平成16年9月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 防災対策について
 (1)災害への憂い               (総務)[ 知  事 ]
 (2)総合防災訓練               (総務)[ 知  事 ]
   ア 意義と成果
   イ 実施時期
   ウ 集中豪雨を想定した訓練への対応等
 (3)県管理河川                (土木)[ 土木部長 ]
 (4)人口流入地域での危機意識等の醸成
                         (総務)[ 総務部長 ]
 (5)都市型被害への対応            (土木)[ 土木部長 ]
 (6)危険地域の周知              (総務)[ 総務部長 ]
 (7)砂防指定地の見直し            (土木)[ 土木部長 ]
 (8)アクセス窓口の一本化
                     生環協力(総務)[ 総務部長 ]
2 新総合福祉・ボランティア・NPO会館(仮称)等について
 (1)アクセス等の整備             (保福)[保健福祉部長]
 (2)「総合」の意味等         生環協力(保福)[ 知  事 ]
 (3)入居団体による連携            (保福)[保健福祉部長]
 (4)「総合福祉会館」等の活用
                     生環協力(保福)[ 知  事 ]
 (5)NPO
   ア 支援の考え方              (生環)[ 知  事 ]
   イ 介護保険事業者であるNPO法人
                     保福協力(生環)[ 知  事 ]
 (6)聴覚障害者情報提供施設          (保福)[ 知  事 ]
3 介護保険制度について
 (1)評価                   (保福)[ 知  事 ]
   ア 当初目的の達成状況
   イ 制度見直し等
 (2)福祉有償運送               (保福)[ 知  事 ]
 (3)介護と医療の峻別             (保福)[保健福祉部長]
 (4)不適正な請求               (保福)[保健福祉部長]
   ア 居宅介護支援事業所のチェック等
   イ 利用明細の発行




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。
 まずもって,知事の3選に向けまして,自由民主党の議員の一人として一生懸命頑張らせていただきますなどと言いながら,きょうもきょうとて,またマシンガンのように質問を繰り広げさせていただきますので,よろしくお願いいたします。
 まずもって,さきの台風16号,さらには台風18号の被害に遭われた皆様に,心からお見舞いを申し上げます。
 また,石井知事を先頭に,担当課の皆様は文字どおり,不眠不休で対策に当たられていることと思いますし,岡山県職員の多くの皆様が被災現場にボランティアで活動していただいたこと,さらには,生活再建,住宅建築等への単県補助の仕組みの創設など,県民の一人としても,心から敬意と感謝を表させていただきたいと思います。
 現在まさに災害復旧活動中であり,そもそも,あのときこうでした,ああでしたというには,時期尚早かもしれませんが,あくまで人命にかかわることであり,また,ことしの災害はこれで終わりですと断言できるものでもなく,今まさに渦中だからこそ,防災対策そのものについて徹底的に論じておくべきこともあると思います。こういった観点から,岡山県の防災対策に関して幾つかお伺いをいたします。
 まず,すべての前提として,私は,要は,もうこういうことはいつでも起きるのだという意識に基づいて,備えをしても憂いありと防災施策を進めていく必要があると考えます。被災地では,「地球温暖化の影響か,最近,水位が上がっているような気がしていた」という声がありましたが,例えば,私が子供のころ,むしろ少なかったクマゼミが今はアブラゼミに取ってかわろうとしているようなこと一つとっても,何か地球がおかしいというふうにだれもが感じておられるのではないでしょうか。地震もさることながら,異常気象によるような被害は,いつでも起こり得る,そういう覚悟が必要なようにも思いますし,地震と違い,異常気象については人知の及ぶところもあるかもしれません。あるいはなし得ることがあるようにも思いますが,「地球がおかしい,何が起こるかもうようわからん」といった感じを知事もお持ちでしょうか。
 次に,具体的に伺ってまいります。8月29日に予定されていた今年度の総合防災訓練ですが,御案内のとおり,台風16号の接近に伴い中止となりました。大会要綱の留意事項を見れば中止もできるわけですが,前日の午後4時過ぎに早くも中止を決定して,我々にも御連絡をちょうだいしました。しかし皮肉にも,当日,だれがどう見ても一日じゅう暴風圏域になることはなく,多少風はございましたけれども,傘が要る状況ではなく,結果論かもしれませんが,防災訓練ができない状況ではありませんでした。ちなみに,同じ時間に,ある消防の方面隊は元気に夏期訓練を行っておられました。確かに,県の仕切りで参加団体165と,関係団体多数ということで,早急な判断をされたことだと思いますが,啓発という意味では,総合防災訓練自体を中止にしてしまうと,ことしの防災訓練の啓発効果は,報道等で認識される一般県民には何もなかったのではないかということであります。少なくとも,ことしの防災の日,9月1日の防災の大切さを論じる新聞には,一方で,もう既に起きてしまった台風16号による大被害が伝えられていました。予想外のことが起きて,失敗ができて,教訓が得られるからこその訓練なのであって,訓練が早々に中止ができるということは,今まで行っていたのは,県民の皆様に御無理をお願いしながらも,まさにパレードや模範演技のたぐいであって,訓練それ自体が自己目的化していたのではないか,そんな気すらします。あえて水防訓練も含めて,改めて防災訓練の意義,また,このたびの災害における総合防災訓練の成果についてお知らせください。
 また,ことしの防災の日は,二百十日に当たりました。そもそもが,防災訓練のあるこの時期は,地震もさることながら,台風は来る時期でございます。台風で総合防災訓練がこのように中止になるぐらいならば,もともと台風が少しでも来ないころに訓練の時期を変えるべきではないでしょうか,御見解をお伺いいたします。
 ところで,そもそも総合防災訓練の目的は,岡山県地域防災計画,岡山市地域防災計画及び関係団体の防災業務計画に基づき,これら防災関係機関及び地域住民が一体となって大規模地震発生時における災害応急対策を実施することにより,県域の総合的な防災体制の充実強化と県民の防災意識の高揚を図るというもので,想定されている災害はあくまで地震であります。具体的には,本日午前9時,紀伊半島沖を震源とする県内最大震度5強の大規模地震が発生して,さまざまな被害が生じているというものであります。ただ,我が「晴れの国おかやま」においては,台風の日にも,夜にも地震は来ないということが前提の訓練と言えるかもしれません。もっと言えば,水防訓練も行われてはいますけれども,台風の当たり年に,また,ことしの新潟県や福井県の集中豪雨で大被害が出たにもかかわらず,防災訓練で地震による津波は想定しても,例えば集中豪雨による大規模な堤防の決壊は想定していなかったのかということであります。一体,我が県は他県で起きた災害から何の教訓を得て,何を県民のために備えていたのでしょうか。
 とはいうものの,ことしの都道府県防災訓練のうち,集中豪雨を想定した,例えば高齢者の避難誘導訓練を実施したのはわずか4県でありました。少なくとも,岡山県も総合防災訓練でかような想定はなく,仮に8月29日に総合防災訓練を実施したとしても,あるいはたちまちの今回の高潮被害への効果があったかは不明であります。しかし,7月の新潟豪雨災害を受け,中央防災会議も8月5日,ことしの総合防災訓練大綱を改定し,集中豪雨を想定した訓練の実施を求めていました。ただ,その改定が伝わったのは8月19日であると伺っております。これに対して,我が県の対応はいかがだったのでしょうか,また今後の方針についてもお知らせください。
 そもそも住民に対する情報伝達,高齢者など災害時要援護者の避難誘導,災害時要援護者の救出は,地震で訓練すれば,集中豪雨でも応用できるというのが実施しない理由として挙がるとすれば,「地震と水害の備えは,避難場所一つとっても全く質が違う」という専門家の声もございます。少なくとも,例えば,水害で災害時要援護者の高齢者の方が水死するという事態は,私は地震とは違い,むしろ2次的な人災であって,あってはいけないことだと,そのように思います。
 これに関連して,新潟豪雨以来,本県でも,少なくとも決壊が予想される箇所について,一級河川については国土交通省が動いたように思いますが,新潟県でも破れたのは,予算も潤沢な国管理ではなく,県管理河川であったように記憶しております。県の管理河川については,どういう点検を行ったのでしょうか。特に,平成12年6月定例会でも申し上げましたし,けさほどは波多議員からも御質問がありました。一部天井川になる笹ヶ瀬川については,まずは大規模な決壊等が生じないよう整備を急ぐべきであると思いますが,現在の取り組みを土木部長にお伺いいたします。
 さらに,新興の住宅地など,周辺に若い世代の流入が目立つような地域では,危機意識や防災体制の醸成が必要ですが,現状の取り組みについて,総務部長にお伺いいたします。
 また,堤防が決壊するだけではなく,雨水があふれたり噴き出したりすることで,地下街等が浸水するような都市型の被害についてはどのように対応しているのでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 私は,ハザードマップをつくること,これも大変重要なことだと思いますが,むしろ,こうしたものをよく目につく看板等で,当該地域が危険地域でもあることが地域住民に認知されることの方がより重要だと思いますが,今後どのように避難場所を含めて,危険地域を地域住民に伝えていくのでしょうか,総務部長の御見解をお知らせください。
 さらに,かなり古い法律に基づいて,砂防指定地に指定され,規制がかかっている状況があります。宅地開発などにより土地の原状が変わり,規制をする必要がなくなっている場合や,逆に状況の変化により,新たに指定を行わなければならない地域もあらわれることも考えられますが,そのような状況の変化に対応した指定地の見直しは行われるのでしょうか,土木部長にお尋ねいたします。
 また,今回,個人が災害ボランティアに参加する場合に,必ずしも情報が一元管理されていませんでした。救援物資も国際課が集められたりもしておりましたが,県としてもう少し機動的に市民の皆さんと接するためにも,ボランティアや救援物資のアクセス窓口を一本化することが必要なように思いますがいかがでしょうか,総務部長にお尋ねいたします。
 次に,岡山市南方の旧国立病院跡地の新総合福祉・ボランティア・NPO会館(仮称)についてお伺いいたします。
 この施設には,中央児童相談所,女性相談所,社会福祉協議会,県消費生活センター,さらに福祉人材センター,福祉相談センター等々に加えて,ボランティア・NPO活動支援センター,さらには待望の聴覚障害者の方の情報提供施設が同居いたします。何しろ,これはPFIの事業形式でございますから,管理運営もPFI事業者の判断によるということですが,7階建ての巨大なこの施設の内容は,一般にはまだ未知なる部分が非常に多く,既に開館1年前になっているにもかかわらず,関係者の方からどうなっているのかといった不安の声が上がってきております。そもそも,この南方の国立病院跡地は,駐車場への長い列で御記憶のように,交通の便が実はさほどよいところではございません。とりわけ障害者の方にとっては,岡山駅からも中途半端に近い距離で,いわゆるシャトルバスでも走らせないと,非常に行きがたい場所ではあります。また,導線のユニバーサルデザイン化,周辺の照明灯等の整備もなされないといけません。こういった点の整備はどのようにお考えなのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 この新会館の管理運営で一番重要なことは,福祉関係の各種団体が同居することで,ある意味,例えば障害のある方の雇用が図れたり,またNPO・ボランティアが積極的に活用されるということだと思います。また,こうした団体を有機的に結びつけていくためのマネジャーを置く必要があると思いますが,総合することの意味とあわせて見解をお知らせください。
 ところで,総合をうたう割に,それぞれの施設の連携をしようにも,協議会的なものをつくるにも,管理運営主体すらいまだ不明で,連絡調整どころか,どこに何が来るのか,お互いが知らない状況になっています。早急に入居予定団体による情報を共有した連携の機会が必要だと考えますがいかがお考えでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,この会館の開館に伴って,後楽園の玄関口であり,文化ゾーンの中にある既存の現在の岡山市石関町の総合福祉会館,そして出石町のゆうあいプラザの有効活用も考えていかないといけませんが,いかように活用されていくのでしょうか。
 さらに,具体的にお伺いいたします。
 まず,NPOについてです。「新世紀おかやま夢づくりプラン」の数値目標の200を既に超えているNPOでございますが,さらにインキュベートを考えた施設をつくる計画のようであります。もはやふ化した後は,いかに大きく育てていくのかを考える時期に来ているのではないでしょうか。行政の掲げるNPO法人が幾つあるかなどという数値目標の達成自体は,個々のNPOには関係のないことでありまして,既存のNPOには,むしろ,人・情報・物・お金,連携の充実こそが重要であり,あえて言えば,行政サイドからしても,NPOの新規創設支援に加えて,既存のNPOをいかに支援していくのかという視点の方が重要な時期に来ているように思います。NPO支援を起業支援と同様にとらえてはいけないのではないか。そして,既存のNPOが各階の施設といかに連携していくのかという視点も極めて重要であります。だからこそ,管理運営等のNPO支援の主体もNPOであるべきだと私は考えますが,こういった点についていかように御認識でございましょうか。
 これに関連して,一般に,NPO法人と言っても,その活動内容は実にさまざまでございますが,その中には,後でも伺いますが,介護保険の指定事業者であるものも約30団体あるそうであります。NPOは,特定非営利活動法人でございますが,介護保険が介在した場合,その実質は営利活動で,本来イメージされているNPO法人そのものではないのではないか,あるいはほかのNPO法人と同列に論じるべきではないのではないかという声がNPOの内部から上がってきております。
 そこで,知事がNPOとの協働と言われる場合のNPOは,こうした介護保険サービス事業者を意味しているのか,夢づくり指標に掲げる認証数の中に,こうしたNPOの増加をイメージされているのか,また新会館でこうしたNPOをインキュベートして,社協等との協働を考えておられるのか,お伺いいたします。
 次は,待望の聴覚障害者情報提供施設についてであります。これをもって,全国でも非常にまれと言われておりました聴覚障害者と視覚障害者の複合支援施設である岡山市西古松の視聴覚障害者福祉センターは,視覚障害者支援の単独施設になる予定と聞いておりますが,来年,新会館に入居する聴覚障害者情報提供施設の管理運営についてお伺いいたします。
 聴覚障害者の方の中には,厳密に分ければ,聾者,難聴者,中途失聴者がおられます。そして,その連携が極めて重要であると思います。特に,手当てが必要なのは,突然聴覚を失われた方々で,そういった中途失聴の方々が生活支援も含めた相談にお越しになられる総合の相談窓口の開設も必要だと思います。さらに,そういった各種協会の事務局が集積するということも肝要だと思います。また,いわゆる聴覚障害者の方で手話を理解される方は,実は全国調査の結果では約15%しかおられないと言われておりますが,そういった意味では,手話サークル同様,要約筆記クラブへの支援も重要であります。そして,こういった施設の管理運営もまたそういった団体の連携組織にゆだねるべきだと思います。こういった点についていかように御認識でしょうか。
 最後に,介護保険についてお伺いいたします。
 おかげさまで,私もこの7月で40歳になりましたので,介護保険に加入させていただきました。そのせいもあってか,議員になってからずっと毎年毎年何かもう確実に報酬が減っているというふうな気持ちがいたしております。
 さて,2000年にこの介護保険がスタートし,4年が過ぎましたが,介護保険の不適正な給付など,多くの問題が発生しております。行政と民間で協力し合い,理想的な介護保険制度をすべての国民が真剣に検討し,つくり上げなければ,今後の不安が解消されないのではないでしょうか。介護保険利用者のニーズの把握,事業所の適正な評価等,多くの課題があると思います。そして,私も先日父を亡くして思うに,人間の幸せな最期というものは,できれば子供に手を握られながら安楽に終わりを迎えることだろうなあとも感じるのですが,介護保険には,一方で財政問題もあったでしょうが,一方ではある意味の家族のあり方の理想のようなものもあったのではないかなと,そのように思います。
 まず,保険の主体は市町村でありますけれども,本来,保険というものは,どんどん使ってくださいねといった性質のものでもなければ,とりわけ在宅介護を目指す介護保険という観点からすれば,介護保険は当初の目的を達成しているのだと知事はお考えでしょうか。
 特に,18年度には,予防の重視という考え方により,要介護1,要支援には,従来のサービスが使えないという動きがあるようですが,あるいは介護保険は4年目にして,既に財政的に破綻してしまっているのではないかという声がありますが,この点はいかが御認識でしょうか。
 次に,構造改革特区のうち,福祉移送特区ということで,NPO法人や社会福祉法人が福祉有償運送に参入されていますが,このNPO法人や社会福祉法人には,訪問介護事業者が多いと聞いております。ところで,平成18年度からは,訪問介護事業者が通院時の乗降介助と一体的に行う移送は,道路運送法の許可が必要になるとされ,同じ訪問介護事業者であっても,NPO法人や社会福祉法人等である場合と有限会社等である場合とでは,2種免許の取得の有無や運転手の雇用形態,さらには助成や寄附に至るまで,著しい取り扱いの違いが指摘されています。こうした福祉移送事業の現状にはさまざまな問題があるように思いますが,移動手段が確立されていない障害者や高齢者の方々について,現在十分な移送がなされていると御認識されているでしょうか。
 また,登録された車両の使用,感染症対策としての車内消毒や医療教育,ストレッチャー特殊車両の充実,緊急時の対応設備など,福祉有償移送にはさらに専門性が求められると思いますが,どのようにお考えでしょうか。
 また,移送に関連して,介護と医療の峻別の考え方から,一たび病院に入れば,これはもう病院に任せてしまって,ヘルパーは付き添わないようにという指導がなされていると伺っております。これは現実的ではないのではないかという現場の声が聞こえてきますが,その指導の理由を保健福祉部長にお伺いいたします。
 次に,介護保険での不適正な請求が後を絶たない状態でございますが,こうした不適正な請求は,居宅介護支援事業者と居宅サービスの事業者が同一法人である場合が多いと思います。そういったところへのチェックはどのように行われているのでしょうか。特に,かねてから指摘されているケアマネジャーの中立性の確保,これは非常に重要なことだと思いますが,いかように図られているのでしょうか,保健福祉部長にお尋ねいたします。
 そして,私は,非常に重要なことだと思うんですけれども,医療保険の場合には,利用者に明細が発行されるわけですけれども,介護保険利用者にも,今よりもより詳細な利用明細を発行すべきではないかと考えますが,保健福祉部長のお考えはいかがでしょうか。
 以上,おのれの老後の保障は余りないような状況の中で,子供たちやそして高齢者の方々の安全・安心のために,きょうも働き続けております30代や40代の世代にも,どこか夢と希望が持てる,そんな答弁がいただけることを心からお願いして,質問を終わらさせていただきます。
 まことにありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えを申し上げます。
 まず,防災対策であります。
 災害への憂いということについてのお尋ねでございますが,地震が大変多くなってきているように感じられるようなこととか,あるいはことしは特に日本に台風が既に7度も上陸をしたといったようなこと,あるいは雨の降り方も局地豪雨といったような形で集中的に雨が降るような,そういう状況がよく見られるといったようなこと,あるいは小さいときに比べまして暖冬といいますか,冬が暖かくなって雪が少なくなってきた,いろんなそういう状況を見るときに,御指摘のような思いというもの,感じというものは,私自身も幾らか持っているところでございます。現在のような生活をめぐる自然あるいは社会環境の急速な変化とか,あるいは東南海・南海地震の高い発生確率というものが予測されております今日,常に危機意識を持って対応していかなきゃいけない,このことが大変重要であると,このように考えているものでございます。
 次に,総合防災訓練でありますが,意義と成果であります。その意義といたしましては,水害特別防災訓練や総合防災訓練などを通じまして,災害発生時の防災体制の機能の確認や,応急対策等の実施によります実効性の検証,さらには防災関係機関相互の連携強化を図るほか,県民の皆様方の防災意識の高揚と知識の向上を図っていく機会とするなど,こういったことにあると考えております。
 総合防災訓練の成果といたしましては,実施に向けまして,防災関係機関が一堂に会し,訓練で実施をいたします防災活動の検討や意見交換,訓練リハーサルを行うことを通じまして,各防災関係機関の役割確認とか,あるいは連携が図られたと,このように考えております。このたびの台風災害に当たっては,日赤や自衛隊,ライフライン等との連携体制におきましては,これは一定の成果が生かされたと,このように考えておりますが,しかし被災状況を踏まえますと,残念ながら,被害情報の収集,住民への伝達方法等,今後の検討課題があるものと,このように考えております。
 次に,総合防災訓練の実施時期でありますが,関東大震災が発生いたしました9月1日は「防災の日」に指定されておりまして,その前後の8月30日から9月5日の間は防災週間となっているということから,中央防災会議からも,訓練実施日は「防災の日」または防災週間内に設定することが望ましいとされておりまして,また全国的に見ましても,36都道府県がこの時期に実施をしているものでございます。したがいまして,本県におきましても,防災意識の啓発効果が高いこの時期に合わせまして,総合防災訓練を実施することが適当と考えているものであります。
 なお,風水害に対する備えといたしましては,例年6月に水害特別防災訓練を実施しておりまして,今後,その充実を図ってまいりたいと存じます。
 集中豪雨を想定した訓練への対応等でありますが,総合防災訓練を8月29日に実施をするためには,会場設備や訓練用模型等の作製等の諸準備があるため,遅くとも8月上旬ころには,訓練内容を確定させておく必要があります。中央防災会議の改定内容が県の方に今回伝わった19日の時点では,既に訓練内容の本格的変更を図ることは困難となっておりまして,当初から盛り込んでおりました情報収集訓練等を実施することによって対応するということを考えたものであります。
 今後の訓練方針でありますが,災害時要援護者の避難・誘導等につきまして今回の高潮災害の検証をすることとしておりまして,その検証結果を今後の訓練に生かすことにしていきたいと思います。
 次に,新総合福祉・ボランティア・NPO会館(仮称)等についてであります。
 まず,総合の意味等でありますけれども,新会館は,ボランティア・NPO活動の支援拠点,福祉活動の拠点,県の相談・支援拠点の3つの機能をあわせ有するということで,総合拠点機能施設といたしまして計画をしているものであります。新会館に入居いたしますボランティア・NPO,各種団体等が連携をすることによって,それぞれの事業効果がより一層高まるものと,このように私も期待をしております。議員御指摘の,団体を有機的に結びつけていくためのマネジャー設置のお話でございますが,これは意義ある御提案であると私は受けとめておりまして,団体間の連携を図る仕組みづくりを今後具体化をする中で,お話いただきました趣旨が反映できますように各団体とも十分協議をしてまいりたいと存じます。
 総合福祉会館等の活用でありますが,まず現在の総合福祉会館につきましては,新会館に入居団体の大半が移転をすることから,保健・医療・福祉を中心にいたしまして,さらに教育・文化など幅広い観点から有効活用が図られますように,共同所有しております財団法人岡山県福祉事業団と協議を現在進めているところであります。
 また,ゆうあいプラザにつきましては,新会館がオープンをした後は,県の普通財産といたしまして有効な活用を図ることといたしたいと存じます。
 次に,NPO支援の考え方でありますが,新会館のNPO活動支援センターは,NPOの立ち上げ支援のみならず,交流,連携,相談,情報発信等,NPO活動を促進するための総合的な支援の拠点といたしまして,多くのNPOに活用されますように今後努めてまいりたいと存じます。
 また,管理運営等についてでありますが,「岡山県ボランティア・NPO活動の促進に関する基本指針」に基づきまして,ボランティア・NPOとの協働により行うこととしておりまして,現在,その具体的な手法というものを検討しているところであります。
 介護保険事業者であるNPO法人についてでございますが,高齢者の介護事業は特定非営利活動の一つとなっておりまして,収益を特定非営利活動のためだけに使うのであれば,NPO法人として問題はないと,このように解されているところであります。NPOとの協働という場合のこのNPOも,快適生活指標に掲げております認証数も,また新会館における協働の対象も,介護保険事業者を含むすべてのNPOを包括するものと考えております。今後とも,パートナーシップ社会の実現に向けまして,多様なNPO活動を積極的に促進をしてまいりたいと存じます。
 聴覚障害者情報提供施設でありますが,この施設は,県内に住むすべての聴覚障害者に対しまして,情報提供とコミュニケーションの確保を図っていくための拠点施設であるということを踏まえまして,現在,指定管理者制度を導入する方向で管理運営も含めまして,そのあり方について関係団体等の意見を聞きながら検討しているところであります。聴覚障害者はもとより,支援する団体やボランティアグループ等が自由に活用できますように努めてまいりたいと考えております。
 次に,介護保険制度であります。
 当初目的の達成状況でありますが,介護サービスの利用者は年々増加してきておりまして,居宅サービスで見ますと,発足当時に比べまして,現在では2倍以上となってきております。また,昨年,県が実施をいたしました実態調査では,居宅サービス利用者の7割以上がサービス内容に満足しているということ等からいたしまして,課題も見受けられますものの,制度は当初の目的に沿いまして着実に定着をしてきているものと認識をいたしております。
 制度見直し等でありますが,国の社会保障審議会介護保険部会が本年7月に取りまとめをいたしました「介護保険制度の見直しに関する意見」では,要支援,要介護1など,比較的軽度の方々に対するサービスが状態の改善につながっていないのではないかとの指摘を踏まえまして,介護予防の視点から,既存サービスを見直して,新たなサービスを検討するということが盛り込まれているところであります。また,本県の介護保険財政は,県全体で見ますと,おおむね順調に運営がなされているところでありますが,今後,国において持続可能な制度を目指して,具体的な改正が行われると,このように承知をしております。その動向を見守ってまいりたいと存じます。
 福祉有償運送でありますけれども,道路運送法の規制緩和によりまして,タクシー事業者以外にも有償運送が認められて,現在22法人が許可を受けて運行しております。タクシー及び福祉有償運送の事業者がお互いの特長を生かした多様な移送サービスが提供されるものと,このように期待をいたしているものであります。
 なお,福祉有償運送の専門性,安全性の確保が重要であると考えておりまして,運転者に対しまして障害者等に対応する実技講習等を義務づけておりますが,今後,介助講習会を開催いたしますとともに,岡山運輸支局,市町村と合同で事業者の巡回指導というものを予定しているところでございます。
 私からの答弁は以上でございます。


(総務部長)  お答え申し上げます。
 防災対策にかかわります人口流入地域での危機意識等の醸成についてでございますけれども,県では,防災意識の高揚を図るため,毎年,防災週間や防災とボランティア週間には,防災訓練の実施や全振興局での防災パネル展の実施,また防災講演会やテレビ,ラジオ,「グラフおかやま」などでの広報によりまして意識啓発を図っているところでございます。
 御指摘にありましたような一部の限られた地域に対します取り組みにつきましては,一義的には,関係市町村において実施されるべきものと考えておりまして,今後,各市町村においてきめ細かな対応を図りますよう,県といたしましても積極的に助言してまいりたいと考えております。
 次に,危険地域の周知についてでございますが,避難場所は災害対策基本法に基づきまして市町村長が指定するものでございます。県内全市町村でその指定はなされているものの,避難場所を示す標識の設置につきましては,残念ながらいまだ設置していないところもございます。こうしたことなども踏まえまして,県といたしましては,県民への情報提供として,昨年度から,全市町村の避難場所を県のホームページに地理情報システム──英語の頭文字をとりますとGISと申しますが──これに掲載しているところでありまして,今後,各市町村に対しまして,避難場所の周知に努めるよう助言してまいりたいと考えております。
 一方,危険地域につきましては,県が所管しております防災上注意すべき土石流危険渓流,地すべり危険地区などにつきましては,危険性の高いところから適宜看板を設置しているところであります。
 また,水防法に基づき,県において,一部の河川の浸水想定区域とその水深を示しました図面を公表していく予定としておりますが,こうしたもの以外の防災上の危険な地域を周知することにつきましては,災害対策基本法に基づき,一義的には市町村が行うものと考えております。ただ,住民の資産価値等にも影響することから,慎重な研究が必要であると,かように認識しているところでございます。
 次に,アクセス窓口の一本化についてでございますが,御指摘のように,ボランティアや救援物資等の対応は所管部が異なっております。したがいまして,まずはそれぞれの窓口が緊密に連携し,互いに有する情報を共有化するなど,県民の方々がどの窓口にアクセスされても必要な情報が提供できるよう工夫いたしますとともに,災害の態様,規模等に応じ,県民への窓口の一本化を図ることも含めた県の体制のあり方等についても今後検討してまいりたいと,かように考えております。
 以上でございます。


(保健福祉部長)  お答え申し上げます。
 まず,新総合福祉・ボランティア・NPO会館(仮称)のアクセス等の整備についてでございますが,障害者の方の利用の便を図るため,屋根つきの身体障害者用駐車場を21台分整備するとともに,福祉タクシー専用の乗降スペースを確保することとしております。
 また,お話いただいた導線のユニバーサルデザイン化などは重要なことと認識しておりまして,点字と音声による視覚障害者の誘導装置やスロープなどの施設整備を進めるとともに,周辺環境整備やアクセスについても,必要に応じて岡山市など関係者へ働きかけるなど,すべての人が利用しやすいものとなるよう改善に努めてまいりたいと考えております。
 次に,入居団体による連携についてでございますが,新会館の機能を十分に発揮するためには,お話のとおり,入居団体の連携の機会が必要であると考えております。現在,ボランティア・NPO活動支援センター及び聴覚障害者情報提供施設について管理運営主体の検討を行っているところであり,できるだけ早く管理運営主体を決定いたしまして,連携の機会を設けてまいりたいと考えております。
 次に,介護保険制度の移送に係る介護と医療の峻別についてでございますが,通院等乗降介助の場合,原則として,診療前の受け付け等の手続まで,それから診療後の薬の受け取り等を介護保険の対象の原則としているということで,まずこのことを申し上げてございますが,当該介護報酬の中で必要に応じて院内の介助も実施することが可能でございます。
 一方,診療に伴います院内の移動等の介助は,基本的には病院のスタッフにより対応されるべきものとされていることから,介護サービス事業者や医療機関等に対しましては,その利用者の方の必要な介助が途切れることがないようにということで指導しているところでございまして,今後とも,そのように指導してまいりたいと考えております。
 次に,居宅介護支援事業所のチェック等についてでございますが,県では,岡山県国民健康保険団体連合会に導入されております介護給付適正化システムや介護適正化110番制度を活用いたしまして,事業所に対する重点的な指導を実施し,不適正な請求の早期発見に努めているところでございます。
 また,ケアマネジャーの中立性の確保につきましては,研修や実地指導等により徹底を図っているところでございますが,ケアマネジメントの公平性,中立性を確保する体制の整備が何より重要であることから,県独自に国へ提言しているところでございまして,所要の制度改正が図られるものと期待しているところでございます。
 次に,利用明細の発行についてでございますが,介護保険法等により介護保険サービス事業者は,利用者から費用の支払いを受ける際には,1割負担の額や食事の負担額,その他の費用の額をそれぞれ個別の費用ごとに区分記載した領収書を交付することとなっておりまして,適正化の観点からも指導を徹底してまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(土木部長)  お答えを申し上げます。
 防災対策についての御質問のうち,まず県管理河川についてでございますが,本年も梅雨前の5月に水防上重要な箇所等につきまして,堤防の亀裂や護岸の崩れなどの点検を行ったところでございます。特に本年は,新潟県や福井県の豪雨を契機といたしまして,8月に再点検を実施いたしました。その結果,早急に修繕を要する箇所につきましては,既に一部で対策工事を実施しているところでございます。
 また,笹ヶ瀬川につきましては,岡山市尾上地内の砂川との合流地点から上流は既に改修がおおむね完了しているところでございます。現在,県道岡山倉敷線白石橋から市道比丘尼橋までの間につきまして,JR吉備線橋梁のかけかえ及び堤防の整備等をおおむね5年以内の完成をめどに重点的に事業を進めているところでございます。
 次に,都市型被害への対応についてでございますが,市街地の浸水対策につきましては,従来より,下水道事業者であります市町村が排水路やポンプ場の整備を進めてきたところでございます。平成10年の台風10号により市街地の中心部が浸水被害を受けました津山市では,河川管理者である県と市が連携をいたしまして,総合的な雨水対策計画の策定を行い,強制排水ポンプの設置,幹線管渠の新設工事などを行っております。また,岡山市におきましては,公共下水道事業により順次浸水対策を進めており,現在,浦安のポンプ場や雨水管渠の整備を行っているところでございます。今後とも,県と市が連携をいたしまして,市街地の浸水対策を進め,都市型の浸水被害の防止に努めてまいりたいと考えております。
 次に,砂防指定地の見直しについてでございますが,砂防指定地は,住民の生命と財産を守るため,砂防堰堤や護岸などの砂防設備が必要な土地や,土石の採取や工作物の設置などの一定の行為を禁止または制限すべき土地について指定をしておりまして,県内では現在までに指定を解除した事例はございません。また,状況の変化により新たに指定が必要となった箇所や,地元同意などの事業実施の準備が整った箇所について指定を行ってきているところでございます。
 以上でございます。

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