平成17年6月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 協働について
 (1)本庁と県民局との関係           (企振)[ 知  事 ]
 (2)金銭等の介在           企画協力(生環)[ 知  事 ]
 (3)メリット                 (生環)[ 知  事 ]
 (4)権限移譲                 (総務)[ 知  事 ]
 (5)県職員の地域活動等            (総務)[ 知  事 ]
 (6)連絡会議                 (企振)[ 知  事 ]
 (7)中四国州                 (総務)[ 知  事 ]
2 指定管理者制度について            (総務)[ 知  事 ]
 (1)意義
 (2)アンケート調査
 (3)施設一覧等
 (4)公募の基準
 (5)公共性の確保等
 (6)県民の参加
3 自転車交通について
 (1)交通安全教育               (教育)[ 教 育 長 ]
 (2)アンケート調査              (教育)[ 教 育 長 ]
 (3)高齢者の安全教育等            (警察)[ 警察本部 ]
 (4)指導取締                 (警察)[ 警察本部 ]
 (5)運転免許証の導入      教育、警察協力(生環)[生活環境部長]
 (6)停車場の整備               (警察)[ 警察本部 ]
4 吉備高原都市について
 (1)不登校対策のセンター機能         (教育)[ 教 育 長 ]
 (2)吉備高原学園高校等の施設整備の支援
                         (総務)[ 知  事 ]
 (3)フリースクール              (教育)[ 教 育 長 ]
 (4)引きこもりの実態等        保福協力(教育)[ 教 育 長 ]




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。
 大トリの渡辺先生の前ということで,いましばらくのおつき合いをよろしくお願いいたします。
 近ごろは,クールビズということで,私も最近何か首がきつうなりまして,ネクタイとったり上着脱いだりするのはえんですけども,28度にせにゃあいけんということで,クールビズというのは,デブ殺しだなというふうに思っておりますが,一方で,そうは言いながらも,肥満が地球温暖化の原因になっとんじゃないかと最近思っておりますので,なるべく酸素を吸わず,二酸化炭素を吐かないように,通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず,知事のおっしゃられる協働についてお伺いいたします。
 行財政改革の取り組みとして,第3次行財政改革大綱の目玉として,地方振興局が再編され,県民局が新しい時代の広域的な地域の総合出先機関となったわけでありますが,支局ではなく,県民局となった振興局があった地域の者には,なかなかダイナミックな変化があったということがわかりがたいものがあります。ただ,その中で明らかに昨年度と違うのは,総務部門を含んで地域政策部ができ,課ではなく協働推進室という室ができたことだと思います。まさに多様な主体との協働のもと,地域の実態を踏まえた施策を的確に展開するための最前線基地であり,大いに期待するものであります。そして,そこに振興班のみならず企画班ができたということは,県民局が本庁の施策を推進するのみならず,独自の政策形成機能を持つことになったと,私は理解しております。振興局ができた当初,お代官様をつくるのではなくて,市町村の側に立って,本庁に反旗を翻すような,そんな振興局長が出てきてほしいものだ,それが地方自治に資することになる,振興局制度の意味であるというふうに,前の知事がおっしゃられておられたと伺っておりますけれども,独自企画が積極的に出させるようになれば,まさにそういうことかもしれません。さらに,収税業務体制などはかなり強化されており,まずはこうした県民局内部の体制整備のねらいや,さらには,行財政改革の観点のみならず,地方自治の本旨に照らして,予算編成権等も含めて,本庁と県民局の関係がいかように変わっていくとお考えなのか,お知らせください。
 ところで,県民局長がテーマや地域ごとに住民代表を集めた会合を開き,要望や課題を聞く方針とのことでありますが,最優秀賞には5万円の図書券をつけて,管内で官民協働で取り組む事業のアイデアを募集されようとしております。こういった懸賞というスタイルは協働のスタイルとしてはいかがなものでしょうか,また,ボランティアで行っていただくべきようなものにまで金銭が絡んでくるとすれば,それはある意味でボランティア精神への冒涜であって,協働という概念自体の自爆行為になるのではないかと,私は思います。協働を推進することへの金銭等の介在について,知事の哲学を教えてください。
 少なくとも,協働という美名のもとに,県の事業推進のために,市民,県民の皆様を税金をもって手足のように使うようなことがあってはいけませんし,提案するのであれば,提案する者が一緒に実施しろというスタイルでは,なかなか提案も出てこないのではないでしょうか。知事は,市民,県民の皆様が行政と協働することのメリットがどこにあるものと認識されておられるのか,お知らせください。
 また,地方分権の一層の推進を図っていくためにも,県から市町村への権限移譲を進めるための指針が先般示されましたけれども,移譲する事務に応じた人的支援や財政措置など,県民局の実務にいかなる影響が生じるのか,さらに,人材の移譲も考えられるのか,お知らせください。
 また,関連して,協働事業やボランティアに関して,県庁職員の方々の地域活動やボランティアへの参加状況はいかがでしょうか。
 ボランティアは強制されるものではないとはいえ,県から頼まれたので断り切れずにボランティアをやっとられる場合も多くございます。例えば,アダプト事業の引き受け主体は行政の有志がやってはいけないのでしょうか。国体ボランティアもそうでありますけれども,県民の皆様に協働を働きかける以前に,みずからが業務としてではなく,汗を流す姿を県庁職員の皆様に見せていただきたいものでありますけれども,県職員のボランティア等への参加についてはどのようにお考えでありましょうか。
 ところで,私はいつも気になるのですけれども,協働の相手方として企業や住民やNPOが言われますけれども,余り基礎自治体が言われないのはなぜでしょうか。知事が基礎自治体の首長の方と執行部の方々が現場の担当の方々がそれぞれ担当の方と連絡会議を持って意見交換ができる体制,協働企画会議で役割分担を決めて事業を計画するような行政間の協働体制は十分にとれているのでしょうか。いわんや,県民局であれば,常に関係自治体の担当者同士,さらには,トップとの連絡会議があって,市町村民でもある県民のための事業等の確認,調整等は恒常的に行われている必要があると思いますが,こうした会議の実施状況はいかがでしょうか。
 特に,中四国州をもって県が道州制を目指すことについて,基礎自治体にもムードの盛り上げのための説明,そして何よりも協力要請が必要であると思いますが,いかようにお考えでしょうか。
 次に,指定管理者制度について伺います。
 民間にできることは民間にということで導入された指定管理者制度の目的は,当初はPFI事業で建設した施設について,利用料の設定も含めた管理代行を可能にすること,すなわちPFI事業の推進だったように思います。それが今は拡大して,多様化する住民ニーズにより効果的かつ効率的に対応するため,公の施設の管理に民間の力を活用しつつ,住民サービスの向上を図るとともに,経費の削減等を図るところにこの指定管理者制度の目的があると思います。従来の管理委託制度では,地方自治体出資の法人,公共団体,公共的団体が管理受託者として公の施設の管理を行うというものでありましたけれども,指定管理者制度は,条例の定めるところによって,地方自治体の指定を受けた者が公の施設を管理代行するものであります。学校や道路や河川は,それぞれ学校教育法,道路法及び河川法で管理者が定められておりますので,指定管理者制度を導入することはできないとされておりますけれども,例えば,具体的に,図書館や博物館といった文化施設あるいは福祉施設,スポーツ施設や公営住宅などは,管理を株式会社やNPO等への民間事業者が行うことが可能になったということであります。ここで大切なことは,施設が設立された当時と社会の潜在的需要も変わってきていて,政策目標,活動使命を再認識,再構築する絶好の機会であるととらえることではないかなと思います。ぜひこの機に,政策レベルの評価システムにさらして,全施設を再点検すべきであると考えますが,まずは行財政改革における指定管理者制度の意義をいかように考えておられるのか,お知らせください。
 また,議論の前提として,今申し上げましたように,行政側が考えられるのではなくて,実際に利用される県民,市民の皆様が求めている行政サービスをその施設が今十分に提供できているのか,今後何を求めておられるのかについて,一斉にアンケート調査をすべきであると思いますが,いかがお考えでしょうか。
 また,これまでの管理委託制度を廃止され,現在,社会福祉法人,事業団,公社などに管理を委託している施設は,来年9月までに指定管理者制度に移行するか直営に戻すかが迫られていますが,岡山県における指定管理者制度導入可能な施設一覧が静岡県のように示されてしかるべきであると思いますが,詳細な導入スケジュールも含めて,そうした一覧を示される予定はないのか,お伺いいたします。
 私は,むしろ導入不可能な施設の一覧とその理由が示されるべきだと思いますが,導入可能か否かの判断を,だれが,どのような基準で行うかからして公開すべきものと思いますが,いかがお考えでしょうか。
 また,総務省の通知は,複数の申請者に事業計画書を提出させるという原則公募を求めているわけでありますけれども,既存の財団の擁護のために,例えば,さまざまな規約や制約をかければ,実質的には,はなからこれは公募しているとは言えなくなります。こうした公募の基準をいかようにお考えか,お知らせください。
 また,従来の管理委託制度に比べて,指定管理者制度に基づく指定管理者には,非常に強い権限が与えられています。したがって,指定管理者には,公共性の確保という視点が強く求められます。行政が一元的に行ってきた公の保障にかわる県民と行政の合意による具体的な内容を伴った新しい公の保障が必要だと思いますが,いかように確保されるのでしょうか。
 私は,事業報告書の議会への報告義務も課すべきであると考えますが,いかがお考えでしょうか。
 この項最後に,指定管理者制度は,施設の管理に関する権限も委任して行わせるものであり,運営についても一定の枠の中で自由にできることになります。今後,利用者である県民が管理や運営に参加したり提案する機会はどのように確保されるのでしょうか,以上,お伺いいたします。
 次に,自転車交通についてお伺いいたします。
 小学校の学区の弾力化ということで,今岡山市では,旭川を越えて通学する児童が大変ふえてまいりました。先日,新鶴見橋を渡る子供たちの通学の様子を見させていただいて大変に驚きました。橋に至るまでの信号機も横断歩道もなくて,車道と歩道は白線で区切られているだけで,プール用の袋を振り回している児童の横を自転車が行き交って,バイクまで進入してくる。とてもこれでは通学の安全は確保できないなあと思いました。また,後楽園を渡る蓬莱橋前にも,自転車のたまり場がなくて,鶴見橋もせっかくつくった自転車歩行者道を行かない,そんな自転車も多くて,ともあれこの一帯はすべての交差点に問題があると思います。同様な問題は,旧いずみ町交番の前の交差点にもあり,これらは強く善処を求めるものでございますけれども,そこで気になりましたのが,傍若無人な自転車の姿であります。まさに走る凶器であり,厳密に言えば,老若男女入り乱れて,9割の自転車は道路交通法違反であります。こうした軽微とも言える遵法意識の欠如が自転車から自動車に変わったときの運転マナーの悪さに結びつくのではないか,それは言い過ぎでありましょうか。言うまでもなく,自転車は法律の上では軽車両であります。本来であれば車と同じように,信号や標識に従って走らなければなりません。もちろん,とまれの標識は自転車も一時停止しなくてはいけません。歩道を走ることができるのは,歩道通行可という標識があるときだけで,その場合ももちろん歩行者優先で,チリンチリンと鳴らしていくのは間違いであります。飲酒運転禁止,2人乗り禁止,並列走行禁止,そして通行区分違反はもちろん,不点灯,たばこや携帯電話を片手に持って運転した場合は,安全運転義務違反であります。歩道に駐輪してあれば,実は駐車違反にもなるということであります。要は,自転車と原付自転車は,原動機がついているかどうかの違いでありまして,全部交通法規を守らなくてはいけないというのは同じであります。ただ,こういった交通法規は,学習していなければ知り得ないと思いますが,かくも違反が多いということは,交通ルールを教育されていないので知らないのか,あるいは知っていても罰則がないに等しいので守らないのかのどちらかだと思います。まずもって,学校の教育現場で運転技術のみならず交通法規を含めた自転車に関しての交通安全教育の状況をお知らせください。教育長にお伺いいたします。
 特に,自転車と歩行者による交通事故がふえている中で,そのうち4割は中高生であります。その半数以上が65歳以上の高齢者にけがを負わせているわけですから,県内の高校生を対象に安全意識などを聞くアンケート調査を実施して,交通ルールの徹底を呼びかけるべきだと思いますがいかがでしょうか,教育長にお伺いいたします。
 また,警察では,交通死亡事故抑止対策の重点を高齢者対策に置いているものと思います。加齢に伴う平衡感覚,筋力,動体視力,反射神経などの衰えは,自転車の運転に直結するわけでありますけれども,高齢者の方々の自転車安全運転教室,交通ルール教育も積極的に行っていくべきだと考えますがいかがでしょうか,警察本部長にお伺いいたします。
 ところで,自転車,乗用車による交通事故は年々ふえておりますけれども,特に小学生の自転車,乗用車による事故も,例えば,岡山県では10年前は252人が去年は351人で,年々増加傾向にあります。警察が自転車について指導取り締まりをしたという話も余り聞きませんし,検挙されたという話も聞きませんけれども,自転車に対する指導取り締まり状況についていかがでしょうか,警察本部長にお伺いします。
 こうした一連の状況に対しまして,全国に自転車の運転免許証制度を取り入れる動きが少しずつ広がっております。もちろん,これは自動車の免許とは全く違うものであります。原則禁止の限定解除という意味での本来の免許ではなくて,特に子供たちに交通ルールやマナーを知ってもらうのがねらいであります。全国に先駆けて行政が住民一般を対象として手がけたものとしては,東京都荒川区が14年7月から,また,お隣の兵庫県警察本部も昨年度から,市や町,自転車屋さんの組合などと協力して,自転車運転免許証の制度を始めました。これらの免許証には,顔写真がついていて,氏名や生年月日,学校名と血液型を記入するようになっています。大きさや形式は大人の自動車運転免許証とほぼ同じであります。裏には,二人乗りや飛び出しはしないなどのルールや安全確認のポイントが書かれています。何かの事故に巻き込まれたときに,本人の確認ができる,血液型等や保護者名,住所などもわかって速やかに連絡がつきますし,所持していてもいなくても,特典や罰則というものはないんでありますけれども,子供たちのプライドをくすぐってかなりの好評のようであります。本県でも,ぜひ導入を検討されてはいかがと思いますがいかがでしょうか,お伺いいたします。
 関連して,本来は,こうした自転車が通るべき場所に概してタクシーが停車している場合が多くございます。乗客を拾いやすい場所に停車されていたいというお気持ちは非常によくわかりますが,駅前の交差点の停車は,交通の阻害要因になっているのも現実であります。私は,公共交通機関としてのタクシーの重要性にかんがみれば,取り締まりよりも適切な停車場の整備を求めるものでありますがいかがでしょうか,警察本部長にお伺いいたします。
 最後に,15年の6月定例会でも取り上げさせていただいた吉備高原都市についてお伺いいたします。私は,吉備新線を吉備高原に上がるときには,この緑豊かな自然環境と広域高速交通網のアクセスに恵まれた立地条件の中,保健・福祉・教育・文化・産業・レクリエーションなど,各領域にわたる高度な機能を備えた魅力ある人間中心の21世紀を志向したコミュニティー都市を建設しよう,そんな吉備高原都市の夢を強く感じます。政治に携わる者ならだれでもあるような夢,そしてロマンの話ができていたころがうらやましくもあります。結果としては,今は実っていないかもしれませんが,その夢を少しでも実らせたい。さもないと,我々の子供たちに大きな荷を背負わせることになってしまう,そのようにいつも考えております。
 この吉備高原都市には,先生方がまさに全身全霊を込めて生徒にぶつかっておられる2つの学校があります。学校ができた生い立ちも,経営体制も,理念も,また通う生徒や保護者の方々の考え方も異なりますけれども,生徒を思う先生の思いと先生と生徒の間にある強固な信頼関係,また非常に経営が厳しいというのも共通であります。
 その1つは,学校法人吉備高原学園の吉備高原学園高等学校であり,いま一つは,学校法人希望学園の吉備高原のびのび小学校,吉備高原希望中学校であります。1991年開校の吉備高原学園高等学校は,学校法人でありますが,理事長は県知事がつかれておられます。全国にも類のない公私協力方式の1学年が百数十名という少人数教育の全寮制普通科の共学校であります。不登校傾向のあった生徒,高校を中途で退学した生徒も積極的に受け入れておられるため,県内的には不登校生徒が集っている,そんなイメージが走っておりますが,同校の掲げる全人教育の理想に沿って明確な教育理念のもと,社会に対応する教育を行っておられます。全国からの視察も絶えませんが,充実した設備と先生の熱心さに,他県の追随を許さないと私は思います。とりわけ先生方も,皆,吉備高原都市に暮らされ,先生と生徒がまさに生活をともにしておられます。先生方は,1日のすべての時間を教育に注いでおられます。
 一方,昨年創立10周年を迎えられました吉備高原のびのび小学校,吉備高原希望中学校は,入学を希望する子供の入学は原則として拒まないということで,全寮制で多くの不登校を経験した生徒や学習障害等で既存の学校に適応しづらい子供たちが,文字どおり豊かな自然環境の中,伸び伸びと暮らしています。そして,ここでも先生方は,1日のすべての時間を教育に注いでおられます。公立,私立通して日本唯一の小中一貫の全寮制の学園であって,10年間の実績が認められ,文部科学省より,平成16年度文部科学省教育改革推進モデル事業(不登校児支援)に指定され,さらに,同省より今年度,研究開発学校(不登校全寮制)の指定を受けました。不登校対策に文科省も活路を見出そうとする中,まさに希望学園は一つの希望を見出していると言えると思います。義務教育と高等学校教育の違いもありますし,小中高一貫校というのは,あるいは現実的ではないかもしれませんが,2つの学校がある意味でたまたま吉備高原にあって,そして県外の児童生徒も多いのですが,彼らがあの吉備高原都市からたくましく巣立っていくことに,私は確かな意味があると思います。吉備高原にできる教育センターと日本に2つとないこの2つの学校をうまく結ぶことで,全国でも例のない不登校対策のセンター機能ができ,岡山県として全国に発信できるのではないか,不登校に陥る子供たちも,保護者も,また教師も,吉備高原に来れば新たなエネルギーをもらうことができる,あるいは国の教育研究機関の誘致に名乗りを上げることができるのではないでしょうか。それは,吉備高原都市のロマンにもかなうことだと思いますがいかがお考えでしょうか,廃校になる吉備北陵高校の活用策とあわせて教育長にお伺いいたします。
 そうした中,定員増を見越して吉備高原学園高等学校には寮の拡大,またそもそもが廃校の校舎を改装された希望学園は,老朽化が進んで,体育館すらない状態であります。全国に誇る両校の施設面の整備の支援が必要なように思いますが,いかがお考えでしょうか。
 ところで,しかしこれですべての生徒に対応できるわけではありません。いずれ学校の適応指導教室になっていく方向なのかもしれませんが,いわゆるフリースクールについて明確な調査が必要な時期に来ているのではないでしょうか,また,いじめや不登校から引きこもりに至るような実態についていかように調査がなされ,体系的に支援されていくのか,方向をお知らせください。
 私の質問は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えをいたします。
 まず,協働についてであります。
 本庁と県民局との関係でありますが,各県民局において協働推進室が中心となって,地域の特性を生かした多様な主体との協働による地域づくりを進めていくこととしております。また,本庁と県民局との連携強化のため,県民局長を本庁の政策企画推進会議の構成員といたしまして,地域の声が本庁各部の予算編成に生かされるよう配慮するなど,地域ニーズに基づきまして,本庁と県民局が一体となって施策を推進してまいりたいと考えております。
 次に,金銭等の介在についてでありますが,無償のボランティア精神はとうといものであるということでございますが,ボランティア・NPOを含む多様な主体と広い分野で協働を推進していくためには,具体的な事業ごとに適切な協働の形態や役割分担のあり方を判断していく必要があると思います。その上で,協働事業の目的や性格から,県において経費を負担すべきものにつきましては,協働の相手方に対しまして,正当な額の金銭を支払うべきものと考えております。
 協働のメリットでありますが,行政が施策や事業を実施する際に,住民やボランティア・NPOなどからの意見や提案を取り入れ,協働して推進していくということは,行政が単独で事業を実施するよりも,住民と行政との相互理解が進み,互いに補い合って多様な地域ニーズへのきめ細かい対応が可能となるものであります。その結果,住民が受け取る公共サービスの質と量が拡大をし,より快適な地域社会の実現が図られ,新たな社会的価値の創造も期待できるものであります。さらに,協働に参加した住民にとっても,社会参加によります自己実現が果たされ,精神的な充足感が得られると考えております。
 権限移譲でありますが,それまで県民局で実施していた事務が市町村に移譲された場合,県民局の業務量の減少あるいは市町村への職員派遣などの人的支援も考えられることから,その意味で事業費や人員に何らかの影響は生じ得るものと想定されるところであります。しかし,そういった場合におきましても,引き続き県民局で行う実務の遂行に支障を生じさせることがないように,適切に対応してまいりたいと存じます。
 また,人材の移譲でありますけれども,人的支援といたしましての職員派遣や人事交流は想定をしておりますけれども,一方,県を退職しての市町村への身分移管につきましては,市町村から具体的な要望がありますれば,職員の意向も十分に踏まえた上で慎重に検討してまいりたいと存じます。
 県職員のボランティア等でありますが,協働の観点から,県職員も一県民として各種の地域活動等に参加することは,意義が大きいと考えております。このため,本県では,職員の地域活動やボランティア活動を支援する目的で,ボランティア休暇を導入いたしまして,その活用を奨励しております。ボランティア活動は,職員の自発的な意思に基づくものでありまして,すべてを把握しているわけではございませんが,ボランティア休暇や休日を利用いたしまして,台風等の被災地支援活動や高齢者福祉施設での介護活動,地域の清掃活動など,さまざまな活動に県職員が参加しております。今後とも,ボランティア休暇制度のさらなる周知徹底を図り,県職員のボランティア活動等がより積極的に展開されますように努めてまいりたいと存じます。
 連絡会議でありますが,私自身は,地域サミット等において,各市町村長と当面する行政課題等について率直な意見交換を行い,県政の推進に反映をさせるように努めております。県民局におきましても,市町村長等との会議はもとより,各担当部,課長会議を定期的に開催いたしますとともに,事業の推進に当たりましては,担当者間で意見交換や連絡調整を行うなど,常日ごろから市町村との連携を密にしているところでございます。今後とも,市町村との適切な役割分担のもと,地域の実情を踏まえた協働の県政の推進により一層努めてまいる所存であります。
 中四国州でありますが,道州制は地域の将来にとっても極めて重要な問題であります。これまでも,市町村関係者を対象といたしました道州制に関するセミナーを開催するなど,中四国州の意義等について理解を求めてきたところであります。今後とも,中四国州実現に向け,基礎自治体も含め,県民全体の機運が高まるように積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 次に,指定管理者制度についてであります。
 意義でありますけれども,この制度は,多様化する住民ニーズに,より効果的,効率的に対応していくため,公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ,住民サービスの向上を図りますとともに,経費の節減等を図るという趣旨で導入されたものであります。この制度の活用は,行政改革を遂行する上で有効なものであると考えております。
 また,御指摘にございましたように,指定管理者制度の導入は,県が設置する公の施設としての意義,目的等を評価,再検討する機会にもなるものと考えておりまして,県が設置する意義等が低い施設につきましては,現管理者への譲渡なども検討するなど,施設のあり方につきましても積極的に検討を加えてまいりたいと思います。
 施設利用者へのアンケート調査でありますが,現在,各施設において,入り口への御意見箱設置や県ホームページでの意見募集あるいは施設を利用する団体代表者によります会議の開催など,それぞれの施設で方法や内容を工夫した上,利用者の意見の反映に努めております。一斉アンケートという御提案をいただきましたが,このような現在実施しております利用者の意見の反映の仕方につきまして,必要に応じ,その充実改善を行うということで,利用者の意向の把握に努めたいと思います。
 施設一覧等でありますけれども,現在,管理委託を行っている施設については,すべて指定管理者制度に移行させるという方向で対応したいと考えております。こうした方向に沿って,年度始めの来年4月の導入を目指しまして,現在検討を進めているところでありまして,それに向けましてのスケジュールあるいは対象施設,公募の考え方等につきまして,まとまり次第早急にお示しをいたしたいと存じます。
 公募の基準でありますが,これについては,先ほど申し上げましたように,現在検討中でありますが,公募に当たっては,総務省の通知において,住民の平等利用の確保や施設の効用の発揮,管理経費の縮減,管理を安定して行う物的・人的能力などを基準として定めることが望ましいとされているということでございまして,この通知も踏まえ,各施設の形態や提供するサービスの内容等に照らしまして,客観的かつ公平な基準の設定を個別,具体的に検討し,効率的効果的な施設運営につながりますように努めてまいりたいと存じます。
 公共性の確保等でありますが,自治法上,開館時間や休館日など,管理の基準は県が条例で定めることとなっておりまして,また,指定後におきましても,指定管理者が毎年度管理業務の実施状況や利用状況など,管理の実態を把握するために必要な事項を記載した事業報告書を県に提出することとされております。さらに,県は,必要に応じまして実地調査などの指示ができることとされておりまして,こうした対応を適切に行うことによって,公共性の確保はできるものと考えております。
 なお,事業報告を通じ明らかにされます施設の管理や県民の利用状況などの管理の実態につきまては,議会に対しまして報告をさせていただきますとともに,広く県民に対しましてもオープンにしてまいりたいと思います。
 県民の参加でありますが,先ほども申し上げましたとおり,事業報告に基づく管理の実態を県民にもホームページなどで公開することといたしておりまして,こうした情報の周知を行うことを通じまして,管理運営面をも含め,広く県民の意見,提案を吸い上げることができるように対応してまいりたいと存じます。
 次に,自転車運転免許証の導入についてでありますが,子供たちへの交通安全意識の徹底や事故の際の本人確認の上で有効な手段の一つと考えられるところであります。免許証は,その目的から,講習や実技試験等を行った上で子供たちに渡すこととなります。本県では,通常,小中学校の単位で交通安全教室が開催をされ,講習等が行われているということから,これを活用した導入が効果的と思われますため,市町村や各地域の交通安全対策協議会に導入を働きかけてまいりたいと存じます。
 最後に,吉備高原学園高校等の施設整備の支援についてでありますが,現下の急速な少子化の進展や志願者数の減少傾向等から,当面,吉備高原学園高校における定員増を見越した寮の拡大は予定されていないところであります。
 また,希望学園につきましては,学校法人の施設の整備は,本来設置者みずからが行うべきものとされておりまして,こういったことから,施設設置に対します県の助成は困難であると考えておりますが,設置者の意向等をお聞きしながら,県としてどういった対応が今後可能なのか,周辺の関係施設の利活用ということも含めまして,今後,研究をしてまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(教育長)  お答えを申し上げます。
 まず,交通安全教育についてでございますが,学校におきましては,自他の生命を尊重するという基本理念に基づきまして,発達段階に応じて保健の授業や学級活動,生徒会活動等で,交通安全についての関心と理解を深める取り組みを行っているところであります。小中学校では自転車を,高校ではオートバイを主に交通マナーや法規,運転技術などについて指導がなされております。高等学校の中には,日本自動車工業会の資料自転車と道交法をもとに学習しているところもございますが,県下の高校生約61%が自転車通学をしているという現状を考えますと,さらなる指導の充実が必要であると考えております。今後も,警察や関係機関・団体の協力を得て,子供たちの交通安全に対する認識が深まるよう取り組んでまいりたいと思っております。
 次に,アンケート調査についてでございますが,高校生に対しまして,交通ルールやマナー等について調査をすることは,交通安全に関する現在の自分自身の心と行動を見つめ直すことができ,交通安全意識の高揚に有効であると考えております。今後は,県下の高校,警察,交通安全協会等で組織いたします県高等学校交通安全教育推進連絡協議会の場で検討してまいりたいと思います。
 次に,不登校対策のセンター機能についてでございますが,県教育センターは,教員の研修機関でありますことから,教育相談部門も教員研修と教育相談員の研修を主としておりますが,県の不登校対策の中核的な機能もあわせ持っております。不登校の子供も受け入れている吉備高原のびのび小学校,希望中学校との連携につきましては,現在,国の指定を受けて両校が取り組んでいる研究に,県教育委員会からも運営指導委員会の委員として参加するなどの支援を行っております。お話の新教育センターとの今後の連携につきましては,どのようなことが可能なのか,研究してまいりたいと思います。
 なお,国の教育研究機関を地方に置くという話は聞いておりませんが,吉備北陵高校の跡地につきましては,教育施設として活用してもらいたいとの地元の声が生かせるよう研究をいたしておるところでございます。
 次に,フリースクールについてでございますが,いわゆるフリースクールにつきましては,開所日や開所時間,活動内容がまちまちでございまして,確たる定義はございませんが,施設があってそこに指導者が常駐し,定期的に子供が活動しているものとして,市町村教育委員会が把握しているものが6カ所県内にございます。現在,国においては,不登校児童生徒及び保護者に対して指導支援を行っている実績のあるNPO,民間施設等と連携した取り組みを研究することとしておりまして,県内では,岡山市が国の指定を受けて連携や活動のあり方について研究を始めたところでございます。今後,岡山市の研究成果や中央教育審議会義務教育部会の審議の動向などを見定めながら,連携のあり方や把握の方法等について研究してまいりたいと思います。
 最後に,引きこもりの実態等でございますが,小中学生の不登校につきましては,毎年調査を実施し,そのきっかけや不登校が継続している理由等について把握をしてまいりましたが,国では,今年度新たに高校生の長期欠席の実態把握を始めたところでございます。この背景の一つとして,平成15年の厚生労働省の調査で,引きこもりのうち約3割が高校生のとき不登校を経験していたという結果が明らかになったこともあるのではと思っておるところであります。このため,学校では,卒業後または中途退学後も引き続き児童相談所や青少年保健福祉センター等の専門機関の支援が得られますよう,在学中から家庭と連携して取り組んでいく必要があると考えております。
 以上でございます。


(警察本部長)  お答えいたします。
 まず,高齢者の自転車利用における交通安全教育についてであります。
 本年5月末現在,高齢者の自転車利用中における交通事故での負傷者数は245人で,昨年に比べ33人減少しておりますが,死者数は1人多い4人となっております。議員御指摘のとおり,加齢に伴う身体機能の低下は,自転車利用にも影響することから,県警察といたしましても,この点を踏まえた安全教育が重要であると認識しているところであります。
 このため,交通安全体験車に登載された認知,判断,動作等を判定する装置を活用した体験型講習や高齢者の方に実際に自転車に乗っていただいての実技指導のほか,交通指導員が高齢者宅を訪問して行う安全指導,街頭における一口アドバイスや自転車への夜光反射材の貼付活動等を行っているところであります。また,自転車マナーの向上を図るため設定しているサイクルマナーアップモデル地区活動の一環として,高齢者の自転車利用に関する交通安全指導を行っているところであります。今後とも,関係機関・団体と連携して,これらの活動を強化してまいりたいと考えております。
 次に,自転車利用者に対する指導取り締まりについてであります。
 本年5月末現在,自転車の関係した人身事故は1,465件で,昨年に比べ2件増加し,全人身事故件数の17.4%を占めております。
 このため,県警察では,自転車利用者に対する指導強化日を設定し,交通警察協助員の方々などと連携して,自転車の交通事故防止とマナーの向上に向けた街頭活動を実施しているところであります。本年5月末現在,警察官による街頭指導で,二人乗り,無灯火等の違反者に対し4,286枚の交通違反警告書を交付し,文書による指導を行ったほか,再三の警告を無視した二人乗りの悪質違反者1件1名を検挙しております。今後とも,街頭活動を通じて自転車の違反を現認した場合には,積極的な指導警告を行うとともに,特に悪質な違反者に対しましては,検挙措置を念頭に指導取り締まりを行い,交通事故防止とマナーの向上に努めてまいりたいと考えております。
 最後に,タクシー停車場の整備についてであります。
 駅前でのタクシー問題に関しましては,これまでに関係者との対策会議を開催し,タクシー協会による指導員の配置や警察官による指導警告を続けておりますが,待ち場の不足から道路上に停車し,ひいては自転車等の通行を妨害している現状にございます。したがいまして,さらなる改善を図るためにも,引き続き関係行政機関を初めタクシー協会,施設管理者等に対しまして,道路外の停車場整備を働きかけてまいりたいと考えておりますので,御理解を賜りたいと存じます。
 以上でございます。

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