平成17年11月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 中長期の計画等について        企振協力(総務)[ 知  事 ]
 (1)体系の整理
 (2)隣県との政策のすりあわせ
 (3)意義
 (4)基本姿勢等との繋がり
 (5)次期「新世紀夢づくりプラン」
   ア 県民との協働
   イ 選択と集中
 (6)ローカルマニュフェストとの関係
2 中心市街地の活性化等について
 (1)空洞化する中心市街地の状況等       (産労)[ 知  事 ]
 (2)TMO支援                (産労)[産業労働部長]
 (3)生活環境調査               (産労)[ 知  事 ]
 (4)都市農村交流           農水協力(企振)[ 知  事 ]
 (5)中小零細企業の支援            (産労)[ 知  事 ]
 (6)融資保証金詐欺              (警察)[ 警察本部長 ]
3 保護司制度について
 (1)役割等           保福、教育協力(生環)[ 知  事 ]
 (2)関係機関との連携             (警察)[ 警察本部長 ]
 (3)司法参加 (裁判員制度)         (総務)[ 総務部長 ]




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。
 戦後60年,本日は12月8日開戦の日でございます。御英霊に心から感謝の誠をささげるとともに,二元代表制のもと,公職にある議員として堂々と通告に従い質問させていただきますので,よろしくお願いいたします。
 さて,知事は提案説明で,来年度計画期間の満了を迎える「快適生活県おかやま」の実現に向けた「新世紀おかやま夢づくりプラン」については,次の5カ年計画となる新プランを平成18年度中に策定されたいとおっしゃられました。言うまでもなく,こうした5年以上の計画は,4月から施行された「岡山県行政に係る基本的な計画を議会の議決事件等と定める条例」第2条の「議決すべき計画」に当たりますので,議会としてもその策定には非常に大きな責任がございます。いわゆる県の基本法,県政の根幹の議論だと思います。ちなみに,第1期の石井県政は,「快適生活県おかやま」を目指して,平成11年から平成22年までの岡山県長期ビジョンを策定,当時は岡山県CIにより新しいイメージづくりをするということでございました。自来,「快適生活県おかやま」は岡山県政のビッグワードであります。第2期石井県政では,岡山県長期ビジョンを踏まえて,平成14年度から来年の18年度までの中期計画の「おかやま夢づくりプラン」を策定,夢づくりプラン指標と言われる目標数値については,毎年評価を踏まえて夢づくり政策推進指針が策定され,平成16年9月には「おかやま夢づくりプラン(改訂・加速版)」に改訂されました。夢づくりプランに「夢」という言葉が登場してからは,岡山県においては「夢」はまさに県政のキーワードになりました。そして,18年度に作成する次期夢づくりプランへと続くわけですが,平成18年度から次の5カ年と言われるからには,このプランは平成19年度から23年度までのものだと思います。しかし,岡山県長期ビジョンは平成22年を目標としており,次期プランが23年度までの5年間なら,長期ビジョンの目標年度である22年を中期計画が突破することになります。これはおかしくないでしょうか。少なくとも系統立てているのならば,岡山県長期ビジョンは22年で一たんけじめをつけるべきではないか。さらに言えば,昨年の選挙の前にお示しされたローカル・マニフェスト「おかやま大地夢づくり宣言」の目標は平成20年となっており,知事の中では一体どの年度が最大の目標なのか,理解できません。しかも,それぞれの中長期計画を見ますと,行政の組織図とは全く異なった項目立てがなされて,その項目も,また言葉やキーワードも計画ごとに異なって,しかも目標数値が毎年見直されるわけですから,これについていくのは,正直我々議員でも非常にしんどいです。しかし,次期中期計画は議会の議決事項であるからには,どうしても理解しなくてはいけません。まず,計画,政策,施策,事業,こういった流れはきちんと体系づけられるべきものであります。
 試みに,どうか改革先進県と言われる宮城県や三重県のホームページをごらんいただきたいのですが,各部局のいわゆる計画プラン・構想,さらには政策,施策,事業体系が一覧で示されて,各事業の事業評価まで一挙に進むことができます。もちろん担当課も明示されています。あえて言えば,基本理念から個別事業の責任の所在,予算執行状況までたどることができる。「森を見て木を枝を見る」また逆も真なりですが,むしろ,これは当然のことではないでしょうか。計画,政策,施策,事業で,言葉の整理,体系の整理をきちんと行って,中期計画は従来の長期計画の体系の中に,キーワード等を大きく変えることなく,発展的にきっちりと組み込まれるべきだと考えますが,お考えをお知らせください。
 私は,もしそれぞれが矛盾するのであれば,長期計画を破棄したり大改訂をすることも視野に入れるべきだと思います。さらに,道州制を見越した広域政策という観点からは,中長期計画においては,隣県との政策のすり合わせも必要だと思いますが,この点のお考えもお知らせください。
 また,単年度が原則の予算執行の中で,各課,各班職員の方お一人お一人に至るまで,熱い思いを持って目標やノルマ意識はあられると私は信じております。あるいは毎年個々に数値目標は立てることができるでしょう。そういう中で,そもそも長期,中期の計画を,これは本当に大変な手間でございますが,大変な手間をかけて立てていく意味について改めてお知らせください。
 さらに,知事は10年前,「やさしさの県政,フレッシュな県政,開かれた県政」を基本姿勢として初当選されて以来,終始一貫「対話の県政,開かれた県政」という言葉を使われておられますが,現在の基本姿勢,施策にどうつながっているのか,お知らせください。
 次に,個別に,次期夢づくりプランについてでありますが,次期プランの作成に当たっては,真に県民生活を豊かにする県民ニーズが反映されたプランとすることが重要だと思います。そのためにも,私は,県民満足度調査,あるいはニーズ調査といったものを行うべきであると考えます。お隣,島根県では,県民に事業の必要性,重要度,満足度,税金使用納得度,緊急性などにかなり細かく分けた精緻なアンケート調査を行って,その結果に基づいて県施策に優先順位をつけて県の総合計画に盛り込んで予算へも反映させているとのことであります。次期プランの作成に当たっては,重点施策の選択,その優先順位,さらに目標といったものを県民満足度調査等を行い,いわば協働の精神で行っていくべきだと考えますが,いかがお考えでしょうか。
 また,右肩上がりの経済成長を前提として,広く県民の要望にこたえて,サービスを提供するという県政運営を継続していくことがもはや困難であるとすれば,施策単位で「選択と集中」を徹底する必要があります。次期「新世紀おかやま夢づくりプラン」は,あれもこれもといった総花的なものではなくて,例えば,「教育・人づくり」,「安全・安心な生活の確保」の2分野に特化したプランにすることも一つの方法と考えますが,次期プランの「選択と集中」についての御所見をお伺いいたします。
 この項最後に,分権時代の政策リーダーと言えるローカル・マニフェスト推進首長連盟の会員であられる石井知事に,私自身ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟の運営委員の一人としてお伺いいたします。
 まず,検証されるようにと提唱されたローカル・マニフェストの「おかやま大地夢づくり宣言」と県政の中長期計画との関係をどのように考えておられるのでしょうか。また,マニフェストの目標数値と夢づくり指標や目標年度はどう関係しているのか。さらに,次期夢づくりプランに「おかやま大地夢づくり宣言」をいかように生かすのか,お知らせください。
 特に,ローカル・マニフェストの検証会の開催は,ローカル・マニフェスト推進首長連盟所属の首長さんの責務だと私は考えておりますが,「おかやま夢づくりプラン」と対照させた上で中間的な検証会を独自に行う考えはおありでしょうか。
 次に,大型小売店の撤退やシャッター通りの拡大など,商店街の衰退が進む中心市街地の活性化についてお伺いいたします。
 1998年5月に大規模小売店舗法(大店法)の廃止が決まって,これらの法にかわるものとして成立したのが2000年6月に施行された現行の大規模小売店舗立地法,いわゆる大店立地法及び改正都市計画法,中心市街地活性化法のいわゆるまちづくり三法であります。従来の大店法は,営業規制を主にしてきたもので,既存の商業に大きな影響を与える大型店舗の出店については,中小小売店の保護の観点から,商業上の調整が可能とされていましたが,後にできたこの大店立地法は,交通渋滞,騒音,廃棄物問題等,社会環境的な視点で規制していこうとするもので,先ほどの商業調整は禁止して,出店地周辺の生活環境の維持に絞って基準の遵守を自治体が勧告できるとしています。また,中心市街地を活性化するための中心市街地活性化法,そして市町村が独自の判断で土地の用途規制を行える改正都市計画法,このまちづくり三法を活用すれば,大店法が廃止された後でも大型店の立地調整を含むまちづくりには一切支障がないのではないか,そのように考えられていました。ところが,法制定後7年が経過してどうでしょうか。期待された効果が上がらないどころか,むしろ大規模な農地転用や無秩序な郊外開発によって大型店などの大規模集客施設の郊外立地が進んで,その影響でとりわけ中心市街地が破壊されてしまっているのが現状であります。このことは,地域の商店街を直撃するだけではなくて,経済の健全な発展にとっても大きな阻害要因となり,また,コミュニティーの衰退,伝統文化の継承の困難,青少年問題の深刻化,高齢者の生活の不便増大など,社会問題をもたらしています。特に病院や学校などの公共施設も郊外に流出する一方で,高層マンションの再開発ラッシュは,私は新たな課題を生み出しそうな予感もいたします。
 こうした状況の中,国の方でも,国土交通省がまちづくり三法の見直しに入っていますが,国のこうした法整備を待てる状況にはなく,自治体にも大きな動きがございます。福島県では,人口減による中心市街地の空洞化を防ぐため,大型商業施設の郊外進出に対して全国初の規制条例「福島県商業まちづくりの推進に関する条例」を可決,そして熊本県も条例制定には時間がかかってしまうために,法的な拘束力が弱くても即効性のあるガイドラインによる郊外出店の規制に乗り出したと聞いております。ただ,雇用創出の場にもなるこうした郊外型店舗には,マイカー利用者の支持も強く,また,規制緩和の波に乗って郊外の出店をふやしてきた流通業界からの反発も考えられ,さらには独自の規制強化で,それならばと出店を近隣都道府県に切りかえる動きにもなりかねず,規制についてはその効果を疑問視する声があるのも事実であります。
 まず,空洞化する中心市街地と大型商業施設の郊外進出の状況について,また,その相関関係に対する認識,そのために県として何をなすべきなのかを知事にお伺いいたします。
 また,改正都市計画法について,用途の指定に取り組んでいる市町村はごくわずかなのが実態ですが,まちづくり機関にNPO法人が追加されました。中心市街地の活性化に取り組むTMOなどに対して十分な支援が行えているのでしょうか,産業労働部長にお伺いいたします。
 ところで,大店立地法の最大の欠陥は,これは国にゆだねなくてはいけないことではありますけれども,地元商業者の意見を聞く仕組みを緩めたことにあると思います。また,事業者に対しては,地元商店会や地元町内会への加入,また,地元でつくっているまちづくり協議会などへの負担金,消防警備費の負担など,地域と一体となった企業姿勢を求める必要があります。また,開店及び施設変更後の店舗周辺の生活環境の変化というものについては,出店前にはなかなか把握できない点も多いことから,設置者による出店後の生活環境調査の実施や都道府県,市町村に対する報告,住民等に対する説明会の開催を求めるべきでもあると考えます。こうした点についていかようにお考えでしょうか。
 ところで私は,中心市街地の活性化は農村の活性化と裏腹であると思います。かって歳末の商店街は,秋の実りで収益を得た農村部からのお客様でにぎわいました。都市を支えていたのは農村であり,農村を支えていたのは都市であります。いわゆる食料自給率がわずか40%,しかもこれから人口が半減していこうという我が国において,いたずらに農地や山林をなくしてそれを住居や商業施設にかえていけば,いずれ都市部,農村部両方が持続不可能な時代が来てしまう,私はそのように考えています。一方で私は近い将来,仮に人口がふえなくても,平日は都市部に暮らして,土,日は農村部に,そういった形でコミュニティーを二重に暮らそうという方が出てくるのではないかと考えております。とりわけ交通網が発達した岡山県ならばそれが可能になります。あるいは都市部では賃貸マンションで,農村部では一戸建てを持つ,例えば,都市部も農村部も活性化させる,持続可能な町にする,そういった層にインセンティブを与えて誘導していくということも考えてよいのではないでしょうか。
 一昨年度,「岡山県中山間地域活性化基本方針」が示され,昨年度には「岡山県過疎地域自立促進計画」が示されましたが,むしろこれは都市と農村を一体に考えて,都市農村交流基本計画のようなものをつくる時代に来たと思いますが,これからの都市と農村部の関係がいかにあるべきか。また,そのためにどんな計画にし,どのような施策をとるべきか,知事のお考えをお知らせください。
 これに関連いたしまして,中心市街地はもとより中小小売店を初めとする中小零細企業の支援には,地域の経済団体が当たってくださっています。経済団体を取り巻く状況も大きく変わろうといたしておりますが,中小零細企業の方々が安心して的確な相談や指導を受けられる,このことのできる体制を維持するとともに,その指導力の高度化を図ることが肝要であると考えますが,その経営支援機能の強化についてどのように考えておられるでしょうか。
 また,経営基盤が脆弱な中小零細企業にとっては,さまざまな融資が資金調達に果たす役割が極めて大きいわけですが,要するに望まれるのは,赤字でも無担保・無保証人で利用できる,そんな制度があれば一番いいわけですけど,そういった融資制度であります。政府系金融機関統合の流れの中で,今後の県制度融資の方向性として,どのような内容でどのような対象に対して行われるのか。また,県の役割,さらにその中での県信用保証協会の役割といったものについてお知らせください。
 また,こうしたいわゆる資金ぐりに悩む中小零細企業につけ込んで融資保証金詐欺,いわゆる貸します詐欺でございますが,増加傾向にあります。保証金などの名目で金銭を振り込ませてだまし取るという犯罪で,振り込め詐欺の一形態ではありますが,実に巧妙につくられた金融機関などを装うにせのダイレクトメールを信じてしまい,全国で被害が続出しております。県内における実態と対策について警察本部長にお伺いいたします。
 さらに,よく言われることでございますが,有効求人倍率が上がってもその実態は派遣,パートの求人であると言われております。しかし,優秀な人材を正規社員として確保したいという要請が中小零細企業にないわけではありません。ただ,本当に欲しい人材とミスマッチを起こしている点は否めず,いわゆるトライアル雇用の活用やさらにはアンケート等を実施して,本当に中小零細企業が欲しい人材を把握するなど,ミスマッチ解消策をさらに推し進める必要があると考えますが,いかがお考えでしょうか。
 最後に,保護司制度についてお伺いいたします。
 罪を犯した人の立ち直りを援助したり犯罪予防のためのさまざまな活動を行う更生保護の分野では,日本ではその草分けの段階から民間人による関与が見られることが特徴となっていますが,保護司制度は戦後すぐの昭和24年7月に施行された犯罪者予防更生法に始まり,昭和25年5月に施行された保護司法によって現在の姿となりました。保護司は,地方更生保護委員会・保護観察所の指揮監督を受けながら法務省職員の保護観察官と協力して,保護観察対象者の改善更生を図り,個人と公共の福祉に寄与する重要な役割を担っております。保護監察官は国家公務員でありますが,保護司は法務大臣によって委嘱された無給で非常勤の国家公務員であります。刑務所からの仮出所や保護観察つき執行猶予判決が確定した元被告,少年院からの仮退院者らについて,保護観察中は月二,三回程度面接して相談に乗るなど,社会復帰を支援しておられます。
 岡山県内には,平成17年12月1日現在で997名が14の保護区に配属されており,保護観察を受けている人が約1,200名,強制施設に収容されている人が約850人あって,保護司などの指導を受けて改善・更生への努力を続けています。また,保護観察所を拠点に,被害者支援官を新設させて,保護司が被害者支援のために活動を行うという方針も示されて,今後ますます保護司の役割が重要になってまいります。しかし一方で,ことし5月少女監禁事件など,保護観察中の再犯事案が相次いで,保護観察制度のあり方が問われているのも事実であります。ところで,更生保護は犯罪や非行した人を取り巻く地域社会の人々の習慣や地域事情などをよく理解した上で行わなければ効果が上がらず,まさに保護司はそのような地域住民の代表でございますが,その定員充足率は県内では1990年の水準にまで落ち込んでいます。昨年春から76歳以上の方は再任しない定年制が完全実施されて,退任者が大幅にふえたためでありますが,保護司の7割近くが60歳以上の方々で,この10年間の間に退任時期を迎えられ,しかも地域社会につながりが希薄になった現在では,後任の確保は極めて困難で,保護司の確保は喫緊の課題となっております。犯罪や非行をその芽のうちに摘み取るための,いわゆる犯罪非行の抑止力としての保護司に求める役割とその期待も年々重みを増しており,行政によるバックアップ体制の確立が今強く求められております。毎年7月を強調月間として実施されます「社会を明るくする運動」の実施委員会委員長でもあられる石井知事は,そんな保護司の役割支援についてどのような認識と御見解をお持ちか,お伺いいたします。
 とりわけ教育の最前線である学校現場と保護司との連携強化についてもいかがお考えでしょうか。
 ところで,これに関連して,例えば,昨年11月に発生した奈良の女児誘拐殺害事件では,性犯罪のような再犯傾向の強い犯罪について処遇はいかにあるべきか。特別の処遇プログラムを受けさせるなど処遇を強化すべきではないか。また,性犯罪者に関する情報を法務省と警察が共有すべきではないかというような点が問題になりました。さらには,本年2月に発生した愛知県安城市における仮出所者による通り魔殺人事件では,保護観察中の仮出所者に所在不明の者が600名以上いることが問題になりました。こうした状況に対して,また,法務省,県,市町村,警察,民間団体等関係する機関との連携のあり方も大きな課題であると思いますが,警察本部長はいかようにお考えでしょうか。
 最後にあわせて,昨年5月に裁判員の参加する刑事裁判に関する法律及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律が成立して,平成21年までに裁判員制度が実施されることになりましたが,こうした司法参加についても,ある意味で環境整備や機運を高めていかなければ,かえって県民の皆様にとって大きな負担ととられかねません。現在,裁判所等が行っている広報等にも県も協力すべきだと考えますが,現状を総務部長にお伺いいたします。
 私の質問は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 まず,中長期の計画等についてでありますが,体系の整理でございます。
 本県におきましては,「快適生活県おかやま」の実現という県政の基本目標を示しました長期ビジョン,その行動計画といたしましての夢づくりプラン,このもとに,個別分野ごとに指針や具体的な事業等を取りまとめました計画やプランを策定いたしまして,県民の参加や関係機関との連携も図りながら,各種の施策・事務事業等を総合的に実施いたしております。これらの計画あるいはプランは,その性格や計画期間も異なるということから,お話のように,同一のキーワードでこれをくくるということは困難でございますが,いずれも県民福祉の向上を目指すものであります。また,次期夢づくりプランの策定に当たりましては,現プランやマニフェストも踏まえながら,キーワードにつきましては十分吟味いたしまして,できるだけ県民にわかりやすいプランとなるように努めてまいりたいと思います。
 隣県との政策のすり合わせでありますが,これまでも隣県との知事会議や中国地方知事会,中四国サミット,さらには事務レベルの会議等におきまして取り組んできております。今後,道州制の論議が一層高まるということや県境を越えました連携の強化が求められるということから,関係県と情報や意見を交換いたしまして,政策のすり合わせを行って,中長期の計画に広域連携を盛り込めるように取り組んでまいりたいと思います。
 意義についてでありますが,変革の時代と言われますように,今日,私たちを取り巻く環境は大きく,しかもハイスピードで変化しているところであります。また,財政環境も大変厳しい状況にあるということから,短期的な視野と中長期的な視野を組み合わせまして,計画,実施,評価──プラン・ドウ・シーということを行っていくということが施策事業の目標を明確にいたしまして,効率性を上げ,効果を高めることになるものと考えております。
 基本姿勢等とのつながりでありますが,私は平成8年の初当選以来,「対話の県政,開かれた県政」といたしまして,青空知事室の開催やマルチメディア目安箱の設置によって県民の声を直接県政に反映してきたところであります。「やさしさの県政」につきましては,福祉,健康・医療,防災といった分野を中心といたしまして,安全・安心な生活の確保に努めますほか,UDの普及啓発によるだれもが暮らしやすい岡山づくりなどに取り組んできております。「フレッシュな県政」につきましては,ITの活用によって時代を先取りし,時代の変化に即応いたしました新規施策を展開いたしますとともに,新しい制度や事業方式の導入やさまざまな改革に積極的に取り組むなど,知事就任以来,これらの基本姿勢を変えることなく,県民の皆様の幸せを追求する県政を展開いたしているところであります。
 県民との協働についてでありますが,次期プランの策定に当たりましては,お話のように県民ニーズを反映したものとするということが重要であると考えておりまして,計画策定の早い段階から幅広く県民の意見を聞くなど,協働を基調に取り組んでいきたいと思います。県民ニーズの把握の方法についてでありますが,お話いただきました県民満足度調査といったことも含めまして,何らかの形で把握していきたいと考えておりまして,どのような方法がよいか今後検討してまいりたいと思います。
 「選択と集中」でありますが,次期プランの策定に当たりましては,新たな時代の潮流や県民ニーズを的確に把握した上で,さまざまな課題の中から「選択と集中」の視点に立って重点的に実施する分野や施策等を検討してまいりたいと思います。
 ローカル・マニフェストとの関係でありますが,夢づくりプランは,18年度を目標年度といたしまして具体的な数値目標を掲げた,当時といたしましては,いわばマニフェストを先取りいたしましたプランであると考えております。また,「おかやま大地夢づくり宣言」は,私が昨年秋の知事選挙に臨むに当たりまして,県民の皆様方に対するお約束といたしましてお示しをしたものでありまして,これは任期中に達成しようとする政策目標であります。したがいまして,マニフェストの目標年度は,夢づくりプランの計画期間を超える20年度としているところでありまして,夢づくりプランの数値目標の引き上げや項目の追加を行ったものであります。また,次期夢づくりプランについてでございますが,来年度,本格的に取り組む課題でございますが,その目標年度は23年度と考えておりまして,マニフェストをさらに発展・進化させた数値目標を見込んでいるところであります。マニフェストの検証でありますが,夢づくりプランと目標項目が共通するということから,プランとあわせまして毎年度中間的な進捗状況を評価・検証いたしまして,公表いたしたいと存じます。
 次に,中心市街地の活性化等についてでございます。
 空洞化する中心市街地の状況等でありますが,本県でも,平成12年6月の大規模小売店舗立地法の施行以来,店舗面積1,000平方メートル以上の立地は中心地でわずか1件でありまして,郊外が51件でございます。これが中心市街地の大型店の閉店や商店街の空き店舗が見られる一つの要因であると認識しております。現在国において,都市計画法等のまちづくり三法に関しまして,経済産業省や国土交通省の審議会において,郊外への大型店舗の立地規制について検討されておりまして,県といたしましては,その動向を注視しながら,市町村が行う計画的なまちづくりや中心市街地の活性化の取り組みについて積極的に支援してまいりたいと思います。
 生活環境調査等でありますが,大規模小売店舗立地法において出店後の変更の届け出が義務づけられておりまして,さらに本年10月には国の運用指針で,届け出後,例えば,騒音等の生活環境に予測と実態との間に著しい乖離が生じた場合におきましては,設置者が再調査を行って,事後の対策を講じるよう努めるということが必要であるとされたところであります。県では,この指針をもとに,設置者に対しまして報告を求めますとともに,事後の対策を講じるよう指導いたしまして,店舗周辺の住民の生活環境が維持されますように取り組んでまいりたいと存じます。
 都市農村交流でありますが,都市と農村は補完し合い共生する関係でございまして,都市と農村の住民がそれぞれの地域が持つ魅力を享受できますように,「人・物・情報」が双方向で行き交うライフスタイルの実現を促進するための施策が必要であると考えております。このため国におきましては,平成14年から継続して,都市と農山漁村の共生・対流の推進について法整備も視野に入れた検討を進めておられまして,お話の「都市農村交流基本計画」の策定等につきましては,これらの動向を見守りながら研究してまいりたいと思います。
 経営支援機能の強化でありますが,県では,商工会等の広域化による専門的指導体制の確立や経営指導員等の資質向上を図るため,平成14年7月に「岡山県商工会議所・商工会広域化マスタープラン」を策定したものであります。その趣旨に沿って,商工会が82から来年度には20に,また,岡山と西大寺商工会議所が19年4月の合併を予定されるなど,合併が積極的に進められているところであります。合併によって今まで以上に創業や経営革新などの経営指導の充実が図られまして,地域の中小零細事業者に対しきめ細かな指導が行われるものと考えております。今後とも,県といたしましては,中小零細事業者のニーズに対応した指導ができますように積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 制度融資でありますが,今後の方向性などは地域経済の実態に応じた対応が必要であると考えておりまして,他県よりも低い開業率をアップするための創業資金や新たな事業展開のための経営革新資金に加えまして,県が推進しております重点6分野の産業クラスター形成に対応する資金などを新たに設置いたしたいと考えております。県は,これらの制度の創設とともに,利子補助やリスク軽減のための損失補償などによって,中小企業者の資金調達をしやすくし,中小企業の振興を図るということが役割と考えております。また,信用保証協会につきましては,県と連携いたしまして,大企業より信用力が低く条件が不利な中小企業者で民間金融機関から融資を受けにくい企業に対しまして,円滑な資金調達ができるようにすることが重要な役割であると考えております。
 雇用のミスマッチ解消でありますが,岡山労働局の統計によりますと,警備業や建設関係の職種等で求人倍率が高く,事務的職業では倍率が低くなるなど,こうした職種において求人と求職のミスマッチが起きておりまして,また,お話ございましたように,企業にとって欲しい人材が必ずしも採用できないという状況もあると認識しております。このため県では,インターンシップや職場見学会の実施,若者就職支援センターでのきめ細かなカウンセリング等を実施いたしまして,本人の適性に応じた就職を勧めているところであります。また,求職者が少ない業種においては,各企業において職場環境の改善や人材育成に取り組むことを期待しているところでありまして,今後これらの啓発を進めますとともに,岡山労働局や経済団体等とも連携を密にいたしまして,中小零細企業が求める人材を把握しながらミスマッチの解消に努めてまいりたいと存じます。
 最後に,保護司の役割等でありますが,保護司は,罪を犯した人の立ち直りの支援や犯罪予防活動など,地域社会において非常に重要かつ困難な業務を遂行されておりまして,熱意と使命感にあふれ,献身的に御尽力いただく姿に深く敬意をあらわさせていただく次第であります。だれもが安心して暮らせる社会の形成,青少年の健全な育成を図っていく上で,保護司の役割はますます重要になるものと考えております。県といたしましては,「社会を明るくする運動」への協力や保護司への知事感謝状の授与などを行っているところでありまして,また,保護司会連合会には「青少年問題を考え,行動する100人委員会」にも御参加いただいておりまして,今後とも連携して青少年非行防止対策などの推進に努めてまいりたいと存じます。
 また,学校現場との連携でありますが,県教育委員会からの説明によりますれば,児童生徒の問題行動に対応するために,学校が関係機関等とサポートチームを組織する際などにおいて,保護司の方に参加いただいている例もあって,今後とも連携を強化していく必要があると考えているとのことでございます。
 以上でございます。


(総務部長)  お答え申し上げます。
 司法参加についてでございますけれども,裁判員制度につきましては,既に法整備も終わりまして,三権分立でいいますところの行政ではなく,司法を担う裁判所が主体となって,広報,パンフレット等により周知を図っているものと承知しております。本県におきましても,11月27日に「裁判員制度全国フォーラムin岡山」が開催されたところでございまして,岡山県といたしましても,法務省とともにこれを後援したところでございます。今後も,裁判所等からの要請がありましたら協力してまいりたいと,かように考えているところでございます。
 以上でございます。


(産業労働部長)  お答えいたします。
 中心市街地の活性化に関しまして,TMO支援についてでございますが,県内では現在,中心市街地活性化基本計画を策定しております3市1町のうち,倉敷市,津山市,和気町にまちづくり機関であるTMOが設立されております。TMOに対して,事業計画の策定や専門家派遣,にぎわい創出のためのイベント等に国が支援し,県では商店街の空き店舗へ進出するための改装費等へ支援をしております。このことが中心市街地の活性化に直接結びつかず,効果的に活用されていない状況が多く見受けられているところでございます。しかし,倉敷市のTMOにおきましては,平成14年度から屏風祭りに,本年からは日曜朝市に取り組み,にぎわいを創出している例もあり,県といたしましては,今後,県内のTMOの取り組みが積極的に行われますよう支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(警察本部長)  お答えいたします。
 まず,融資保証金詐欺の実態と対策についてであります。
 初めに,実態についてでありますが,本年11月末現在の県内の融資保証金詐欺認知件数は288件,被害総額は約2億600万円で,前年同期に比べ件数で2件,被害総額で約1,600万円増加しております。この種事案は広域的で,また,振込先が他人名義の預貯金口座であり,だまし役と金の引き出し役を役割分担するなど,犯人の特定が非常に難しいものとなっておりますが,警察庁や関係都道府県警察と連携した上,金融機関等にも協力を求めるなどして鋭意捜査を推進しているところであります。本年に入り,融資保証金詐欺本犯を16件7名検挙するとともに,融資保証金詐欺に関連した通帳等詐欺事件について10件3名を検挙しているところであります。
 次に,被害防止対策についてであります。
 昨年の上半期に振り込め詐欺の認知件数が急増したことから,同年7月振り込め詐欺警戒警報を発令し,金融機関・自治体等と連携してポスターの掲出,チラシの配布などを実施するとともに,新聞,テレビなどあらゆる広報媒体を活用しての広報啓発に取り組んでいるところであります。また,県警察ホームページに,融資保証金詐欺を含む振り込め詐欺の疑似体験コーナーを開設するとともに,防犯一口メモとして,最新情報やその対抗要領を掲載するなどして,被害防止対策に取り組んでいるところであります。
 最後に,再犯防止措置に伴う関係機関との連携についてであります。
 議員御指摘の性犯罪者に関する情報の共有につきましては,本年6月1日から子供を対象とした暴力的性犯罪で服役した者の出所情報を法務省から受けて,再犯防止に向けた措置を行っているところであります。また,本年12月1日から,保護観察中の所在不明者による再犯を防止するため,法務省の保護観察所が不明者情報を警察に通知し,警察が所在確認に協力する新たな制度を開始しております。県警察といたしましては,これらの制度が実効あるものとなりますよう,所在確認や発見時の通報等について,保護観察所等の関係機関と緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。
 なお,自治体や民間団体等との連携につきましては,出所者の氏名等の情報は個人のプライバシーに係るものであるため,その提供は困難であると判断しております。しかしながら,犯罪情報や不審者情報につきましては,地域安全ニュース,県警ホームページ「くらしの安全WebMap」等により,関係機関はもとより広く自主パトロール隊等に提供して,所要の連携を図っているところでございます。
 以上であります。

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