平成11年12月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治


(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。
 まずは,先日御逝去されました加藤先生の御冥福を心よりお祈り申し上げます。
 お昼下がりでございますが,それでは,早速通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まずは,私ごとで大変恐縮でございますが,ことしは皆様に大変お世話になり,選挙で当選させていただけるわ,嫁さんはもらえるわで,よいことずくめではないかなどとおっしゃってくださる方も多く,大変にありがたいことでございます。どうもありがとうございます。がしかし,1999年がよ過ぎただけに,これは何か不吉なことの前ぶれではないか,いよいよ世紀末の2000年,覚悟していかにゃおえんと気を引き締めておる次第でございます。
 ところで,このごろ若い者なりに考えますに,要するに人生はゼロサムゲームで,100点があればどこかにマイナス100点があり,山があろうが谷があろうが,収支決算すれば全部ゼロではないか。逆に言えば,よいことも悪いことも大して続かない,うらやましがろうが得意になろうが,平均すればゼロになる,しょせん最後がゼロならば有頂天にも卑屈にもならず淡々とやってまいりましょうという気分になっております。これを地球規模で考えるならば,どこかの国がよかろうが,その分どこかの国が思い切り悪い,奴隷も,侵略も,戦争も,結局本来負うべきマイナス部分を何かやだれかに肩がわりさせているだけではないか,もし人類すべてがよくても鳥やけものや虫たちには最悪かもしれない,地球的規模でトータルすれば結局ゼロである。そう考えると,何物の見返りも要求せず,無尽蔵に降り注ぐ太陽の光やあるいは母親の愛情といったものが改めて本当にありがたく,とうとく思えるのでございます。
 そして,政治とは何かをおセンチに考えますと,こういったゼロサムゲームの中で,本来ならほうっておけばばらばらに偏ってしまう愛や夢をあえて公平に分かち合う作業ではないか,また,その作業をするのが政治家ではないかと思うに至りました。こうなると政治家はもはや神様の領域に入っていくかもしれませんが。書生くさい話で恐縮でございましたが,最近大変悩んでおりますので,どうか知事に,一言で知事の考えられる政治とは何か,政治家とは何か,御教示ください。
 さて,このようにゼロサムゲーム的に地球的規模で物事を考えますと,現在あるイデオロギーや国境も神様の落書きにすらならないと思えますし,結局何かの犠牲の上に我々の繁栄があるのならば少し謙虚に優しい気持ちにもなってまいります。「情けは人のためならず」,「困ったときはお互いさま」という言葉も身にしみますし,環境問題,福祉問題も他人事ではなくなります。ゆえに,会ったこともない人たちや行ったこともない国も,地球の上にいるからにはやはりどこかでつながっている,そう考えざるを得ないのです。仮に情報ハイウェイがなくても岡山県と世界はつながっています。
 思うに,ODA(政府開発援助)がかなり外交戦略的要素が強いのに比較して,NGO(ノン・ガバメンタル・オーガニゼーション)で活動される方の根底には,こういった「困ったときにはお互いさま」,そういった思いもあるようです。
 御案内のとおり,NGOは通常非政府組織と訳されることが多いようですが,日本ではNPOと区別して使われ,非営利をいうNPOの中でもさらに,特に国境を意識して,それを越えるボランティアという意味で使われていることが多いように思います。しかし,諸外国では,政府の活動と区別される民間の国際的な組織として,地球的規模の諸問題に対して,各国政府または国連機関の活動を補完,協力したり,発展途上国での災害,飢餓,難民問題などへの対応で重要性がますます高まってきています。多くのNGOが政策形成過程に深くかかわっており,一般に考えられているボランティアとは全く異なっています。
 NGOといえば,岡山に本部を置くAMDA(アジア医師連絡協議会)は全国的にも有名ですが,岡山県ではほかにも,ことしの6月に第55回日本ユネスコ運動全国大会イン岡山を大成功させ,地道に環境問題に取り組み,環境サポートセンター設置を目指す岡山ユネスコ協会,ネパールを中心に教育支援を行うAEA,フィリピンを中心に不要になったリコーダーを送るリコーダーをおくる会,ユニセフ協会,アムネスティ等々,さらに宗教団体が行うNGOを含めると数十の団体が活発に活動しています。そういった中で南北ネットワークなどNGOのネットワーク組織も定期的に活動しています。特に,NGOに対しては,街づくりグループや福祉ボランティアと比較して直接市民生活とはかかわりがないのではないか,こういった活動への助成は優先課題,緊急課題ではないのではないかという意見もありますが,実際は,こういった国際的な視野を持った市民団体が21世紀の地方政治に対して果たす役割は極めて大きなものだと私は思います。
 世界を取り巻く状況は,人,物,情報等の流れが地球的規模で拡大する一方で,環境問題,人口,資源,エネルギー問題など,国際的に協力して解決すべき問題が存在しています。こういった中で,岡山県の問題は世界の問題,世界の問題は岡山県の問題という認識が必要であると思います。スインクグローバリー,アクトローカリーという言葉はNGOの世界ではよく言われることでありますが,岡山県は岡山県としてすぐれた技術を生かした技術協力や開発途上国への人づくり支援などの取り組みが必要であると思います。そのためにも行政とNGOが連携して国際協力を進めていくべきだと思います。
 そこで,知事にお伺いいたします。
 現在,どの程度岡山県は国際協力,国際貢献をし,各市町村においてはどうでしょうか。また,知事はNPOの活用とよく言われますが,今後,NPOの中で特にNGOをどういった形で活用していかれるのでしょうか,具体的にお示しください。
 また,関連して,NGOを含めたNPO一般について何らかの支援措置をさらに進める計画はおありでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。
 さらに,岡山県新総合福祉・ボランティア会館は,NGOに対してもNPO一般と同様に利用できる計画なのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 さて,本日,「人間尊重」をテーマに第6回国際貢献NGOサミットが県内の数会場に分かれて開幕いたしました。このサミットは,国際貢献をテーマにした日本で初めてのNGOの国際会議として1994年から始まり,医療,教育,宗教,環境,福祉などをテーマに地道に行われてきたもので,これまでに数十カ国に及ぶNGOの代表者が来岡されており,多くのボランティアが会の運営を支えてきました。このサミットを主催する国際貢献トピア岡山構想を推進する会──通称トピアの会といいますが──AMDAや岡山ユネスコ協会などが集まり結成されたNGOのネットワーク組織であり,国際貢献都市岡山を世界に向け発信しようという,いわば地域づくりの組織でもあります。特に,トピアの会の中の小委員会が国際貢献,国際交流をテーマに積極的に商店街の活性化に取り組んだりもしております。
 ところで,NGOの国際会議をなぜ岡山でやるのかにつき,AMDAの菅波先生は「岡山は,教育や医療,宗教などといった人としての品位を高める文化をはぐくみ,よりよき精神風土を備えている。NGOも人道援助活動を理念にしている。岡山にはNGOを育てる条件,風土があり,世界の人道援助活動の拠点になり得る」と説明されています。そして,トピアの会は,いわゆるインターナショナルNGOが集積する「西のジュネーブ」に対して,ローカルNGO,リージョナルNGOが集積する「東の岡山」を目指しています。「西のジュネーブ,東の岡山」というまことに大胆な提言であり,実現のためにはそれだけの時間とお金もかかることではありますが,21世紀の岡山の一つの姿ではなかろうかと思います。
 そこで,知事にお伺いいたします。
 きょうから始まった国際貢献NGOサミットを県としてどのように評価されますか,お教えください。また,こういったNGOサミットの成果として,例えば姉妹校縁組がなされたり,数々の民間交流が始まっていますが,県としてこれをどうフォローされていくのでしょうか,あるいは岡山情報ハイウェイ構想の一環として,こういった情報を県からも世界に向けて発信するなどサポートできないか,お伺いいたします。
 次に,私は別に面識はございませんが,阪神タイガースの野村監督がおっしゃることに,何を残すかで人の価値は決まるそうであります。下はお金を残す人,中は名を残す人,上は人を残す人だそうで,お金も,名声も,人も残している方だけに深いなあと思うわけですが,特に男は子供が産めないだけにやたら何かを残したがる気がいたします。そうしてみると,幕末の志士たちがその思いでつながっていたように,やはりかなり意識して人を残していかないといけない,それが人間の一つの評価なのだと思います。少なくとも10年先を思うなら10年後の人材も育てなくてはいけない,20年後を憂うのであれば未来からの使者である今の子供たちを思わなくてはいけない,21世紀の岡山を思うと,やはりどれだけの人材が自前で育つか,どれだけの人材を残していけるかが勝負であると思います。人材によって岡山県は栄えるという「富県人材論」を唱えたく思いますが,21世紀をにらんで地方競争を乗り切っていくために,行政の中でどのように人材を育てようとされているのか,あるいはどんな人材が育ち,どんな成果が上がっているのか,21世紀のあるべき地方公務員の姿を含めて,その人材論を知事にお伺いいたします。
 ところで,それぞれの市町村には,次代を担う人材の宝庫として現在も青年団が活動しています。地域によって活動状況にばらつきもあるようですが,18歳から35歳の勤労青年がよりよい地域づくりのためにボランティアで懸命に汗を流しています。21世紀の地域社会を考えたとき,自発的に青年団活動に参加するような青年こそ大切に育てていかなくてはいけません。青年を育てるためには,責任と権限と財源を与えることが重要です。また,明確な目標を示し,信用してチャンスを与え,しかし失敗しても目をつぶるという寛容さが必要です。全国的に,青年団活動はやや衰退ぎみであると伺っていますが,岡山県における青年団の活動の現状と,その活動の評価について教育長にお伺いいたします。また,あわせて支援策についてもお伺いいたします。
 さらに,全県下市町村のみならず,全国に広がっていく青年団のネットワークは潜在的に物すごい可能性を秘めています。また最近では,JICAなどを通じて国際的なネットワークも生まれつつあります。そこで,提案でありますが,来る平成17年岡山国体のボランティアとしてこの青年団のネットワークを使ってはいかがでしょうか,国体準備局長にお伺いいたします。
 また,これに関連して,次代を担う青年を育てるには,青年期以前の少年期にも解決すべき問題が多いと思いますが,男女共同参画社会におけるウィズセンターのように,いわゆる青少年問題についての情報データバンク・情報発信基地,あるいは青少年のリーダーを養成するセンター,青少年問題を扱うNPOが集まるセンターが必要であると思います。現在の生涯学習センターや公民館は必ずしもそういった機能を果たしていないように思いますが,今後県として何か計画がおありでしょうか,知事にお伺いいたします。
 次に,平成17年に記念すべき第60回目の国体が行われるわけでありますが,来年公募される国体の愛称が何であるにせよ,総合成績が何位であろうが,岡山に日本の注目が集まるわけでありますから,ここは岡山のすばらしさ,岡山らしさを存分にアピールしなくてはいけません。また逆に,岡山県民が一体になって全国の方々をお迎えする際のシンボル,岡山のアイデンティティーが必要であると思います。
 ところで,お国自慢としてあるいは短絡的に浮かぶイメージといったものがあるかと思いますが,はて,岡山は何なのかと考えると,あえて後楽園とは申しません。桃太郎以外にないのではないか。日本の歴史上,桃太郎ほど老若男女に愛され,日本全国津々浦々まで知れ渡った有名人はおりません。彼の偉大なる功績,相手が動物とはいえ,命がけの戦いにだんご1つで有無を言わせずついてこさせるカリスマ性といったものは,日本国民が皆認めているところであります。
 ところがしかし,桃太郎は単なるおとぎ話ではなく,壮大な歴史スペクタクルであるという方もおられます。一説には,海を渡ってきた百済の王子である温羅は,はるか昔,大和朝廷に匹敵する文化,技術を誇る古代吉備王国をつくり上げ,この岡山の地もまた日本の中心地として天下に名を響かせました。がしかし,我が吉備王国は大和朝廷に征服され,勝てば官軍よろしく,何と温羅は鬼扱いされ,大和の側が桃太郎と呼ばれるようになったというのです。おとぎ話に託された我が郷土のこんな悲しい戦いの歴史も岡山県民は知らなくてはいけません。そして,私たちは侵略者である桃太郎を許し,愛してまいりました。しかし同時に,はるか昔,真金吹く吉備の大空のもと跳びはねていた鬼にされた温羅もまた復権させなくてはいけません。大和に匹敵する古代吉備王国が栄えたそんなすごい歴史を持つこの岡山のすばらしさを我々県民自身が認識し,全国に誇りを持って訴えなくてはいけません。
 築庭300年,平成17年岡山国体はまさに桃太郎岡山をアピールする絶好の機会であります。そして,我々岡山県はこの桃太郎と温羅で食っていってもよい日本唯一の県であります。最大限文化,芸術,観光,教育に桃太郎や温羅を使わさせていただくこと,それが岡山の誇りになり,個性になると思います。そういった熱い思いを持ってこの桃太郎と温羅を考えるとき,岡山のお祭りは全国にもっともっとアピールすることができる潜在的可能性があるのではないでしょうか。恵まれた地理的条件,気候風土,桃太郎や温羅といった素材,岡山のお祭りには,やりようによっては日本のみならず,世界に発信できるものになり得るはずです。都市間競争が激化している時代に,岡山県にこの祭りありと全国から観光客が押し寄せる,どんどんお金を落としていく,そんな祭りがあればすばらしいと思います。
 具体的にお祭りの効用について考えますに,お祭り成功の一つの基準が言われていますが,第1に,地域のコミュニケーションづくりに寄与しているか。例えば,踊りに参加するためにチームで練習すること自体が地域コミュニティーの活性化になります。第2に,経済交流,物的開拓に寄与しているか。第3に,全県民,市民的交流に寄与しているか。第4に,重要な歴史・文化遺産を守るものか。桃太郎や温羅はまさに格好の素材です。そして,それは一過性のイベントではなく,地域の個性としてお祭りそのものが文化になります。第5に,現代人の不信感や疎外感を解消し,あしたの生活に活力を与えるものか。全国的に著名な成功した祭りは,多くの場合こういった基準に合致したものだと思います。
 また,逆にお祭りを成功させるためには,意識してこういった基準に沿わせる必要があると思います。そして,現代のお祭りの特徴を挙げるならば,基本的に道具はないが,おそろいの衣装の老若男女が,決められていない型でアップビートに合わせて集団で踊りまくるという,全員総参加型のものが受けているようです。
 別に悪く言うわけではありませんが,「踊るあほうに」云々の「阿波踊り」に高尚な思想性があるでしょうか,にもかかわらず「徳島阿波踊り」は,26万5,000人の人口の徳島市に4日間で137万人もの観光客を集め,うち半分は県外からのお客であるとのことです。宿泊施設の少ない徳島ですので,京阪神からの観光客は淡路島や高松に流れ,結果として広域観光圏がつくられています。この「阿波踊り」も,もともとは勝手連的に踊られていたものを観光協会が一本化させ,現在の形に至っているようです。「阿波踊り」は成功のすべての基準を満たしています。
 また,高知の「よさこい」も,実は昭和29年不況対策の景気づけとして始まったものが,7,600万円の事業費で,4日間で100万人を動員,人口32万5,000人の高知の町が県外からの観光客でごった返します。そして,この「よさこい」が北海道に渡り「よさこいソーラン」となり,第8回を数え,学生ボランティアの手で夏の一大風物詩に成長したのは記憶に新しいところであります。「よさこい」も「よさこいソーラン」も特に若い女性が集団で踊りに参加するという新しい現象を生み出し,一言で若者にとってかっこいい祭りになっています。加えて,「よさこい」が8月9日から12日,「阿波踊り」が8月12日から15日に固定化され,3大とも,4大とも言われる東北の夏祭り同様,回遊性を持たせているところは注目に値します。最初に点として観光客を呼び込み,周遊させ広域観光圏をつくるということです。
 さらに,松山では,その昔,伊予鉄道野球部員が高松遠征の宴会で踊ったのが発祥とされる「野球拳」を「ニュー野球拳踊り」としてこの夏よりパワーアップさせ,夏の観光客の落ち込む時期に「よさこい」,「阿波踊り」に連携づけながら,それに匹敵するものをつくり上げたい意向のようです。要するに,夏の四国はあちこちで踊りまくっているわけです。
 翻って,岡山のお祭りはどうでしょうか。残念ながら,岡山のお祭りや踊りで全国ブランドになっているものはないように思います。桃太郎や温羅という格好の素材がありながら,また交通の結節点として最高の立地環境にありながら,岡山のお祭りに全国から観光客が誘致できないのは宝の持ちぐされとしか言いようがありません。築庭300年もしかりですが,この不景気に県外からどれだけ観光客を呼び込み,どれだけお金を落としてもらうかが勝負になります。
 そこで,知事にお伺いいたします。
 お祭りの効用についてどのようにお考えでしょうか。また,中四国の夏祭りと広域に連携しながら,また岡山県内で連動しながら,経済波及効果をねらい,岡山の文化,伝統創造のためお祭りを展開していく戦略的プランをお持ちでしょうか。築庭300年が大きな夏祭りと連動していたら,平成17年国体が夏祭りとどこかで連動するならば,岡山県選手団の入場が「阿波踊り」や「よさこい」に匹敵する踊りに勇気づけられるなら,こんなにすばらしいことはないと思います。年に一度の夏祭り期間に命をかける,このお祭りで命を落としても本望である,そんな熱いお祭りをぜひつくることを手助けいただきたいと思います。
 以前,「燃えろ岡山県民運動」がありましたが,燃えにくい岡山県人を燃やすのはお祭りしかないと思います。そして,そのお祭りのキーワードは,桃太郎であり,鬼となった温羅であり,ともかく踊りまくることだと思います。どうか歌って踊れる知事,踊る岡山県庁が不景気を払ってくださることを心よりお祈りし,私の質問を終わらさせていただきます。まことにありがとうございました。


(知事)  自民党の佐藤議員の質問にお答えを申し上げます。
 佐藤議員におかれましては,ことしは初当選及び結婚ということで,まことにいい年でおめでとうございました。来年も,これ以上いい年ということを望むのはなかなか難しいかとは思いますけども,しかし同等の幸せが来年めぐってまいりますように御祈念を申し上げたいと思います。
 さて最初は,政治,政治家についてというお尋ねでございます。初当選されました佐藤議員におかれては,もうここに大先輩の諸先生方が多くお見えでございますから,皆様方から御薫陶をいただければと思いますけども,あえて私に対するお尋ねでございますので,お答えを申し上げたいと思うわけでございますが,政治の理念ということになりまして考えてみますと,私はやはり地方政治を今あずかっているという立場から考えてみたいと思うわけですが,やはり今の世の中は大変変革期の時代でございますから,こういった激動の時代にありましては何よりも先々を正確に見通していくという,そういう前向きな姿勢というものが何よりも大事だと思うわけです。その時代の流れを的確に把握をしながら,結局はそこに住んでおられる皆様方の福祉の向上,そして快適で豊かな生活,そしてまた地域全体を大きく発展をさせていくと,こういったことを目指していかなきゃいけないと,このように考えておりますが,これにはやはり多くの皆様方,とりわけ県議会の皆様方としっかりこれは連携をして取り組んでいかなきゃいけないと思っております。
 地方自治に携わる者といたしましては,そういう姿勢の中で,やはりこれからのキーワードは前向きに取り組んでいくという意欲ということだろうと思うんですね。そして,その意欲を持って,そして前向きに進む中で先々の出来事を受けとめる新しい新鮮な感覚,こういう気持ちも大切ではないかというふうに思っておりますが,こういった新しい感覚というもの,新しい動きというものに向かって前向きに,積極的にチャレンジをしていくという,こういう姿勢がこれからないと,いわゆる地方分権の時代でございます,地域間の競争とも言われておりますけれども,こういった時代に勝ち抜いていくためにも,そういった姿勢が何よりも大切かなと私はこのように考えておりますが,同時にそれは私自身に対しましても,皆様方とともに一緒に携わっていくわけでございますから,当然のことでございますが,私心は捨てまして,そして県民のためと,あくまでも県民の皆様に軸足を置くと,こういう姿勢が何よりも大切かなと,そして誠実な姿勢で政治というものに携わっていかなきゃいけないと,このように自分自身を戒めているわけでございますが,これは私自身の考えでございますので御参考にしていただきまして,あとはここにおられる多くの諸先輩の方々と御議論,また御薫陶いただければと,このように思っているわけでございます。
 具体的な御質問に入りますけれども,国際協力についてのお尋ねがございました。国際協力,貢献の県の取り組み一般についてということでございますが,岡山県といたしましては,本県が持っております特性あるいは岡山県が持っております蓄積した技術といったものを生かした,御存じのとおり提携しております中国の江西省,そことの環境にかかわります技術協力をやっておりますし,あるいはアジアとか南米地域等からの海外技術研修員の方々を受け入れまして,そして国際貢献ボランティアの養成をして,これからの国際貢献社会の中に役立っていくようなそういう人材の養成をしているわけでございまして,このようなことで幅広く国際協力を展開しているわけでございます。
 また,市町村の状況を見ておりますと,各市町村は,国際協力事業団がございますが,これを通じました技術専門員の派遣とかあるいは受け入れ,また友好提携先をいろいろ各市町村ごと縁組を組んでいらっしゃいますから,そこからの研修の受け入れ等,従来からのそういった国際交流の実績というものを背景としながら,地域の特性をそれぞれ生かされまして積極的に技術協力とかあるいは人づくりの支援といったようなことを行われております。
 県といたしましては,県とそして市町村間の連携をすることが重要でございますので,国際化に関する連絡会議がございますので,そういった会議等を通じまして,市町村との情報交換とか,あるいは国際協力の推進につきまして県の方からも市町村にお願いをいたしております。さらに,積極的に国際協力を展開するように諸施策を推進してまいりたいと考えております。
 NGOについてのお話がございましたが,この活用につきましては,申し上げるまでもなく,21世紀に向けまして世界へ貢献する岡山ということを標榜しておりますけれども,これを実現するためには国とそして地方公共団体と,そして御質問がございましたこのNGO,これがそれぞれの役割を果たしながら相互にお互い連携,協力することが基本の柱でなきゃいけないと思います。このため県といたしましては,先ほど申し上げました国際貢献ボランティア,こういう方々等の人材養成をしておりますし,また本日開催をされておりますが,NGOが活動しやすいトピアの会のような活動の応援をすると,こういったことに加えまして,県とAMDAが一緒になりまして,先ほど申し上げた中国の江西省の環境の協力を進めるための会議,これは環境保全対策会議と申しておりますけれども,これを開催しております。こういったようなことでNGO等の民間団体との緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。
 本日開催の国際貢献NGOサミットの評価とフォローということになるわけでございますが,これは平成6年度からスタートしたということでございまして,世界のNGOの方々を岡山に招いて,そしてそのNGOの方々が相互に情報交換とかあるいは共同の援助活動についてお話し合いをしていただいております。そしてまた,これを契機といたしましての国際姉妹校縁組とか,あるいはNGOが共同して行う事業,こういったことを進めるということになりましたということでございまして,このことは世界に開かれ,そして世界に貢献をしていく岡山づくりという観点からは,大変有意義なことと評価をさせていただいております。県といたしましても,こういったような動きをしっかり把握をいたしまして,今後さらに開発途上国への技術協力とかあるいは人づくりの支援,こういったようなこと等々,本県の特性を生かした国際協力の促進方,そして充実に努めてまいりたいと考えております。
 これらのことに関しまして,情報ハイウェイによってサポートしてはということでございますけれども,インターネットを通じまして岡山県の魅力とかあるいはいろんな先進的な取り組みを世界に向けてこれを積極的に発信をしていくということは,世界に開かれた岡山県づくりの観点からも大変重要でございますし,先日は,岡山県のホームページにつきましても,英語版につきまして情報発信をスタートしたわけでございます。県といたしましては,この国際貢献NGOサミットを含めましたさまざまなこういった先進的な事例につきましても,県のホームページ等こういったところで紹介をするなどいたしまして,情報発信を世界に向けて行ってまいりたいと考えております。
 次に,21世紀の行政の人材育成についてどのように考えるかというお尋ねでございます。現在,「快適生活県おかやま」に向けまして職員の方々にお願いをして県政推進をしてもらっとるわけでありますけれども,さまざまな分野におきましてそれぞれ積極的に職員の方々は職務を遂行してくれていると,このように思っております。今後,地方分権が進展をしてまいります。そして,国際化,そして高度情報化等々,時代が大きく変化をしていくわけでございまして,職員の方々に対しましては,ぜひともこれからはより高い行政能力をまず持っていただくということと,そしてすぐれた資質というものをこれからも大いに磨いていただきたい。そして,お願いをしたいと常に私が言っておりますのは,従来から持っている枠組みというものにこだわらず,それを縦割りの行政ということを打破して,そうした立場から前向きな姿勢でぜひチャレンジ精神を持ってほしいということを県職員にはお願いをし,さまざまな場面で私もお話をしているわけでございまして,21世紀における公務員としてそういったことが必要ではないかと思っております。
 具体的には,御承知のとおり,県庁内にチャレンジ県政政策研究会をつくっておりますし,あるいは自主研究グループということで具体的なテーマに応じまして何人かの方に研究をしていただいております。これも部局間の横断的なテーマということで担当をしてもらっているわけでございまして,政策をつくる,形成していく能力の向上とかあるいは自己啓発,こういったものを促進してこれからの岡山県を担っていくような人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
 青年団の活動について情報発信基地が必要ではないかというお尋ねでございます。情報データバンクあるいは情報発信基地の機能を総合的に備えたものは,青少年にかかわるものといたしましては現在のところないわけでございますけれども,県下にございます施設といたしましては,青少年教育センター閑谷学校とかあるいは青年の家,少年自然の家,また岡山県青年館など,こういった多くの施設があるわけでございます。
 今申し上げた岡山県青年館の方におきましては,青少年の研修とかあるいは宿泊施設として利用していただいておりまして,あわせましてホームページによって活動状況の発信も行ってきております。生涯学習センターがございますけれども,ここで,「ぱるネット岡山」というネットワークを通じまして青少年を含む生涯学習情報を発信しているわけであります。したがいまして,今後,これら県下にございます既存施設のお互いの連携の強化とか,あるいは国が持っております青少年のデータベースがございますが,これとのネットワーク化,こういったようなことを通じまして青少年情報の発信機能の強化をこれからも充実をしていきたいと考えております。
 最後に,お祭りについてのお話でございます。具体的なさまざまな事例を取り上げられ,また非常に全国の有名なお祭りについても大変深く勉強されまして,その成果を今お話をいただいたわけでございます。大変参考になるお話でございました。お話がございました桃太郎にちなんだお祭りということでございますと,皆様御存じのとおり,岡山県におきましては,「岡山桃太郎まつり」とかあるいは「おかやまショッキングフェスタうらじゃおどり」というもの等が行われております。こういったことで人的あるいは経済的なさまざまな交流あるいは各地域における地域の活性化,こういったことを考えますと,祭りが果たす効用,効果というものは大変大きいと,私も議員の御指摘,同感に思います。
 具体的に見ておりますと,お話がございました札幌市にあります「よさこいソーラン祭り」,これがどのようないきさつであのような形になったのか,私も若干パンフレットを見させていただきましたが,やはり大学生,若い学生さんがみずから発想して,若い方々がみずからそれを広げていって,自分たちの力でこの祭りを起こしたという経緯があるようでございまして,そういった面では学生さんの若さとか,その感性,こういったものが非常に熱意ある取り組みという形において実現をしてきたのではないか,今は観客動員数が193万人ということでございまして大変大きな祭りに成長しております。こういった祭りの経済的な波及効果というのは本当に大きなものがございまして,私といたしましても,本県におきまして多くの方々が集まって,そしてにぎわっていく,こういった全国ブランドに成長するようなそういう祭りの実現というものを,私も心から実現を願っているわけでございます。
 実は中国知事会等におきましても祭りについて話が出たことがございまして,こういった大きな大規模イベントをお互いに,先ほどお話がございましたとおり日にちを少しずらせてつなげていくというような,関連を持たせるといったような工夫をしてはどうかと,このようなお話もございまして,また同時に,一緒になってそれを全国に情報発信をしようじゃないかと,このようなお話もございまして今協議を進めているわけでございます。いずれにいたしましても,こういった祭りというものを継続させていく,あるいは大きくこれを発展させていくというためにも,何と申しましても,民間の主体的な取り組み,そして県民総参加ということが何よりも不可欠であると,私はそのように思っております。とりわけ佐藤議員のように若い方々のすばらしい感性,こういったものが私は何よりも大切ではないかと思っておりまして,皆様方のそういう大きなうねり,盛り上がりというものを心から期待し,そのような立派な祭りがこれからも大きく成長していくように,私自身もこれから先頭に立って,歌って,踊っていきたいと,このように思っておりますので,どうかよろしく御支援のほどお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。


(国体準備局長)  お答えをいたします。
 国体での青年団の活用についてでございますが,平成17年の岡山国体は195万県民総参加の国体を目指しております。県民運動やボランティア活動としての県民の皆様方の幅広い参加は,国体の円滑な運営と大成功のためには不可欠のものと考えております。特に,地域でさまざまな活動をしておられます青年や女性の方々には,岡山国体開催時に大きな役割を担っていただく必要があると考えております。御提案の青年団ボランティアネットワークの積極的な参加につきましては,大いに期待をしているところであります。


(生活環境部長)  お答えいたします。
 NPOに対する支援措置についてでございますが,県といたしましては,既に法人県民税の均等割を減免するなど,支援措置を講じてきているところでございますが,今後とも,その活動の自主性,主体性を尊重しつつ活動の促進を図っていくことが重要であると考えておりまして,NPOの設立支援のための講習会や県民啓発の講演会等の開催などに積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(保健福祉部長)  お答えいたします。
 新総合福祉・ボランティア会館についてでございますが,平成9年度に策定いたしました基本構想では,ボランティア活動への支援機能を会館の基本的機能の一つと,このように位置づけているところでございます。
 今後,NPO,NGOなど各種団体が地域や分野を越えて相互交流できる場,そうした場の提供につきましても基本計画の中で検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(教育長)  お答えいたします。
 青年団活動の現状についてでございますが,県下には43市町村で54団,1,136人の団員が活動しております。近年,若者は仕事や趣味で結ばれたグループやサークル活動へ参加することが多くて,地縁関係で結ばれている青年団の団員は減少しております。そうした中にありましても,青年団員は,消防団活動やお祭りなどにおきまして地域の若者のリーダーとして活躍いたしますとともに,最近では子供たちの地域での体験活動に指導者として参加するなど,地域の活性化に重要な役割を果たしております。教育委員会では,このような青年団活動に対しまして,指導者の研修会や青年祭の開催など,青年団の自主的な活動を支援しているところでございます。
 以上でございます。

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