平成18年12月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 障害者自立支援法について
(1)応益負担等                 (保福)[ 知  事 ]
(2)利用者等への影響              (保福)[保健福祉部長]
(3)県独自の措置等               (保福)[保健福祉部長]
(4)授産施設等への支援等            (保福)[保健福祉部長]
(5)障害者の雇用対策       保福・教育協力(産労)[ 知  事 ]
(6)人材育成                  (保福)[保健福祉部長]
(7)障害福祉計画                (保福)[保健福祉部長]
(8)今後の対応                 (保福)[ 知  事 ]
2 発達障害について
(1)実態調査等             教育協力(保福)[ 知  事 ]
(2)不登校等との関係              (教育)[ 教育長 ]
(3)社会への認知            教育協力(保福)[保健福祉部長]
(4)放課後の支援                (保福)[保健福祉部長]
(5)特別支援教育体制の推進           (教育)[ 教育長 ]
(6)特別支援学校のセンター的機能        (教育)[ 教育長 ]
(7)対策組織                  (保福)[保健福祉部長]
3 JR津山線脱線事故について
(1)今後の対応                 (生環)[ 知  事 ]
(2)他線に与える影響              (生環)[ 知  事 ]
(3)斜面の安全対策等              (土木)[ 土木部長 ]
(4)JR等との連絡体制
                         (土木)[ 土木部長 ]
(5)危機管理体制                (総務)[ 総務部長 ]
  ア 連絡体制
  イ 危機への対応
(6)県道玉柏野々口線等の整備方針        (土木)[ 土木部長 ]




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。
 まずもって,長野士郎前県知事の御冥福を心よりお祈り申し上げます。
 長野県政において,石井県政における夢づくりプランに相当するのが岡山県総合福祉計画だと思いますが,そのキーワードは「人間尊重,福祉優先」です。岡山県政のキーワードに福祉という言葉があったことに私は改めて政治の要諦を見るように思います。経済効率だけで,強者の論理で,多数決だけで決めるのなら,それが正義というのなら,政治は必要はありません。対価としての行政サービスなら,あらゆる行政すべてを民営化すればよい。何かを削減することだけを成果とするなら,そこには愛も夢も希望も福祉もありません。強い者にくみするのではなく,弱い者の側に立って本当にそれでよいのですかと言い続けることが,私は議員にとって一番大切な感性だろうと思います。今回は,政治とは何かを根本命題にして,福祉に関連した事柄をあえて細かくお尋ねさせていただきます。
 まずは,障害者自立支援法が本年4月の施行に続き,10月からは就労支援,生活支援なども含め,本格施行になりました。この新しい法律の成立の背景には,サービス利用者の増加による国の財政難があるとも言われています。ただ,その究極の目的が障害者の自立であるのは間違いない,そう信じたいと思います。しかし,さまざまな場面で,当事者である障害者やその家族から不安の声が上がっているのは御案内のとおりであります。以下,障害者自立支援法の3本の柱に沿ってお伺いいたします。
 まず第1に,10月施行に先立って,従来どおりの仕組みのままで1割負担だけは前倒しで始まっておりますが,所得に応じて異なる応能負担から,原則1割自己負担の応益負担になったのは,今までの福祉政策とは全く異なった考え方であります。従来,福祉は保護,措置という概念で示されて,ニーズ判定,サービスの実施,費用負担をすべて官が賄うというのに対して,支援法の考え方は,当事者の意思,選択が反映しやすいような仕組みにし,順次これを改善していくことで,自己決定に基づくより利用者本位の制度にする,そのように言われれば,方向性もそうなのかなあと思いますが,実際所得も上がっていない,収入も上がっていない,つまり自立できるような状況になっていない中で,応益で払ってくださいというのは,やはり見切り発車だったのではないかなと思いますが,いかがでしょうか。
 また,障害の種類別に法律があったのを,身体,知的,精神の3障害について,この法律で対応するというのも特徴でありますが,一人一人の障害者の方の生活が見えにくくなりはしないかという声もございます。いかようにお考えでしょうか,あわせて知事の御所見をお聞かせください。
 一方で,新たな利用者負担,報酬体系の導入等が障害福祉サービス利用者や施設,事業者に深刻な不安を与えるという声も多く上がっております。負担増を理由に施設を退所されたり,サービスの利用を中止されたなど,今回の法施行が利用者の方々等にどのような影響を与えるのかをいかように把握されているのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 第2に,市区町村を事業の実施主体とするということでありますが,利用者の負担の軽減として,県独自で,例えば,障害児デイサービス等の通園の関係で,定率負担部分を無料化したり,食費負担を食材料費相当にしたり,利用者,施設運営者の声を聞いて,国の制度に県として上乗せ,横出しするメニューをつくるお考えはないのでしょうか。また,基礎自治体の独自補助と逆にそれによる地域格差の拡大も考えられますが,県の役割をいかように考えられますか,あわせて保健福祉部長にお伺いいたします。
 第3に,障害者も自立できる社会を目指すということでありますが,法律には働く意欲と能力のある障害者が企業等で働けるよう,福祉側から支援すると明記してあります。さきの県のアンケートでも,身体・知的障害者の方の在宅で6割,入所で4割の方が働きたいという御希望があります。しかし,授産施設等について利用者の負担増は障害者の施設利用中止につながり,結果として施設の収入が減ってサービスの低下,施設の閉鎖,そして利用者の行き場がなくなってしまう,そういった悪循環が生じて,同法の理念に逆行するとの批判がございます。また,小規模作業所は,10人内外が恐らく最も運営しやすいのですが,地域活動支援センターの基準人数が高く,実態として運営費の支援が従前より低くなって,現行のまま継続できるかどうか不透明という声も非常に強く,こうした授産施設や小規模作業所等に対して,県単独でも対応策を検討すべきではないかと考えます。また,収入の向上については,作業所や授産施設等での製品づくりについて,自立のためにはやはり作品ではなくて,市場,顧客を向いた製品あるいは商品をつくって,他の民間企業のつくる製品と競合していって,最終的にはできるだけ多くの就労者の収入が大幅に上がるための支援が必要だと思いますが,あわせて保健福祉部長の御所見をお聞かせください。
 また,障害者自立支援法においては,福祉施設利用者や養護学校卒業者に対して,一般就労に向けた支援を行う就労移行支援事業の創設などが盛り込まれて,今後福祉的就労から一般就労への移行の促進に向けた取り組みが進められていくわけであります。自立就労支援について,県内の障害者雇用率は1.68%で,法で定められた人数の障害者を雇っている企業はまだまだ少ないと言われております。自立支援に関する基本的な役割はもちろん市町村が担う,そのようにされてはおりますけれども,障害者の就労支援に当たっては,福祉関係機関だけではなくて,雇用,教育機関等の連携・協力,さらには企業への働きかけが重要であると思います。障害者の雇用対策として,県としてどのような取り組みがされていくのか,知事にお伺いいたします。
 ところで,将来的に,障害者自立支援法と介護保険法の統合も視野に入れられているのではないかという憶測を呼ぶぐらい,障害者自立支援法を見ますと,そのシステムも介護保険制度と非常によく似ております。障害者の状態を障害程度区分として認定し,個別の支援計画が立てられて,その計画によってサービス提供者を選択していく。つまり,介護保険におけるケアマネジャーの存在が大きなかなめとなるのと同じように,相談支援やケアマネジメントをする人が大切な存在になっています。自立に向けて支援する,こうした人材が足りないという声が大きく,人材育成が急がれますが,その対策について保健福祉部長にお伺いいたします。
 関連して,障害福祉計画についてお伺いいたします。
 障害者自立支援法におきましては,国の基本方針に基づいて,県及び市町村は平成18年度中に障害福祉計画を策定するように義務づけられていますが,市町村からの計画を単純に積み上げて県の計画にするということは,不十分です。県内の市町村と密接に連携し,また支援,指導を行いながら,何よりも障害者の方々の声をしっかりと受けとめながら,障害福祉計画を立てていくべきだと思いますがいかがでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,県として,障害者自立支援法がもたらした大きな矛盾の改善に向けて,今後どのような方向性を持ってこの問題に対応していかれるのでしょうか。国は,法の中で,法施行後3年を目途に検討し,必要な措置を講ずることとしておりますし,自民党は決してこのままでは済まさない,そういう政党であると信じますけれども,県としては,あらゆる機会を利用して,国に対して政策提言を行うべきだと考えますがいかがお考えでしょうか,知事の御所見をお聞かせください。
 次に,発達障害についてお伺いいたします。
 この問題を考える際に非常に重要なことは,こうした議論が新たな偏見につながることがないように慎重な配慮が必要であり,同時に,こうした障害が顕在化していることには,何か時代の背景や理由があって,いわゆるノーマライゼーション,インクルージョンの流れの中で,それをいかに受け入れていくかが社会にあるいは我々一人一人に問われているのではないか,そういう視点が重要だと思います。また,いじめ,不登校,自殺,児童虐待,ニート,引きこもりなどの根底に,こうした問題が横たわっているのではないかと指摘されますが,これを障害としてとらえることで,対症療法的な稚拙な根性論やしつけ論から当事者や家族を解放する,そういった必要もあります。また,学級崩壊等によって教員が指導力不足と言われる遠因の一つではないかということも理解する必要がございます。いずれにせよ,本人や家族の方の苦しみを思うとき,真正面から議論すべき時期が来ております。
 発達障害には,学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD),自閉症,アスペルガー症候群などがあり,うまく意思疎通ができない,関心に激しい偏りがあることなどが特徴で,先天性の脳の機能障害とも言われ,こうした障害そのものを取り除くことは困難な場合が多いのですが,早期発見と適切な診断を行い,適切な療育や教育と環境調整を行うことによって,社会的機能を高めて改善することが期待できます。
 なお,小児期の交通外傷とか,後遺症はかなり改善はしますが,学齢期に学習面で問題を残すような高次脳機能障害もあわせて考える必要があると思います。
 これまで,障害と認められず,教育,医療サービスの対象にならなかった制度の谷間にあった発達障害児・者に対する支援を行うことが目的とする理念法として,超党派の議員立法によって,発達障害者支援法が2005年4月から施行されているのは御案内のとおりであります。今までの法体制では,福祉は福祉,教育は教育と,人の一生に対する支援策を分断して,必要なときに必要な支援が間に合わないということが起こっていましたが,この法律は,乳幼児期の早期発見から成人して就労確保まで支援を一貫させています。同法第3条において,国や地方公共団体の責務として,早期発見,また早期支援の重要性がうたわれており,幾つか質問させていただきます。
 まず第1に,文部科学省が2002年に行った調査では,知的発達におくれはないものの,学習面や行動面で著しい困難を持っていると担任教師が回答した児童生徒の割合は全体で6.3%とされていますが,私は,直感的に県内にもかなりの数の発達障害児・者がおられ,しかも増加傾向にあるんではないか,そのように感じております。全日制あるいは定時制,通信制の高等学校などへの進学,さらには発達障害者を含めて,これはあくまでプライバシーを侵害してはいけないわけでございますけれども,実態調査が必要だと思いますが,実施されておられるのでしょうか。また,県内の現状をいかように把握され,いじめ,不登校,自殺,児童虐待,ニート,引きこもりなどとの関係をどのように感じておられるのでしょうか。非常に難しい問題でございますが,これらをあわせて知事にお伺いいたします。
 あわせて,いじめ,不登校,学級崩壊や教員の指導力不足との関係をどのように認識されているか,教育長にお伺いいたします。
 また,自分の子供が発達障害であると宣告されることのショックと戸惑いというようなこともあろうかと思いますが,本人や家族だけではなくて,児童生徒,PTAはもちろん,その周りの保護者を含めて,発達障害の特徴,また,教育や対応について広く社会に認知させていく必要性を感じますが,いかがお考えでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,子供の発達障害を疑う親たちがふえることが予想されますが,現実には対応できるこの分野の専門家である小児精神科医が非常に少なく,また,こうした専門的な治療に応じた診療報酬が支払われないため,障害児教育に関するNPOの皆様や地域のボランティアとの連携協力を含めて対策が必要になります。特に,学校が終わった後の放課後の発達障害児の支援も大切だと考えますが,既にこれは民間で行われている例もあるようです。県としても,放課後の発達障害児に対する施策も必要だと思いますが,こうした一連のことについていかがお考えでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 さらに,すべての都道府県に特別支援教育体制推進事業が委嘱され,実施されていますが,発達障害児の特別支援教育では,教員研修の充実が特に重要です。また,特別支援教育コーディネーターや校内支援の充実,さらにその方たちの発達障害の特別支援教育に関する研修の受講も必要になりますし,幼稚園や保育所も対象に含めて,発達障害児に対する乳幼児期からの支援体制の整備も必要になります。しかし,各市町村の教育委員会の判断に基づくため,自治体により差があるとも思われます。発達障害児の特別支援教育体制をいかに推進していくのか,その方向について,教育長にお伺いいたします。
 また,法改正に基づき,児童生徒の障害の重複化に適切に対応することができるように,盲・聾・養護学校を障害種別を超えた特別支援学校に転換することになっていますが,障害のある子供が通常の学級で学ぶか,通常の学級に在籍し,通級による指導を受けるか,特別支援学級で学ぶか,特別支援学校で学ぶか,一人一人の教育的ニーズに対応する必要があると思います。特に発達障害児は分散するのではないかと思われます。そうした中,特別支援学校は,発達障害児の地域の特別支援教育センター的機能を担う必要があると思いますが,今後の整備の方向について,教育長にお伺いいたします。
 一方,国においては,発達障害等の要因によりコミュニケーション能力に困難を抱えている求職者について,インターネットにホームページを開設するなど,きめ細かな就職支援を実施する方針であると聞いており,さらに,医療・保健・福祉・労働の各部局が連携して関連施策に取り組む発達障害対策戦略推進本部が立ち上がっています。県においても,発達障害者支援センターや民間と連携した対策組織が必要だと考えますがいかがでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 政治とは何かを考えるときに,市民,県民の生命,自由,財産を守るという説明もできます。まさに危機管理体制づくりはその基本ですが,危機管理はすべて,れば,たらの仮定の上に成り立ちます。先月19日,岡山市下牧のJR津山線の脱線事故について,危機管理の視点も加えてお伺いいたします。
 私は,今回の県の対応に少なからずの疑問を感じております。これが日曜日の夜明け前ではなくて,平日の通勤通学時間であったら間違いなく何十人も亡くなっていた,そんな事故であって,この事故から教訓を得て,実践的に対応しなければ,けがをされた方々,きょうもまた通勤通学に不便をされている方々にとても申しわけが立たない,そのように考えます。
 まずもって,早速翌日に,JR西日本への安全対策の徹底と早期復旧を申し入れたとのことでありますが,列車の脱線,乗客25人の方の負傷については,県も大きくかかわった人災の部分があるということを看過してはならないと思います。失礼ながら,少なくとも県が完全民間企業のJR西日本とともにわびこそすれ,一方的に申し入れをする立場にはないと私は考えます。こうした対応によって,JR津山線が抜本的安全対策がなされないまま廃線にさえ追い込まれる可能性もあり,同様の問題を抱える県内のJR赤字ローカル線,姫新線,芸備線,因美線,すべての廃線につながることさえ想定しなければならないかもしれません。私は,別にJRの味方ではありませんけれども,JR西日本では,阪神大震災以後赤字ローカル線については,保守費用の出ない路線は廃止・縮小せざるを得ない状況にあって,特に完全民営化で外国人株主が30%を超えている現状では,その速度は速まっており,さらに福知山線事故で高まった安全性議論の中,新型ATSの導入などで多額の安全対策の設備投資を必要としており,地方赤字ローカル線に回す資金は減少していると思われます。
 こうした中,広島のJR可部線は,要は鉄橋やトンネル,がけが多く,十分な安全対策が資金的に難しいから廃止されたのであります。富山のライトレールあるいは吉備線のLRT化の問題は,こうした津山線の脱線事故と根っこを同じにいたしております。私は,JR津山線などは,都市間輸送,新幹線を支えるネットワークとして維持されると信じておりますけれども,岡山でも姫新線,芸備線,因美線など,山間地域の路線については便数も減らして,保守も毎月第3日曜の昼間を運休にして行うなど,廃止予備軍のような扱いになっているのが現状であります。しかも,津山線の場合,がけの上部が民有地で,JRが直接タッチできず,しかしそこに手を入れなければ安全は確保できないわけで,この場合,沿線の自治体,地域が鉄道を絶対に必要だという強い意思を表明し,財政的にも十分に支援することが必要なのではないでしょうか。さもなくば,完全民間会社は,安全管理を徹底して赤字の地方路線を走らせることはできません。仮におざなりの対策で,もしもう一度人身事故を起こしたならば,中国陸運局としては運行停止を命じざるを得なくなります。次に事故があれば今度は人災である。逆に,それがわかっているからJRに判断をゆだねて,県道の一時通行に県が独自にゴーサインを出せないのではないでしょうか。少なくとも,県道の安全確保をJRだけにゆだねるべきではないと私は思います。今なすべきは,県民の生活の足となる公共交通機関,県道の復旧のために,JR津山線再開のために,国に泣いてすがってでも,あらゆる手段を講じて,県は県として動くことではないでしょうか。JRにすべての責任を回帰されることにならないよう,今後の対応を含めて知事の御所見をお聞かせください。
 加えて,今回の事故,また県の対応が,ある意味でリスクを持つ姫新線,芸備線,因美線の今後に与える影響についての認識をお知らせください。
 また,今回は,県道が鉄道の下を並行して走って,斜面の安全対策は斜面の直下を走る方が行うことから,JRが対策を行っていますが,上下逆なら県が対策をしなければならないような話です。今回の斜面のように,JRの鉄道と県管理道とが並行し,お互いがそれぞれの立場で安全対策を講ずるべきと思われる箇所は県内にどの程度あるのでしょうか,今後の対応方針とあわせて,土木部長にお伺いいたします。
 また,JR,県警,道路管理者との連絡体制を密にするというふうに土木部長はおっしゃられておりますが,土木部長にその内容についてお伺いいたします。
 また,気になるのは,危機管理課の情報収集あるいは知事への報告が午前7時以降になっているということです。列車が脱線というのは,交通事故とは違います。こうした重大事案が危機管理監,危機管理課のもとに直ちに伝わらない連絡体制で,岡山県の危機管理体制は大丈夫なのでしょうか。また,列車脱線事故で直ちに起動しないなら,いかなる場合に危機管理体制は起動するのでしょうか。危機管理の中でいう危機とは何かを含めて,あわせて総務部長にお伺いいたします。
 私も事故当日に現場に行き,その後も地域の方の声を伺いました。私の昨年2月定例会の一般質問でも取り上げましたが,ことしも牧山クラインガルテン管理センター付近は7月に冠水しており,今回も取り上げさせていただきます。この地区では,旭川も蛇行しており,浸水の被害もしばしば発生し,岡山−御津間で未整備区間が多い県道玉柏野々口線,あわせて対岸の県道東岡山御津線の大久保地区についても,早急に整備しなければ代替公共交通すら走らせがたいものがございます。重ねて土木部長に整備方針を伺います。
 私の質問は以上でございます。どうもありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 障害者自立支援法に関し,応益負担等でありますが,自立支援法の費用負担につきましては,国会等におきまして十分な審議がなされました結果,福祉サービスの利用者も含めまして,国民全体で制度を支え合う公平な仕組みといたすため,サービスの利用量と所得に応じた費用負担となるよう導入されたものでございまして,所得に応じましたさまざまな負担軽減措置も設けられているところであります。また,障害者自立支援法は,障害の種別にかかわらず,障害のある人々が必要とするサービスを公平に利用することができるよう,サービス給付の一元化を図りますとともに,利用者一人一人の障害の程度,利用者の意向,あるいは家族の状況等も勘案いたしました上で,サービス給付の内容を決める仕組みが導入されたものと承知いたしております。現在,国におきましては,利用者負担の軽減措置等も検討されているところでありまして,県といたしましては,施行状況を十分に把握しつつ,国の動向も踏まえながら,必要に応じ適切に対応してまいりたいと存じます。
 障害者の雇用対策でありますが,平成17年6月現在の県内企業の障害者雇用率を見ますと,全国平均1.49%に対しまして1.68%,また,雇用率達成企業の割合も,全国平均42.1%に対し52.2%と,いずれも上回っておりますが,障害のある人がそれぞれの能力や適性に応じて雇用の場を確保できるように支援するということは,重要な課題であると考えております。県におきましては,労働局等と連携いたしまして,経済団体及び企業に対し,雇用の場の確保を要請いたしますとともに,雇用開発推進員によります法定雇用率制度の周知啓発や求人開拓,障害者就職面接会の開催,高等技術専門校での職業訓練等を実施しているところであります。今後とも,労働局等との緊密な連携を図りますとともに,障害者就業・生活支援センターの充実など,障害者の雇用促進に努めてまいりたいと存じます。
 今後の対応でありますが,県では,これまでも施行後の状況等を踏まえまして,障害程度区分認定の妥当性の確保のほか,利用者負担の軽減や事業者における良質なサービスの提供の確保など,自立支援法の円滑な運営が図られますよう,必要な実態把握と制度改善の検討などを国に対し提案してきたところであります。県といたしましては,今後とも,施行後の状況を十分に把握しながら,国への提案など積極的に対応してまいりたいと存じます。
 次に,発達障害に関し,実態調査等でありますが,県では,おかやま発達障害者支援センターを設置いたしまして,発達障害について総合的な相談支援を行っており,昨年度は138人,延べ195件の相談を受けますとともに,児童相談所においても随時相談を受けておりまして,専門医による診断や医療と連携した早期療育,就労に向けた指導等の支援を実施しているところであります。発達障害につきましては,社会での認知が十分ではなく,また,専門的な医療機関が少ないなどの課題もありますが,今後,教育庁等関係機関とも連携いたしまして,お話いただきましたいじめ等の関係も含め,発達障害児の状況の把握と対策につきまして研究してまいりたいと存じます。
 次に,JR津山線脱線事故に関し,今後の対応についてでありますが,私といたしましても,県民の足を確保し,地域の振興,発展を図っていくためには鉄道が不可欠であると認識いたしておりまして,従来から利用促進あるいは駅施設の整備等につきまして市町村と連携いたしまして対応してきたところであります。しかしながら,運行の安全確保は,公共交通を担うJRにとって最大の使命でありまして,安全確保のための防災工事はJRの責任において行われるということが基本であると考えております。県といたしましても,津山線が県南と県北を結ぶ重要な路線であるということから,今後とも復旧や安全確保についてJRからの具体的な協議がございますれば,可能な限り協力してまいりたいと考えております。
 他線に与える影響についてでありますが,姫新線や芸備線,因美線は,鉄道ネットワークの一部として,また,生活交通といたしまして欠かせない重要な交通手段でありまして,公共交通を担うJRが今回の事故を直ちに他線の存廃の判断に結びつけるとは考えておりませんが,ローカル線の厳しい状況も踏まえまして,沿線自治体と協力いたしまして,利用促進等になお一層努めてまいりたいと存じます。
 また,それぞれの路線の安全確保につきまして,JRから具体的な協議がありますれば,関係市町村とも連携いたしまして検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(総務部長)  お答え申し上げます。
 JR津山線脱線事故に関しまして,危機管理体制について御質問いただきました。
 まず,連絡体制についてでございますが,地域防災計画等におきましては,鉄道事故につきましては,鉄道事業者から交通対策課に通報することとされております。今回の場合,午前7時ごろJRから事故報告がありまして,交通対策課において被害の発生状況の把握等,情報収集のための初動体制をとりますとともに,危機管理課など関係各課におきまして情報収集に当たったところでございます。このたび県への連絡に時間を要しましたのは,JRが人命救護を最優先にし,状況把握に時間を費やしたことなどが原因であると推測されますけれども,危機管理におけます迅速・的確な初動体制をとる上で,事故発生通報が発生後直ちに関係機関に伝わることは大変重要であるというふうに認識しております。このため,これまでも関係機関に対しまして,文書,会議等により情報の迅速な収集伝達の必要性の周知を図ってきたところでありますが,今後このような連絡のおくれがないよう,再度各種防災関係機関との連絡会議等の機会をとらえまして,周知徹底を図りますとともに,情報伝達手段の確認や検証を行ってまいりたいと考えております。
 次に,危機への対応についてでございます。
 県民の生命,身体,財産に重大な被害を及ぼす大規模な自然災害,重大な事故及び事件等の緊急事態が発生または発生するおそれがある場合に,危機管理体制を起動することとしております。その運用に当たりましては,緊急事態を所管する関係部局が初動体制をとるなど,役割分担を図りますとともに,各事案の所管が明確でない場合や,各部局からの要請などによりまして,全庁的な管理を行う必要がある場合に危機管理監をトップとする危機管理チーム会議を開催することとしております。このたびの列車脱線事故に際しましても,情報入手後,直ちに鉄道事故を所管する交通対策課におきまして,危機管理体制に基づく初動体制をとりますとともに,翌日には情報共有のために危機管理チームのメンバーを招集した会議を開催しまして,その対応に当たったところでございます。今後とも,自然災害や大規模事故などの危機に対しまして,迅速かつ的確な危機管理体制をとってまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(保健福祉部長)  お答えいたします。
 障害者自立支援法に関して,利用者等への影響についてでございますけれども,11月に,県内の身体・知的障害者及び障害児の全施設を対象にサービス利用の状況等につきまして報告を求めたところ,経済的負担を主たる要因といたしまして,サービスの利用を中止した者は,入所,通所合わせて3月以降10月までの累計で28名,通所施設の利用日数を減じた者は,4月以降10月までの累計で44名,また,障害児施設につきましては,10月に利用を中止した児童は該当者がなく,通所施設の利用日数を減じた児童は42名との回答でありました。事業者につきましては,関係団体の調査によりますと,知的障害者施設の収入の減少が見られるなど,事業者に一定の影響があるものと承知しております。
 続きまして,県独自の措置等についてでありますけれども,利用者負担につきましては,県では,施行後の状況等も踏まえ,制度設計を行った国の責任において速やかに適切な対策を講じるよう,国に働きかけてきたところでございます。現在,国においては,さらなる利用者負担の軽減などが検討されているものと承知しておりまして,県といたしましては,施行状況を十分に把握しつつ,国の動向等も踏まえながら,必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。
 続きまして,授産施設等への支援等についてでございます。
 小規模作業所は,市町村事業として位置づけられておりまして,交付税もすべて市町村に対して措置されているところであります。市町村では,従来どおり,継続して事業を実施しているものと承知しております。県といたしましては,小規模作業所が自立支援法に位置づけられた地域活動支援センター事業に移行し,より安定的に運営できるよう,法人化に向けた支援等を行ってまいりたいと考えております。
 授産施設等の施設サービスにつきましては,現在,国におきまして事業者に対する激変緩和措置等が検討されているものと承知しておりまして,県といたしましては,国の動向等も踏まえながら,必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。
 また,授産施設等の利用者の収入の向上を図るためには,新たな製品の開発や作業の効率化など,授産施設等の創意工夫等を促していくことが必要でありまして,県といたしましては,新製品開発等に向けた経営セミナーの開催や経営相談支援など,授産施設利用者等の収入の向上に向けた事業者の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 続きまして,人材育成についてでありますが,地域におきます相談支援や障害者の効果的なサービス利用を図るため,県におきましては,相談支援を行う市町村職員や個別支援計画を作成する事業者等の従事者に対しまして,研修を実施してきたところでございます。今後とも,必要な人材が十分に確保されますよう,相談支援等を行う人材の養成を行うとともに,資質の向上に努めてまいりたいと考えております。
 障害福祉計画についてであります。
 県では,年度ごとの各障害福祉サービスの必要見込量,それからその確保策を内容とする県障害福祉計画を本年度中に策定することとしております。国の基本指針等では,県障害福祉計画は市町村計画との整合性を図ることとされておりまして,県では,市町村における計画策定が適切になされますよう,利用者のニーズ調査の結果や事業者の新体系への移行計画の調査結果等を示すとともに,必要サービス量の算定手順など,必要な助言指導等の支援を行っているところであります。今後とも,市町村と密接な連携を図り,必要な助言指導等を行っていくとともに,障害者の方々の意見等も十分に伺いながら,県障害福祉計画の策定を進めてまいりたいと考えております。
 発達障害についてでございます。
 社会への認知についてでございますけれども,県では,発達障害に関する理解を促進するため,発達障害の特徴や発見のポイントなどをまとめたガイドブックを広く配布するとともに,県民の方を対象とした発達障害に関するセミナーも開催しているところであります。今後とも,発達障害につきまして啓発活動を行い,社会への認知が広がるように努めてまいりたいと考えております。
 発達障害の放課後の支援についてでございますけれども,県におきましては,発達障害児も含めた障害児を受け入れ,放課後に育成,指導,遊びの場を提供している市町村や,障害児に日中の活動の場を提供し,社会に適応するための日常的な訓練を実施している市町村に対しまして助成を行っているところでございます。県といたしましては,今後とも市町村への助成を行うとともに,発達障害児の状況の把握と対策につきまして研究してまいりたいと考えております。
 最後に,対策組織についてでありますけれども,県では,発達障害者の乳幼児期から成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援体制の整備を図るため,医療・保健・福祉・教育・労働等の関係部局のほか,おかやま発達障害者支援センターや社団法人日本自閉症協会岡山県支部など,民間関係者から成る岡山県発達障害者支援体制整備検討委員会を設置しているところでありまして,今後とも関係者の連携をさらに深めながら,発達障害者の支援に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(土木部長)  お答え申し上げます。
 JR津山線脱線事故に関連いたしまして,斜面の安全対策等についてでございますが,JRの鉄道と県管理道路が並行する箇所は県内に52カ所ございます。このうち,県管理道路が上部に位置するものは22カ所ございます。また,今後の対応方針についてでございますが,今回の事故を踏まえまして,県では,この22カ所について緊急点検調査を実施しているところでございまして,今後この点検結果等に基づきまして,緊急を要する箇所から順次必要な対策を講じてまいりたいと存じます。
 次に,JR等との連絡体制についてでございますが,今回の事故を教訓に,直ちにJR,県警,県の三者で,JRの鉄道と県管理道路が近接する箇所で落石などの異常を発見した場合に,相互に通報するなどの連絡体制を確認したところでございます。また,JRの鉄道と道路が並行する箇所につきまして,斜面の状況などの情報の共有化を図るため,今後定期的に連絡会議を開催いたしまして,JR,県警と国や県など,道路管理者との連絡体制をより一層強化することによりまして,今後の安全対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に,県道玉柏野々口線等の整備方針についてでございますが,県道玉柏野々口線の牧山クラインガルテン付近につきましては,浸水対策としての河川改修とあわせた道路整備を進めているところでございます。これまでに約80%の用地買収を終えておりまして,近く玉柏側の延長190メートルの工事に着手する予定でございます。引き続き,事業の促進が図れますよう努力してまいりたいと存じます。
 また,対岸の県道東岡山御津線の大久保地内につきましては,今年度延長約1.3キロメートルのバイパス計画の事前評価を実施いたしましたところで,現在地元関係者と事業実施に当たりましての協議を進めているところでございます。今後とも,地元の御協力をいただきながら,早期に事業着手できるよう努力してまいりたいと思います。
 以上でございます。


(教育長)  お答えいたします。
 まず,発達障害と不登校等との関係についてでありますが,発達障害児は,集団行動,対人関係,特定の学習などに困難性が見られることもありまして,友達にからかわれたり閉じこもりがちになり,いじめや不登校につながる場合があります。また,教員や友達とのコミュニケーションがうまくとれず,不安定になることもありまして,校内の協力体制が十分でない場合には,経験豊かな教員でも学級がうまく機能しない状況になることがあります。発達障害児に対する適切な支援を行いますためには,教員の指導力を高める研修はもちろんでありますが,発達障害児を周囲の子供たちが理解し受け入れる学級づくりや,学校全体で支援していく体制づくりが重要であると考えているところでございます。
 次に,特別支援教育体制の推進についてでありますが,小中学校では,児童生徒の実態把握や支援のあり方を検討する校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名,個別の支援計画の作成など,校内体制の整備を進めているところであります。また,市町村では,就学指導委員会における就学相談の充実や関係機関とのネットワークの構築に努めているところであります。県教育委員会では,発達障害児の理解や支援のあり方についての各種研修を実施しますとともに,小中学校に専門家チームや巡回相談員を派遣しているところであります。今後,新設の総合教育センターにおきまして,発達障害児の幼児期からの教育相談や学校に対する指導,支援機能の充実を図りますとともに,保健・福祉・労働等関係機関との連携を図りながら,発達障害児の支援体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
 最後に,特別支援学校のセンター的機能についてでありますが,現在,盲・聾・養護学校では,地域の小中学校等からの要請に応じまして,専門性の高い教員を派遣し,発達障害児の指導に関する助言や相談,校内研修への協力などを行いますとともに,地域の保護者からの相談にも応じているところであります。今後,盲・聾・養護学校におきましては,幼稚園や高等学校へも支援を拡大しますとともに,児童相談所や保健所等,地域の関係機関との連携を深めるなど,発達障害を含めた特別支援教育のセンター的機能の充実を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。

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