平成18年2月定例会 委員長報告
◇次世代育成・男女共同参画特別 自由民主党 佐藤真治

(佐藤)
 次世代育成・男女共同参画特別委員会に付託されております事件について,調査の概要を中間報告申し上げます。
 まず,子育て支援対策に関する調査についてであります。
 次代を担う子供たちが,心身ともに健やかに生まれ育つ環境づくりに向け,本年度より「新岡山いきいき子どもプラン」に基づく各種施策が強力に展開されているところであります。
 中でも,職場体験活動を通じて将来の夢を考えさせるきっかけとする岡山チャレンジワーク14,青少年の社会参加を促進するひきこもり脱出支援事業,義務教育の円滑なスタートを支援する小1グッドスタート支援事業などは,特に現代の青少年が抱える問題に的確に対応することのできる事業として,子育て中の親や地域の大人たちにとっても非常に心強い施策であると思われます。今後とも,子供がいることの喜びを家庭や地域に伝えながら,時代の要請にこたえた事業を時機を逸することなく展開していただきたいのであります。
 また,本プランを策定する際に行った県民意識調査において,少子化対策の解決には経済的負担の軽減,仕事と子育ての両立,保育サービス等の充実等が求められていることから,児童手当など,各種手当の拡充,男性の育児休暇取得率の向上,放課後児童クラブの一層の充実にも努めていただきたいのであります。また,発達障害など,制度のはざまにある問題にも積極的に取り組んでいただきたいのであります。
 人口減少社会に直面する今,少子化対策は県政の最重要課題の一つであるとの認識のもと,この問題に正面から取り組んでいただきたいのであります。
 次に,育児にかかわる不安や負担感,地域からの孤立感等から起こる児童虐待についても,引き続き保健・福祉・医療・教育・警察等の力を結集して問題の解決に当たっていただきたいのであります。
 また,家庭,地域の連携による子育て支援対策についてでありますが,岡山県地域家庭教育推進協議会を中心に,家庭教育に関する普及啓発や学習機会の充実を図るとともに,備前,備中,美作の各県民局においても,県とNPO法人等とが連携・協力して地域での先進的・効果的な子育て支援の取り組みを紹介するなどの協働事業が各地で活発に行われたところであります。こうした協働事業は,地域全体に効果が波及することから,今後も,共催団体との意見交換会などを行いながら,継続的に発展・承継させていただきたいのであります。
 次に,青少年の健全育成に関する調査であります。
 まず,学校,家庭,地域の連携による対策についてであります。
 近年,インターネットの普及や青少年にとって有害な図書のはんらん等により,青少年が有害情報に触れる機会が増大したこと及び家庭や地域での人間関係の希薄化など,青少年を取り巻く環境の変化に対応するため,本県においては,昨年から岡山県青少年問題協議会や関係団体,県民等から幅広い意見を集約し,本年7月の施行を目指して岡山県青少年保護育成条例の改正案を今定例会に提出したところであります。
 本案では,青少年育成の基本理念を盛り込んだことを初め,有害図書等への対応を強化し,青少年の複合カフェへの深夜入場を制限し,また,青少年への不健全な勧誘行為を禁止するなど,社会環境の変化に対応した内容となっているのであります。
 県当局におかれては,今回本案が成立した際には,家庭や地域等大人の責任を新たに盛り込んだ趣旨,対象年齢の下限撤廃による乳幼児保護の徹底,学校,家庭などにおける情報モラル教育の普及啓発などに十分配慮しながら,厳格,厳正な運用に努めていただきたいのであります。
 また,有害環境,行為の規制という消極的施策のみならず,青少年の居場所づくり事業の強化など,他者との関係の中で自分を見つめ,心豊かでたくましい青少年をはぐくむといった積極的施策にもこれまで以上の充実を期待したいのであります。
 加えて,最近各地で結成されているいわゆる地域自主パトロール隊等に対する支援についても,一層の充実強化を期待したいのであります。
 次に,青少年の相談対策についてであります。
 青少年の問題行動や不登校については,依然として憂慮すべき状況にあり,その背景にある青少年の不安や悩みを解消することが現下の大きな課題となっております。このことに対処すべく,本県では,県,教育委員会,警察本部が一体となって設置した青少年総合相談センターを運営しているところでありますが,相談センターに寄せられる相談内容も複雑・多様化しており,青少年やその家族のよき相談機関となられるよう引き続き相談しやすい体制の充実に努められたいのであります。
 また,青少年の非行防止対策に関する調査についてであります。
 この1年間,積極的な街頭補導活動を行った結果,平成17年中の県下の少年非行の現状は,凶悪犯や万引きなどの増加を見たものの,刑法犯少年の数は2,944人となり,前年に比べ78人,2.6%減っております。また,喫煙や深夜徘回などのいわゆる不良行為少年についても,対前年比で3.9%減少しております。不良行為少年は,刑法犯少年へとつながるおそれがあることから,大変憂慮すべき問題であります。彼らを犯罪の加害者や被害者にしないためにも,学校の適切な事後指導に資するスクール連絡,あるいは体験事例に基づく啓発を目的とする心と命の教育活動の推進等,教育と警察の一層の連携強化を図り,青少年の非行防止になお一層努められたいのであります。
 最後に,男女共同参画社会に関する調査についてであります。
 本県ではこのたび,現行プランの施策を発展的に承継させるための中期計画となる「新おかやまウィズプラン」を策定したところであります。本プランは,前プランの策定後新たに発生した社会環境の変化に対応しようとするものであります。具体的には,ボランティア・NPOなどとの一層の連携強化,各種施策に対する数値目標の設定,土木建設・防災分野への女性の参画の促進等が挙げられます。男女が,固定的な性別役割分担意識に縛られることなく,それぞれの個性・能力を最大限に発揮できる社会の実現に向け,次の点に十分留意しながら,新プランの運用に努めていただきたいのであります。
 まず,配偶者等からの暴力の根絶についてであります。
 予防的見地としての家庭や地域,学校,職場等社会のあらゆる場において,女性に対する暴力を容認しない環境づくりを実現するための啓発はもちろん,不幸にして事案が発生したときの被害者及び子供の保護及び自立支援施策の一層の充実,民間施設への支援を含めた対応をお願いしたいのであります。
 次に,生涯を通じた女性の健康支援についてであります。
 妊娠や出産に伴って身体的,精神的,社会的にさまざまな影響を受ける女性は,それらの機会に応じた適切な支援を受ける必要があります。不妊治療に対する支援の充実にも配慮していただきたいのであります。
 以上,御報告申し上げます。

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