平成16年12月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 笹ヶ瀬川について               (土木)[ 知  事 ]
2 道州制について                (総務)[ 知  事 ]
 (1)気運の醸成
 (2)中四国州
 (3)近隣との競争と連携
 (4)行程等
3 犯罪被害者支援について
 (1)支援団体への支          生環協力(警察)[警察本部長]
 (2)犯罪被害者等早期援助団体
                         (警察)[警察本部長]
 (3)自助グループの活動の場
                  保福・警察協力(生環)[ 知  事 ]
 (4)相談員に対する支援            (保福)[保健福祉部長]
4 NPOとの協働等について
 (1)「協働」と行政の役割           (生環)[ 知  事 ]
 (2)公益法人改革               (総務)[ 知  事 ]
 (3)行政との関わりの再構築          (総務)[ 知  事 ]
 (4)公益法人との協働             (生環)[ 知  事 ]
 (5)公益法人の見直し             (総務)[ 知  事 ]
 (6)施設管理型の公益法人           (総務)[ 知  事 ]
 (7)切り離すべき事業への対応         (総務)[ 知  事 ]
 (8)関係の深い団体              (総務)[ 知  事 ]
 (9)ワンストップの協働相談窓口        (生環)[ 知  事 ]




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。
 まずもって,石井知事の3期目,圧倒的な勝利での当選,まことにおめでとうございます。岡山県民の一人として,改めて知事に大きな夢を託させていただきたいと思います。ただ,我々も二元代表制のもと,県民の代表であります。県民の代表として,責任と自覚を持って岡山県勢の発展のためにともに頑張っていきたい。改めてよろしくお願いいたします。
 それでは,通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まずは,大変に気になっておりますことでございます。9月定例会でも申し上げました。知事,笹ヶ瀬川は本当に危ないです。今回の台風でもまさに決壊寸前となったのは,御案内のとおりでございます。市民からも緊急対策特定区間はもちろん,危険箇所補修,河川改修,遊水池の確保,浸水対策用ポンプの増設に対応した計画流量確保等を望む声が強く出ており,早急な対応が望まれます。まず,知事のお考えをお聞かせください。
 さて,知事は,提案説明の中で,「変革の流れを的確にとらえ,岡山県の将来の姿を明確に示される」という表現をされ,特に,道州制の導入,さらには,その規模として中四国州を提唱されています。しかも,国民的な議論が展開されるよう,あらゆる機会をとらえて積極的に発言されるということですが,まず大切なのは,県民的な議論を起こすために,まずは県議会本会議の場で明確に方向を示していただくことではないか,そのように思います。もとより,私は,平成15年3月の21世紀の地方自治を考える懇談会の報告については,現実的な可能性と大いなる夢を感じております。市町村合併に一定の答えが出た後は,道州制,中四国州の実現のためにも,地方から,そして岡山から,県民一丸となって知事を応援させていただく,大きな夢を実現していこう,そういったムードづくりが何より大切ではないか,そのように考えております。この点,県民の皆様はホームページ等で情報を得られなくもないですが,経済団体等にも御協力いただいて,道州制シンポジウムのようなものを県内各地で開催し,機運を高めていく時期に,もう来ていると,そのように思いますが,いかがお考えでしょうか。
 ところで,知事は,21世紀の地方自治を考える懇談会を設置した平成13年9月の会見で,「道州制の枠組みは中四国州が適当」と表明され,平成14年9月の第14回中国四国知事サミットの際には,岡山県が提唱した中四国州の優位性が認められ,その実現の可能性をにらんで議論を深めることを,各県知事も了承されたものと理解しております。ただ,平成15年3月の21世紀の地方自治を考える懇談会報告書以降,市町村合併の問題がある程度落ち着き始めたところで,何か風向きが変わってきたように感じております。特に,この9月には,四国4県の経営者のアンケートで,「四国4県で1つの州に」という声が77%と,圧倒的であると伝えられ,11月15日には,広島県が道州制を導入し,中国5県を行政単位とする中国州の設置を目指す分権改革推進計画を発表しました。おまけに,藤田雄山広島県知事は,「州都は広島市が最適ではないか」と発言されております。もちろん,州都の議論は,道州制の中の重要な議論であるということは理解いたしますが,この点につきましては,知事は,「国と地方のあり方を抜本的に変えようと考えていく時期に州都はどこに置くかが先行すると,関係のない県で議論が進まなくなる」との認識を示され,「まずは大局的見地から議論を進めていきたい」と,大人の対応をされました。
 そこで,あえて私は,州都の議論は避けるべきだと考えますが,知事は中国四国地方の他県が,道州制,殊さら中四国州構想についてどう考えていると御認識なのか,また,なぜスウェーデン,ベルギーに匹敵する経済規模の中国州ではなく,オランダに匹敵する中四国州という枠組みでないといけないのか,改めてお知らせください。
 また,まずは今まさに国の財政再建の見地からないがしろにされる地方の問題とその後に発生する問題は,明確に峻別する必要があると思いますが,知事がおっしゃられる連携して国に立ち向かう分野と,近隣と競争すべき分野とは,具体的にどういったものを指すのでしょうか。また,道州制やその枠組みは,第三者や,ましてや国に決めてもらう筋合いではない。地方主権をもぎ取っていくためのまさに修練だと思いますが,そこまでの行程と岡山県挙げての目標に向かっていくためのハードルは何なのかをお知らせください。
 次に,たびたび今議会でも取り上げておられます犯罪被害者支援についてお伺いいたします。
 ちょうどこの原稿を書いておるときに,友人の御尊父が殺害されるという事件がございました。一日も早い事件の解決と御冥福を心からお祈りしたいと思います。
 この12月1日,傷つけられたり生命を奪われるといった犯罪に巻き込まれた被害者とその家族の権利を守ることと,国や自治体の責務を定めた,犯罪被害者等基本法が成立しました。もっとも,あくまで基本法であり,大もとになる考えが定められただけで,基本計画等を通じた具体的な支援についてはこれからです。また,基本法成立に伴い,特に犯罪被害者を手助けするグループの活動の重要性も指摘されています。もっとも,日本にあるグループの数はまだまだ少なく,また支援団体への国の財政支出は,年間でアメリカが200億円,イギリスが50億円,日本には助成制度すらなく,ネットワーク加盟の37の民間支援団体は,財政難に苦しんでいます。まずもって,岡山にも,こうした支部組織,岡山弁護士会が中心となって設立されて1年がたつ被害者サポートセンターおかやまや,DV被害者を支援するDV防止サポートシステムをつなぐ会・岡山などがありますが,こういった団体にどういった支援を考えておられるのでしょうか,警察本部長にお伺いいたします。
 さて,私は,基本法成立の翌日,犯罪基本法制定の契機ともなった社団法人被害者支援都民センターを訪ねました。そもそも,基本法の発端は,1991年の犯罪被害者等給付金支給法10年のシンポジウムで,飲酒運転のひき逃げ事件で18歳の御子息を失った現在の同センターの事務局長の,「日本では,被害者を救う道は何もありません」との訴えを受けて,92年に犯罪被害者や遺族の精神的ケアを目的とする犯罪被害者相談室が設置され,それが発展的に改組され,2000年に設置されたのがこの被害者支援都民センターであります。そして,2002年5月には,東京都公安委員会から,犯罪被害者等早期援助団体の指定を受け,さらに同年11月には,会費を納めたり寄附した者が税法上の優遇措置を受けられる特定公益増進法人に認定されています。
 ところで,この犯罪被害者等早期援助団体とは,2002年4月施行の犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律に基づいて,都道府県公安委員会が犯罪被害者等の早期軽減に資するため,さまざまな事業を適正かつ確実に行うことができる非営利法人を,この犯罪被害者等早期援助団体として指定する制度であります。そして,この指定を受けると,当該団体の求めに応じて,警視総監もしくは道府県警察本部長または警察署長は,被害者の同意を得て,被害者等の氏名,住所,犯罪の概要等に関する情報を提供することができます。多くの被害者は,被害直後には麻痺状態や混乱等のために,みずからのニーズを判断して支援を求めることはできません。実は,電話をかけようと思えるまでにも,1年から3年ぐらいの期間が必要であるそうであります。また,支援してくれる民間団体が本当にプライバシーを守ってくれるのかなどの不安から,民間団体に支援を求めることにちゅうちょする傾向にありました。しかし,この制度により,被害者支援の法的根拠が明示され,被害直後の危機的状態の中で,犯罪被害者相談員等が被害者に接して,被害からの回復のために最も効果的である直接的支援を行うことができるようになったのです。すなわち,警察と直結し,被害を受けてからすぐに支援を開始することができます。私は,警察が一義的な支援の機関であるというふうに思っておるわけですが,実は基本法ができる以前でも,その気になれば,この制度を活用してかなり機動的な犯罪被害者支援が行えました。しかし,なぜか全国でこの犯罪被害者等早期援助団体に指定されている組織は,現在5つしかございません。加えて,来年4月から施行の個人情報保護法では,むやみに個人の情報を提供すれば2年以下の懲役また10万円以下の罰金であり,被害者支援とはいえ,行政からすれば,個人情報については情報提供してもよいという法的根拠が必要になります。私は,早急に犯罪被害者等早期援助団体を設立するか,あるいは既存の団体を指定すべきであると考えますが,個人情報保護法との絡みも含めて,警察本部長はいかようにお考えでしょうか。
 また,同センターから,「もう一度会いたい」という遺族の手記が出版されていますが,これは涙なくしてはとても読むことができません。その中で,「自助グループにおける同じ体験をした者同士の共感『私ひとりではない』という思いは,大いなる励ましと慰めになる」という言葉が出てきます。多分当事者でないと本質的なことはわからないことの方が多いのだと思います。そして,その活動の中から,刑法改正の危険運転致死傷罪成案のための署名活動,また生命のメッセージ展の全国的展開が行われています。また,同センター専務理事の「救済と支援は違います。あくまで被害者は自分の力で生きていくのです。人間には,その人自身が持っている対応能力や対処能力があるため,自分で問題を乗り切る能力を持っているのです。それを支援するのです」という言葉が耳に残ります。そのことを意識して,センターには,被害者の方が気楽に集えるグループ活動のための部屋がありました。私は,DV被害者のような犯罪被害者の自助グループが活動する場の整備が極めて重要であると考えますが,いかがお考えでしょうか。
 さらに,これは犯罪被害者支援に限ったことではありません。多くのボランティアの方々にも支えられている,いわゆる電話相談等で,精神的不安や悩みを抱えた人に対して相談業務に当たられている方,そういった方の技術向上の支援,また二次受傷とも言われる相談員自身のメンタルヘルスの問題に対しては,いかように対策をとられているのでしょうか,保健福祉部長にお尋ねいたします。
 次に,NPOと行政の協働についてお伺いいたします。私がこのテーマを通して本当に伺いたいことは,NPO支援についてのことではありません。今後の行政の統治スタイルについて,いわば行革の問題であるということを,まずお断りさせていただきます。
 昨年の11月定例会で,岡山NPOセンターの財政基盤検討委員会が「レポート2003・NPO財政力強化への提言」をまとめられたのを受け,NPOと行政の協働のルールづくりが必要であると提言させていただきましたが,このたび,岡山県とNPOとの協働の手引(素案)が発表され,今まさにパブリックコメントが募集されています。この手引素案は,パートナーシップ社会の構築に向けて,岡山県とNPOとがどのように連携していくべきかという基本認識や協働事業を行おうとする際の標準的な手法について,県としての統一的な考え方を示すものであって,この手引素案の作成自体がNPOと行政の協働によって作成され,NPO側の声も非常によく反映されていて,今までの行政が作成する文書に比べると非常に内容もわかりやすく,あえて言えば,NPOにぐっと押されているような点を積極的に評価させていただきたいと思います。今回は,この手引素案をベースにして幾つか提言と質問をさせていただきます。
 まず,手引素案の中に,協働の背景について,「行政は従来からの統治スタイルでは対応できない,あるいは政策形成範囲を超えたところで問題の解決を迫られるという状況に直面して」おり,「自由かつ機敏できめ細かいサービスが提供できるNPO」との協働が求められるとあります。謙虚と言えば謙虚であると思うのですが,これはもはや時代のニーズに対応できていないと行政がみずから白旗を揚げておられるのでしょうか。血税を払われている県民,市民の皆様からすれば,まさにこの激動する時代の変化の中で,まずは行政自身が従来からの統治スタイルを変えて,政策形成範囲を超えたところで問題解決をして,自由かつ機敏できめ細かいサービスをする姿に期待しているのであります。しかし,それができないのでNPOと協働するというのならば,各担当セクションは廃止して,頼むから税金はもとから寄附という形で,最初からNPOに払わせてくれと,そんな気持ちにもなってしまいます。そもそも論ですが,あえて知事に,なぜ行政がNPOと連携ではなく協働するのか,NPOとの協働を通して端的に小さな政府を目指しておられるのか,新しい公共の担い手の登場で,行政の役割はどのように変わっていくのか,その意味についてお伺いいたします。
 次に,この手引素案でも,多少曖昧になっている公益法人についてお伺いいたします。言うまでもなく,社団法人,財団法人といった公益法人もNPOに含まれますが,御案内のとおり,NPO法施行満6年を迎える直前,この11月19日に,政府の有識者会議が公益法人制度改革の基本的枠組みについて最終報告書を提出いたしました。その内容は,こうした社団法人や財団法人といった公益法人制度を廃止して,新しい非営利法人制度(仮称)に移行して,中間法人制度も,この新しい非営利法人制度に統合され,廃止となるというものです。ただ,今回は,NPO法人制度は引き続き存置されるべきものとなりましたが,将来的には,あるいはNPO法人制度も制度に組み込まれることになるのではないかという見方が非常に強くあります。そして,公益性があると判断されれば,登記だけで設立された非営利法人に対して税法上の優遇措置を認めていこうというものですが,この公益性の判断基準,そして判断主体が現在非常に問題になっているのは,御案内のとおりであります。あえて言えば,小泉内閣が掲げた構造改革のうちの公益法人制度改革の端緒となる報告書が今出たということでありまして,この内容そのものについて是非の言及あるいは質問自体は避けさせていただきますが,そもそもこの公益法人制度改革の議論は,公益法人を各省庁の天下り先にしたり,補助金を垂れ流しにしたりするという官益法人に対する批判を受けて,当時特に旧KSD汚職事件を機に進められてきたものであります。まずは,こうした国の取り組みに対して,県として,どれだけ直接関与する公益法人に改革のメスを入れてきたのかについて,お伺いいたします。
 そして,これはあくまで個人的な見解でありますけれども,行政が出資したり人的交流を行うという意味での官製の公益法人であれ,あるいは市民活動としてのNPOであれ,それらを新しい非営利法人制度という同じ土俵で一度フラットにして,第三者機関によって公益性を判断された上で,しかるべき非営利法人が行政と協働する時代が来ると考えます。これは,地方においても全く同じことで,岡山県も,現在,官製公益法人を含めて300以上の公益法人を所管しているわけですが,NPOを含めて,これはあくまで行革の観点から,県とのかかわり合いが深い団体との関係を一度フラットにすることによって見直して,そしてそれを再構築していく,そんな時代が来るのではないかと思いますが,知事の御認識をお知らせください。
 また,今回の手引素案では,曖昧になっている公益法人との協働についての基準も,私は明確にしていく必要があると考えますが,いかがお考えでしょうか。
 特に,社会経済情勢等の変化によって,今公益法人が行っている事業について,営利企業の事業との競合等で,当該事業を必ずしも公益法人が行うことはないんじゃないか,そういった意義の低下が認められるような場合には,解散あるいは営利法人あるいはNPO法人等その他の法人形態に転換したり,さらには公益信託の手法で実施すべきを指導すべきと考えますが,いかがお考えでしょうか。
 また,知事は,提案説明の中で,「県の施策事業や施設運営についても,NPO等の参画を一層推進」されるとしていますが,特に今,指定管理者制度の導入が叫ばれる今日,例えれば,施設管理型とでもいうような既存の公益法人については,どういう対応をされるのでしょうか。
 さらに,外国人研修制度のように,公益法人の所管がなじまないものあるいは県の委託を受けて行う,いわゆるセミナーや講演会の開催などのソフト面は,むしろ公益法人よりもNPOの方が機動的に対応できる場合も多く,官製公益法人の手から切り離すべきような事業もかなり多くなっているように思うのですが,今後どのように対応されていくのか,御認識をお聞かせください。
 加えて,公益法人ばかりではなく,要は経営破綻すれば県が一蓮託生になるような,そんな団体については,もう今の段階で県の直轄に戻すか,さもなくばあらかじめ県民の皆様に,あえて言えば危険性といったものを広くお伝えしておく必要があると考えますが,いかがでしょうか。
 最後に,手引素案の中でも指摘されているNPOと県庁内の各部署をつなぐワンストップの協働相談窓口の必要性について伺います。特に,来秋以降は,岡山県ボランティア・NPO活動支援センター(仮称)内に,担当セクションごと移転して設けるべきではないでしょうか。私は,保健福祉業務や産業振興のようなものは,なるべく実戦部隊と連携が密にできる,現場により近い場所にある方が,屋上屋を重ねることなく,市民サービスにも資すると考えます。特に,NPOと協働を進める行政サイドの窓口は,何も本庁内にある必要はないのではないか,私はそのように考えますが,いかがお考えでしょうか。
 私の質問は以上でございます。大変多くなりまして恐縮でございますが,どうぞよろしくお願いいたします。まことにありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答え申し上げます。
 その前に,私の3選につきましてお祝いの言葉を賜り,ありがとうございました。ともに県民の信託を受けておられます県議会の皆様方としっかりと手を取り合いまして,県勢発展のため尽力をしてまいりたいと考えております。
 まず,笹ヶ瀬川についての御質問でございます。私も,この間の笹ヶ瀬川,増水をしておるあの状況,土木部長から報告を受けるたび,大変心配をしたものでございます。現在,県道岡山倉敷線白石橋から市道比丘尼橋までの区間におきまして,JR吉備線橋梁のかけかえあるいは堤防の整備等を,おおむね5年以内の完成を目途に重点的に事業を進めております。また,現在,都市化の進展や岡山市が計画しております浸水対策用ポンプの増設等に対応いたしました笹ヶ瀬川水系全体の改修計画の見直しを行っております。来年の梅雨どきから予定しております洪水予報の実施,これとあわせまして,ハード,ソフト両面から,流域全体の治水対策に万全を期することとしたいと存じます。
 次に,道州制についての御質問でございます。
 機運の醸成でありますが,道州制は,この国のあり方や地域の将来にとりまして,これは極めて重要なテーマでありまして,私たち自身の問題として広く議論を展開していく時期に来ておると,このように考え,県民の皆様方に道州制導入の趣旨,それから県民生活にとっての意義,これを考えていただく上で,御提案ございましたシンポジウム等を開催するということは,大変効果的であると,このように私も考えておりまして,市町村や経済団体等とも連携をいたしまして,開催を検討してまいりたいと存じます。
 中四国州についてでありますが,中四国各県におきまして,道州制に対する考え方はまだまだ温度差がございます。中四国サミットや中国地方知事会の場での議論をさらに深めていく必要があるものと考えております。道州の枠組みを考える際には,一定の人口と経済規模を確保する必要があるということに加えまして,中四国地域におきましては,すぐれた景観と豊富な水産資源を有しております瀬戸内海の一体的な利活用や,太平洋から日本海に至るまでの高速道路網など,多軸循環型の地域構造を生かした戦略的な産業政策等を推進していく必要があると,こういうことが可能になってくるものと考えております。私といたしましては,以上のような点を総合的に考慮いたしまして,21世紀の分権時代にふさわしい自立力と競争力を備えた圏域といたしまして,当地域におきましては,中四国州を提唱しているものでございます。
 連携と近隣との競争についてのお尋ねがございましたが,まずは,三位一体改革が地方分権改革の本旨にかなう改革となりますように,地方全体が一致団結をして取り組んでいくことが重要でございます。この改革を成就させるとともに,真の分権型社会にふさわしい道州を実現していくためには,この道州の制度設計が国主導の議論とならないように,地方が連携,結束をいたしまして,具体的な姿を積極的に地方の側から提言提案をしていく必要があると考えております。
 また一方,地域におきましては,国への依存体質から脱却をいたしまして自立力を備え,全国一律,画一的な施策というものを転換いたしまして,創意工夫にあふれた産業振興や福祉政策などの分野におきまして,地域間競争を展開しながら,住民の満足度の高い分権型社会を構築していく努力を重ねていくということが重要であると考えているものであります。
 行程等でありますが,道州制の制度設計におきましては,平成18年3月に最終答申が取りまとめられる予定の,第28次地方制度調査会での議論が重要なかぎを握っていると,このように考えておりまして,この答申に向けました議論が国主導ではなくて分権の趣旨にかなうものとなりますように,私も全国知事会を代表して同調査会に参画をいたしておりますが,この調査会を初めさまざまな場で積極的に提言・発言をしてまいりたいと存じます。
 また,道州制実現に向けてのハードルというお尋ねでございますが,権限と財源の地方への移譲をいかに国の方から移譲してもらうかということを実現していくのか,国の出先機関を統合する上で生じてまいりますその余剰人員の処遇をどのようにしていくのかといった国との関係,これはもとより,現在の都道府県の枠組みが国民生活に深く根差しているという,その中で,いかに県民の理解を得ることができるか,あるいは道州の枠組みをどのように考えていくのか等々,課題は多いところでございますけれども,市町村や経済団体の御協力のもと,道州制に向けての県民全体の機運を高めながら,必ず実現をしてまいりたいと,こういう気概を持って臨んでまいりたいと思います。
 次に,自助グループの活動の場でありますけれども,現在,県内におきまして,DV被害者の自助グループの活動はありますものの,犯罪被害者等の活動につきましては,把握をされていないところでございます。お話をいただきました場の整備につきましては,今般,成立をいたしました犯罪被害者等基本法に基づき,今後,国において行われます犯罪被害者等基本計画の策定や県内での自助グループの結成の動きなどを十分踏まえながら,県警察本部等関係機関と協議をいたしまして,適切に対処してまいりたいと存じます。
 次に,NPOとの協働等についての御質問でございます。
 まず,協働と行政の役割についてでありますが,互いに連絡・協力するという意味の連携に対しまして,共通の目的に向かってともに活動するという観点を重視いたしまして,協働という用語を使っております。
 また,NPOとの協働は,複雑・多様化する県民ニーズに対しまして,迅速かつきめ細やかな行政サービスを提供するための効果的な手法の一つとして考えておりまして,協働によって,いわゆる小さな政府を目指していこうとするものではございません。今後,NPO初め多様な主体によって一部の公共的なサービスが提供されるようになってくるといたしましても,社会経済情勢が大きく変化をし,新たな課題が次々と生まれてくる中,最大かつ基本的な公共サービスの担い手といたしまして,行政の役割は今後ますます重要になってくるものと考えております。
 公益法人改革でありますが,県の出資割合が大きい団体のみならず,収入の2分の1以上が岡山県からの補助金,委託料等で占められているなど,県の関与が高い公益法人を含む団体につきまして,これを県の外郭団体として定め,すべての外郭団体を対象に,不断の見直しを行ってきたところであります。この見直しを通しまして,第1次の行財政改革以降7つの公益法人を統廃合により削減をいたしますとともに,経営状況の公表を行った上で,県の財政的人的支援の縮小に取り組んでいるところであります。
 行政とのかかわりの再構築についてでありますが,公益法人を含めた県とのかかわりの深い団体につきましては,県の外郭団体といたしまして,第3次行財政改革大綱に基づき,民間にゆだねるべきは民間にゆだねるという基本的な考え方に立って,統廃合の検討を含めまして見直しを進めているところであります。今後とも,こうした見直しを積極的に進めていきたいと存じます。
 なお,現在,国で進められております公益法人改革におきましては,新たな非営利法人制度を創設した上で,現行の公益法人をこの新たな非営利法人等へ移行いたしまして,そのうち一定の要件を満たすものを,公益性を有するものといたしまして,社会的信用を高める方策等についての検討を進めるという方向性が示されております。県といたしましては,この動向を十分見きわめながら,公益法人全般につきましても見直しを進めてまいりたいと存じます。
 公益法人との協働についてでありますが,手引素案では,民法上の公益法人と民法以外の特別法に基づいて設立される公益を目的とする法人をあわせ公益法人と,このように定義しているところでございますが,この中には,設立時の準拠法によって目的や事業が限定されているものが多く見受けられるところであります。そのため,協働に当たりましては,具体的な協働事業の目的や内容等によりまして,相手方の範囲を個別に特定していくという必要があると,このように考えておりまして,一律の基準を設けることは難しいものと存じます。
 公益法人の見直しについてでありますが,公益法人の事業内容が社会経済情勢の変化により,営利企業の事業と競合し,または競合し得る状況となっている場合におきましては,まず,公益法人としてふさわしいと認められる事業内容へ改善することが可能かどうか検討するよう指導することとしております。そのような指導を行っても,なお改善されないか改善の見込みがないという場合におきましては,原則として,営利法人等の適切な法人形態への転換も含めた組織の改廃,または公益信託の活用も含めた制度手法そのものの見直しを行うよう指導することとしております。
 さらに,今後,公益法人制度改革の法改正がなされ,新しい法人制度へ移行する際には,よりふさわしい法人形態となるように指導してまいりたいと存じます。
 施設管理型の公益法人についてでありますが,県が設置する公の施設の管理を主な業務といたします,いわゆる施設管理型の公益法人につきましては,指定管理者制度の導入を踏まえますと,全体の業務のうち施設管理を行う業務部分につきましては,原則として,営利企業と競合し,または競合し得る状況となるものと考えられます。したがいまして,こうした公益法人に対しましては,先ほども申し述べたような事業内容の改善等の指導を行うことが必要となってくるものと考えております。
 公益法人から切り離すべき事業への対応についてでありますが,県が公益法人等に委託している業務につきましては,まずは,限られた財源の効率的な活用を図る観点から,一般事務事業評価など各種評価制度を通じまして,年度ごとにその必要性や進め方を検証した上,適切に対応しているところでございます。今後も,こうした検証によって,業務を委託する必要性があるものにつきまして,効果・効率性というものを十分検討した上で,委託先を選定するなど,適切に対応してまいりたいと存じます。
 県と関係の深い団体についてでありますが,これまでも欠損が累積するなど厳しい経営状況にある外郭団体につきましては,経営状況の公表を行った上で,経営健全化計画の策定等によります抜本的な経営改革に取り組んできたところであります。今後は,外郭団体の経営状況につきまして,より詳細でわかりやすい情報公開に努めますとともに,目標管理の考え方を取り入れた経営評価を実施・公表することとしておりまして,こうしたことを通じまして,経営改革の必要が判明した団体につきましては,厳しく改革を促してまいる所存であります。
 最後に,ワンストップの協働相談窓口についてでありますが,岡山県ボランティア・NPO活動支援センター(仮称)については,平成14年1月の岡山県ボランティア・NPO活動促進委員会からの提言の中で,ボランティア・NPO等と県・市町村との協働の橋渡しとなることが基本コンセプトの一つに掲げられております。これを受けまして,議員御指摘のとおり,県とNPOとの協働の接点となります窓口を同センターに設けたいと考えているところであります。
 以上でございます。


(保健福祉部長)  お答え申し上げます。
 犯罪被害者支援のうち,相談員に対する支援についてでございますが,相談に従事する際には,相手の気持ちやニーズを把握するために深く耳を傾け,共感と理解を伝えることが心のケアにおいて重要でございまして,ボランティア等に対する研修会などに,保健所,精神保健福祉センター等の専門職員を派遣し,技術的な支援を行っているところでございます。
 また,相談員自身が相談に応じる中で,強いストレス状況に置かれたり,燃え尽き症候群に至ることもあるため,相談員自身のメンタルヘルスについても,精神保健福祉センター,県立岡山病院等の医師等が相談に応じるなど,支援を行っているところでございます。
 以上でございます。


(警察本部長)  お答えいたします。
 まず,民間の被害者支援団体への支援についてであります。
 議員御指摘の被害者サポートセンターおかやまは,昨年11月,岡山県精神科医会,弁護士会等の方々が中心となって民間被害者支援団体として設立され,またDV防止サポートセンターをつなぐ会・岡山につきましては,平成13年に結成され,DV被害者の自立支援等の活動に取り組んでいる民間団体であると承知しております。県警察といたしましては,これらの団体に対しまして,相談員等の養成のための研修やスタッフ等に対する必要な助言を行ったり,協働して犯罪被害者等に対する支援の取り組みを行っているところでありますが,県警察として,さらに支援できることがないのか,これらの団体の要望をお聞きしながら検討してまいりたいと考えております。
 次に,犯罪被害者等早期援助団体の設立指定や個人情報保護法との関係についてであります。
 民間の被害者支援団体が犯罪被害者等早期援助団体としての指定を受けるためには,犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律及び犯罪被害者等早期援助団体に関する規則の規定により,非営利目的の法人であること,事業を行うための施設を有し,一定の相談員を確保することなどが求められており,これらの条件が満たされた場合に,都道府県公安委員会は,犯罪被害者等早期援助団体として指定できることとされております。現時点では,被害者サポートセンターおかやまが犯罪被害者等早期援助団体を目指して事業を展開していることは承知しておりますが,法人格を有していないことなどから,この早期援助団体の申請がなされていないところであります。このため,県警察といたしましては,被害者サポートセンターおかやまが早い時期に犯罪被害者等早期援助団体としての条件を備えるよう,先ほども申しましたように,研修や助言等の支援のほか,同センターの要望をお聞きし,県警察としてさらに支援できることがないのか検討してまいりたいと考えております。
 また,個人情報保護法との関係についてでありますが,議員御指摘の犯罪被害者等早期援助団体の指定がなされるまでの間における民間被害者支援団体等への情報提供につきましては,個人情報保護法及び個人情報保護条例においては,本人の同意があれば第三者へ個人情報を提供することができることとされております。また,犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律においても,犯罪被害者等早期援助団体に情報提供する場合には,事前に被害者等の同意を得てから行うこととされております。
 なお,被害者等の同意を得る場合には,事前に援助の具体的内容や早期援助団体の職員等には守秘義務が課せられていることなどについて十分な説明を行った上で,その同意を得ることとしており,被害者支援に伴う個人情報の取り扱いにつきましては,細心の注意を払って行うこととしております。
 以上でございます。

Copyright (c) 2004 SHINJI SATO Inc. All rights reserved.satoshin.jp