えて,今まで幾つかの施設が廃止になりましたが,施設の中にはかなり高価なものもあった,そうした施設にあった備品等はどうされましたでしょうか。すべてが税金で成り立っていたものですが,最後の最後まで惜しんで,県民のものとして大切に大切にその備品等を処分されたでしょうか。あるいは,処分されますか,総務部長にお伺いいたします。
 ところで,知事のおっしゃられるように,常に時代を見きわめる確かな目で,世の中の動きを俯瞰するよう心がけられたら,提案説明があのような構成になるんでしょうか。私は非常に読みにくいんですけれども。新おかやま夢づくりプランが今まで総花的だったので,選択と集中をして,「教育と人づくりの岡山の創造」,「安全・安心の岡山の創造」,「産業と交流の岡山の創造」と,「中四国州推進プロジェクト」という基本戦略に絞ったわけです。そして次に,この基本戦略に基づく施策に加えて,分野を横断する重点施策を掲げた。しかし,その基本戦略自体が分野横断しているので,それを横断したら,結局戻ってるだけなんじゃないか。その重点施策で,「多様な主体との協働による活力ある地域づくり」,「中長期の発展も見据えた経済・雇用対策の推進」,「岡山からの情報発信と拠点性の向上」で広げてみた。おまけに,歳出予算の説明になると,今回も提案説明,各部局の主な事業で説明する。これが非常に複雑な提案説明の構成でございます。そして,我々はもちろん,この部局ごとに委員会で審議しておるわけでございますが,各部の所管を決めておりながら,その都度その都度,頭を使って,こういう部の事業を夢づくりプランのテーマごとに並びかえてみる,そういうこと自体が,失礼ながら本当に美しい言葉遊びの時間の無駄じゃないかなと,そのように私は思うんですけれども,このことがかえって責任の所在をあいまいにしてしまうんじゃないか,いっそのこと夢づくりプランに沿って部局を再編成したほうが,まだわかりやすいように思うのですが,知事の御所見をお聞かせください。
 岡山県行財政構造改革大綱2008に沿って,分野別具体的取り組みとして歳入確保が掲げられ,今議会では,県有施設等の使用料の適正化,要は値上げが提案されています。そもそも平成19年から歳入確保連絡会議を設置して,県有施設の売却や有効活用,新たな広告媒体の導入等,さらなる歳入確保について,全庁的に検討してきているわけですが,今後の取り組み方針として,県有施設へのネーミングライツの導入,県有財産の有効活用,県有施設の利用料の適正化等,県民の皆様に負担をかけないものから優先的に進めているのならば,まずは県民の皆様に新たな負担を課するよりは,県有地の売却が最優先になると私は思います。来年度は東山公社の一部や旧新見保健所など,遊休土地の売却を行うということですが,2008年,2009年もそれぞれ10億円を見込んでいたにもかかわらず,実際には合計で約12億9,000万円という現状であり,ここはまず知事公舎の売却を検討すべきだと思います。昨年度の議会答弁によれば,公邸としての機能を有するということですが,この12年,知事は具体的にどのような公邸としての活用を行ってこられたのでしょうか。それはどうしても知事公舎でないと行えない公務だったのでしょうか。また,危機管理対応を初めとする公務に高い利便性があるとのことですが,築56年です。築56年の老朽化した建物自体が危ないんじゃないでしょうか。現在の知事公舎を使い続けるメリットは少なく,私は売却すべきだと考えますが,いかがでしょうか。
 そして,端的にお伺いします。これは私,本当は聞きたくないんですけれども,書いちゃったんで聞きますけれども,いわゆる公用部分を除いた住宅部分は約40坪でございますが,その家賃は毎月お幾らでしょうか。さらに,現在,維持管理にかかっている費用,売却した場合の知事公舎の土地の評価額についてもお知らせください。
 そして,県の出先機関や公の施設などにおいて,自動販売機や売店,食堂の設置,運営,これからは駐車場の有料化などで,いわゆる歳入確保対策に伴って,さまざまな方にさまざまな影響が出ております。その状況について,知事に報告が入っているのか,あえてお伺いさせていただきます。
 加えて,学校現場において,例えば県立高校でも,県庁と全く同じような考え方で,駐車場を有料化し,生徒,職員の福利厚生のために設置され,時にはPTAや部活の財源にもなっている購買部や,あるいは自動販売機についても,県の歳入確保対策を実施していくおつもりなのか,教育長にお伺いいたします。
 次に,労働災害について伺います。
 労働災害とは,業務遂行中,あるいは業務に起因するけがや病気,さらには障害,死亡に至る災害のことを言いますけれども,労働災害として労働基準監督署に認定されれば,国が管掌する労働者災害補償保険による補償が受けられるという仕組みになっています。就業時間中に限らず,通勤途上の災害が労災とされる場合もありますし,現在はパワハラによるストレスで,うつ病などの精神疾患になった人も労災と認められる可能性がふえております。労働基準法も,労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべき最低限の基準を定めて,労働契約,賃金,労働時間,休憩,休日及び年次有給休暇,安全及び衛生,災害補償等についての規定を置いております。ただ,就職後の労災となると,国の所管になって,その実態が県行政からは必ずしも見えなくなっているのではないか,昨今の経済状況,厳しい雇用環境の中で,業界によっては過酷なサービス残業が横行している,そうしたこともニュースでよく聞くわけでございますが,脳,心臓疾患と精神障害による県内の労災認定状況をどのように把握されておられるのか,産業労働部長にお伺いいたします。
 ところで,厚生労働省のマニュアルによれば,過労死とは,過度な労働負担が誘引となって,高血圧や動脈硬化などの基礎疾患が悪化し,脳血管疾患や虚血性心疾患,急性心不全などを発病し,永久的労働不能,または死に至った状態をいう,このように定義されております。しかも,過労死は,過度な労働を課す日本企業の特異な現象として,外国でもそのままkarosiと呼んでいるそうであります。過労死の多くは,勤務中に死に至るのではなくて,激務の仕事をやめて1カ月から数カ月後に死に至るケースが多く,また脳や心臓疾患は,日常生活の習慣が過労により悪化することにより引き起こされることも多く,企業側は因果関係がないと主張するため,長期化することが多いというふうに言われております。このように,仕事との因果関係の立証が難しいため,脳,心臓疾患の労災認定申請のうち,過労死と認められるのは1割程度ではないかとのことですが,過労死の実態をどのように把握されているのでしょうか,産業労働部長にお伺いいたします。
 また,過労死と並んで過労自殺も大きな社会問題,労働問題になっており,過労による自殺,未遂も含んで,労働災害として認定される人も年々増加しております。また,長時間労働による,うつ病や燃え尽き症候群に陥り,自殺する方も多いとのことですが,過労死と比べ,企業側の責任を問いづらいことが対策のとりづらさにつながっております。来年度,自殺予防対策事業として,自殺予防情報センター(仮称)を設置し,県内初の自殺対策専門の相談窓口を置いて,医師会や弁護士会,労働局,民生委員等のネットワークを強化されるとのことですが,こうした過労自殺を防ぐ体制となるのか,お知らせください。
 ところで,過労死や過労自殺の労災認定は,労働行政の中で最も難しい部分でありますが,一つの基準として,時間外労働を含む長時間労働があったかどうかというのがあります。これについては,客観的な時間というよりも,むしろ職場の人間関係が機能不全を起こして,一番しょい込んだ人が過労死になり,過労自殺に追い込まれる,すなわち,仕事格差が生じているのだという説があります。こうした状況については,どこまで行政が介入できるかというのは非常に微妙な部分もあると思いますけれども,指導等対策について,お知らせください。
 これに関係して,知事部局においては,現在,病気休職32人,うち精神疾患24人で,精神疾患の休職者が増加傾向にあり,長時間労働の影響があるのかどうかわかりませんけれども,その原因と対策について,いかようにお考えでしょうか。
 ところで,零細な事業者や弱い立場にある労働者等の労災が起きた際,特に労働災害発生の可能性が高いとされる業種の保険料が非常に高くなっておるため,保険料負担の増加や,元請へ御迷惑をかけたり,逆に元請が押しつけている場合もあるかもしれませんが,イメージ低下や入札の指名停止処分などを恐れて,事業者が所轄官庁へ報告届けをせず隠匿する,いわゆる労災隠しが行われている場合があります。給付が行われない分は,使用者が補償したり,より悪質な場合は,そのまま自費で治療させたりする場合もあると聞きます。こうした労災隠しの実態について,どのように把握されているでしょうか。また,県として,とり得るべき対策があるでしょうか。
 次に,自転車についてお伺いいたします。
 地球温暖化対策,ストップ温暖化!推進事業では,太陽光発電や電気自動車等の一層の普及促進を図ることによって,地球温暖化対策というグローバルな課題に,本県も一翼を担ってまいりたいということでございますが,最も地球に優しい交通機関は,私は自転車であろうと思います。ただ,日本における自転車の利用環境は,ヨーロッパの自転車利用先進国に比較して,大きく立ちおくれていて,自転車専用レーンやサイクリングロードなどは,まだまだ十分に整っているとは言えない状況でございます。ちなみに,本県では,中国四国ブロックサイクリング大会が,ことし9月25日から26日に,真庭市蒜山高原で開催されますし,日本サイクリング協会創立45周年記念イベントとして,日本サイクリングコース100選が募集される予定と聞いていることから,この蒜山や片上鉄道跡,吉備路自転車道,さらには鷲羽山や吉備高原都市については,ぜひともその中に選ばれてほしいと,切に願います。特に,地方公共団体と民間団体が中心となって,自転車と観光資源を関連させて,今はやりのトレッキングツアーのように,例えば旅行会社がサイクリングツアーが企画できるよう,その基盤強化,とりわけ,これはサイクリングターミナルの設置であったり,情報提供,自転車メンテナンス,走行管理,レスキュー体制,保険制度等の充実,まだまだできることがあるように思うのですが,知事はいかがお考えでしょうか。
 ところで,タンデムという自転車を御存じでしょうか。複数のサドルとペダルを装備して,複数人が前後に並んで乗ることができる自転車で,要は前後に車輪があって真ん中にサドルが2つあって,二人乗りをしている状態を想像していただければいいと思うんですが,このタンデム,実は岡山県バイコロジー運動を進める会では,毎年,旭川のマラソンコースで,視覚障害のある方を後部座席にお乗せして走るというイベントを行っております。前に乗る人をパイロットというのですが,私もパイロットになって,何度も二人乗りで風を切って走ったことがございます。しかし,なぜ旭川の河川敷かというと,言うまでもなく,現行法では,二人乗り自転車は公道を走ることができないからであります。逆に,公園や河川敷など,公安委員会が直接管理していない道路での走行は,国の道路交通法の管理下だけにありますので,乗車可能ということになります。しかし,お隣兵庫県では,県道路交通法施行細則の一部を改正して,視覚障害者の新しい交通手段の確保のため,そして県民によるタンデム自転車の幅広い利用促進を目的に,タンデム自転車の公道解禁を行っております。もちろん,視覚障害のあられる方だけではなくて,例えば駅への送り迎え,あるいはカップルで乗るなど,例えば吉備路自転車道をタンデムが走る,そうした姿を想像していただきたいのですが,観光も含めて,用途や可能性は幅広くありますし,特にまずはパイロットを養成し,修了証を持つ者だけに限定解除するなどの方法で,このタンデムの公道解禁は可能ではないかと考えるのですが,県警本部長の御所見をお聞かせください。
 関連して,よく最近女子高生が携帯電話をかけながら,最近は傘を差しながら自転車をこいでる姿をよく見かけるんですけれども,軽く考えておられるのか,自転車の交通法規はほとんど無視されているような現状の中で,自転車による交通事故は増加傾向にございます。特に,初めて自転車に乗る就学前に,例えば幼稚園や保育園や地域できっちりとした交通教室を開催して,自転車免許証のようなものを発行することから始める必要があると思いますが,御所見をお聞かせください。
 最後に,先般,冬季オリンピックが閉会いたしました。浅田真央選手の銀メダルや高橋大輔選手の銅メダル獲得には勇気づけられましたが,ちょっと日本勢の成績が振るわなかったなあというのが残念でございましたが,御案内のとおり,2020年夏のオリンピックを広島市へ招致するという動きがございます。これまでは広島市の唐突な態度に不信感をあらわしていた広島県も,湯崎新知事が就任し,検討委員会に参加しておられます。年内に立候補するか判断する広島市は,夏ごろにオリンピックの基本計画をつくる予定ですが,もし実現すれば,初の西日本の都市でのオリンピック開催であり,また10年後に道州制が導入されている可能性があるとすれば,お隣の広島県のことじゃけんとスルーしてよいのかと思います。これはまさに中四国州の中の出来事ということになるわけでございますから,知事は,一手先を読むひらめきという言葉を提案説明で使われましたが,一手先を読むと,夏のオリンピックの広島市への招致をどのようにお考えでしょうか。また,岡山県としても,そういうことならば,隣のよしみで協力させていただこうとお考えでしょうか。あわせて御所見をお聞かせください。
 以上で質問を終わりますが,かみ切れない答弁は飲み込めないので,ぜひいい答弁をいただきますようお願い申し上げます。ありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 まず,行財政についての幾つかのお尋ねをいただきました。
 消費税の引き上げについてでありますが,先般,政府の税制調査会におきまして,中長期的な税制の抜本改革に向けた議論がスタートしたところでありまして,そこでは具体の税率も含め,消費税の取り扱いが大きな論点になるものと承知いたしております。このため,現時点において,具体の税率につきまして,私のほうから申し上げるべき状況にはないと,このように考えておりますが,国における今後の論議に当たっては,現政権が掲げる地域主権の確立を見据えまして,地方消費税のあり方につきましても十分に検討されますように,積極的に地方から訴えてまいりたいと存じます。
 酒税の地方移譲についてでありますが,地方公共団体の税源は,国と地方の事務配分,地域経済における産業や所得の集積度合いなどを考慮いたしまして定められているところであります。酒税につきましては,本県では相当額の税収が生じているものの,全国的に見ますと,工場があるかどうかなど,税源の偏在が大きいといったことなどから,国税としてこれを位置づけつつ,その一定の割合が地方交付税といたしまして,地方公共団体の財源に組み入れられているものと,このように承知しているところであります。
 行政の効率化についてでありますが,行革大綱2008におきましては,収支不足の解消を目指すことにとどまらず,官と民,県と市町村との役割分担などの観点から,事務事業のあり方を見直しますとともに,厳しい改革に取り組む中にありましても,真に必要な分野につきましては,これを推進するなど,選択と集中をより一層加速させ,めり張りのある改革を進めていくこととしておりまして,今後とも簡素で効率的な行政の実現に向けまして,着実に改革に取り組んでまいりたいと存じます。
 総合政策局の役割でありますが,総合政策局におきましては,県政の諸課題に関する横断的な調整や,重要政策の方向性に関する検討などを担うことといたしております。議員お話のような部局の枠組みを超える政策課題につきましても,総合政策局において,総合調整を図り,これを政策重点指針や予算編成方針に反映させるということで,より効果的な実施が期待できるものと,このように考えております。
 職員のマインドについてでありますが,県政への期待に的確にこたえていくためには,職員がチャレンジ精神,コスト感覚,スピード感覚,さらにはサービス感覚を持ち,高いモチベーションを保ちつつ,積極果敢に仕事に取り組んでいくということが重要であると,このように考えておりまして,厳しい財政状況のもとにありましても,県民の声に丁寧に耳を傾けまして,知恵を出しながら,問題解決に向けまして最大限努力するように,私は職員にたびたび指示してきたところであります。こういった観点から,例えば,本年度の職員表彰におきましても,現場に出向きまして,地元の方々と人間関係を築き,地域の活性化に成果を上げた職員の取り組み,これを表彰するなどしたところでありまして,今後ともこうした姿勢で,県民視点の県政の推進に取り組んでまいりたいと存じます。
 夢づくりプランに沿った部局再編についてでありますが,部局の編成に当たっては,県民ニーズに応じました行政分野ごとに部局を設け,その役割と責任を明確にいたしますとともに,職員の専門性や能力を高めていくということが基本であると考えております。その上で,複雑化する行政課題に的確に対応できるよう,部局横断的な総合調整を担う部門を強化する必要があると,このように考えまして,今回,本庁組織再編を行うこととしたものであります。夢づくりプランでは,御承知のとおり,3つの基本戦略に即して,具体的な30の戦略プログラムを掲げ,それぞれについて主管部局を定めて推進することとしておりまして,新年度からは新たな本庁組織体制のもと,事業内容やその評価を一層わかりやすくお示ししながら,県民の視点に立った事業実施を進めてまいりたいと,このように考えております。
 次に,知事公舎に関しまして,売却等についてでありますが,知事公舎では,夜間,早朝や休日における災害,新型インフルエンザの発生等の緊急時におきまして,担当部長等からの報告を受け,速やかに指示を出すなどの危機管理対応を中心として行ってきたところであります。知事公舎につきましては,公邸としてふさわしい機能やスペース,県庁へのアクセスなど,危機対応時における高い利便性,セキュリティ上必要な設備とか周辺環境など,多岐にわたる要件を満たす必要があると,このように考えておりまして,こうした観点から,老朽化はいたしておりますものの,当面は現公舎を使い続けたいと考えておるところでございますが,そのあり方につきましては,引き続き総合的に検討を進めてまいりたいと存じます。
 家賃等でありますが,知事公舎の使用料は,他の職員公舎と同様に,公舎使用規則によって算出されておりまして,本年度におきましては,月額約3万8,000円となっているところであります。また,公用部分の維持管理費用につきましては,管理業務の委託料等で約480万円となっていると,こういうことでございます。なお,土地を売却する場合の評価額につきましては,実際に売却をする際に,不動産鑑定士に依頼いたしまして時価評価をするものということでございまして,現時点におきましては評価を行っていないということでありまして,御理解いただきたいと思います。
 次に,対策の影響についてでありますが,歳入確保に関する取り組みにつきましては,これまでに関係する事業者や個人の施設利用者の方などから,さまざまな御意見をいただいておりまして,私自身もお聞きしたことはございますが,そのほかにも,例えばマルチメディア目安箱を通じて,駐車場有料化に関する御意見をいただくということもございまして,その際には私も目を通しまして,基本的な考え方などをお答え申し上げております。今後とも,県民の皆様の御意見に謙虚に耳を傾けますとともに,一層の御理解が得られますように,丁寧な説明,このことに努めてまいりたいと存じます。
 次に,労働災害についてであります。
 まず,過労による自殺予防対策でありますが,県ではこれまで,自殺対策連絡協議会におきまして,労働局や医師会,弁護士会等の関係機関と,自殺対策に関する協議等を行ってきたところでありますが,県民からの個別の相談に適切に対応していくためには,専門の相談窓口を設けまして,県民にわかりやすい体制にする必要があると,このように考えております。このため,来年度,県精神保健福祉センター内に,自殺予防情報センター(仮称)を設置いたしまして,新たに配置する専門の自殺対策調整員が関係機関との緊密な調整のもとで,県民からの相談に対し,適切な情報提供を行いますとともに,普及啓発等に対しましても,積極的に取り組んでいくことといたしております。こうした取り組みを通じまして,過労による自殺も含めまして,総合的に自殺予防対策を推進してまいりたいと存じます。
 長時間労働対策についてでありますが,県ではこれまで,健康で豊かな生活のための時間が確保される社会の実現を目指しました各種セミナーの開催とか,広報誌「おかやま労働」などを通じまして,労働時間の適正化や労働安全の徹底,快適な職場環境づくり,メンタルヘルスケアなどにつきまして,啓発に取り組んできたところであります。今後とも,岡山労働局等と連携しながら,過重労働による健康障害の防止,あるいは職場環境の改善のための啓発に努めてまいりたいと存じます。
 職員の病気休暇の原因等についてでありますが,精神疾患につきましては,家族の病気や介護などの家庭の問題や,職場の人間関係など,その要因はさまざまであります。こうしたことから,メンタルヘルス研修会や悩みを抱える職員への専門家による相談を実施いたしておりますほか,休職した職員につきましては,円滑に職場に復帰できるよう,職場での受け入れ体制の整備や,復帰訓練を実施するなどの支援にも努めてきているところであります。
 労災隠しの実態等についてでありますが,国の集計によりますと,20年の送検件数は全国で148件,県内では1件であると,このように聞いております。労災隠しは,労働災害の被災者を犠牲にし,自己の利益を優先する行為でありまして,国においては,労働安全衛生法令に基づきまして,厳正に対処されているところであります。労災隠しはあってはならない犯罪行為でありまして,今後ともその撲滅に向け,岡山労働局と連携いたしまして,法令遵守を呼びかけてまいりたいと存じます。
 次に,サイクリングツアーについてでありますが,県内には,吉備路自転車道など,県が整備した自転車専用道が4カ所ありまして,その沿線には,地元市町村等によって,観光客用のレンタサイクル施設等が整備されております。県といたしましては,今後,地元市町村等が取り組むサイクリング施設の整備を支援いたしますとともに,魅力あるサイクリングのルート開発やツアー企画を進めまして,旅行会社に商品造成を働きかけることなどによりまして,本県の観光振興につなげてまいりたいと存じます。
 最後に,オリンピックの広島招致についてでありますが,芸術文化やスポーツ,観光,瀬戸内海の環境保全など,さまざまな分野で県境を越えた広域連携を進めていくということは重要であると考えております。広島市へのオリンピック招致につきましては,現在,招致検討委員会において,開催の実現可能性等が検討されているとのことでありまして,現段階では,本県の連携,協力につきましてお答えする状況にはないということでございますが,今後,検討委員会の判断,また,国や日本オリンピック委員会の動向をもとにいたしまして,県として適切に対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(総務部長)  お答えいたします。
 公の施設の見直しに関しまして,廃止施設の備品等についてでありますが,展示物や備品等の県有物品につきましては,その効率的な運用を図る観点から,老朽化等により使用できないものを除きまして,県立高校など他の県施設に移管し,学校教材等として再利用するとともに,必要に応じまして,地元市町村等に譲渡し,活用いただいているところであります。今後とも,こうした備品等の処分に当たりましては,これまで同様,有効な活用を図ってまいりたい,このように考えております。
 以上でございます。


(産業労働部長)  お答えいたします。
 労働災害に関しまして,まず県内の労災認定状況についてでございますが,20年度の国の集計によりますと,脳血管疾患及び虚血性心疾患等に関するものが5件,精神障害等に関するものが2件となっております。
 次に,過労死の実態についてでありますが,国の集計によりますと,20年度における全国の脳血管疾患及び虚血性心疾患等による労災補償の請求件数は889件で,うち死亡に関するものは304件でございます。また,支給決定件数は377件で,うち死亡に関するものは158件となっております。県内の状況は,請求件数は7件で,うち死亡に関するものは2件,支給決定件数は5件で,うち死亡に関するものは1件となってございます。
 答弁は以上でございます。


(教育長)  お答えいたします。
 まず,公の施設の見直しにかかわる県教育委員会の努力についてでありますが,児童会館の今後のあり方については,全庁的な議論等を踏まえ,財政構造改革プラン及び行財政構造改革大綱2008の中で示されたものでありまして,県教育委員会としましても,それを踏まえて対応すべきものと考えております。建物の存続につきましては,公の施設としての役割をおおむね終えたことに加え,施設・設備の老朽化等の課題もありまして,現時点では困難な状況だと承知しております。県教育委員会としましては,建物の存廃にかかわらず,必要な生涯学習施策が行えるよう,全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 次に,歳入確保に関する学校現場の考え方についてでありますが,このたびの歳入確保対策は,行財政構造改革大綱2008等に基づき,県有財産の有効活用,県有施設の使用料の適正化等の観点から,全庁的な取り組みとして進めているものでありまして,県立学校におきましても取り組む必要があると考えております。現在,職員駐車場の有料化や自動販売機設置への納付金制度の導入について検討しているところでありますが,実施に当たりましては,お話のような学校独自の課題もありまして,生徒や職員の利便性等にもできるだけ配慮するとともに,学校現場に混乱が生じないよう,現場の意見を十分聞きながら進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(警察本部長)  佐藤議員の御質問にお答えいたします。
 まず,タンデム自転車の公道解禁についてであります。
 タンデム自転車は,主にレジャーや観光地において,手軽で便利な乗り物として使用され,近年,注目を集めていると認識しております。他方で,タンデム自転車は,構造上,一般的に車体が長く,小回りがきかず,急制動等の運転操作が難しいことなど,普通自転車と比べて,公道を走行する場合に課題が多いと考えております。県警察といたしましては,タンデム自転車の公道走行につきましては,御指摘の兵庫県における事例も十分に研究し,歩行者やドライバーなど,道路利用者からの意見も踏まえつつ,多角的な観点から検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に,就学前の交通教室についてであります。
 県警察では,自転車利用者に対する交通教室につきましては,関係機関,団体と連携しながら,幼児から中高生を含め,幅広い年齢層に対して実施しているところであります。平成21年中,県内において実施した自転車教室の開催状況を申し上げますと,就学前の幼児対象では17回,701人,小学生対象では149回,1万4,910人,中学生対象では52回,5,751人,高校生対象では16回,3,864人などとなっております。これらの自転車教室では,自転車の運転に際してヘルメットを着用すること,夜間にライト点灯を行うこと,傘差しや携帯電話使用の危険な運転をしないことなどの交通ルールを遵守するよう指導しております。その際,交通安全の意識づけのため,サイクルライセンスといった交通安全啓発用のカードを配布している場合もあります。県警察といたしましては,今後とも関係機関,団体と連携し,自転車利用のための交通ルールの徹底や交通マナー向上のため,サイクルライセンスの交付といった手法も取り入れた自転車教室を開催するなどして,就学前幼児も含め,自転車のための効果的な交通安全教育を推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

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