平成21年11月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

 1 新政権について           (総務)[ 知 事 ]
 2 地方分権について
  (1)国の取組への感想等       (総務)[ 知 事 ]
  (2)国の出先機関等
    ア 原則廃止等          (総務)[ 知 事 ]
    イ 一級河川の移管        (土木)[ 知 事 ]
    ウ 連携             (総務)[ 知 事 ]
  (3)市町村合併の総括        (企振)[ 知 事 ]
  (4)県の広域調整機能等       (企振)[ 知 事 ]
  (5)国直轄事業           (土木)[ 知 事 ]
  (6)県営事業            (農林)[ 知 事 ]
 3 行財政改革について         (総務)[ 知 事 ]
  (1)国の事業仕分け
    ア 感想
    イ 岡山県での実施
  (2)地方税の増税
 4 成長戦略等について
  (1)成長戦略会議の創設       (産労)[ 知 事 ]
  (2)岡山市と連携すべきテーマ    (総務)[ 知 事 ]
  (3)独自の観光戦略         (産労)[ 知 事 ]
  (4)アンテナショップ        (産労)[ 知 事 ]
  (5)ももっち            (総務)[ 知 事 ]




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。
 本日,最後でございますので,いましばらくのおつき合いのほど,よろしくお願いいたします。
 自民党の夏の大敗北を経て,民主党を中心にした新政権が動き始めて3カ月,事業仕分け等の新たな取り組みについては評価できる部分があるものの,マニフェスト予算,特に子ども手当,公立高校無償化,農家戸別所得補償制度,高速道路無料化等の圧縮の動きに加えて,沖縄米軍基地移転問題の混乱など,不安な要素が顕在化してまいりました。さらに,直轄国道等には凍結の動きがあり,地方にも大きな影響が及びそうであります。一方で,昨年以上の経済危機の中,鳩山不況と言われる事態は,何としても避けなくてはいけません。ここは待ったなしで,地方と一体となった早急な経済対策を強力に進めていただかないといけません。まずは,こうした政権交代で地方自治体のトップとして従来と比べて素直に,よかったなあ,あるいはこれは期待できるなあという部分があったらお知らせください。
 以下,具体的に政権交代が地方に及ぼす影響への対策についてお伺いいたします。
 11月上旬に,地方分権改革推進委員会の第4次勧告で,分権改革論議は一つの節目を迎えました。地方交付税の割合を引き上げることを求めながら,新政権への配慮からか,地方消費税の拡充や6対4から5対5にする,国と地方の税源配分については,先送りされました。そもそもこの委員会自体,小泉改革の痛みを解消するために安倍政権下で発足されたものでございますけれども,国から地方への権限移譲,国の出先機関の統合,義務づけの見直しなどが提言されましたが,いずれも今の段階では勧告の受理にとどまっており,推進計画を策定し,地方分権一括法の法案の策定は,まさに新政権にゆだねられたわけでございます。11月中旬に,地域主権戦略会議の設置が閣議決定され,新政権の政権公約である国と地方の協議の場は,来年の通常国会に設置法案が提出され,総務大臣からは中長期的な地方行財政の課題を議論する新たな組織も示唆されております。三位一体改革の結果,移譲された財源よりも補助金と交付税が大きく削られた経験から,一般には地方分権化イコール財政悪化じゃないかと思われ,地方分権推進を地方から叫ぶ勢いが少しなくなっているようにも感じられますが,だからこそ国と地方の税財政関係の抜本的改革,もっと言えば,地方自治体を地方政府に高めるまでの自治財政権の確立に向けて今まで以上に国に強く訴えていくべきだと思います。まずもって,地方分権改革推進委員会の4次にわたる勧告と今後の政府の地方分権推進の取り組みへの感想と期待についてお知らせください。
 ところで,地方分権改革推進委員会の第2次勧告では,地方整備局など6つの機関を統廃合するなどにとどまりましたけれども,新政権では,総務大臣が国の出先機関の原則廃止の方向を打ち出しております。約32万人の国家公務員中6割強が政府省庁の地方の出先機関で働いておられますけれども,特に道路や河川整備など,公共事業を担う地方整備局や地域産業を支援する経済産業局などは,都道府県と重複した仕事も多く,分権委の勧告に沿っただけでも約2万3,000人の職員が自治体に移ることになります。しかし,財源の確保を含めて課題が非常に多いわけですが,出先機関の原則廃止,さらには職員引き受けについてどのようにお考えでしょうか。
 加えて,地方分権を推進するためには,財源をふやせ,仕事をふやすなということにはならないと思いますし,まさに地方の覚悟が試されていると思います。特に,一つの都道府県内で完結する一級河川の管理を原則都道府県に移管するとの勧告もございました。岡山県では,旭川が源流から海まで県内で完結しているところでございますが,地方分権の趣旨を踏まえると,高梁川や吉井川についても,場合によっちゃあ隣県と連携して管理すべきではないかと思います。
 そこで,お尋ねしますが,旭川に限らず吉井川,高梁川についても,維持管理の財源があれば,河川の管理をすべて,あるいは隣県と連携して引き受けることにやぶさかではないでしょうか,お考えをお知らせください。
 ところで,8月中旬,岡山南部農業水利事業,いわゆる足守川パイプラインの見直しが中四国農政局長から知事に伝えられました。歴史的な背景もあって,興除地域への安定的かつきれいな水の供給のための方策を国から早急に示していただくことを強く要望するところでありますが,わざわざこうして地方に出向いている国の出先機関のトップとの連携は,極めて重要だと思います。もちろん地方において政権与党を通じないと連携ができないようでは,県民の利益になりません。今後もより密に出先機関のトップとは連携をとっていくべきだと思いますが,お考えをお知らせください。
 次に,市町村合併について伺います。
 前政権のもと,6月に,政府の地方制度調査会は,平成の大合併を来年3月で一区切りする答申を出しました。合併特例債という名の強引な誘導策,逆に地方交付税削減で危機意識をあおるあめとむちで合併を余儀なくされた地域の衰退を招いた,そんな思いや地方分権の受け皿づくりという大義名分があったにもかかわらず,市町村の自立支援策が結局広域連携の推進にとどまったということで,市町村合併には確かに光と陰の部分があると思います。特に,人口の多い市に吸収合併された町村の住民の方々には,身近な役場がよそよそしい市役所になって公共投資が何やら中心部に集中して地域が衰退するんじゃないかという不満が強く,まさに中山間地域支援や過疎地域対策とかかわりますけれども,改めて人口減少が進む中,小規模で財政基盤の弱い小さな町や村の自立をいかに支えていくか,そしてそうした地方の多様な担い手をいかに育てていくかは,極めて大きな課題だと思います。特に,新政権も目標的な数字を削除はされていますけれども,過去の議論からは基本的には大合併を念頭に置かれているものと思われます。岡山県では,平成13年3月の岡山県市町村合併推進要綱における市町村の組み合わせをもとに,6年をかけて78市町村から27市町村となったわけですが,合併支援プランもつくり,主導的な役割を果たした県として,再び合併議論が起こるかどうか,これは別にしまして,まずは合併の功罪について一度総括が必要なのではないでしょうか,御見解をお知らせください。
 ところで,市町村合併が進んだからこそ,改めて県の果たすべき役割として,広域調整機能と補完機能が重要になります。先般,県が2007年に策定した新ごみ処理広域化計画の枠組みが崩れたわけでございますが,これはさまざまな事情を抱えての苦渋の判断であられたと思います。各自治体の財政状況と負担のバランスの検討が必要な中,そのほかの広域計画についても影響が避けられないんじゃないかと言われておりますけれども,今後も県はこうした場合,助言するだけなのでしょうか。まさにその調整力が問われています。特に,県境を越えて病院の広域利用などを目指す定住自立圏も生まれておりますから,近県との調整も必要になってまいります。住民の視点に立って適切な役割分担のもと,新たな視点で対等協力の関係を築きながら,住民に最も身近な基礎自治体としての市町村の自立力の向上を図る。その一方で,改めて助言以上に県の果たすべき広域調整機能と補完機能の意義についてお伺いいたします。
 次に,要望,提言についてお伺いいたします。
 公共事業費の大幅削減の方針を受け,国土交通省が来年度整備を凍結する候補に挙げた全国217区間の説明があったとのことでございますが,岡山県では,これは私はいずれも理解しかねますけれども,国道2号玉島笠岡道路のU期分,笠岡バイパス,180号総社一宮バイパス,岡山市絡みでも53号北バイパスに,いわゆる外環状道路の一部となる180号岡山環状南道路が含まれております。直轄事業負担金を見直していただくのはありがたいですが,直轄事業そのものがなくなるということを県民は望んでおりません。私は,そもそもこういう本来凍結すべきでない事業が凍結されても,地元要望をいわゆる新ルールに沿って上げていくと,復活できるんでしょうか。それで,復活するなら,本当にこれはすばらしい仕組みだなあというふうに思いますが,御所見をお聞かせください。
 加えて,大規模な県営事業の多くが国の補助金が入る仕組みになっております。特に,農業かんがい排水事業や高潮対策など,地域においては生活の安全・安心,命にかかわるものも多いわけですが,新政権になってストップするのではないかと,地元から不安の声が非常に多く上がっております。あくまで県の事業とはいえ,政府の意思がどこまで働いてくるかわかりませんが,こうした地域の課題を今後どう国に伝えていくのか,お知らせください。
 次に,事業仕分けについてお伺いいたします。
 事業仕分けの定義というのは,非常に難しいわけでございますが,今回の国の事業仕分けをコーディネートされた構想日本の冊子の言葉をかりれば,その目的は,「行政の事業を抽象的ではなく,現場の視点で洗い直すことによって個々の事業の無駄にとどまらず,その事業の背後にある制度や国と地方の関係など,行財政全体の改革に結びつけていくこと」とのことであります。これまで44自治体で61回開催され,岡山市でも2006年2月に試行しており,私も他府県で見ておりますけれども,今回の国の事業仕分けは,予算編成時期と幸か不幸かあるいはあえてかわかりませんが,かぶせたため,かなり特殊だったというふうに,私は思っております。特に,政府・与党が一体化しているのならば,仕分ける必要もないほどよくよく練られた事業が,行政サイドから予算として提案されているはずですから,不思議な面もございました。例えば,仕分け人がだれであるとか,議論は1時間で行うとかというのは,決まりがあるわけではございませんし,仕分け結果については私もかなり思うところがございます。ただ,密室の議論を公開して納税者の意識を大きく変えたということについては,非常に大きな意味があったというふうに思います。改めて,今回の国の事業仕分けについての感想についてお伺いいたします。
 ところで,この事業仕分けは,自治体では数値目標を定めた予算カットのための手法ではなくて,行政の政策形成過程でいかに市民参加を促すか,ある意味情報公開のための手段として,また,職員の説明能力のスキルアップの手段として,また,実は第三者を介在させることで初めてできる行革もあるということで使われているように,私は考えております。岡山県でいえば,例えば,公の施設のあり方を議論する,児童会館の閉館などについての議論をインターネットで流してオープンにする,そうしたことがなじむように思います。もちろん岡山県においても,大規模事業評価委員会のように,第三者の参画を求めているものもございますし,行政内部的な事業仕分けについては,PDCAサイクルの形で行政評価システムもできておりますし,何より財政危機宣言をして厳しい行財政構造改革を進める中で,内部的にもかなり厳しい事業仕分けになっていると思います。ただ,情報公開,住民参加という視点からではどうでしょうか。パブリックコメントは募集したけれども,そもそも募集されたことすら知らない。概して,新聞に発表されたらもうおしまいと決まってしまっている。県の方針はてこでも動かない,そうした評価があると思います。そういう誤解を解くためにも議論をオープンにした事業仕分けは有効だと思いますが,岡山県での実施についての御所見をお聞かせください。
 それにしても,昨年の財政危機宣言以来,非常に厳しい行財政改革を続けておるわけでございますけれども,社会保障分野など,ますます増大する地方の歳出を国から税源移譲で対処するにしても,今の国の財政状況では,もう増税がない限り,地方に移譲できる税源は存在しないような気がいたしますし,どうも新政権のマニフェストを本当に実行すれば,自治体は早晩財政破綻してしまうんじゃないか,そんな気すらいたします。国税に対する地方税の比率を高めるためには,国からの税源移譲に頼らず,地方税の増税という手段もございます。もちろん私は,反対ではございますが,御所見をお聞かせください。
 次に,成長戦略についてお伺いいたします。
 ことしの忘年会は,特に話題が本当に暗いなあというふうに思います。補正予算の一部執行停止などで,どことなく萎縮している面もあって,おまけにドバイショックに円高,希望が持てる将来の経済や社会の姿が明確でなく,消費や設備投資にも慎重になります。昨年の財政危機宣言から極めて厳しい財政構造改革を実施しているわけでございますが,一方で,岡山県にも産業政策を国に任せるのではなくて,民間企業や家計の活力を引き出す強力なメッセージを送る根本的な経済活性化策,成長戦略をはっきりと示す必要があるのではないでしょうか。特に,少子・高齢化が進んで人口が減って国内の内需型企業も含めて,輸出や海外工場というだけでなくて,もっともっとグローバルな環境で闘える,そうした体制をつくっていくのをいかに支援するかは,他県との連携も必要になってまいります。外部の知恵もかりた岡山版ニューディールとも言える成長戦略会議の創設は考えられないでしょうか,御所見をお聞かせください。
 次に,岡山市との連携についてお伺いします。
 特に,中四国をつなぐ拠点都市を目指している岡山市とは,まさに車の両輪として,岡山県全体の発展のために相互の連携をさらに進めるべきだと思います。連携した都市緑化フェア以降,それを契機に岡山市は都市緑化に向けた取り組みが進んでおりますが,集客があった以上に,県はそれを実は生かせてないんじゃないか,そんな気がいたしておりますが,この11月30日には,観光振興などについて展示場や国際会議場などのコンベンションの誘致を目指す高谷市長との懇談会を行われたと伺っております。企業誘致や公共交通政策など,成長戦略として県と岡山市が連携すべきテーマがまだまだ考えられると思いますが,何が考えられるか,お知らせください。
 その中で,観光立県戦略について,後楽園周辺については,岡山市との連携が,私はいまだ不十分だと思いますし,観光物産センターの廃止については,失礼ですけど,戦略性は全く感じません。特に,景気浮揚策として導入された高速道路料金の大幅値下げで,岡山県は観光の勝ち組みになり得たでしょうか。自動料金収受システム利用者に対して,観光施設の割引サービスを実施したのは20道府県に及びますが,こうした段階的な無料化となっていけば,観光地間の格差が広がる懸念すらございます。観光については,他府県と同じことをやっていては勝てるわけがありませんが,独自の観光戦略として何があるのか,お知らせください。
 ところで,岡山県は地元どころか東京に臨時の岡山屋以外に47都道府県中30以上が持っている常設の観光物産センター,アンテナショップは持っておりません。私は,先日,銀座かいわいの道府県のアンテナショップを十数軒回りましたけれども,一部地味なパンフレット中心のショップを除けば,どの道府県のそれもかなりお客さんが来られておりました。特に,北海道と沖縄の店舗のにぎわいは予想どおりでございまして,私も宮古島名物「雪塩ちんすこう」を銀座で買いました。東京では,アンテナショップめぐりをすれば,舌鼓を打ちながら全国の名産品が買え,さまざまな情報を得ることができるわけでございますが,岡山県は首都圏での情報発信において,完全に他道府県におくれをとっております。また,例えば,首都圏のファジアーノ岡山のサポーターが立ち寄るふるさとがなく,ある意味在京の岡山県人の皆様にも大変な失礼なことではないかなというふうに,私は思っております。このことは,財源確保に加えて,県と県外在住者の一体感の醸成を図る,そうした目的のふるさと納税が今年度は11月12日現在で19件52万円のみであることと無関係ではないように,私は思います。日本一の桃太郎の看板やきびだんごの売店があれば,岡山らしさを存分にアピールできるでしょうし,昼どきには岡山のばらすしやママカリなど確実に売れると思いますし,各種のフルーツも市場や百貨店に売り込むのではなくて,常設店舗があれば,宣伝次第ではかなりブランド力も伴って認知度が上がるように思います。岡山県の常設アンテナショップが東京にないことは,私にはむしろ不思議でございますが,何かかたい意志を持ってつくられないのでしょうか,御所見をお聞かせください。
 このことは,いわゆる産直ショップが定着していますが,安定的な販路確保のためにも,岡山市や倉敷市内の商店街等にさらに県内の市町村の物産展を集積させるという発想にもつながります。あわせて県内における市町村のアンテナショップの集積の支援について,お考えをお知らせください。
 最後に,岡山県のキャラクターである「ももっち」でございますが,全国的なゆるキャラブームの中で,どこか学級委員長のような,非常に品行方正な「ももっち」は,確かによい人でまじめな人なんですけれども,もう一皮むけてはじけないと,何かインパクトがなくて物足りないなあという印象を,私受けております。一方,ゆるキャラの大スターである彦根市の「ひこにゃん」は,ことしも全国からゆるキャラを彦根に集中させ,岡山市からも「ミコロ・ハコロ」が参加いたしました。
 さて,「ももっち」でございますけども,せっかくこの議場で申し上げてお供につくっていただいた「いぬっち」,「さるっち」,「きじっち」については,いまだに着ぐるみがつくられておりません。やや影が薄いなあというふうには,思うんですけども。そろそろ「ももっち」にもストーリーをつくるべきではないでしょうか。例えば,おじいちゃんの代では戦ったけれども,今はなぜかつき合っているという,鬼のガールフレンドの「うららちゃん」,温羅からとって「うららちゃん」です,非常にいいと思うんですけど。サブキャラとして,彦根の「ひこにゃん」以上に緩く,いやし系のきびだんごをモチーフにした「だんごくん」,こうした「だんごくん」の歌をつくってきびだんごを売りたいなと。さらに,毎年岡山県の子供たちからキャラクターを募集してお供を1人ずつふやしていって,鬼とも今は手を結んで,例えば皆で環境破壊と闘うぞということで,ちなみに私の息子は既に「せとおおはしくん」を考えております。ともあれ,この不景気に,こういうことをいうこと次第あれなんですけど,御陽気に何やっとんじゃという明るい話題として,「ももっち」に彼女ができたという,ももっち増強計画を,私は本気で立てるべきだというふうに思っておりますが,御所見をお聞かせください。
 ところで,先般,知事にも御参加いただいた「落書き一斉消去大作戦」でございますが,あるお宅から,生きる希望がわいてきたというお礼の電話をちょうだいいたしました。その言葉にこちらが救われたような気持ちがいたしましたが,逆に世の中が本当に殺伐として苦しいことやつらいことが,今本当に多いんだなあというふうに思います。だからこそ,政治は混乱の中にも,必ずや未来への夢や希望を示す責務があるというふうに思います。少しでも元気が出る,あしたに希望が持てる,そんな答弁を期待して,質問を終わらさせていただきます。まことにありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 まず最初に,新政権についてのお尋ねであります。
 政治主導による国政運営や公開の場での事業仕分けなど,さまざまな新しい試みが行われているところでありますが,地方といたしましては,新政権が地域主権の確立を最重点政策に掲げ,地域のことは地域が責任を持って決めるという,このことを基本とした新たな国づくりを目指す方針を示されていることにつきましては,これは率直に歓迎いたしたいと思います。特に,事項要求ではありますけれども,概算要求に盛り込まれております1.1兆円の地方交付税の増額,このことにつきましては,ぜひとも実現していただきたいと存じます。また,我々地方と十分に意見交換を行い,地方にかかわるさまざまな重要課題に積極的に取り組んでいただきまして,地方分権改革の推進など,具体的な成果を上げていただくように強く期待しているところであります。
 次に,国の取り組みへの感想等についてでありますが,地方分権改革推進委員会では,国と地方の役割分担や義務づけ,枠づけの見直し,地方税財政制度のあり方など,多岐にわたる論点につきまして精力的な議論を重ね,各省庁の抵抗がある中で,4次に及ぶ勧告を取りまとめられたところでありまして,まずその御労苦に対しまして敬意と感謝を申し上げたいと思います。これまでの勧告内容は,おおむね我々地方側が求める内容にかなうものでありまして,新政権におかれましては,この勧告の内容はもちろん,さらに踏み込んだ内容を持つ地方分権改革推進計画を年内に策定し,これに基づく地方分権一括法を早期に制定するように強く求めてまいりたいと思います。また,これに加え,地域主権の理念やその実現に向けた工程などを早急に明らかにするとともに,その理念のもと,国と地方の協議の場の法制化や地方税財源の充実強化など,重要課題について着実な取り組みが進められるよう期待しているところでありまして,引き続きその動向を注視してまいりたいと存じます。
 次に,国の出先機関等に関し,原則廃止等についてでありますが,真の分権改革を実現するためには,内政に関する事務は基本的に地方が担う仕組みをつくることが不可欠でありまして,国と地方の二重行政を解消するためにも,国の出先機関の廃止を積極的に進めていくべきものと,このように考えております。この国の出先機関の廃止に当たりましては,必要な財源を地方に移譲すること,これは無論のこと,国の職員につきましても,専門的技術的知識の確保等の観点から,人材の移管や人事交流を含め,具体的な検討が必要であると考えております。先日,全国知事会でも国の出先機関原則廃止プロジェクトチームを発足させまして,事務・権限の調査や地方での受け入れ体制などの検討を行い,提言を取りまとめることとしておりまして,私といたしましても,こうした動きと連動しながら,地方の意見を踏まえた出先機関の廃止につき,国に対し強く働きかけしてまいりたいと存じます。
 これに関し,一級河川の移管についてでありますが,都道府県内で完結する一級河川の移管に当たりましては,維持管理財源に加え,整備財源や人員,資機材の確保等に関しまして,適切な措置が講じられることが何よりも重要であると考えておりまして,そういった前提条件が整うならば,都道府県が責任を持って受け入れることができると考えております。
 なお,隣県とまたがる一級河川につきましては,財源等について適切な措置が講じられることに加え,隣県との調整が課題となることから,今後,他都府県での取り組み事例を踏まえつつ,検討してまいりたいと存じます。
 連携についてでありますが,お話の国の出先機関トップとの連携は必要であると考えておりまして,中四国農政局のほか,先月には中国地方整備局長とも来年度予算について懇談するなど,機会をとらえて意見交換等に努めてきております。私は,国と地方とが総理を初めとする閣僚レベルはもとより,各省庁やその出先機関に至るまで,きめ細かく連携や意見交換を行って行政を進めていくことこそ,住民の利益にかなうものと考えておりまして,国におかれましては,窓口を限定することなく,さまざまな機会を通じて幅広く地方の意見に耳を傾けますとともに,地方側と十分意見交換を行っていただきたいと考えております。今後とも,幅広いレベルでの連携を密にして,地方の実情をしっかりと国に伝えてまいりたいと存じます。
 次に,市町村合併の総括についてでありますが,このたびの市町村合併により,行財政基盤が強化され,専門職員の配置や行政サービスの充実が図られる一方で,お話のように,合併が中心部以外の地域の衰退を招いているとの指摘や,三位一体の改革による地方交付税の大幅削減によって,計画どおりの財政運営ができないとの不満も聞かれるところであります。合併した市や町においては,現在,新しいまちづくりに懸命に取り組んでいる過程にありまして,引き続きそれぞれの地域の特性を生かしたまちづくりを推進することで,今後合併の成果が着実にあらわれてくるものと考えておりまして,県といたしましても,できる限りの助言や支援に努めてまいりたいと存じます。
 県の広域調整機能等でありますが,地方自治法にも基礎自治体優先の原則として規定されているとおり,まずは住民に最も身近な市町村が地域における事務を幅広く包括的に担うべきものであると考えております。しかしながら,本来市町村が担うべき事務でありましても,単独では処理することが適当でないと認められるような行政課題につきましては,隣接市町村との水平的な補完による対応も必要でありまして,その自主性自立性は尊重しつつも,適切な助言や市町村相互間の連絡,連携,合意形成に向けた調整等を通じまして,市町村を支援していくことが県の果たすべき役割であると考えております。
 国直轄事業でありますが,先般,国からは,県及び岡山市に対し,お話の道路事業について,来年度調査設計費のみを計上するとの説明がありましたが,議員御指摘のような,凍結されるとは聞いておりません。これらの事業は,いずれも本県にとって重要な事業であることから,かねてより国への重点提案等において,事業促進を働きかけてきたところでありまして,今後とも沿線市町とも連携しつつ,さまざまな機会を通じ,幅広く国に働きかけてまいりたいと存じます。
 県営事業でありますが,例えば,お話のかんがい排水事業は,農産物の生産に不可欠な農業用水の有効利用を図るために,また,高潮対策は台風等に伴う高潮等から背後地を防護するために実施するものでありまして,このような補助事業が大幅に削減されるということは,農業生産や安全・安心など,県民生活に多大な影響を及ぼすものと懸念されるところであります。これまでも,安全・安心で活力ある地域づくりの基礎となる社会資本整備につきましては,その推進が図られるよう,国に提案してきたところでありますが,こうした地域にかかわる施策の企画立案や変更につきましては,地方と十分意見交換を行っていただきたいと考えておりまして,今後ともあらゆる機会を通じ,国に対し強く働きかけしてまいりたいと存じます。
 次に,国の事業仕分けについてであります。
 まず,感想についてでありますが,公開の場での議論を通じ,いわゆる無駄の排除を進めようというその姿勢は評価できますものの,地方財政の根幹にかかわる地方交付税について,短時間の議論で見直しの方針が出されたということに強い懸念と不安を感じております。また,まちづくり関連事業や下水道事業などが地方移管とされたことにつきましては,地方分権改革の視点からは意義がありますものの,移管に伴う財源や人員のあり方は明確になっていないところであります。こうした地方の行財政運営や住民生活に影響を及ぼす事務事業の見直しにつきましては,今後地方との十分かつ丁寧な協議が必要であると考えておりまして,全国知事会等とも連携し,国に対し強く働きかけてまいりたいと思います。
 岡山県での実施についての御質問でありますが,国の事業仕分けは,国が所管する約3,000事業のうち447事業を対象とし,民間有識者を含む仕分け人により公開の場において事業の必要性,官と民,国と地方の役割分担などの観点から仕分けを行い,その結果を予算に最大限反映させると,このようにされております。一方,本県におきましては,昨年度,御承知のとおり持続可能な行財政構造を確立するため,事務事業の見直しを行ったところでありまして,国のこの事業仕分けとの対比で申し上げれば,本県の場合は,すべての事業を対象といたしまして,また,事業仕分けと同じような観点から,そして庁内プロジェクトチームによって見直しを行って,パブリックコメントや市町村等との協議を経て,行革大綱2008として取りまとめて,その結果を本県の場合はすべて予算にこれを反映しているというところがやや違う点ではないかと思っております。このように,県におきましても,財源の確保等を目指しました事業の全般的な見直し,これは既に行ったところでありますが,今後とも新たな事業の必要性等を判断し,また,既存の事業を不断に見直していく必要があると,このように考えておりまして,その際には,この事業仕分けで重視されております議員御指摘の情報公開や住民参加などの要素につきましても十分取り込んでまいりたいと,このように考えております。
 次に,地方税の増税についてでありますが,本県におきましては,これまでも独自の政策課題に対応するため,県民の皆様の御理解をいただきながら,おかやま森づくり県民税や産業廃棄物処理税を導入することにより,その財源を確保してきたところであります。こうした独自課税の活用は引き続き検討すべき課題であると考えておりますが,新政権が目指す地域主権国家において,地方公共団体に期待される大きな役割と責任を果たしていくためには,やはり基幹的な地方税財源の拡充が不可欠でありまして,とりわけ税源移譲により,国と地方の税源配分が5対5となるよう,税源の安定と充実を図ることが重要であると考えております。
 次に,成長戦略等に関し,まず成長戦略会議の創設についてでありますが,現下の厳しい経済雇用情勢のもと,本県が不況を乗り越え,力強く発展していくためには,中長期的な視点に立ってイノベーションによります産業構造の転換や高度化,今後成長が見込まれる産業の育成などに積極的に取り組む必要があると存じます。このような認識のもと,本年7月に経済6団体代表者と経済雇用情勢への的確な対応や本県の発展戦略について意見交換を行ったところでありまして,引き続き定期的な戦略会議を開催することとしております。今後,このような場におきまして,外部有識者を交えながら,本県の強みを生かした具体的な成長戦略等について議論してまいりたいと存じます。
 岡山市と連携すべきテーマでありますが,岡山県全体の発展のためにも,4月から政令市としてスタートいたしました岡山市との相互の連携を深めることは大変重要であると考えておりまして,高谷市長からの御提案もありまして,先日の懇談会を開催したものであります。懇談の中では,観光客やコンベンションの誘致,産業振興や企業誘致,また,来年に迫った国民文化祭の盛り上げや美作岡山道路での連携協力など,多くの課題について忌憚なく意見交換ができ,来年以降も定期的に開催することとしたところであります。これからの岡山の未来に向けて,県と市のさらなる連携強化のためにも,これはまことに有意義であったと考えております。今後,環境,新エネルギー,高度医療といった成長が期待される産業分野の振興とか国民文化祭を契機とした新たな情報発信など,私といたしましては,岡山市と連携していくべき成長戦略としてのテーマは,まだまだあると,このように考えておりまして,お互いに積極的な提案を行いながら,県市双方の施策で相乗効果が発揮できるような取り組みを進めてまいりたいと存じます。
 独自の観光戦略についてでありますが,桃太郎伝説のキャラクターを使った観光キャラバン隊によります大々的な観光PR,全国のB級グルメを集めたフェスタの開催など,岡山らしい話題性のある事業を展開してきております。また,上海事務所を活用いたしまして現地旅行会社に旅行商品の造成を積極的に働きかけするなど,中国からのインバウンドの促進に県独自で取り組んでおります。さらには,倉敷のジーンズを初めとする産業観光への取り組みや,美作三湯を核とした滞在型観光のルートづくり,瀬戸内海や備前焼を生かした体験型のツアーの提案等,地域が主体となって取り組む観光の魅力づくりを積極的に支援いたしております。今後とも,県の特色を生かした独自性のある観光施策の展開や県内の観光関係者等と一体となった取り組みによって,観光立県岡山の創造を目指してまいりたいと存じます。
 アンテナショップでありますが,首都圏における先行事例を見ますと,単独設置や複数県によります共同設置,コンビニエンスストアの一角を使った小規模なものなど,その形態や運営方法はさまざまでありますが,総じて厳しい運営状況にありまして,いわゆる費用対効果の問題など課題があるものと承知いたしております。そのような中で,現在,東京銀座に各県の特産品や観光情報を集め,販売やPRを行う物産館の整備構想がマスメディア主導で進められておりまして,集客力やコスト面の利点も見込まれることから,県といたしましては,当面この物産館への出展も視野に入れながら,首都圏における情報発信のあり方等につきまして,引き続き検討してまいりたいと存じます。また,市町村のアンテナショップの機能を持つものといたしましては,県商工会連合会が岡山市表町商店街で運営しております「サンさん岡山」がありまして,引き続きこの事業に対し支援を行い,市町村の特産品の振興を図ってまいりたいと存じます。
 「ももっち」についてでありますが,国体後も緑化フェアや来年の国民文化祭のマスコットとして活躍しておりまして,その愛らしいキャラクターが県内外に広く浸透してきているものと考えております。引き続き,「ももっち」のアピール度を高めていくためには,議員御指摘のとおり,新たな展開も必要であると考えておりまして,お話いただきましたキャラクターの追加など検討しながら,全国に向けて本県の魅力発信に努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。

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