平成12年12月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1. NPO法人について                 [ 知  事 ]
 (1)税制の優遇措置              (総務)
 (2)支援策                  (生環)
 (3)事業委託等                (生環)
2.国体へのボランティアの活用について      (国体)[ 知  事 ]
3. 障害児教育について
 (1)国の「調査研究協力者会議」の中間報告   (教育)[教 育 長]
 (2)難聴児への支援メニュー          (保福)[ 知  事 ]
4.聴覚障害者への情報提供について        (保福)[ 知  事 ]
 (1)要約筆記
 (2)聴覚障害者情報提供施設
5.行政評価制度について                 [ 知  事 ]
 (1)「行政革命」の感想            (総務)
 (2)県政の方向                (総務)
 (3)「一般行政施策評価制度」の名称      (総務)
 (4)評価手法と結果の反映           (総務)
 (5)総合的な行政評価制度の構築        (総務)
 (6)県単独公共事業の事前評価         (土木)




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治です。国家的課題である少子化対策をみずから行い,この11月に男の子が誕生しました。岡山県政のさらなる発展を信じ,さらに身を粉にして対策に励みますので,後のことは知事,どうかよろしくお願い申し上げます。
 それでは,早速通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず,このたび県庁内の若手の皆様で結成する地方税を考える研究会が,全国的にも先進的な,不動産や自動車の取得税の減免を含めたNPO法人の優遇税制の創設を提案する中間報告を提出されたのを受け,知事が極めて前向きに導入の方向を示してくださったことを心から感謝申し上げます。まさに,第2次石井県政の基本戦略の中の一つ,「ソフトパワー先進県おかやま」の面目躍如といったところであります。
 また,我が党の税制調査会も2001年度の税制改正で,個人や企業によるNPO法人への寄附金の一定額を課税所得から控除する方針を固めました。税制面において,国も県もNPO法人の活動支援に本格的に動き出したと言えると思います。
 しかし,私は,その動きに水を差すわけではないのですが,大きな懸念も持っています。先日,宮城県で起きた旧石器の捏造事件の際,事件を起こした副理事長が所属する東北旧石器文化研究所は宮城県が認証したNPO法人でした。この事件の背景には,寄附や補助を受けるNPO法人が結果を出さなくてはいけなかったという焦りもあったと伝えられています。また,他県では,痴呆介護の切り札としてのグループホームで十分なケアができていないケースがあり,厚生省が第三者評価を義務化する方針を固めたようです。
 確かに,NPO法人の財政基盤が強化されることを望みますが,次の段階では,行政評価のようにNPO法人の評価も必要なのではないでしょうか。もちろん,NPO法人が社会的な信用を得るために,まずはNPO法人自身が襟を正さないといけないのは言うまでもありません。日本国憲法第30条は「国民は,法律の定めるところにより,納税の義務を負う」とし,納税の義務は国民の三大義務の一つです。優遇措置を設けるには,社会福祉法人に比してもそれにふさわしい公益性,適格性を有することが必要です。しかし,NPOの設立に際しての認証に加えて,NPO法人が税制上の優遇措置を受けるために適格性の認定を受けることはさらなる要件を加えることになります。あくまで行政の補完ではなく,民間の自由な活動であるNPOの本質からすると,内部矛盾をはらんでしまったと言えなくもありません。
 そこで,知事にお尋ねします。
 第1に,このたび地方税を考える研究会から提案された県の税制優遇措置はどのようなNPOが,どのような恩恵を受けるとお考えでしょうか。既に認証されたNPO法人に対する税制優遇措置の適用はあるのでしょうか。
 また,税制優遇措置上の公益性の認定についてはどうお考えでしょうか。
 第2に,NPO法人の申請は当然ふえるものと考えられますが,NPO法人の寄附金の募集,啓蒙など具体的な支援策を御計画でしょうか。認証を受けていないNPOに対する支援策とあわせてお知らせください。
 第3に,例えば県がNPO法人に事業委託する場合,公共工事に対する入札と同じようなイメージでとらえればよろしいのでしょうか。何を基準にして行政とNPO法人は契約を結ぶのでしょうか。その透明性はどのように担保されるのでしょうか,お知らせください。
 「ソフトパワー先進県おかやま」に関連して,特に「晴れの国おかやま国体」につき県民運動を展開するためには,社会人の積極的な参加が望まれます。ただ,低迷する景気の中で社会人が堂々とボランティアに参加するには,やはりボランティア休暇の活用が好ましいと思います。
 岡山県下でのボランティア休暇制度の導入状況は,平成10年5月に発表された「岡山県労働管理等実態調査結果報告書」では7.3%となっています。県においても,災害発生時の被災者支援や障害者施設等での介護活動にボランティア休暇の取得が認められ,平成8年度の制度導入以来,これまでに140名の職員が取得されていると聞いております。私は,ボランティア休暇が活用され,平成17年の岡山国体に多数のボランティアの方々に参加していただければと考えています。
 17年の岡山国体への県民総参加という点から知事にお尋ねします。知事は,17年岡山国体へのボランティアの活用についてどのように考えておられるのでしょうか。私はこの際,「岡山県民の日(おかやま国体記念日)」を金曜日につくり,秋季国体を金曜日に開会し,学生,社会人こぞって金,土,日の3日間国体ボランティアに参加するという,参加しやすい土壌をつくっていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
 次に,去る11月6日,障害のある子供に対する教育のあり方を検討していた文部省の調査研究協力者会議が,障害児がどのような学校で学ぶかを決定する基準を緩和し,盲,聾,養護学校に進まずに地域の小学校の普通学級に就学する道を広げるように求める中間報告を出しました。これを受けて文部省は,障害の程度に応じて厳格に子供の就学先を振り分ける現行の「就学指導基準」を38年ぶりに緩和する方針と言われています。もっとも,都市部では既に市町村の教育委員会が希望に応じて普通学級への就学を認めており,文部省が現状を追認した形と言えるかもしれません。
 そこで,私は,岡山市内の幾つかの学校現場を実際に訪ねてみました。たとえ障害があっても,盲,聾,養護学校でなく普通学級に我が子を通わせたい,そんな保護者の切なる願いを肌で感じ,障害のある子供たち,障害のない子供たち双方に非常によい教育効果があることは理解できました。しかし,同時に,それを推進していくだけの施設設備や人材が確保できるのか,自治体や学校,教師の力量の差がはっきり出てしまう非常な不安も感じました。さまざまな障害のある子供たちが一つの教室で集団生活を送るとき,子供たちのために果たして現状の配置,設備のままで教師が耐え得るのか,大変な危機感を覚えたのです。
 教育長は,この中間報告に対して率直にどんな感想を持っておられますか,教育現場の現状と今後の方向性を含めてお知らせください。
 また,障害児が在籍している普通学級に民間のボランティアが入り,さまざまな形で子供たちを支えることができないか,あわせてお尋ねします。
 加えて,その中で私は難聴の子供たちに出会いました。難聴児については,乳幼児期にできるだけ早く発見して,早くから訓練等を開始すれば,通常の言語能力を獲得できる可能性が高くなるとお聞きしています。また国も,新生児を対象に難聴の早期発見のための新たな検査事業に取り組むと聞いておりますが,本県としても積極的に対応すべきではないでしょうか。現状もあわせお伺いします。
 さらに,難聴であると診断された場合,どのような支援対策があるのか,お伺いします。
 さらに,私は,聞こえの不自由な方々を支える要約筆記ボランティアの方々にお会いしました。要約筆記とは,聞こえの不自由な方の耳がわりとして,相手の話すことを文字で書いて伝える手段です。岡山県下には,聴覚障害者の方で身体障害者手帳の交付を受けている方が約7,000人おられますが,このうち手話でコミュニケーションできる方は約1,500人と言われています。中高度の難聴,途中失聴の方々には書いて伝える要約筆記が必要です。特に,高齢化が進み,身体障害者手帳を持たない難聴の方も増加しています。
 要約筆記ボランティアの活動は,福祉大会などでOHPを使い三,四人で手話と一緒に行われることも多いのですが,実は難聴の方が病院や役所に行かれるのに同行していくのも大きな仕事です。県内には,一部の地域を除き多くの要約筆記ボランティアクラブがありますが,とりわけ高価な器械を使用されることもあり,財政的にも,保管面でも大変なようです。
 知事は,手話でごあいさつされると伺ってはおりますが,要約筆記についてはどのような認識をお持ちでしょうか。あわせて,高齢者の方を対象にされた県の主催行事にはぜひ要約筆記をつけていただきますようお願い申し上げます。
 さらに,聴覚に障害のある方やボランティアの情報基地として,現在は岡山県視聴覚障害者福祉センターがありますが,むしろ視覚障害の方に重点のある施設のように感じます。全国的に,視覚障害者の施設と聴覚障害者の施設は分離していく方向にありますが,聴覚障害者情報提供施設の設置はお考えでないか,あわせて知事にお尋ねします。
 最後に,行政評価制度についてお伺いいたします。
 県におかれましては,昨年の大規模施設建設事業評価制度の導入やこのたびの一般行政施策評価制度の導入など効率的,効果的な県政を行うために行政評価制度の導入を進められていることは歓迎するところであります。
 我が国の都道府県における行政評価制度は,三重県の北川知事が始められた事務事業評価が最初であるということは御存じのことと思います。しかし,北川知事がこれを始められたきっかけが,米国のデビッド・オズボーンが書いた「行政革命」という本を知事が読まれたことにあるということを知る人は少ないかもしれません。
 この本は,1980年代からイギリスやアメリカなどの欧米諸国で試みられ,行政改革に大きな成果を上げた新しい行政経営の手法について書かれています。学問的にはニュー・パブリック・マネジメント,新公共経営と呼ばれている手法・考え方ですが,私としては,顧客,つまり住民志向,成果志向,市場メカニズムの活用,権限移譲と組織の簡素化,ビジョン・戦略の明確化が大きな5つの柱ではないかと考えます。住民を行政サービスの顧客としてとらえ,その満足度の最大化を図る顧客志向の行政,また幾ら予算を投入したか,どれだけ施設を整備したかではなく,それによって最終的に住民にどのような利益をもたらしたか,すなわち,アウトカムを把握し,その成果向上を目指して県政を運営していくという成果志向の行政,ニュー・パブリック・マネジメントの考え方からすれば,行政評価制度はそのうちのごく一部にすぎません。ニュー・パブリック・マネジメントの理念は,単に一つの制度を導入して済むというようなものではなく,計画策定や予算編成,組織,人事考課など,既存の行政システムについてかなり大胆な改革を伴うものです。実際,三重県におきましても,行政評価制度の導入を初め21項目に及ぶさまざまな改革,取り組みが行われています。
 このたび導入された一般行政施策評価制度は,主に公共事業を除く県の事業について,県の関与の妥当性,必要性,有効性,効率性等の観点から評価し,事業の継続や見直しなどの方向性を決め,次年度の予算編成に反映させていくものと聞いております。しかし,この方法は一般に事務事業評価と呼ばれるものであり,その上位に位置する施策の評価とは異なると思います。施策というのは,複数の事業によって達成される共通の目的のことであり,事務事業の上位に位置するものと認識しております。事実,自治省の行政評価に関する報告書におきましても,政策,施策,事務事業はそれぞれ明確に区別されています。こういった点からも,「一般行政施策評価制度」という呼び名は,事務事業を対象とするものにもかかわらず,施策を対象とする評価制度ではないかとの誤解を招くものと思われますので,「事業評価」あるいは「事務事業評価」という名称に変更してはどうかと思います。
 また,この事務事業評価は,必要性や効率性といった定性的な評価の視点から事業のランクづけを行うため,事業を削減し,予算規模を縮小するといった財政改革には寄与するものと考えますが,これだけでは本来の行政評価制度とは呼べず,成果志向の県政を実現するには十分ではないと思います。
 欧米諸国におきましては,政策や施策が最終的に住民にもたらす影響,成果をあらわす指標,いわゆるアウトカム指標とその目標値を設定し,その目標を達成するための個々の事業を実施した後に,目標値と実績値を比較分析し,そこから個々の事業見直しや予算の重みづけを行うという一連の作業をもって行政評価(パフォーマンス・メジャーメント)と呼んでおります。
 三重県におきましても,事務事業評価導入後に政策,施策,事務事業を目的と手段の関係から整理し,施策についても,県民への最終的な成果をあらわすアウトカム指標を可能な限り設定して,事務事業評価と一体となった施策評価の導入に向け取り組んでいると聞いております。
 次に,公共事業の評価についてです。
 県におかれましては,他の都道府県に先立ち,大規模施設建設事業評価制度を導入され,県立図書館の事業評価を行ったことは歓迎すべきことであります。しかし,この制度は,評価の対象が大規模施設のみに限られ,その他の公共事業については今回の一般行政施策評価制度の対象からも外されております。一般に公共事業はソフト事業に比べて予算規模が大きいため,財政の健全化という視点一つから見ても,ソフト事業以上に厳密かつ合理的な評価が要求されると思います。また,一たん着工してからの見直しは事実上困難であるため,事業構想段階や計画段階での事前評価に重点を置くべきであると考えます。
 現在,公共事業の評価としては,国の指針に基づいて全国の都道府県が行っている再評価制度というものがありますが,これは対象が一定の要件を満たす事業のみに限定されており,また評価方法が第三者機関による審議を中心としているため,結果的にはほとんどの事業が継続という判定になっていると聞いております。
 このような状況の中で,宮城県,三重県などでは,独自に費用便益分析などの科学的な手法を用いた公共事業の事前評価制度の導入を進めており,また,広島県においては,今年度から県単独の公共事業について優先順位づけの指針・マニュアルを作成中であると聞いております。財政状況の厳しい本県においても,このような公共事業全般にわたる合理的な事前評価制度の導入を検討されてはいかがでしょうか。
 そこで,お尋ねします。
 第1に,知事は,三重県の北川知事も読まれたデビッド・オズボーンの「行政革命」をお読みになったことはおありでしょうか。もしお読みになっていたら,その御感想をお聞かせください。
 第2に,県政をニュー・パブリック・マネジメントの理念に基づき,県民志向,成果志向に変えていくお考えがおありでしょうか。もしあれば,その具体的な方策をお聞かせください。
 第3に,「一般行政施策評価制度」という名称は,事業評価でありながらいわゆる施策評価との誤解を招くおそれがあるので,「事業評価」または「事務事業評価」という名称に変更してはどうでしょうか,総務部長にお尋ねします。
 第4に,このたび導入した評価制度では,評価は各部局が行うことになっていますが,その理由もお聞かせください。また,結果はどのように県政に反映されるのか,あわせてお答えください。
 第5に,今後,政策,施策,事務事業の体系に基づいた総合的な行政評価制度の構築に向け検討されてはいかがでしょうか。
 第6に,大規模施設以外の県単独の公共事業の事前評価について取り組まれるおつもりがあるかどうか,もしあれば具体的な内容とスケジュールを,なければその理由をお答えください。
 私の質問は以上でございます。どうかよろしくお願いいたします。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えをいたします。
 まず,NPO法人であります。
 税制の優遇措置でございますが,先月,地方税を考える研究会からの中間報告がありまして,NPO法人に対する優遇策の提案というものが出ました。これを受けまして,その中で早期実施の可能なものについて私の方から具体化に向けての指示をしたところであります。
 具体的には,NPO法人の設立に当たりましての阻害要因というものを除く観点から,名義書きかえ的な取得に対する不動産取得税,自動車取得税の免除とか,あるいは一定期間の法人県民税の均等割を免除すること,これを内容としておりますが,これらは既に認証を受けたものを含めまして,法人格を取得したNPOを対象とすることを考えております。
 なお,NPO法人の活動をより積極的に支援をする観点からの優遇措置といたしまして,寄附金控除なども提案をされているところでありますが,この場合の公益性判断の基準とか,あるいは判断をする主体をどこにするか,あるいは公益法人との均衡などの課題もあるわけでございまして,この点につきましては,国における議論,今現在国の方でも税制大綱作成に向けて議論を進められておりますが,その議論の動向を見きわめながら,今後さらに検討していかなければならないと考えております。
 NPO法人の支援策でありますが,このたび策定をいたしました「岡山県ボランティア・NPO活動の促進に関する基本指針」に基づく活動支援の基本的考え方,この指針を見ていただきますとおわかりのとおり,県は法人格の有無にかかわらず,ボランティア・NPOの自主性,自立性を損なわないように,その活動の環境づくりなど間接的そして側面的な支援を行うと,このように指針で定められているわけでございます。
 このため,個々のボランティア・NPOに対する寄附金の呼びかけをするとか,あるいは支援についての啓発をするということではなくて,法人化に向けての相談の中で,財政基盤とか,あるいは人材育成の必要性につきまして指導を行う,あるいはボランティア・NPO活動の意義とか役割というものを広く県民に啓発をするためのセミナーの開催を行う。さらには,全国の民間の助成金の情報,例えば財団法人からNPO活動に対して支援金が出るものもございますが,そういった情報などを盛り込んだ情報提供システムの構築などによりまして,そのNPO活動を支援してまいりたいと考えております。
 事業委託等でありますけれども,県がNPO法人と委託契約をする場合には,地方自治法の定めるところによりまして,競争入札やあるいは随意契約などの方法によって締結することになります。随意契約によってNPO法人に事業を委託する場合においては,委託する事業の内容によりましては,地方自治法が定める基準に加えまして,NPO法人が行う特定非営利活動が県の事業目的に合致をしているかどうかとか,あるいは委託事業の遂行能力などにつきまして,委託先の選定基準を設けますとともに,必要に応じまして企画書の提出を求めるなどによりまして,特定のNPO法人を適切に選んで契約を締結してまいりたいと存じます。
 次に,国体へのボランティアの活用についてでございますが,総合開会式や競技運営のサポート,あるいは選手のもてなしや民泊の受け入れなど,もうさまざまな分野におきまして多くのボランティアの方々の御協力を得たいと考えておりまして,今後,企業とか各種団体,学校などを初めといたしまして,幅広く県民に参加を呼びかけたいと考えております。
 そこで,具体的な御提案として,「岡山県民の日」を金曜日に制定をして,秋季国体をその日に開会してはどうかという御提案でございますが,県民の日というものの意義は,県民こぞって記念をするものとの趣旨からいたしますと,国体開催という背景だけで県民の幅広い御理解とか御支持が得られるのかどうかという問題もあろうかと存じます。さらには,総合開会式は,週休2日制というものが定着をして以来,土曜日開催ということが慣例化をしておりますということ,また輸送とか交通等の課題もございまして,現実に金曜日開催は困難であるということを御理解を賜りたいと存じます。
 次に,障害児教育であります。
 難聴児への支援メニューでございますが,現在,保健婦等が乳幼児健診やあるいは健康相談,訪問指導の場におきまして,難聴児の早期発見に努めているところであります。
 また,御質問にもございましたが,より早い時期に発見をして療育指導をすることが大変重要であり,また効果的であることから,国が新規に行います事業であります新生児聴覚検査事業の実施について検討してまいりたいと思います。
 次に,支援対策でありますが,医師,言語聴覚士などが相談や指導を行います巡回相談事業とか,あるいは難聴幼児通園施設におきまして必要な訓練等を行いますとともに,補聴器の交付あるいは育成医療の給付などの支援措置というものを講じているところでございます。
 次に,要約筆記でございますが,中途で聴覚障害者になった方や,あるいは難聴の方等のコミュニケーション確保のためには,これは極めて重要な手段であると考えております。現在,県下各地で多くの要約筆記ボランティアの方々が活躍をされていると,このように承知をいたしているところでございます。県といたしましては,今後も,要約筆記奉仕員の養成に努めたいと考えておりますし,同時に,高齢者や障害者の方々を対象とした行事に要約筆記奉仕員の方を派遣するなど,その積極的な活用を図ってまいりたいと存じます。
 聴覚障害者情報提供施設についてでございますが,県は,全国に先駆けまして昭和60年に視覚障害者と聴覚障害者のための複合施設といたしまして,岡山県視聴覚障害者福祉センターというものを設置いたしまして,障害者の方々の社会参加に必要な情報提供サービスを行っているところでございます。しかし,お話のように現在の施設は,聴覚障害者情報提供施設といたしましては,機能面で充実を要する部分があるために,今後,聴覚障害者の方が利用しやすい施設となるように,他の場所での整備というものも視野に入れながら検討をしてまいりたいと存じます。
 次に,行政評価制度でございます。
 デビッド・オズボーンの「行政革命」についての感想でございますが,私はまだ読んだことはございません。ただ,大変著名な書ということでございまして,御案内のとおり,1980年代のアメリカにおける自治体のさまざまな具体的な事例などを掲げながら,御質問にもございましたが,顧客志向とか,あるいは成果志向などの行政システム改革のための10の方策というものを示した大変意義深い書であると,このように私も承知はいたしております。
 県政を県民志向,成果志向に変える考えがあるかとのお尋ねがございましたけれども,私といたしましても,県政は県民の皆様の幸せと豊かな生活の実現のためにこそあるということを県政運営の基本的な考え方ということにしているわけでございまして,そういう面では県民志向であると認識をしております。また,行政が自己満足に陥ることなく,常にその成果というものを検証していくべきだと,成果志向ということを目標にしなければいけないと,このことにつきましては,今日の行政運営のあり方としてこれは当然のことであると私も同感でございます。私自身も,青室知事室あるいはマルチメディア目安箱等によって県民の皆様に軸足を置いた県政を推進してきているわけでございますし,また岡山県ならではの取り組みといたしまして,大規模建設事業にかかわる評価制度を導入し,さらに事務事業にかかわる評価制度というものも導入をするなど,効率的な県政運営に岡山県の独自性も出しながら取り組んできているところでございます。
 御質問のニュー・パブリック・マネジメントの理念ということでございますが,これは,もう基本的には私が目指そうとしております県政の方向とこれは合致をしていると,このように考えております。したがいまして,今御質問にもございましたようなさまざまなニュー・パブリック・マネジメントの考え方,これを参考にしながら職員の意識改革あるいは行政システムの改革というものを進め,今後とも,経営感覚を持って行政運営に対処していかなきゃいけないと私もそう考えております。
 評価手法と結果の反映でございますが,事業担当部局みずからが評価をすることといたしましたその理由でございますが,評価にかかわる事務の負担の軽減,膨大な数の事務について評価をしていかなきゃいけないと,この問題,あるいは事務事業の実効ある改善,あるいは職員の政策形成能力の向上をみずからが図ってもらいたいなどを理由としたものでございますが,しかし評価の過程にありましては,当然のことながら行財政改革の観点から行うものでございますので,行革担当部にチェックもさせることとしております。
 また,評価結果についてでございますが,これは翌年度の予算に反映をさせるということにしておりますし,評価調書につきましては県政情報室等で公開をするなど,行政の県民の皆様方への説明責任というものも果たしてまいりたいと考えております。
 総合的な行政評価制度の構築でございますが,これまで公共事業やあるいは大規模施設の建設事業,あるいは一般行政施策について評価制度を導入してきたところでございまして,まずはこれらの制度の着実なる定着というものを図ってまいりたいと思います。
 また,今後,これらの制度の検証に加えまして,行政施策の達成度等を総合的に評価する制度も含めまして,評価制度のあり方について引き続き研究をしてまいりたいと存じます。
 県単独公共事業の事前評価でございますが,公共事業の実施に当たりましては,計画とか実施の各段階におきまして,その必要性とか効率性というものを評価することが必要であると考えておりまして,また,新規事業における決定方法の明確化とか,あるいはプロセスの透明化に努めていくこと,これはもう議員御指摘のとおり私も重要と考えております。したがいまして,一定の県単独公共事業を含みます公共事業と補助の公共事業,これにつきまして事業実施前の評価が必要であると私も考えておりまして,国の新規採択時の評価とか,あるいは他県の事例等もこれからさまざまな展開があると思います,それらを参考にしながら,私といたしましては,早期導入ができるように,対象となる事業あるいは評価手法等につきまして担当部局に今検討するように指示をしております。検討してまいりたいと考えております。
 私からの答弁は以上でございます。


(総務部長)  お答えいたします。
 「一般行政施策評価制度」の名称についてでございますが,このたび導入いたしました評価制度は,県の政策や施策を効果的に達成することを念頭に置き,個々の事務事業を評価することが現実的かつ有効なものであると考えまして,事務事業を不断に見直すシステムとして制度化したものでございます。
 御指摘のございましたように,政策と施策,そして事務事業,これらを明確に区分する考え方からいたしますと,これは事務事業に対する評価制度ということになるわけでございますけれども,県の事務事業には,一般行政施策や大規模施設の建設事業あるいは公共事業などさまざまなものがございまして,この中で一般行政施策を評価対象にするということから「一般行政施策評価制度」という名称にしたものでございますので,御理解を賜りたいと存じます。
 以上でございます。


(教育長)  お答えいたします。
 障害児教育のあり方についてのお尋ねでございますが,国の調査研究協力者会議の中間報告では,盲,聾,養護学校に就学すべき子供であっても,障害の種類,程度,小中学校の施設設備の状況等を総合的な観点から判断して,適切な教育ができる合理的な理由がある特別な場合には,小中学校に就学させることができるという,こういう旨の提言がなされております。基本的には,障害のある子供には,現在の養護学校等での専門的な教育が必要であるとの認識は変わっていないものと考えております。
 小中学校に受け入れる場合には,御指摘のような心配がございますので,受け入れの基準や人的,物的な条件整備について国の方策が示されることが必要であると,このように考えております。
 今後,今年度末の最終報告を受けた国の具体的な検討結果を踏まえまして,適切に対処してまいりたいと存じます。
 また,ボランティアの受け入れにつきましては,学校の教育活動に沿って支援していただけることはありがたいことと考えております。
 以上でございます。

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