平成13年6月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1. NP0支援について             (生環)[ 知  事 ]
(1) 遊休施設の活用
(2) 情報提供
(3) 審査基準
(4) 人材育成
2.児童虐待について
(1) 父親学と男性の育児参加          (保福)[ 知  事 ]
(2) 母親の育児不安への対応          (保福)[保健福祉部長]
(3) 児童相談所の相談への対応         (保福)[ 知  事 ]
(4) 加害者指導                (保福)[保健福祉部長]
(5) 児童養護施設等への支援          (保福)[保健福祉部長]
(6) 里親                   (保福)[保健福祉部長]
(7) 警察の取組                (警察)[警察本部長]
(8) 石井十次                 (保福)[ 知  事 ]
3. 動物愛護について
(1) 愛護思想の普及
   ア 条例等の普及              (保福)[ 知  事 ]
   イ 警察の対応               (警察)[警察本部長]
   ウ 去勢・避妊手術への助成         (保福)[保健福祉部長]
(2) ペット税                 (保福)[ 知  事 ]
(3) 動物愛護センター             (保福)[保健福祉部長]
4.都市交通について
(1) 乗合バス                 (生環)[ 知  事 ]
(2) 交通バリアフリー法            (生環)[ 知  事 ]
(3) 地域ITSの有効活用           (土木)[土木部長]
(4) 使いやすい公共交通            (生環)[生活環境部長]
5.教育改革について
(1) ゆとり教育                (教育)[教 育  長]
(2) 総合的な学習の時間
  ア あり方・目指すもの            (教育)[教 育  長]
  イ 小学校での英会話学習           (教育)[教 育 長]
   ウ 県立児童会館              (保福)[保健福祉部長]
   エ 学校支援ボランティア          (教育)[教 育 長]
(3)高校生会議                 (教育)[教 育 長]




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治です。
 まずもって,先日の池田市の痛ましい事件の被害者となった子供たちの御冥福を心からお祈りいたします。また,地域社会に開放される学校の安全体制の確立と,このことで心の病に苦しむ方への偏見が助長されることがないよう切に願います。
 それでは,通告に従いまして質問させていただきます。
 先日,お示しいただいた新世紀おかやま夢づくりプランの策定方針を拝読いたしますと,岡山県が目指す「快適生活県おかやま」の実現のために,知事がNPOやボランティアに対して非常に大きな期待をされておられることがうかがえます。現在,NPOの運営をネットワークを通して側面より支援し,よりよい市民社会の発展に貢献することを目的とする岡山NPOサポートネットワークが,岡山県社会福祉協議会や県民生活課のバックアップをちょうだいしながら非常に活発な活動をされていますし,岡山労働金庫さんのように,NPO立ち上げ助成制度やNPO法人向け融資制度をつくられたり,NPO活動をサポートする多くの力が岡山に生まれています。
 また,この春より,中国地方では初めての社会貢献活動の支援に関する条例及び全国でも珍しい特定非営利活動法人に係る県税の特例に関する条例を制定することができ,その結果,県内のNPO法人認証状況は,認証済みが52法人,申請中が7団体と順調に推移しています。さらには,本年10月1日より,NPO法人のうち非営利,公益性の視点から,一定の要件,基準を満たすものを,国税庁長官が認定NPO法人として認定し,さらなる優遇措置を行います。まさに順風満帆と言える岡山県のNPO支援の動きとは思いますが,さらに全国に先駆けるべく幾つかの提言や質問をさせていただきます。
 今回の支援条例では,ボランティアやNPO活動に対する県の責任を明確化し,その自発性自主性を損なわない側面的支援に限定し,また,具体的には,拠点機能の整備,情報提供,人材育成などの目標を掲げられています。そのうち,まず拠点機能の整備につき,我が党の代表質問のうち,旧国立岡山病院跡地,新総合福祉ボランティア会館の事業計画の進め方についてお答えいただきましたが,やはりNPO・ボランティア活動の隆盛を見るにつけ,今ある県の遊休施設を暫定的にでもNPO・ボランティア活動支援センターとして直ちに利用できないか,知事にお尋ねします。
 次に,情報提供につき,私はNPO支援の行政窓口を一本化すべきだと考えます。さまざまな委託事業のメニューが各課にあるわけですが,NPOやボランティア団体の側からすれば,その情報管理が一元化されていません。どこにどんな委託事業があるのか,どんな募集があり,どんな基準で選ばれるのかがワンストップでわからないといけません。また,いわば随意契約を受けたような団体が,恒例の委託事業費を消化するというのではなく,その委託事業についても事業評価がなされるべきだと思います。委託事業であれ,税金を使う限りは常に情報公開する,事業成果の説明をする,そういう覚悟は委託事業に申請した団体には必要になります。それは,間違いなくNPOやボランティア団体の信用を高めることになるでしょう。そのためには,将来的には,例えばNPO・ボランティア支援室という,はっきりした窓口が必要であると思います。少なくとも,産業支援ネットワークのようなホームページですべての課の委託メニューの募集がわかるようなNPO情報提供プラットホームが必要と考えますが,いかがでしょうか。
 加えて,晴れの国おかやま国体や全国障害者スポーツ大会のボランティアの募集にも,こういったサイトは活用できると考えますが,いかがお考えでしょうか。
 また,NPO法人への委託事業の審査基準について,現在委託されている事業を例に,その考え方をお知らせください。
 さらに,人材育成について。端的にNPO・ボランティアに必要な人材とは何かというと,現段階ではやはり会計ができる方ではないか。NPO法人の認証を受けるにも決算報告するにも,どうしても会計の知識が必要です。あるいは会計が,認証や認定のネックになっていくかもしれません。そこで,この会計ができることを含め,NPO・ボランティアの人材育成をどのように行っていくのか,お伺いいたします。
 次に,私ごとながら,昨年生まれた子供もきょうで7カ月,寝返りを打ちながら転げ回り,ここからちゃんこ,はいはいと,かわいい盛りです。それにしても,世の中には,どうしてこんなにかわいい子供を殴ったり殺したりする親がいるんだろうと疑問でなりません。昨年11月20日に施行された児童虐待の防止等に関する法律は,児童虐待を防止し,虐待への対応を図るものですが,今回成立した法律は,当面の緊急法整備的なもので,附則第2条で施行後3年を目途として,この法律の施行状況等を勘案,検討し,必要な措置を講ずるとしており,児童虐待については,引き続きまだまだ議論を深めていく必要があると思います。私自身が子育て中の世代ということもあり,むしろ虐待する親はどんな親なんだろうか,同じ時代をどのように生きてきたんだろうかと考えます。経済的な豊かさ,そしてバブル崩壊の中で,家族の社会からの孤立,そこから来る育児の密室化,地域社会の子育て能力の低下,虐待する親の多くがみずからも虐待を受けていたという世代間連鎖も指摘されています。彼らもまた,みずからの暴力の由来におびえ苦しんでいるかもしれないのです。母親の3人に1人が子育てに困難を感じ,さらに5人に1人は子供を虐待しているのではと悩んでいると言われます。子育てを母親だけに押しつける家族関係のもとで,虐待しているのではと思う母親は,親として不適格と自分を責め,さらに自信をなくしてしまう,そんな母親を孤立させない支援も必要です。大切なのは,虐待を防止する力を家族の内と外にどう築くかということだと思います。そして,児童虐待があった親子が温かい家庭を取り戻すこと,親子を引き離した後に正常な関係に修復する,不幸の連鎖を断つ,究極の目標はそれしかないと思います。そういった観点から幾つか質問をさせていただきます。
 まず,家庭内においては,子育てに関して,すべて母親任せにしないように,やはり男親,父親の働きが重要だと思います。以前,知事は「父親が積極的に育児というものにかかわっていくという,共同で育児をしていくということ,これが何よりも大切なテーマ」とおっしゃられました。どうか新米パパに,知事御自身の育児体験を踏まえ,「父」とは何か,「親」とは何か,御教示ください。知事も,おしめはかえられたのでしょうか。
 また,子育てに関心を示さない男性に,基礎から父親学を教育すべきではないか。父親の相談事業を展開すべきであると思います。父親が子育てするために,私は,男女共同参画家庭,男性よ家庭に帰れと強く申し上げたい。家庭を顧みず,仕事も遊びも男のかい性などという風潮に対して,平日にPTAの行事に参加しても構わない,積極的に育児休暇の利用をすべきであるといった啓発をどのように行われていかれるのでしょうか。
 また,2001年度から厚生労働省や地方自治体の助成事業に加え,産科医と小児科医が連携して,出産前の女性に育児指導を行う日本医師会の事業も始まっていると伺っていますが,その取り組みを含めて,母親の育児不安への対応について,保健福祉部長にお伺いいたします。
 次に,児童相談所の相談への対応についてお尋ねします。
 土曜,日曜日も児童相談所の相談業務を行い,24時間体制で相談を受けつけ,ふえ続ける虐待,その他の相談に対応すべきだと思いますが,いかがでしょうか。
 また,7月には青少年対策の相談窓口を一本化した岡山青少年総合相談センターを設置するとのことですが,緊急性を要する児童虐待への相談等,児童相談所との機能分担はどのようになるのか,あわせて保健福祉部長にお伺いいたします。
 不幸にして虐待が起きた場合,児童相談所が児童と親の両方を指導していくことが効果的であると思われますが,年間300万件もの虐待報告のあるアメリカでは,再発防止のため加害者である親の精神的ケアを制度化している州が多いと言います。虐待の重症度が高いほど,自分から治療に結びつこうとしないとすれば,強制的に子供と引き離してでもケアを受けさせる必要もあると考えます。加害者となった親の指導についてはどのように行われているのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,虐待された子供を保護し,適切なケアを行う重要な場所として児童養護施設や情緒障害児短期治療施設があります。子供たちが安心して生活でき,そこで勤務する職員の方々も余裕を持って子供たちにかかわることができるような体制がなければ,児童虐待の対策としては不完全であると言わざるを得ません。施設内でのケア,社会に出た後の糧となる学習指導,さらに生活支援対策の現状と今後の支援策について,保健福祉部長にお伺いします。
 さらに,保護者との分離を余儀なくされた子供たちには,施設での養護だけではなく,家庭養護が重要です。児童福祉法第27条は,委託先として,まず里親を挙げています。ここでいう里親は,里親制度のうち養子縁組が前提の養子里親より,むしろ養育里親です。実の親が育てられるようになるまでの一定期間,家庭的な環境を提供し,心身の健やかな発達を促そうとするもので,1カ月から2年が目安ですが,長期間面倒を見る里親もいるそうです。アメリカなどでは,子供の半数近くが一般家庭に引き取られると言われますが,日本では1割程度です。日本の狭い住宅事情,核家族化の進行など養育能力の低い家庭がふえる中,代役の必要性は一段と高まります。今後里親の活用についてはどのようにお考えでしょうか,保健福祉部長にお伺いします。
 昨年11月20日に児童虐待防止法が施行され,約半年が経過しておりますが,県警察における児童虐待事案の取り扱い状況はどのような実態でしょうか。また,今後どのように取り組まれるのか,あわせて警察本部長にお伺いいたします。
 この項最後に,岡山の偉人として知事が尊敬される石井十次がもし今生きていたら,災害孤児ではなく児童虐待を受ける子供たちにどんな救いの手を差し伸べていたでしょう。石井知事には,孤児の父ではなく,岡山の子供たちの父になっていただきたいと切に願います。そのためにも,岡山市門田本町の石井十次記念館に,石井十次に,今再び光を当てていただく方策はないか,お尋ねいたします。
 前回2月議会から虐待についての質問が続いておりますが,その流れでもありませんが,次は,動物虐待,動物愛護についてお伺いいたします。
 昨年12月,動物の愛護及び管理に関する法律(新動物愛護法)が26年ぶりに改正され,非常に難しい問題である動物実験の規制は入りませんでしたが,人と動物の共生を強くうたい,ペットの殺傷や虐待に対する罰則を強化するなど,飼い主の責任を重くしました。また,この7月1日から,岡山県動物の愛護及び管理に関する条例も施行されます。県内では,各保健所が捕獲したり引き取ったりした毎年1万匹を超える犬や猫が処分されていますが,中には,最後までペットの命に責任の負えない飼い主のエゴで死んでいく犬や猫もいると思います。ほかの生き物の命を奪わないと命がつなげられないこうした人間の業を思うと,動物の命の重さについて,もう少し我々は敬けんな気持ちを持ってもよいように思います。確かに,ペットは動物にすぎないのかもしれません。ただ,一つの独立した命を自分のもとにとどめおくのなら,せめて最後まで命を全うさせてやるのが飼い主の務めであろうと思います。こういった観点から幾つか質問をさせていただきます。
 まず,年間1万匹もの犬や猫が処分されている現実を踏まえて,県民の動物愛護精神の高揚を図る目的で制定された条例をどのように普及啓発していくのでしょうか,お伺いいたします。
 とりわけ,虐待や飼い主等がその義務を果たさない条例違反行為に対して,最近の青少年問題,凶悪犯罪の最初が,声なき動物への残虐な仕打ちとしてあらわれることもあることも含めて,警察はどのように対応されていかれるのでしょうか,警察本部長にお伺いいたします。
 また,特に,去勢・避妊手術の徹底につき,助成金を出すことは考えられないか,市町村の取り組みとあわせて保健福祉部長にお伺いいたします。
 しかし,いずれにせよ,私は,やはりすべて飼い主のモラルの問題だと思います。あるいは免許制でもありませんが,最終的には飼い主の資格要件は問われてしかるべきだと思います。ペット嫌いの方もいる中で,処分費用も含めて,こういった施策に一般財源からすべて持ち出しするのは適切ではないと考えます。そこで,あえて飼い主に,安易に命を扱うことを許さない警告の意味で,また飼い主の管理責任について認識していただく上でも,目的税的にペット税を徴収することを提言させていただきます。捕獲される野良犬の処分は,これはまだ仕方ないですが,少なくとも飼い犬,飼い猫の不妊治療に助成するために,何より処分費用を捻出するための目的税です。いかがお考えでしょうか(「ええぞ」と呼ぶ者あり)。
 この項最後に,昨年の大規模事業評価委員会で事業を縮小して行うべきとされた動物愛護センターについてお尋ねします。処分場と動物愛護啓発施設を併合するというこの施設は,今後どのように建設が進められるのでしょうか,保健福祉部長にお伺いします。
 次に,都市交通についてお伺いいたします。
 まず,乗り合いバスについて。平成14年2月に需給調整規制を廃止することが決定されましたが,この規制緩和は,郡部においては撤退が,都市部においては競合による共倒れが懸念されています。県としては,乗客の増加の要請を受けながら,かつ生活路線確保のためにどのように調整されていく方針でしょうか。
 次に,高齢者,身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律,いわゆる交通バリアフリー法が施行されて半年,各市町村への施策推進の指導は効果的になされているでしょうか。既存施設に対しては,努力義務とされてはいますが,十分に法の趣旨を反映していくべきだと考えますが,今後の取り組みについてお聞かせください。
 また,高度道路交通システム(ITS)のモデル地区に選定され,道路情報,公共交通機関の情報を容易に入手することはできるようになりましたが,肝心の交通事故の低減や渋滞緩和という具体的成果が如実にはあらわれていないように感じます。今後,県として地域ITSを有効に活用するためどのように取り組んでいかれるのか,土木部長にお尋ねします。
 最後に,地域活性化のためには,鉄道駅前を中心にして,鉄道,バス,タクシー,路面電車などの公共交通機関が容易に効果的に乗りかえできるターミナルの仕組みが必要であると思いますが,JR岡山駅前を拠点とする公共交通は,路面電車を初め,バス各社など充実はしているものの,利用者にとっては煩雑でわかりにくく,やや利便性に欠ける面があります。駅前周辺部の活性化のためにも,この拠点機能を向上させ,例えば初めて岡山を訪ねた人にも使いやすい公共交通を目指すべきではないでしょうか。生活環境部長にお伺いします。
 最後に,教育改革と,総合的な学習の時間と,高校生会議についてお伺いいたします。
 小渕政権以来の懸案事項である教育改革について,昨年の暮れに,いわば総理の諮問機関である教育改革国民会議の報告が時の森総理に出されました。この「教育を変える17の提案」を受け,ことし1月,21世紀教育新生プランを文部科学省がつくり,7つの重点戦略(通称レインボープラン)が示されました。教育の日の制定を初め,岡山県の教育改革プログラムが示す県の施策も,国の21世紀教育新生プランに乗ったものが非常に多いわけですが,そもそも,いじめ,不登校,校内暴力,学級崩壊,青少年犯罪など教育問題が深刻化する中で,行き過ぎた平等主義や公を軽視する風潮に歯どめをかけるべきではないかという問題意識からの抜本的な教育改革は時宜にかなったものであり,高く評価できるものと思います。
 さて,その中で,ゆとり教育とは,教育内容を精選し,選択の幅を拡大させることを指し,例えば,進んでいる子供にはより高度な内容を扱うことも可能で,要するに,学習指導要領はあくまで最低基準であり,間違っても到達目標や上限基準ではない,すなわち,「ゆとり」は「緩み」ではないということが言われておりますが,ゆとり教育とは何ぞや,教育長の御意見,御見解をお聞かせください。
 さらに,来年度から本格実施される総合的な学習の時間については,学年の段階に応じて教科で学んだことを実践で体得するためのもので,それぞれの教科と結びついたものであるとも言われていますが,総合的な学習の時間のあり方,目指すものについて,教育長の見解をお知らせください。
 さて,その総合的な学習の時間を前倒しで実施する小学校の中で,国際理解の一環として英会話学習が取り上げられています。英語嫌いを助長するのではないかという声もある一方で,リズムを取り入れた楽しい実践的取り組みもなされています。中学校では,必修教科になる英語について,小学校段階でどのように扱うべきでしょうか,教育長にお伺いします。
 また,岡山県立児童会館は非常に老朽化していますが,三木知事以来の由緒あるプラネタリウムを備えており,いま一度,環境学習,科学学習の拠点として再生できないか,保健福祉部長にお尋ねします。
 加えて,総合的な学習の時間に,地域の方が学校支援のためのボランティアとしてどれだけかかわっておられるのか,教育長にお尋ねします。
 また,昨年来,積極的に展開されている高校生会議ですが,この会議の成果が各学校でどのように生かされているのでしょうか。会議録をネット上に流し,広く意見を募ったり,大人社会に向かって彼らが思いを発信するためにどんな支援がなされているのでしょうか,教育長にお伺いいたします。
 私の質問は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えを申し上げます。
 まず,NPO支援についてであります。
 ボランティア・NPO活動の促進に関する基本指針に基づきまして,ボランティア・NPO活動支援センターの設置に先立ち,整備できる機能というものは早急に整備をしていこうという方針のもとに,NPO設立に当たっての相談とか,あるいは研修会を通じました人材育成等に取り組んできているところであります。
 御提案にございました県の遊休施設を活用した暫定的な支援センターを設置をしてはいかがかというお尋ねでございますが,これにつきましては,備えるべき機能あるいは管理運営のあり方等解決すべき課題もございますが,今後,NPO関係者等の意見を聞きながら検討してまいりたいと存じます。
 次に,情報提供についてでありますが,県民生活課にNPO・県民生活班という組織を設置をしておりまして,相談業務等を一元的に処理をしております。御提案のようなボランティア・NPOに関する情報を総合的に提供するホームページを開設する新規事業に取り組んでおります。具体的には,県内のボランティア・NPO団体の各種イベント情報はもとより,ボランティア・NPOに対する助成制度とかあるいは委託事業などの情報についても提供できるシステムにしたいと考えておりまして,御質問にもございました晴れの国おかやま国体やあるいは全国障害者スポーツ大会のボランティア募集にも活用してまいりたいと存じます。
 NPO法人への委託の審査基準についてでありますが,青少年の社会貢献活動への参加推進事業におきましては,コンペ方式によりNPO法人への委託を決定しております。この場合の審査基準といたしましては,各法人から提出のありました企画書につきまして,事業の目的,趣旨が最大限達成できますように,募集要項に明示した事業効果とか,あるいは6項目ございます要件につきまして慎重に審査をし,委託先を決定をしております。
 人材育成についてでありますが,ボランティア・NPO活動を促進をしていくために,県といたしましては,NPOについての普及啓発を目的とした県民啓発セミナーの実施に加え,今年度から新たにボランティア・NPO関係者を対象として公認会計士等を講師とした会計処理講座やあるいはIT研修などの実務研修を実施をすることとしております。また,民間機関やNPO法人に実務研修の実施を働きかけをすることなども行っております。
 次に,児童虐待についてであります。
 父親学についてでありますが,私自身のお尋ねもございました。時間の許す限り私は子育てにかかわってきたところでございまして,夜起きてミルクを温めたり,温め過ぎて冷やしたり,いろんなことをした経験は今でも思い出すわけですが,具体的におしめを取りかえたことがあるかというお尋ねでございますが,おしめを取りかえることのみならず,洗った経験も今思い出します。一緒に子育てをしたなあというふうに思っております。やはりそういうことを重ねながら,子供に対する愛情というものが非常に高まってきたなと,このように思っているところでございます。7カ月という大変かわいい盛りのお子さんがいらっしゃる佐藤先生におかれましては,ぜひとも「らせん」「リング」の作者であります鈴木光司さんに負けないように,岡山県内最大の,史上最大の子育てパパというふうになっていただければと御期待を申し上げる次第であります。
 次に,子育てへの関心をはぐくむ事業でございますけれども,乳幼児に接する機会が少なくなっております中学生とか高校生に,市町村の乳幼児健診等の場を活用して,乳幼児に触れる体験の場というものを設けております。
 また,7月から実施をいたしますまちかど子育て応援ルーム事業の中で,父親の育児教室も実施をする予定であります。
 啓発についてでありますが,男性の育児参加等家庭における男女共同参画につきまして,新たなライフスタイルへの転換や意識改革に向けまして積極的な啓発に努めてまいりたいと存じます。
 石井十次についてのお尋ねがございましたが,明治20年岡山市内に全国初の孤児院を開き,一生を孤児の救済に尽くされた社会事業の父として,私自身も日ごろから深く尊敬をしているところでございます。過日,石井十次記念館を訪れまして,私自身改めて深い感銘を受けたところでございます。同じ石井という名前でもあったものですから,石井家としても誇りに思ったということもございましたが,いずれにいたしましても,我が岡山県が福祉先進県と言われますそれは石井十次先生のおかげでございます。また,そういった立場から,石井十次先生に,遺業に,光を当てていかなきゃいけない,私も同感に思います。石井十次の,子供を大切にするというすばらしい理念を私自身も受け継いで,子供の課題にこれからもしっかり取り組んでまいりたいと思います。
 次に,動物愛護であります。
 条例等の普及についてでございますが,毎年多くの犬や猫の処分を余儀なくされているところでございまして,動物愛護思想の高揚などを目的とした本条例の普及啓発が重要であると考えております。このため,飼い主の責務や遵守事項を記載した啓発パンフレットを配布をいたしますとともに,保健所や岡山県動物愛護財団が実施をする各種行事等,あらゆる機会を通じまして動物愛護思想の普及啓発に努めてまいりたいと存じます。
 ペット税についてでありますが,犬や危険な動物を飼育をする際には,御案内のとおり登録申請手数料等が必要とされているところでございまして,さらに来年度からは,犬,猫の引き取りを有料化すると,このようになっております。こういう事情でございますので,先ほど議場から賛成という声もございましたが,新たにペット税を徴収することは,現段階では飼い主の皆様方の御理解を得ることはなかなか難しい問題もあるのではないか,このように考えております。
 都市交通についてでございます。
 乗り合いバスにつきましては,今般の規制緩和に伴って,御指摘ございましたような不採算路線からの撤退やあるいは都市部での複数事業者の競合というものが考えられるわけでございますが,こうした事態による混乱を回避をして,その地域の特性に応じた生活交通の確保方策を検討する場といたしまして,岡山県生活交通対策地域協議会を設置しているところであります。この協議会では,各地域ごとに市町村,事業者等関係者とともに住民ニーズに適合した効率的な公共交通のあり方について検討を進めているところであります。
 交通バリアフリー法についてでございますが,この法律では,市町村がバリアフリー化基本構想を策定した場合に助言を行うなど,県の役割が定められているところでございます。一方,県といたしましては,これに限らず,新たに鉄道駅バリアフリー化設備整備費補助金制度というものを創設をするなど,積極的に既存の鉄道駅等のバリアフリー化に取り組んできておりまして,そういった中で,適時適切に事業者,市町村等に対します指導,助言を行ってきているところでございます。
 私からの答弁は以上でございます。


(生活環境部長)  お答えをいたします。
 使いやすい公共交通についてでありますが,御指摘のとおり,県都の玄関口であります岡山駅の拠点機能を向上させ,使いやすい公共交通を目指すことは,県としても,中心部の活性化や県内外のターミナル利用者の利便性向上のために重要な課題と認識しております。駅前広場の利用改善に向けての方策につきましては,広場を管理している岡山市やJR西日本などで組織しております岡山駅前広場等利用・改善検討委員会で審議されており,県としては,この結果を見守ってまいりたいと存じます。また,公共交通の利用者の便宜を向上させる路線案内の充実などソフト面の改善につきまして,機会をとらえ事業者に要請をしてまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(保健福祉部長)  お答え申し上げます。
 児童虐待をめぐる一連の御質問をいただいております。
 まず,母親の育児不安への対応についてでございますが,中央児童相談所に設置いたしました子ども・家庭電話相談室や保健所,福祉事務所の家庭児童相談室など,さまざまな窓口で相談に当たっているところでございます。また,7月からは,まちかど子育て応援ルーム事業の中で,子育て何でも相談を実施し,休日でも気軽に相談できる体制を整えることとしているところでございます。
 なお,お尋ねのありました医師会が行う産科医と小児科医が連携して育児指導を行う事業,これの県内での実施はないと聞いておりますが,国,県の補助を受けたメニュー事業として,倉敷市が産後ケア事業というものを実施しております。
 児童相談所の相談への対応についてでございますが,宿日直体制をとるなどいたしまして,週末を含め24時間体制で児童の一時保護や緊急の相談等の対応に当たっているところでございます。
 また,幅広い相談に対応する岡山県青少年総合相談センター(仮称)でございますが,これと児童相談所の役割分担につきましては,児童相談所は児童虐待等に対処する専門機関としての役割を充実させ,これら両機関が相互に緊密な連携を取り合いながら,的確な対応に努めてまいりたいと考えております。
 加害者である親などへの指導についてでございますが,これまでは,児童の指導に付随する形で必要に応じ保護者に対し指導を行ってまいりましたが,昨年制定されました児童虐待の防止等に関する法律では,保護者が指導を受けるよう明確に義務づけられたところでございます。虐待を行った保護者の中には,御指摘のように自分も被虐待経験など心の問題を抱えている方も多く,児童相談所におきまして精神科医の助言指導による効果的なカウンセリングを行う事業を本年度から開始したところでございます。
 児童養護施設等への支援についてでございますが,虐待により心に傷を受けた児童に対しては,心理療法で傷をいやしたり,児童ごとに異なる心の問題を受けとめた上での支援が必要なことから,児童養護施設等への心理療法職員や被虐待児個別対応職員というものの配置を進めまして,心のケアの充実に努めているところでございます。
 また,施設での学習指導につきましては,児童相談所と連携いたしまして,入所児童の個性に応じた対応がなされております。
 生活支援対策といたしましては,高等学校等入学支度金などの補助事業を実施しているところでございます。
 里親につきましては,平成12年度中県内で94人の方が登録されておりまして,28人の児童を預かって,御自身の家庭内で養育してくださっておりますが,これらの児童のうち,被虐待児は2人となっております。児童相談所では,里親への委託も貴重な選択肢の一つであると考えておりますが,このほか,児童養護施設等への入所も含めまして,子供の抱える状況により適切な判断,対応に努めているところでございます。
 次に,犬,猫の去勢・避妊手術への助成についてでございますが,手術等に要する経費は,基本的には飼い主の責任において負担すべきものと考えております。
 なお,県内で犬の不妊手術費に対する助成制度を設けているのは,船穂町1町のみということになっております。
 動物愛護センターについてでございますが,現在,新たな基本計画の策定作業を行っております。今年度中に事業評価委員会で審議していただき,本県における動物行政の拠点施設として,できるだけ早い時期に建設したいと考えております。
 最後に,県立児童会館についてでございますが,プラネタリウムの上映あるいは科学模型の展示のほか,県内の児童館の指導ですとかボランティアの育成などの役割も担っており,併設された児童遊園は休日には児童の利用も多くなっております。当面は,貴重な財産として現存施設の活用促進を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(土木部長)  お答え申し上げます。
 地域ITSの有効活用についてでございますが,岡山情報ハイウェイを活用して道路工事による通行規制情報や駐車場の満空状況,公共交通機関の運行状況などの情報提供に取り組んでいるところでございます。引き続き,県といたしましては,関係機関と連携を図りながら,提供する情報の充実を図るとともに,高齢者等に経路情報や障害物情報などをリアルタイムに提供する歩行者ITSに新たに取り組むなど,地域の特性に応じたITSの推進を図っていきたいと考えております。
 以上でございます。


(教育長)  お答えをいたします。
 まず,ゆとり教育についてでございますが,教育内容が厳選されたことによりまして生まれた時間的精神的なゆとりを,繰り返しの指導や個別指導を十分行い,基礎的基本的な内容の確実な定着を図りますとともに,習熟度別学習などにより,個に応じた指導の充実を図るものであります。また,観察,実験など,まとまった時間の要する学習に,今まで以上に積極的に取り組ませることによりまして,みずから学ぶ意欲や思考力,判断力などを育成しようというものでございます。
 次に,総合的な学習の時間のあり方,目指すものについてでございますが,この時間は,みずから課題を見つけ,みずから学び,考える力などの生きる力を育成することを目指しております。この総合的学習の時間は,各学校が具体的な目標や内容を独自に設定して実施するものでありますが,その際,ただ単に何らかの体験をしたということで終わらせるのではなく,目標の達成度をきちっと評価したり,各教科等との密接な関係を図ったりする必要があると思います。
 次に,小学校での英会話学習についてでございますが,発達段階を踏まえまして,歌,ゲーム,簡単なあいさつなどの体験的な活動を通して学習することが大切であると思います。その際,中学校での英語教育を前倒しするというのではなく,身近な英語を扱うこと,音声を中心とする活動を行うこと,中でも,無理に覚えさせないことなど,子供たちが楽しみながら自然に英語に親しむと,このように配慮することが大切だと思います。
 次に,学校支援ボランティアについてでございますが,総合的な学習の時間に絞った調査をいたしておりませんが,学校の教育活動全般についての昨年度行った調査では,小学校ではほとんどの学校におきまして,中学校では約6割の学校におきまして,例えば昔のおもちゃづくりでありますとか農作業体験の指導などに地域の方々の御協力をいただいているところであります。
 最後に,高校生会議についてでございますが,昨年度,県下各地区で,高校生や教員,PTAの代表者の方がいじめ問題などについて語り合い,仲間づくりや学校の枠を超えた自主的な活動の大切さが確認をされました。参加した生徒たちは,それぞれの学校に戻りまして,協議内容でありますとか,そうした活動の内容を全校生徒に伝えたり,募金活動やクリーン作戦等への参加を呼びかけるなど,各学校での生徒会活動の中心となって活躍をしております。
 また,高校生の思いなどを発信するため,高校生フォーラムの開催とか高校生新聞,ホームページの作成などが考えられますが,今後,こうした自主的な活動を支援してまいろうと思っております。
 なお,吉井川クリーン作戦や夏祭りなどの後片づけなど,さまざまな活動が計画をされております。どうかこうした高校生の活動を,報道関係の皆様からも彼らのそうした思いを広く県民に紹介していただけば幸いでございます。
 以上でございます。


(警察本部長)  お答えいたします。
 まず,児童虐待事案取り扱い状況でございますが,昨年11月の児童虐待防止法施行以来,県警察では10件を認知いたしております。その内容は,身体的な虐待が7件,性的虐待が2件,いわゆるネグレクト行為が1件でございます。このうち,6件につきましては,殺人あるいは傷害等の刑事事件として処理いたしますとともに,ほかの4件につきましても児童相談所へ通告をいたしております。
 県警察といたしましては,法の施行にあわせまして児童虐待対応マニュアルを作成いたしまして,職員に対する指導教養を徹底するなど,その取り組みを強化しているところでございます。
 次に,今後の取り組みについてでございますが,御案内のとおり,児童虐待事案に対する警察の対応は,児童虐待事案の早期発見と児童相談所等への通告,児童相談所長の要請に基づく援助活動,児童の保護あるいは事件化等々多岐にわたるわけでございますが,まず,何よりも重要なことは,被害児童をできる限り早期に発見し,保護することでございます。このため,県警察といたしましては,今後とも,各相談窓口の活用を初めとする各種の警察活動を通じてはもちろんでありますが,児童相談所,学校,医師など関係機関とも緊密に連携を図りながら,事案の早期発見に努めてまいりたいと考えております。
 また,認知した事案につきましては,その軽重,緊急度に応じまして,児童相談所へ通告するほか,悪質な事案につきましては厳正に対処してまいりたいと考えているところでございます。
 次に,動物虐待・愛護の問題でございますが,御指摘のとおり,少年による凶悪犯罪の前兆行動が声なき動物への残虐な仕打ちとしてあらわれることにつきましては,警察庁がまとめました最近における少年による特異,凶悪な事件の前兆に関する緊急調査結果というのがございまして,その中でも,猫やウサギなどの愛護動物に対する虐待行為が凶悪犯罪の前兆として見られたというケースが報告をされております。警察といたしましては,動物への虐待行為がこうした少年の人格形成に少なからず影響を及ぼすことなども考慮しながら,この新しい法律や条例に基づく違反行為の適正な取り締まりを実施してまいりたいと考えております。
 今月の11日には,児島警察署管内におきまして,飼育していた犬を置き去りにしたまま転居してしまったという男性を,この新しい動物愛護法違反で検挙したところでございます。
 なお,この遺棄された気の毒なワンちゃんにつきましては,引き取りを申し出られた県内の女性の方に引き取られるということになりまして,本日,新しい飼い主の方に引き取られるということで,我々も一安心をしているところでございます。あわせて御報告を申し上げます。
 こういうことで,今後とも,悪質な事案につきましては,厳正な取り締まりをいたしますとともに,各種会合の機会やミニ広報紙などの広報紙を通じまして,県民の動物愛護意識の啓蒙に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

Copyright (c) 2001 SHINJI SATO Inc. All rights reserved.satoshin.jp